2012年8月23日

ストリートビューで死体が道に転がっていた

一昨日家の前で隣人が、ノートパソコン片手に近所の人に何か見せていた。
呼ばれて行ってみると、彼は「お前の家もみえるよ」と言って、見せてくれた画面に写っていたのはわが家の塀だ。
とうとううちの前の通りもGoogle Maps / Google Earthのストリートビューで全世界に公開された。

息子は何ヶ月か前に、近所の大通りでGoogle撮影車を見たと言っていたので、予想はしていた。
自分が写っているのではないかと期待していたようだが、確かめたら写ってはいなかったようだ。

WikipediaでGoogle Street Viewの項目を見ると、どの国のどの都市がストリートビュー公開されているかリストがのっている。
"Google Street View in Latin America"にはショッキングな記述があった。
当時聞いた覚えがないのだが、聞き逃したのか、大した話題にならなかったのかはわからない。

"In the initial release of Brazil's Street View, two dead bodies were found in the images. These were later removed."
imageが複数形だから、一ヶ所にあったのではないようだ
どこに死体があったのか気になって、元記事のリンクをたどった。

2010年5月10日のニュージーランド(.nz)ないしはオーストラリア(.au)発の記事だ。
見出しは"Google Street View snaps dead bodies in Brazil "、最初の一文で"crime-hit Brazil"と言っている。
あまりいい気はしない。

問題の死体は、一つはリオデジャネイロのAv. Presidente Vargasって目抜き通りではないか。
Presidente Vargas(ヴァルガス大統領)の名前を持つ通りは、たいていの町にあるが、重要な通りについていることが多い。
「死体は半身が覆いに隠れているが、路面に流血のしみが見て取れた。」
と書かれている。

もう一つの死体はミナス・ジェライスMinas Gerais州都のベロ・オリゾンテBelo Horizonteで、NZ記事の写真を見ると大勢の野次馬とパトカー数台が写っている。

これまでストリートビューでは、塀を乗り越えようとしている男、立小便をしている男、ビキニ姿で日光浴中の女性などが話題になっていたのは知っていたが、ブラジルの死体は、全世界に危険度を最大限に吹聴して、外国の方は覚悟して来てくださいと言っているようなものだ。

さてノートパソコンを近所の人に見せていた隣人であるが、家の前の通りでパソコンを強盗に盗られたりしないように気をつけてほしい。

(http://www.stuff.co.nz/the-press/world/4199013/Google-snaps-bodies-in-Brazilを参照した)

2012年8月22日

ワールドカップボランティア募集

ブラジルで来年開催のコンフェデレーションズカップ及び2014年のワールドカップのボランティア募集要項が発表された。
2012年8月21日、サルバドールでの発表式では、FIFA担当と共に、ブラジルワールドカップ組織委員のベベット(Bebeto)とロナウド(Ronaldo)両元代表選手が参加した。

コンフェデレーションズカップには7,000名、ワールドカップには15,000名が募集される。
その他抽選会など付随の行事にも募集が行われる。

募集は15日間受け付け、その後、募集期間延長か募集終了か決定される。

世界中の誰でも、次の要件を満たせば参加できる。
大会開催時の20日間に開催地に滞在できる。
開催地までの旅費および滞在費は自分持ち。
大会開始時に満18歳に達している。

活動分野は次の通り。
serviços de transmissão - communications(伝達)
serviços de alimentação - catering services(食事供給)
transporte - transport(交通)
protocolo - protocol(式典手続)
credenciamento - accreditation(登録)
tecnologia da informação - IT(情報技術)
operações de imprensa - press operations(報道)
hospitalidade - hospitality(歓待)
serviços médicos - medical services(医療)
competições - competition services(試合運営)
その他

一日の労働時間10時間まで。
無報酬。
勤務時間中の食事、開催地内の交通費、ユニフォームは支給される。

英語・フランス語・ドイツ語ができ、外交官志望の法学士、Caio Lealさんは、早速応募手続きをした。
「外国の人との交流、異文化とのふれあい、私達の文化と街を紹介すること、お金で買える何物にも代えがたい貴重な経験となるだろう」
希望に満ちて語った。

(http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/08/inscricoes-para-trabalho-voluntario-na-copa-de-2014-estao-abertas.html
及びhttp://pt.fifa.com/worldcup/news/newsid=1684542/index.html?intcmp=newsreader_news_captionを参照した)

興味のある方はFIFAサイトを参照されたい。

2012年11月13日追加

上記サイトを見たら、"Registration is now closed. "と書いてあり、ボランティア希望者登録は終了していた。

2012年8月21日

2013年のブラジルの祝祭日

2013年のブラジルの国定祝祭日及び任意休日を現在わかるかぎりあげておこう。
年末に連邦政府が正式発表したら確認訂正の予定である。

一連のキリスト教関連の移動休日は、2012年より9日早くなる。
たとえば2012年の灰の水曜日は、2月22日であった。

1月1日Confraternização Universal世界友好の日feriado nacional
2月11-12日月火Carnavalカーニバルponto facultativo
2月13日Quarta-feira de Cinzas灰の水曜日14時までponto facultativo
3月29日Paixão de Cristoキリスト受難の日feriado nacional
4月21日Tiradentesチラデンチスferiado nacional
5月1日Dia Mundial do Trabalho世界労働の日feriado nacional
5月30日Corpus Christiキリスト聖体の日ponto facultativo
9月7日Independência do Brasilブラジル独立の日feriado nacional
10月12日Nossa Senhora Aparecidaアパレシーダ聖母の日feriado nacional
11月2日Finados死者の日feriado nacional
11月15日Proclamação da República共和制宣言の日feriado nacional
12月24日Véspera do Natalクリスマスイブ14時以降ponto facultativo
12月25日Natalクリスマスferiado nacional
12月31日Véspera de Ano Novo大晦日14時以降ponto facultativo

feriado nacionalとは文字通り国定の休日であるが、ponto facultativoは、休日になったり勤務日になったりは職場によって異なる任意休日のことだ。
ponto facultativo(=任意)だからといって、勤め人が職場の決まりを無視して勝手に休んで出勤扱いになるわけはない。

灰の水曜日の14時まで任意休日というのは、午前中は前夜火曜日のカーニバル大騒ぎの疲れを癒す時間となっており?、銀行・官公庁や商店などは午後2時から開店する習慣があるからである。
灰の水曜日自体はキリスト教の行事であり、四旬節(クアレズマ Quaresma po. / Lent en.)つまり復活祭の前日までの主日(日曜日)を除く40日の節制期間の始まりである。
節制期間前に、はめをはずして大騒ぎするというのがカーニバル(こちらではカルナヴァル)の存在意義なのだが、宗教的意義から離れてにぎやかな祭りとして独立してしまったというみかたは多い。
つまり、はめをはずして大騒ぎはするのだが、四旬節の節制はしない、という人が多いのである。

また、ここにあげた休日のほかに、各地で市と地方の記念日が数日定められていることが多い。

2013年1月6日追加

企画予算運営省(Ministério do Planejamento, Orçamento e Gestão)が、2013年1月4日付で官報(Diário Oficial)に載せた2013年の祝祭日によって校正した。
http://www.in.gov.br/imprensa/visualiza/index.jsp?jornal=1&pagina=47&data=04/01/2013
昨年のブログ記事と同じく、一般の人に関係の少ない公務員の日10月28日はリストから外してある。

それにしても、既に1月1日が過ぎてしまった後に祝祭日リストを発表するのはどうしたものだろう。
日本だったら数カ月前に発表しないとカレンダーや手帳の業者が文句を言うに違いない。
移動祝日であっても、何年も前から暦によって予測可能だから問題はない、ということなのだろう。

2012年8月18日

労働者党政権下でも公務員ストの季節

労働者党(PT - Partido dos Trabalhadores)は、労働組合を支持基盤としていた。
だから労働者党が政権をとったら、労働組合に擦り寄った政策をとり、ストライキが減少するだろうというのは全く間違った読みだ。
だれが政権をとっても、無い袖は振れない事実は、ブラジルでも日本でも変わらない。

8月は連邦予算の期限となっている。
この時期のどさくさに予算獲得をねじ込もうと、どの公務員組合も考えるのだろうか、8月になって連邦公務員ストが頻発している。

連邦大学教員組合は、5月からストに入っており休講続きで、学生は、休暇期間に補習が行われるのか、あるいは半年期(semestre)がふいになるのではないか、と心配をしていて気の毒なのだが、大学に接点を持たない一般の人に大きな影響は出ていなかった。
学生は、ストは迷惑と現在感じていても、将来大学の教員になる可能性も大きいので、その時に給料が増えていたら自分も得をするというので、ストに賛成したり共感を持ったりする。
確かブラジル訪問していたノーベル賞を出しているスイスの大学人がインタビューで「ストライキ?全く考えられない」と話しているように、大学自治権もある大学教員が数ヶ月もストライキで活動停止するという事態は、国際的にみたらかなり異端なのだろう。
自治権といっても、もちろん自分たちの給料はみずから決められないからストライキが起きるのだ。
まあ熱心な研究者だったら、講義を行わなくて良いのを幸いに、研究に没頭できるメリットがあるのかもしれない。

今週になって目立っているのが、連邦警察、連邦道路警察、連邦税庁、農務省検疫など交通や流通をコントロールする職種のストライキだ。

連邦警察が犯罪人でない一般人との接点を持つのは、パスポート発行と入出国管理である。
パスポート発行は、多くの州で健康上の理由など緊急の場合を除いて停止されている。

国際空港の入出国管理は必要以上に時間をかけるので、出入国ゲートは長蛇の列となった。
同じく国際空港の業務である税関は、連邦税庁の管轄であるが、ここがまたスト中なので、再び行列になる。
陸続きの国境の税関でも、車が数キロメートルの行列を作っていた。

ずっと昔JRが国鉄だった頃、遵法闘争というストがあった。
その名の語るように、法を守りながらの闘争ということだが、要するにノロノロ運行するということだった。

ブラジル版は、operação padrão「標準作業」と言われる。
日本の国鉄とやることは同じだ。
出入国管理が普通の何倍もの時間がかけられる。
税関では例えば10人に1人が通常抜き打ち携帯品検査にかけられるのが普通であっても、スト中は全員必ず検査を受ける。

8月16日木曜日になって、連邦警察と連邦道路警察職員による遵法闘争の停止を求める、連邦政府による仮処分請求が、Superior Tribunal de Justiça高等裁判所に承認された。
Napoleão Nunes Maia Filho 判事は遵法闘争を違法と認め(表現が矛盾しているが)、不服従の組合には一日につき20万レアルの罰金を科すと仮処分判決した。

連邦政府は法相と国家総弁護部を通じ司法権に請求していた。

判事はさらに、スト員が、公務員の同僚、当局関係者、一般利用者を問わず通行禁止や締め出しをすることを禁止した。
これにより人間の通行だけでなく、商品や貨物の流通を同時に確保する。
遵法闘争は事務手続きの効率を大きく損なうことを目的にした違法行為とみなした。

司法請求に先立って、Luís Inácio Adams弁護総長は、連邦警察と連邦道路警察職員の行動を、サボタージュとみなし、絶対容認不可と批判している。
連邦警察職員組合は、初任給を7,500レアルから18,800レアルへ、最高給を11,800レアルから24,800レアルへ引き上げ要求をしている。

連邦政府は30に及ぶ職種の連邦公務員の賃上げに140億レアルをあてると大統領府は発表した。
諸組合の要求を丸呑みすると、922億レアルが必要だという。
大統領府の見解は、同じ労働党によるLula前政権で十分改善した公務員給料に、これ以上の待遇改善をする余裕はない。

さて次の8月17日の報道では、司法判断を受けた連邦警察組合側は遵法闘争を止め、反対にoperação sem padrão「規範なし作業」に戦術を変更した。

同日報道では連邦政府は18の職種に対し15.8%昇給の一律回答をした。
それを受け、いくつかの連邦大学職員組合はスト中止を決定した。

ストライキに寛容的なブラジルではあるが、テレビで解説した経済学者の意見が一番まともであろう。
「Lula前政権の期間は世界経済もブラジル国内経済も税収増に寄与して、公務員の昇給も容易だったが、今は経済環境が全く異なっている。
世界中の国々をみてみるが良い。
政府が手綱を引き締めるのは当然の政策だ。
ブラジルでは民間と比較して公務員の給与水準は高いし解雇もない。
状況を直視せよ。」

(http://estadao.br.msn.com/ultimas-noticias/stj-pro%C3%ADbe-que-pol%C3%ADcias-federal-e-rodovi%C3%A1ria-fa%C3%A7am-opera%C3%A7%C3%B5es-padr%C3%A3o
http://estadao.br.msn.com/ultimas-noticias/governo-prop%C3%B5e-aumento-de-158percent-para-grevistas
TVニュースその他を参照した)

2012年8月12日

村田諒太と金を闘ったエスキバはブラジルの亀田兄弟

「ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級決勝で村田諒太はエスキバ・ファルカンに判定勝利」、きわどい試合で最後までどちらが勝ったかわからなかったが、村田よおめでとう。
どちらを応援したら良いかわからなかったから、レフェリーが村田の腕を上げるまで複雑な気持ちに包まれた試合だった。

しかし今日の話題は、エスキバ・ファルカンという名前についてだ。
Esquiva Falcão Florentinoと書くのだが、Esquivaという名前がおかしい、奇妙だ。
こういうブラジル人の名前があるのか、と疑問を持った。
もちろん、初めて聞く名前だ。

意味不明というのではない、その逆だ。
esquivarという動詞は、辞書を見ると、「避ける、よける」と書いてある。
その動詞の三人称単数形だから、「(彼が)よける」という意味だ。
あるいは、命令形(つまり二人称しか存在しない)単数形で「(お前)よけろ」という意味のほうがボクシングらしくてよさそうだ。

でもそれなら、「よけろ」より「倒れろ」のが、ボクシング選手の名前としてはもっと良い。
と言うことは、Caiという名前になるが、なんか頼りない感じだ。
Caioという男の名前はあるが、これだと一人称単数形だから、「(俺が)倒れる」という意味になるから、ボクサーの名前としては絶対避けなければならない。

テレビのインタビューのときに、Esquivaはあだ名ではない、本名だとわざわざ言っていたから、本当に珍しい名前なのだろうと納得した。

そんなことを考えながら調べてみたら、前日にライトヘビー級でブラジルに銅メダルをもたらした、Yamaguchi Falcão Florentinoは、Estivaの兄だとわかった。
母親はMaria Olinda Falcão、父親はAdegard Câmara Florentinoというから、両親から一つづつ苗字を受け継いでいる。
子供は15人の大家族である。
Adegardは、Touro Moreno(褐色の牡牛という意味)というリングネーム(?)のボクサーで、現在75歳、エスピリト・サント州ヴィトリア(Vitória ES)で、慎ましい暮らしをしながら、裏庭のバナナ畑で子供たちにボクシングを教えたという。

試合の最中、リングサイドからセコンドは、選手の名前を呼ぶことしかできないため、名前を呼ぶことが指導につながるというからEsquivaと名付けたという、びっくりな由来だ。
Esquiva! Esquiva! と名前を連呼して励ましながら、「(相手のパンチを)さけろ、よけろ」と指導していることになる。

長兄の名前Yamaguchiであるが、なぜその名前か、ざっと調べただけでは説明は見つからない。
Yamaguchiという日本人あるいは日系人にお世話になり、感謝の気持ちを子供の名前にした、と想像する。

わずか2日間で、兄弟から2人、Yamaguchi(ライトヘビー級銅・24歳)とEsquiva(ミドル級銀・22歳)のメダリストを出したのはすごい。
インターネットポータルUOLの記事によると、兄弟にはあと2人ボクシングをやっているのがいる。
60kg級の有望な15歳、Estivaと、リオ五輪ヘビー級の星にしたいThomas Edsonである。
Estivaは、キューバの伝説のボクサーTeófilo Stevensonから命名、トーマス・エジソンはボクサーではないが、偉い人であるのはブラジルでも常識だろう。

4人兄弟が4階級に散らばっているのも興味深い。
兄弟げんかは絶対起こらないわけだ。
日本のボクシング界では亀田三兄弟が有名だが、ブラジルではFalcão四兄弟に注目だ。

(多くのサイトの記事を参考にした)