2014年11月30日

根気を試される携帯料金問い合わせ - 携帯事情三題その三

最後は、携帯を使うのに根気がいるという話である。

Operadoras de telefonia estão na mira do Ministério da Justiça
http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-hoje/t/edicoes/v/operadoras-de-telefonia-estao-na-mira-do-ministerio-da-justica/3780923/

Oi, Vivo, TIM、つまり4大携帯会社から Claro を除く3社はこのほど司法省により消費者保護の観点から警告を受けて、10日以内に回答を要求された。

主な消費者の苦情は次のものである。Principais reclamações
  • 使っていないサービス課金 Cobranças indevidas
  • 契約金額以上の課金 Cobranças acima do contrato
  • (電波の)信号不良 Sinal ruim
  • サービス不履行 Descumprimento de ofertas
資料はミナス・ジェライス州の消費者保護機関 Procon/MG による

請求書にいわれのない課金がされていたり、通常より請求金額が高いと思ったら、電話会社の顧客サービス番号に掛けて説明を求めるのだが、これが大仕事なのである。
録音音声や待合中音楽を延々聞かされたあげく、やっと人が出てきたと一生懸命説明しても、担当が違うとたらい回しされ、人が代わるとこれまで延々と説明した話をもう一度繰り返さなければならない。
下手すると通話中に電話が切れてしまったりする。
というか、必ずと言っていいほどこういう時に切れる。
顧客対応係がわざと通話を切っているのではないかと疑ってしまう。
こっちだって好きで時間をつぶしてまでこんな電話しているのではないぞ。
切れてしまうと、この壮大な時間の無駄を繰り返す元気はすでになく、仕方ない明日にしよう、ということになってしまい、なかなか解決に至らない。

ニュースの画面に登場した消費者は、苦情をいうたびに金額が異なって、9月の請求金額が5種類あったが、どれも自分の計算より高いとぼやいていた。
いったいどうしたらこうした滅茶苦茶な勘定が出てくるのだろうか、全く理解に苦しむ。
電話顧客対応係が、行き当たりばったり計算をしているのだろうか。
もちろんこの人は消費者保護機関へ解決をまかせた。

消費者保護機関(Procon)は、電話会社の対応時に渡される protocolo de atendimento と呼ばれる対応番号をしっかりメモしておくことをすすめている。
電話会社との交渉で一向にらちがあかず、消費者保護機関へ苦情を持ち込むときに、プロトコルを伝えると、消費者保護機関は電話会社へ録音音声を請求して、消費者と電話会社のやりとりを追跡することができる。

なお、ブラジルの電話サービスを管轄する役所はアナテル (Anatel - Agência Nacional de Telecomunicações)なので、こちらへ苦情を持ち込んでもよい。

うちで使っている携帯の一つはプリペイド式なので、請求書はこない。
しかし、いわれのないサービスによる課金をされたことはある。

あまり利用しないSMS ショート・メッセージ・サービスに、英語の問題が届くようになった。
一週間たったら、週利用料金ということでR$2.99クレジットから引かれていた。
なんか変わったメッセージが届くようになったと思っていたのだが、ただではなかったのか。
過去のメッセージをたどって解約方法が見つかったので即座に解約した。
しかし、クレジットから引かれた一週間の使用料金3レアルと、それを取り戻す労力とを比較して、これは悔しいが放っておくほうがよいと結論した。

わけのわからない手数料を取りたがる銀行や、このたび司法省から釈明を求められている電話会社は、「少額だから苦情を言うのは損」という消費者心理をうまくついてボロい商売をしているのだ。

強盗が携帯なら、店も携帯で対抗 - 携帯事情三題その二

次の話は、携帯を犯罪防止に使って効果を上げている例である。

Comerciantes de MG denunciam assaltos através de aplicativo
http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-hoje/t/edicoes/v/comerciantes-de-mg-denunciam-assaltos-atraves-de-aplicativo/3780909/

ベロ・オリゾンテのある商店街は、強盗や押し入りに悩まされていたが、携帯電話の aplicativo つまりアプリを商店街のすべての店が共有してメッセージを送り合うようにして強盗などの被害をなくすことに成功している。
アプリの名前は明らかにされなかったが、メッセージのグループと言っているから、携帯電話のSNSの一つで、フォローを相互にしあったり共通のハッシュタグを付けてグループ化して使っているようなものだと想像する。

自分の店に怪しい者が押し入って店員を脅しているとかのメッセージを送ると、近所の店はそのメッセージを即座に受け取る。
メッセージを受け取った近所の店の人がそっと覗いて、「包丁を持った二人組がパン屋に入っている」とか、「二人組がオートバイでどこどこの方へ逃げていった」とか、情報を付け加える。

メッセージを受け取るのは商店街の構成員だけではない。
警察まで通報は届く。
商店街グループのメッセージを警察もリアルタイムで共有しているので、複数の情報が届き、情報の信憑性が高い。
190番、これはブラジルの警察(軍警察 Polícia Militar)の番号であるが、イタズラ通報に悩まされてる警察にとっては、犯罪通報が信用できるものなら即座に行動することができるので大助かりである。

ある商店街では強盗などの犯罪を撲滅し、バス停や通りの安全も確保されたと喜んでいる。
警察はこの商店街のように近所の人達が協力して犯罪監視グループを作ることを推奨している。
ブラジルは監視カメラと個人通信機器(つまり携帯)のテクノロジー機器によらなければ安全が保証されない社会になったのだ。

銀行内では携帯使用禁止 - 携帯事情三題その一

ある日のニュースで携帯電話についての記事が3つ連続で続いたが、今日のブラジルの社会状況を垣間見ることができる。
ブラジル携帯事情三題として、ここでも3つ連続で載せてみる。

最初の話題は強盗犯罪に関してである。

Proibição de celular em agências bancárias não é respeitada
http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-hoje/t/edicoes/v/proibicao-de-celular-em-agencias-bancarias-nao-e-respeitada/3780906/

ブラジルの多くの州や市で、銀行支店内での携帯電話の使用は禁止されている。

なぜ禁止するか。
エチケットとか電子機器の干渉とかそういった問題ではない。
銀行支店内外に分かれて連絡を取り合う、強盗団仲間同士の携帯による通信を遮断するためである。

ATMでは引き出し不可能なほどの高額の現金を引き出したい人は、銀行の出納窓口で受け取ることになる。
ブラジルの銀行では窓口にたどり着くまでがまず大変である。

最近はどの銀行支店でも、金属探知機付き回転ドアを備え付けている。
金属製品を持っている人は、それが鍵の束であっても、携帯電話であっても、めがねの金属フレームや傘の骨であっても、金属探知機を通る前にその横にある、支店の外側に投入口、内側に取出口のある、透明な箱に入れる。
銀行警備員はその金属物体をチェックする。
自分の金属預け品を受け取ったら、整理券を取ったり、直接出納窓口への行列についたりする。

銀行支店に入るのには、別に支払いをしたり引き出しをしたりする人だけでない。
だれでも入れる。
そこが問題である。
強盗一味の、標的顧客の身なり連絡役は、本来の目的をごまかすために、窓口で何か質問したりするので、警備員の疑いを招くことは少ない。

最近の銀行支店内部の構造は、さすがに表の通りから現金を受け取っている人が、ガラス越しに丸見えになるようなところはない。
しかし、たいていの支店では、出納窓口で銀行員と現金や書類のやりとりをしている客が何をしていか、行列についている人はじっくり後ろから観察することが可能だ。
だから、強盗団は客のふりをして行列に入り、高額の現金を引き出している人を観察して、身なりを音声メッセージ、テキストメッセージ、あるいは直接画像で銀行支店の外で待ち受ける強盗仲間に伝えることが楽々できる。

ニュース画像では、窓口で一万レアルとかの高額を受け取っている顧客の後ろ姿と、行列の中でボイスメッセージやテキストメッセージを送っている強盗のひとりが同じショットの監視カメラに写されてる。
この客は支店を出てから500メートル、数分のうちに強盗一味に現金を強奪された。
ブラジルの有名な犯罪、Saidinha de bancoである。
幸い監視カメラのおかげで、この強盗団は摘発された。

この日、ニュース取材グループは、銀行名も支店名も公表されなかったが、リオデジャネイロ市の4つの支店内で携帯電話を使う実験をした。
結果は、4つのうち3つでは何も注意されることはなく、取材者やその他の善意の客達は平気で携帯を使って会話やメッセージを送受していた。
ただひとつの支店で、取材者は警備員に注意されて携帯の使用を中止した。

支店内の携帯電話使用のチェックは、銀行員と警備員が責任をもって行うことになっている。
なかなか決まり通りにできないのが実情である。

どうすれば強盗被害を防げるかであるが、行列についている人々と、出納窓口の列の間についたてがあって、出納員と対応している時には隣の出納窓口の客しか見ることができない、より安全な造りの支店が存在する。
ブラジルの銀行は、そのうち教会の懺悔室のように神父さんと懺悔する信者の二人に遮断される小部屋だらけの支店になってしまいそうだ。

2014年11月28日

君はサッカーに命を賭けるか

今週はブラジル南東部の内陸州、ミナス・ジェライスの州都、ベロ・オリゾンテを本拠とするフットボールチーム双頭が光り輝くできごとが続く。

昨日2014年11月26日、Copa do Brasil(ブラジル・カップ)の決勝第二戦があり、Clube Atlético Mineiro(アトレチコ・ミネイロ)が、Cruzeiro Esporte Clube(クルゼイロ)を二戦連続で撃破して優勝した。
3日前の11月23日日曜日には、クルゼイロがあと2節を残した段階で、Brasileirão(ブラジレイロン = ブラジル選手権一部リーグ Campeonato Brasileiro の愛称)の優勝を決めている。

ブラジレイロンは、一部リーグ20チームのホームアウェーの総当り戦で、年間通じての総合勝ち点で優勝が決まる。
1位から4位までは自動的に、南アメリカのクラブ大会であるリベルタドーレスに参加できる。
反対に17位から20位までは翌年2部リーグへ降下する。

コパ・ド・ブラジルは、調べてみたらけっこう複雑で、一州あたりの参加チーム数は州の規模によって、辺境州の1から、リオデジャネイロ州やサンパウロ州の5くらいの差が付けられているが、各州選手権の上位チーム、及びCBF(ブラジルフットボール連合)の選出基準による16チームなど、合わせて86チームが参加する勝ち抜き戦である。
2013年からは、他の80チームは勝ち抜き戦を下から戦って勝ち上がり、上位10チームまで絞られるのに対して、リベルタドーレスに参加している5チームプラスCBFランキング最上位の計6チームは、シードのような扱いで、初戦で oitavas de final(16チーム戦)段階に参加する特権が与えられている。
コパ・ド・ブラジルの優勝チームはリベルタドーレスに参加できる。

両大会を比較すると、ブラジレイロンがブラジルの最重要選手権とみられており、次に来るのがコパ・ド・ブラジルとなっている。
ブラジレイロンの優勝チームがクルゼイロであり、コパ・ド・ブラジルの優勝チームがアトレチコ・ミネイロとなったのだから、ミナス・ジェライス州は大変である。
永遠のライバルである、ベロ・オリゾンテの2チームの2014年の直接対決は、アトレチコ・ミネイロの4勝3分けの圧倒的優勢なので、いくら最も権威あるブラジレイロンの優勝をクルゼイロに譲ってしまっても、ライバルに勝つことに最大の喜びを見出すアトレチコ・ミネイロのサポーターは鼻高々になるのである。

昨晩ベロ・オリゾンテの中心街は、アトレチコ・ミネイロの優勝を祝う1万人の人出で大騒ぎだったようだ。

昼のニュースでさらっと報道されたのを聞いたが、走行中のバスの窓から体を乗り出してバスの屋根に登ろうとした馬鹿者サポーターが、街路樹に衝突、落下して死亡したそうである。
空から降ってきた便器に直撃されて死亡するのは、本人に全く過失がないので痛々しいが、バスの屋根に乗りそこねて死んでしまうのは、バカな真似をした報いで同情も少なそうである。

あと、どこかのバーで祝勝中のアトレチコのサポーターのグループに向かって、多分クルゼイロのサポーターが銃で乱射したというのもあって、軽いけが人が何人か出たようである。

フットボールのプレーヤーであったら、フットボールに命をかけて頑張るのは良い。
選手でもないのに、フットボールに命をかけて、本当に命を失ってしまうのは過激すぎていただけない。
ブラジルだから仕方ないか。