2018年9月15日

新幹線の窓を開けて台風を知る

ところ変われば単位が変わるものがある。

最近日本でも米国でも東南アジアでも自然の脅威となっている、台風とかハリケーンでは、その強さの指標の一つが風速である。
ブラジルには台風は来ないが、世界の強大な熱帯性低気圧のニュースは、動画の迫力があって注目を集めるからだろう、こちらの報道でもよく登場する。
ここで気になるのが風速の単位である。

日本の天気報道では、秒速何メートルで表す。
だから、秒速10メートルの風を想像すると、10メートル風上にタバコを吸っている人がいたら、ひとつ数える間に煙が到達するということである。

ブラジルの天気報道では、時速何キロメートルで表現する。
だから、時速60キロメートルの風は、無風状態のなか、時速60キロメートルで走行する自動車の窓から顔を出して前を向いたときに受ける風である。
経験したければ、車があればすぐに実験できる。
当然、安全な場所で安全を確かめて、運転しながらであると危ないから誰かに運転してもらって助手席でやってみれば良い。

さてフィリピンの台風報道である。
超大型台風22号、フィリピン北部に上陸
9/15(土) 7:29配信
これを見ると、超大型の台風22号(アジア名:マンクット、Mangkhut)がフィリピンのルソン島に上陸したという。
この台風は今年発生したなかで最も強力な台風で、風速は70メートルに達しているそうだ。

煙の例で言えば、70メートル離れた人のタバコの煙が1秒で到達する。

同じ台風のニュースがブラジルでは、時速250キロメートルの強風と言われた。
計算してみると250000/3600=69.4になるから秒速70メートルで、同じ台風を指していることが確認できる。

自動車の例を使おうと思っても、時速250キロメートルで走行することなど普通はできないので、別の例にしなければならない。
時速250キロで走っている新幹線から外を見ると、景色が飛ぶように流れるから、仮に窓を開けることができてそこに顔を出して風を受けることを想像したら、ただごとではないことがわかる。

北半球と南半球では海と陸地の様相が異なる上に、偏西風とか海流のような様々な要因が関係していることは想像できるが、南大西洋で発生して南西に向かってブラジルに上陸するような熱帯低気圧は、少なくとも1985年から2005年までの20年間に全く存在しなかった。
もしもあったならば、いったいどんな影響があるだろうか。
ブラジル北東地方の永年的な水不足が解決する自然の恵みになって、ありがたがれる存在となるだろうか?
それとも最近増えた発電風車や諸々の構築物の破壊者になって、忌み嫌われる悪役とみなされるだろうか?