2025年12月15日

ブラジル運転免許証が80%も安く取れるようになる

自動車学校の必要なし、更新が自動になる新しい運転免許証の規則
Novas regras para CNH, sem autoescola e com renovação automática, valem nesta semana
Governo lançará um novo aplicativo chamado CNH do Brasil em substituição à Carteira Digital de Trânsito; veja o que muda
08/12/2025 10h39

ブラジルの運転免許取得について大きな変更がある。
簡単に言えば、免許を取りやすくなるとまとめられよう。

記事中に要点を箇条書してある。

  • 自動車学校の講義は必須でなくなる
  • 学科は政府の公式アプリによって無料で提供され、最低必須時間の制限はなくなる
  • 生徒は自分の車を使って、交通局に登録された独立インストラクターを選んで実技の実習をすることができる
  • 実技時間はこれまでの自動車学校での必須20時間から2時間へ削減され、これはインストラクター個人とでも、自動車学校でも練習できる
  • 実技試験、健康診断、生体情報採取は実地で行う
  • 実技試験1回目で不合格だった者は、2回目を無料で受けることができる
  • 免許取得までの有効期限はこれまで開始後1年であったが、これからは期限の制限はなくなる

連邦政府は、この改正の目的は、運転免許取得のコストを下げること、運転手養成のプロセスをデジタル化することだとしている。
現在のブラジルの運輸大臣(Ministro dos Transportes), Renan Filho は、インストラクターの職が無くなる心配はない、なぜなら独立して営業することができると説明する。
私はそうは思わない。

取得コストに関して言えば、現在の5千レアルまで達する取得コストは、新しい制度のもとで80%減少ができると、運輸大臣は言う。
5千レアルが千レアルになるということだ

日本人だったらきっとびっくりする事実を書こう。
運輸大臣が発言したことだから誇張ではないだろう。
ブラジルでは無免許で運転しているのが2千万人いるというのだ。
ブラジルの人口推計が2025年で2億1300万人だから、大雑把に言って人口の十分の一が無免許運転をしているようなのだ。
交通事故を起こしたとき責任はどうなるかが気になると思うが、ブラジルでは運転手ではなくて車の持ち主に責任が課せられる。
そして、免許を取りたいのだが、金がなくて取れないという人たちがその他に3千万人いるらしい。
潜在的免許取得者が人口の25%相当存在することになる。

以上は免許新規取得についてだったが、更新にも簡略化がなされる。
優良運転手には無料で自動的に免許更新ができる恩典が与えられる。
この場合の優良運転手とは、更新の前年に違反点数がない運転手である。
免許鉦の有効期間については変更はない。
60歳を超えると自動更新はできなくなり、従来のように健康診断を実地で受けなければならない。

現在も携帯電話にインストールする政府の公式運転免許アプリはあるが、機能が一新される。
先に書いたように、これを使って交通法規や安全運転などの学科を自習することが可能になる。
自動車学校の講義は必修でなくなるから、やる気があればこれだけで自習して、同じくオンラインで学科試験を受けることが可能になる。

新規免許取得の流れは次のようになる。

  • パソコン・携帯・タブレットなどでこのアプリを使って、無料であるが必修な講座を受講する
  • 講義聴講が終了すると、生徒は学科試験受験資格となるデジタル証明書を受け取る
  • 学科試験の前に交通局事務所で生体情報採取と写真撮影を行う
  • 次いで健康診断と心理テストを、資格を持つ医療者のもとで行う
  • 生徒は学科試験を受ける
  • 学科試験に合格したら、実技習得のため、これまでのように自動車学校か、認定を受けた独立インストラクターを選択できる
  • その後、実技試験を受ける。合格したら、免許を許された生徒は、自動的にアプリでデジタル運転免許証を受け取る

これからは印刷された免許証はオプショナルとなり、発行に手数料がかかるらしい。
デジタル免許証が原本となり、これはアプリを使い無料でアクセスでき、警察に見せたり証明に使ったりできる。

2025年12月3日

ブラジルでは夫婦別姓は普通に多い

夫婦別姓が日本で検討されているようだが、ブラジルの状況はどうか。
結婚して苗字が変わる方法は、日本と変わりない、こともない。

説明しよう。
私たち夫婦の場合どうなったかというと、あまり深く考えることなくごく一般的な方法を取った。

それは、妻の旧姓を取り除くことなく、夫の苗字を追加して、〈名前〉〈妻姓〉〈夫姓〉となるケースである。
私の妻の氏名は、その語順の3語から成るシンプルな形である。
引用記事の表題の中の、"acrescentar sobrenome do marido"とは、そういう意味である。
その場合当然、妻の姓は夫のものより長くなる。

ブラジル人の名前によくあることだが、〈名前〉の部分が複数の単語で構成される名前がある。
ジョゼ・アントニオとか、アナ・ルシアといった名前である。
また、苗字が一語だけでなく、de や dos などが付いて、デ・シルバとかドス・サントスのように二語になるものがある。
〈名前〉〈名前〉〈妻姓〉〈夫姓〉〈夫姓〉とか、5語で構成される氏名まで見たことがある。
インタビューされた女性の氏名は、Elisângela Santos Parreiras Souza,〈名前〉〈姓〉〈姓〉〈姓〉である。
苗字が3つあるのだが、どこからどこまでが夫の姓かはわからない。
王侯貴族のような歴史的人物には、もっとやたら長いのがあるようである。
2語の苗字を持つ男女が結婚したときに、どの姓を選択するか想像するのだが、きっと双方から一つずつ選ぶのだろう。

今思うと、子供の氏名を出生登記するとき、妻の姓と夫の姓をを両者並べて2語の苗字としても良かったのではないかと思う。
ブラジル国内のブラジル人同士の婚姻であっても、苗字が変わる場合には、登記所で選択した苗字で婚姻登記をして、それに基づいて身分証明書や免許証のような、個人に属する書類を変更しなければならない。
その手続が面倒だから、結婚しても両者氏名を一切変更しないという選択は多いようだ。

ここからは統計である。
正式に結婚してから苗字が変わった女性の割合は、
2003年 49.41%
2024年 39.64%

へと低下した。
それでも2003年時点ですら、苗字を変えない選択をした女性が約半分もあったのがかなり意外ではないか。

ミナス・ジェライス州は、ブラジルの中では例外的といわれる。
苗字が変わったものは、
2003年 16.16%
2024年 33.84%

へと増加した。
記事ではその理由をミナス・ジェライス州では伝統的に教会婚が多く、いわゆる昔風の、女性は結婚してから婚家に入るという社会の慣習が強いからだとしている。
それでいながら、どうしてブラジル全体と比較して、苗字が変わる女性が少ないのか、特に伝統的であるこの地で2003年の数字が極めて低い理由は、この記事内で明らかにされなかった。
データ元:ミナス・ジェライス州民事登記公証人組合 Sindicato dos Oficiais de Registro Civil de Minas Gerais