2013年6月13日

北海道観光夏時間の提案

ついこの前の記事「コンフェデ杯 / 開催都市の半分は夏」に書いたのだが、北海道ではこの時期、昼間が15時間を越している。
しかし、日本標準時(Japan Standard Time, JST, UTC+9)の基準地明石、東経135度からずっと東側にある北海道では、この長い昼間時間は朝側にシフトしている。
極端な例を見たく、根室を調べた。
根室は、国立天文台のサイトを見ると、緯度:(北緯)43.3333° 経度:(東経)145.5833°である。
2013年6月21日の夏至の日、根室の日の出は3時37分、日の入りは19時2分である。

昔、夏の道東を旅行したとき、なぜか早起きして海岸を歩いたら、空気は涼しいのにすでに昼のように日が高かったのを思い出す。
あの不思議な時空を超えたような感覚は、まあ早起きしなくても多少は味わえるが、早起きという、若年のときには苦行である行いを成しとげたとき、よけいその尊さが増す気がする。
旅と言ったら土地の食い物と旨い酒、ということで、前の晩たらふく飲み食いした旅人が早起きするのは辛かろう。
そんなわけで、こんな貴重な感情を味わえる旅人がどれだけいるのかわからない。

そんなことを考えていたおり、この記事を見た。
日本の標準時「2時間前倒し」は可能なのか? 「標準時の専門家」に聞いた
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130613-00000469-bengocom-soci

元記事の主旨は、世界経済における日本市場の価値を高めるのが目的であるが、日本標準時を2時間進めるというのは面白い発想だと思う。
そうすれば、根室では夏至の日の出は5時37分、日の入りは21時2分になる。
しかし冬はどうなるか。
2013年12月21日の冬至には、根室の日の出は8時47分、日の入りは17時45分になる。
通勤通学時間は、真冬の夜明け前の一番凍えるときにあたってしまう。
これはつらい。

そこでだ、北海道だけで5月から8月にかけて時計の針を2時間進める「北海道夏時間」を採用したらどうか。
UTC+9の日本標準時(JST)から、UTC+11の北海道夏時間(HST)になるのだ。
4月から5月、8月から9月の切替時に一気に2時間調整するのはつらいが、それは置いておく。
観光に与える影響は絶大であると思う。
どうせ旅人で早起きする人は少ないだろうから、朝の気持ちの良さは犠牲にして、かわりに夜の訪れが遅い、北緯45度前後の北海道よりさらに高緯度地方の、簡単にいえば北欧気分を国内で味わえるというのが最大の売り物になる。

今の人は知らないだろうが、知床に白夜などないと、知床旅情がヒットしていたころ話題になったと思う。
北海道観光夏時間を採用すると、白夜にはならなくとも、より白夜らしい雰囲気になるのは間違いない。
日の入が午後9時にもなれば、観光客を含め人々は遅くまでそぞろ歩き、のどが渇けば北国の爽快な夏の明るさのおかげでビールもよけいに売れて、腹が減れば北海道のうまいものも売れて、飲食業も潤うだろう。

農牧業に従事する人は、もともと植物と動物のリズム、つまり太陽のリズムに従っているから、人間社会の時間がずれてもあまり問題がないだろう。
日本本土、いわゆる「内地」の時間と2時間ずれるということは、それだけ内地と共通する営業時間が2時間短くなることを意味するが、北海道の人は夏の間は6時間は中身を濃く働き、アフターファイブ(内地は午後3時以降)は楽をするか、割りきってその時期は2時間残業すれば良いと無責任に言ってみる。

ブラジルで夏時間を採用するかしないか決定権を持つのは、州政府(たぶん州議会も)となっている。
日本も地方分権を標榜するのならば、都道府県にその権利を与えて、北海道は堂々と「北海道夏時間」UTC+11を実施すれば良い。

これは「夏の夜の夢」ならぬ、「夏の夜の妄想」だろうか。

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