ブラジル人でも覚めた人もいれば浮かれた人もいて、人によって反応は異なるが、一種の熱病の流行のようなワールドカップは3位決定戦と決勝を残すところとなった。
決勝の組み合わせは、ブラジルを完膚なきまで打ちのめして休養十分のドイツと、120分プラスPK戦を戦いぬき、休養日が一日少ないアルゼンチンである。
リオデジャネイロ市のマラカナンスタジアム(Estádio Maracanã)には、7万4千人の観客動員が予想されている。
7万4千人のうち中立の人をのぞいたら、どれだけがドイツ側でどれだけがアルゼンチン側なのだろうか。
報道をみると、2014年7月13日、日曜日のリオデジャネイロ州内には、州観光局によると10万人のアルゼンチン人が滞在すると予想されている。
そのうちどれだけの人がホテル・ペンション・ユースホステルなどの屋根のあるところに泊まるのか、キャンプサイトでキャンピングカーやテントで夜を過ごすのか、それともなんの準備もせずにやってきて、バーの前の舗道上とか海岸とかで、野宿というか明け方の仮眠をするのかはわからない。
ちなみに別報道では、ドイツ人は2万人とのことだ。
砂糖をめざすアリの大行進のように、陸路を運転して集結してくるアルゼンチンサポーターを収めるため、州観光局はいろいろな手を打っている。
フットボールと同様ブラジルの華である、カーニバル、それもリオのカーニバルの会場であるサンボドロモ(Sambódromo)が、キャンプ用に解放された。
キャンプだけでなくパブリック・ビューイングも行われるようで、7万人が集まる予想と報道された。
Petrópolis, Niterói, Cabo Frioなどの近隣の観光地へ客受け入れを依頼している、と記事は述べている。
Buenos Aires - Rio de Janeiro間は、2,687km、35時間のドライブと、Google Earthは示している。
金曜日の夜にブエノスアイレスを発ち、交代で運転しながら走れば、日曜の早朝にリオデジャネイロに着く計算だが、勢いに任せなければくじけそうな強行軍だ。
アルゼンチン国境の町ウルグアイアナ(Uruguaiana)では、入国するアルゼンチン人が国境のブラジル入国管理で行列を作っている。
すでに何人かのフーリガンが入国拒否されている。
昨日のニュースでドイツの、確か選手だと思ったが、ブラジルにエールを送っていた。
当然だろう。
ブラジルが百年忘れられないのと同じで、ドイツからしてみれば百年は思い出しては得意になれる貴重な経験を、ブラジルチームからもらったのだ。
要するに、
「ブラジルの皆さん、私たちはあなたたちと連帯します。あなたたちの永遠のライバル、アルゼンチンを(『こんなにいい目をみさせてもらったあなた達と同様に、そうすれば南米二巨塔制覇なのだ』と本当は言いたいのがここはじっとこらえて)叩いてやりますから、アルゼンチンの大応援団に負けない応援お願いね。」
と言いたいのだ、と想像する。
アルゼンチン-オランダ戦では多数のブラジル人がオレンジ色のシャツでオランダを応援して、アルゼンチンと比較して圧倒的に少ないオランダ本国のサポーターを助けていた。
敵の敵は味方ということで、アルゼンチンの対戦相手ならどこでも無条件で応援する、最大のライバルに優勝トロフィーを持っていかれるのだけは絶対許せない、と思うブラジル人は多いだろう。
リオデジャネイロで大騒ぎしているアルゼンチン人集団がしゃくにさわる、本当は自分たちがここで楽しむはずだったのに、という理由でドイツを応援しようとする人がいても当然だろう。
TVニュースで最新のNeymarインタビューがあった。
彼はFC Barcelonaの僚友MessiとMascheranoのよしみでアルゼンチンを応援すると発言した。
ネイマールがそう言うのだったら、私も普段のライバル意識は横においといて、今回だけはアルゼンチンを応援しようか、と思う人がいるかもしれない。
アルゼンチンのサポーターの一人はこう言った。
「(決勝の相手が)ブラジルだったら最高だった。南米決戦だ。でもあなた達(ブラジル人)は出られなかったからね。すべてのラテン・アメリカ人の復讐をするぞ。」
ポルトガル語に書かれた文章で読んだので、口調が同情混じりか、皮肉混じりか、淡々としていたのかは不明だ。
南米開催のワールドカップで欧州勢に優勝されてしまうという初記録は作りたくない、という感情を持つ人もいるだろう。
普段はライバルでも、優勝トロフィーを海の向こうへ持っていかれるより、陸続きのところにある方が近くて良いと思うかもしれない。
というわけで、ブラジル人がどちらの応援に回るのかは予言できない状態だ。
アルゼンチンのライバル視は、ペレとマラドーナの舌戦が続くように伝統的な習性であることを重視して、ドイツ応援8割アルゼンチン応援2割とみるが、実際はどうなるだろうか。
神よ見応えのある決勝戦に祝福させ給え!
と祈るのも少しはばかられるかもしれない。
ローマ法王 Papa Francisco はアルゼンチン人である。
0 件のコメント:
コメントを投稿