2018年1月21日

一度の予防接種で一生心配なしの黄熱

Brazil yellow fever: WHO warns travellers to Sao Paulo
17 January 2018

Updates on yellow fever vaccination recommendations for international travelers related to the current situation in Brazil
Information for international travellers
16 January 2018

カーニバルも近づいてきて、サンパウロやリオを旅行する予定の人もいると思うが、上のBBCの記事及び世界保健機関の発表では、新たにサンパウロ全州に対して、外国の旅行者は黄熱の予防接種をすませておくことを推奨している。

WHOサイトによると2017/07/01から2018/01/08の期間で、黄熱で死亡した野生猿が確認された州は、マット・グロッソ・ド・スル、ミナス・ジェライス、リオ・デ・ジャネイロ、サン・パウロで、さらに17州で死亡猿の病原確認作業中である。
同期間で確認済みの黄熱患者数と死亡者数は、ミナス・ジェライス(1-1)、リオ・デ・ジャネイロ(1-0)、サン・パウロ(8-2)、連邦区(1-1)、合計(11-4)である。
現在1月20日にはもっと増えている。

最も有効な対策は予防接種であるのだが、黄熱の予防接種は接種後10日経たないと有効にならず、それ以前の期間は証明書で有効とされないことに注意してもらいたい。

サンパウロ州知事は「サンパウロ州全体を汚染地域として一括りにするのは大げさ過ぎる」と文句を言っていた。
確かに、黄熱が発生しているのは農村森林地帯だけで、そこに実際に行ったり住んでいる者しか感染発病していない。
感染者-ネッタイシマカ-未感染者、という感染経路を持つ都市型黄熱は、1940年代からブラジルで確認されていない。

しかし、外国人にしてみれば、サンパウロ州内のどこが危険でどこが安全かなど説明されても、地理がわからないのは当然である。
そのためにWHOは、サンパウロ州全体を危険地域として注意を促している。
ブラジル政府は国内向けに、サンパウロ州内を細分した地図を作成して、それを使って防疫施策を進めている。

州知事によるといささか大げさと評価されるWHOの発表は、実際に実害をサンパウロ市周辺の住民に及ぼしている。
ブラジル全国の保健所では無料で黄熱の予防注射を接種してくれるのだが、サンパウロ市内では行列待ちが数時間に達しているので、それを嫌う非危険地域の住民が、重点的に住民に予防接種を行っている危険地域までわざわざ出かけていって、本当に注射が必要な現地住民に行き渡りにくいという問題を引き起こしているため、政府は危険地帯に行くなと、広報に躍起である。

本ブログ内黄熱が吠えるで見るように、黄熱の予防接種は通常の服用量ならば99%の確率で一生有効である。
しかし非常事態であるので、サンパウロ州の54都市では、今月末からフラシオナダ(dose fracionada)といって、通常の五分の一量の接種を開始する。

多分現地で勝手に服用量を増加する行為を防止するためと、注射の作業を迅速に進めるためだろう、わざわざ0.1mlしか液が入らず、押し込むとピストンがロックされて二度と使えないという特殊な細い注射器をドイツから二百万レアルかけて緊急輸入して対処にあたっている。
通常の五分の一服用であるが、効果は一生有効であるとの保証はされず、8年としている。
そして、重要なことだが、ブラジル在住の者が黄熱予防接種証明書を必須とする国へ旅行する場合には、フラシオナダではだめで、全量接種でなければ証明書が出せないので、フラシオナダ接種地域・時期であっても接種間2ヶ月の禁止期間を考慮して最初から特別に申し出て全量接種を受ける必要がある。

ついでに国立保健監視庁(ANVISA)で調べた、ブラジルでの
黄熱予防接種から証明書(Certificado Internacional de Vacinação ou Profilaxia)発行までの手続き
を書いておこう。
無料である(公的保健所での接種は無料であり、少なくともANVISAのサイトには証明書発行手数料についての記述はない)。

  1. 国内用予防注射カードと念のために身分証明書を持参して、公的な保健所で黄熱予防接種を受けてカードに記載してもらう。カードを持っていない場合にはその場で作成してもらえる。フラシオナダ地域・時期だったら外国へ行くから全量接種が必要であることを説明する。
  2. このページで仮登録を行なう。予約が必要な場所だったら同時に行う。
  3. 本人がこのリストにある証明書発行所へ出頭する必要がある。
  4. 上記国内予防注射カードと写真入り身分証明書を提示して証明書を発行してもらう。

このリストで私立(Privado)と書かれている接種所は、そこで接種した場合のみに証明書を発行してもらえる。私費接種はR$150くらいするらしい。

2月17日までにサンパウロ州全体で650万人、そのうちサンパウロ市は250万人に接種する必要があるから、なかなか大変だと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿