アマゾンという単語であっても、いくつかの意味があるので整理する。
- Rio Amazonas(読みはアマゾナス)-アマゾン川
- Estado do Amazonas-アマゾン州、doと定冠詞がつくのは、「アマゾン川」を指すからだろう
- Amazônia-アマゾン圏
アマゾニア・レガル(Amazônia Legal)-多分、法定のアマゾン圏(地方)という意味だろう。
- アマゾン盆地に属して、アマゾン植生を持つ
- ロライマ、アマパ、アマゾナス、パラ、アクレ、ロンドニア、マト・グロッソ、トカンチンス州及びマラニョン州の西経44度以西
- 約522万平方キロメートル(ブラジル全土の約61%)
- 人口約2300万人(ブラジル全人口の約12.3%)
ブラジルに住んでいてもアマゾニアからは遠いので、たぶん大多数のブラジル人と同じで本当にどこで何がどれだけ燃えているのか、正直言って想像しづらいところである。
一般的な森林火災の原因を推察してみる。
- 強風による枝同士の摩擦や、落雷による自然発火
- 行儀悪いドライバーや乗客が不用意に投げ捨てる吸い殻
- 登録された合法な既成の農牧地に農牧活動の目的で管理された火入れをする
- 登録された正式な農地用途の土地に、正規な伐採をしてから火を入れる
- 森林保護区、インディオ保護区、あるいは所属がはっきりしない土地に侵入して、不法伐採してから不法な野焼きをする
2.は、特に道路沿いの枯れ草によく見られるもので、アマゾニアから遠いミナス・ジェライス州でも、乾季に車で100キロほど走ると1, 2箇所は道路沿いが燃えていて、慌ててウィンドウを閉めることになるし、濃い煙に突入すると視界がゼロなので危険である。
こういうのを普段から見ているので、ブラジル人はアマゾンが燃えていると言われても、近所の道路沿いの火のようなものかと変に安心してしまって、危機感が湧いてこない。
これがアマゾン火災に対する、ブラジル人と国際社会の感じ方の違いであるように思えるのだ。
3. 乾季になると牧草が枯れてくるのだが、枯れた葉の中にそれほど乾燥していない葉が混じっていて、私が牛であったとしても、あまり食欲がわかない。
牧草の新たな芽吹きのために、延焼を防ぐ防火帯を作って囲み、枯れた牧草に火を付ける。
牧草地は一面黒い焼け野原になるのだが、雨が降ると新葉が芽吹いて、きれいな牧草地が再生する。
だからあまり推薦されない農法なのだが、これをやりたい牧場経営者は多い。
4.が3.と違うのは、既成農牧地でなく、これまで森林だったところが農牧地に変わることであるから、環境ライセンスによってその用途のため許可される必要がある。
5.は農牧目的の利用が禁止されているのに関わらず強行するのだから。当然一番悪質である。
原生林の中に元々育っていた商品価値の高い木材で儲けてから、焼き払った広野に牧草の種を蒔いて牛を粗放的に飼育して、手をかけないで再び儲ける形である。
森林の監督であるが、昔は現場にたどり着くための道路などインフラも少なかったし、衛星によるリモートセンシングもなかった。
現在はリモートセンシング技術の発達のため、毎日測定して火災数(foco de queimada 山焼き・焼け跡の中心)の日毎の変化すら発表できるようになっている。
しかし、その火元が上にあげた考えられる原因のどれに当たるのかはリモートセンシングだけでは判別できないだろうし、どのような画像分析アルゴリズムを使うのかまで理解するのは難しいが、測定誤差がかなり大きいようである。
軍隊を消火作業に動員してからのここ数日は、火災数が昨年並みに減少してきて、一昨日は去年の数字を下回って「やればできる子」でないかと思ったのだが、昨日(約1200)は一昨日(約600)の倍に跳ね上がって、ニュースでは測定誤差がかなりあると分析したが、本当にそうだろうか。
ニュース報道のとおりだとすると、火災の原因を区別しないまま、焼失面積に触れずに火災数のみに注目しているだけでは、アマゾニアの火災・伐採について分析的意見を言うことはできないのではないか。
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