毎日ブラジルだけでなく、日本の新型コロナ感染症による死亡数、正確に言うと、死亡数の7日間移動平均の変化も記録している。
これから見ると、日本は第3波が収まりそうになったのだが、その前に第4波に入ってしまったのでないか。
詳しく見ると、2021年2月6日に死亡数7日間移動平均の第3波ピーク100人に達してから、4月8日に20人まで降下したのであるが、一転して増加して、今は60を超えてしまった。
つまり、現在死者数は増加している。
最近の何日か前のニュースで、ブラジルも他所の国で発生している変異株の侵入を防ぐための方策をすべきでないかと言っていた。
その中で、日本在住の日系ブラジル人がブラジルへ入国するためには、72時間前以内のPCR検査が陰性であることを求められるだけであるのに対して、ブラジルから日本へ入国する場合には、3日の指定場所での隔離、ついで11日の自宅での隔離が必要だと言っていた。
当然の事実であるが、病気が未だ猖獗を極めない日本のような国は、病原体の侵入に対して神経質に備えるのが普通だろうが、反対にブラジルのように既に病気が蔓延している国は、入国者に対していろいろな面倒な制限を課すまでもなく、あえて入国したい観光客がほとんどいないということである。
今インドを放浪旅行したいという人もまずいないだろうし、いても周りが全力で止めるに決まっている。
あと2ヶ月後に、東京オリンピックは開催されるのだろうか?
2021年の初め、各国で新型コロナ予防接種が始まった頃、オリンピックのために外国から大勢訪日するのだから、日本政府の方針は、それに備えて日本国民の大半に予防接種を済ませてコロナ対策を万全にしてからオリンピックを迎えることになるだろう、と私は楽観的な予想をしていた。
ところが実際は、5月になったのだが、高齢者はおろか、医療従事者にも予防接種が行き渡っているとは言い難い状況のようなのだ。
ブラジルのように先進国とみなされることがない国でも、国民全体に対する予防接種を少なくとも1回受けた人の割合がようやく17%、2回完了が8%に達したブラジルと比較しても、日本は非常に遅れていると、これで大丈夫なのかと心配せざるを得ない。
それでいながら、オリンピックは何が何でも開催すると言っているから、まあ向こう見ずなことだ。
オリンピック関係者(選手と役員?)が来日する場合には、予防接種の有無を問わないとか、14日の隔離を免除するとか、日本に住む人が不安になるようなゆるゆるの規則を定めているようだ。
それだけでなく医療従事者や病床などの国民にとって大切な医療資源を、オリンピック専用に割り当てろと、できそうもない相談を持ちかけている。
日本に住む人達がこんな無理やりなオリンピック開催について、どのようにとらえているかは、もちろん肌で感じることはできないが、こんな状況の中で強行するだけの価値があるものと思っている人は、それほどいないようである。
こんなに歓迎されないオリンピック大会が、かって存在しただろうか。
歴史にたらればはないだろうが、もし2020年ないし2021年のオリンピックが東京でなく、時間が5年ずれて、リオデジャネイロで開催されることになっていたとしたらどうだろうか?
ブラジルの状況をざっと眺めてみる。
ようやく今になって、一日死亡数7日間移動平均が2,200程度に落ちてきているが、4月上旬にやってきた第2波のピークでは、これが3,100を超していた。
現在インドで新型コロナ感染症の流行が目も当てられない状況になっているが、ブラジルもわずか1ヶ月前には同様な惨状であった。
そして、単位人口あたりの死亡数を揃えようとすると、インドの人口がブラジルの6.5倍あることを考慮すると、人口2億1千万のブラジルの死亡数3千は、インドで19,500人死亡することに等しい。
ニュースでは、インドの1日死亡数が4千を超えたと言っている。
ブラジル国内の多くの地方で、インドで今起こっている酸素不足が1ヶ月前には頻発していた。
インドで火葬場が足りなくなっている代わりに、ブラジルでは墓地の墓穴掘りが追いつかず、墓地で霊柩車が列をなしていたところが続発していた。
実はブラジルの様子を観察すると、日本のようにコロナが蔓延していないのに医療が逼迫するという事態は全く理解できない。
ブラジルでは既に、コロナ以外の患者にとっては迷惑であろうが、緊急にしなくて良い手術などは延期して、コロナ患者を優先するするような措置が取られている。
病床占有率が常に90%を超えているのが常態になっているが、これは必要に応じて通常病床をコロナ病床へ切り替えたり、その逆を頻繁に行っているからである。
このような操作を指して、ブラジルでは医療崩壊とか呼ばないが、日本では少しでも日常と同じ治療ができないとなると、即医療崩壊とみなされるのだろう。
それでも病床占有率が100%になると、十分な治療を受けられずに死亡する人も少なくない。
集中治療病床に入っても、半分くらいは死亡しているようである。
人工呼吸器挿管の薬品が不足したり、医療スタッフがコロナに罹って人員補充ができず、治療ができなくなってやむなく病床を減少した病院もあった。
ここまで来るとさすがに医療崩壊状態と言えるだろう。
だから、今の日本で言う日本の医療崩壊状態は、ブラジルの見方では、まだまだ十分に余力を持っていて、とても崩壊からは程遠い、健全に近い状態であると言って良さそうである。
そんな医療状況のブラジルで、いくらブラジルのオリンピック委員会が大様(おおよう)に絶対大丈夫だからと、全世界へ呼びかけたところで、どの国が安心して選手団や応援客を送り出したいと思うだろうか。
実はここに解決法があって、東京オリンピックを忌避するためには、日本人は新型コロナへのガードを少しばかり緩めればよいのだ。
効果が出ているのかよくわからない営業時間制限を全部やめてみる。
緊急事態制限下でも歩き回りたい人がいくらでもいるのだから、放っておいても病気は広まってくれる。
何も別に現在のインドやブラジルと同じ、あるいはかってのイタリアのように病床占有率100%といった状況まで持っていかなくても良い。
医療が逼迫して、使い古された呼びかけだけでなく本当の緊急事態なんだ、国民や政府がオリンピックまで面倒見きれない、強行しようとしたら暴動が起きるぞという空気が醸成されて、大会のためにこのような国へ危険を冒してまで行きたくないという声が、多数の国から上がるようになれば十分だろう。
来日する選手や役員にワクチンを供給するとか言い出した。
ワクチンを受けるのは選手や役員なんかではなく、日本の住民が先だろう。
日本では多分2%くらいしか予防接種済みの人がいないだろう。
コロナに打ち勝った勝利のしるしのオリンピックなどと、無理な意地を張らずに、たわけたことを唱えるのはやめることだ。
コロナを流行らせてオリンピックを中止するという考えは本当に荒唐無稽だろうか?
絶対にそんなことはない。
本記事のタイトルのように簡単にできるかもしれないが、ある程度犠牲も出る辛い方法ではある。
でも無理してオリンピックを開催しても、準備不足のアスリートは万全のパフォーマンスを披露するのは無理な話で、けが続出、記録低迷の不完全燃焼オリンピックとなることが予想される。
競い合うのは各地から集った変異株で、残るレガシーは、オリンピック大会発の凶悪変異株の世界への蔓延という結果になるだろう。
どうせオリンピック後の変異株蔓延から逃れられないというのなら、日本が体を張ってオリンピックを中止したほうが、絶対人類のためになる。
オリンピックに関しては、開催都市がキャンセルを決定した場合には膨大な賠償金が発生するとか言われているが、本当だろうか。
疫病の蔓延という非常事態の考慮はされないのだろうか。
最近追い風が吹いているようだ。
米国のメディアが金権IOCを強烈に批判している。
開催都市から絞れるだけ絞るが、自身は絶対損しない組織である。
オリンピック大会の意義を思い出して初心に帰り、笑うのはずさんな運営で不正マージンを手にする開催国の一部の権力者とIOC役員だけの、現在の金権オリンピック方法を見直す良い機会になる。
ブラジルはリオデジャネイロ・オリンピック大会で、もう懲りたことと思う。
2021年5月9日
簡単にオリンピックをつぶす方法
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