2022年6月30日

ブラジル現代の「北風と太陽」

イソップ寓話 Fábulas de Esopo
北風と太陽 O vento norte e o sol

風と太陽はイソップ寓話では、誰が旅人の外套を剥がすことができるか競争するのだが、ブラジルではコスト競争に励んでいるようである。

政府の電力入札において太陽光と風力発電の競争力上昇
Energias solar e eólica foram as mais competitivas em leilões do governo, mostra pesquisa
21/06/2022 22h48m

要約すると、新興エネルギー源のコストが安くなっているということで、次の表のようになっている。

電力コスト比較
過去5年10回の政府による電力入札の平均
単位:メガワット当たりレアル
ソース:CCEE(Câmara de Comercialização de Energia Elétrica 電力取引市場)

区分発電源コスト
安価水力 Hidrelétrica204.00
安価風力 eólica210.20
中位太陽光 solar297.90
中位天然ガス gás natural300.10
高価燃料油 óleo combustível320.00
高価石炭 carbão311.70

風力と太陽光の近年の伸びは大きい。
風力発電プラントの伸び率は2016年から過去5年間で16.02%
太陽光発電プラントの伸び率は2016年から過去5年間で25,898%

新興エネルギー源の利点として、ブラジルの識者は次をあげる。

  • コスト
  • 短い建設期間
  • 少ない環境への負荷

欠点はよく知られている。

何と言っても発電が間欠的で、無風や夜では発電量はゼロだろう。
しかし電力需要の少ない夜に発電できなくても、問題は少ないのかもしれない。
将来増えると思われる電気自動車のバッテリー充電などを、需要ピーク時を避ければ平滑化できるだろうか。

また、日本ではよくもこんな所へというような、危険な傾斜地のような地形に無理やり太陽電池を敷き詰めて水害を引き起こしてしまう例もある。
そんな無理矢理設置もこちらでは報道されていない。
ブラジルでは平らな土地に見渡す限りの太陽電池の平原といった風景はある。
野生動物や植物にとっては住む場所がなくなくなるのだから、絶対にいいはずはないのだが、今のところ影響については聞かされていない。

風車への鳥の衝突死とか低周波の健康への害とかはどうなったのだろうか、最近あまり聞かない。
人家が近い風車が強風で倒壊したら被害は少なくなさそうだ。
そのような疑念について、少なくともこの記事からはわからない。

それぞれを代表する業界団体もあり、勢力を競っているようである。
Abeeolica (Associação Brasileira de Energia Eólica) 風力
ABSOLAR (Associação Brasileira de Energia Solar Fotovoltaica) 太陽電池
まあ立地条件が両者では異なるから、あまり喧嘩することはないのかもしれない。

とにかく広い国土、熱帯地方の雨量が少なく利用度が低い内陸地、単純で長大な海岸線、したがって気候と風が安定する場所が多いことから、太陽光とか風力とかの発電プラントの建設はブラジル向きであるといえるだろう。

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