2014年2月2日

男同士のキスとマーラー5番アダージェット

Sinfonia Nº 5 Adagietto (Gustav Mahler)

日本料理レストラン躍進のテーマでふれた、ブラジルのノヴェラ、Amor à Vidaが大団円を迎えた。
ゲイが何人も出てくるノヴェラだ。
そして、巷で予告されていたように、最終回で画期的な場面があった。
ブラジルのテレビで初めて、男同士のキスの画面が全ブラジル中に放送された。

二人の俳優の名前を記念に書いておこう。
Mateus Solano - Félix役
Thiago Fragoso - 日本料理レストランのシェフ兼オーナーNico役、

毎晩8時半のニュースに続いて始まる人気番組である。
視聴年齢区分は12歳以上となっている。
こういう場面を家庭に流して良いのか、と思う人もいるだろう。
解禁が遅すぎた、という人もいるだろう。

数日前に見たポータルサイトigのビジター任意アンケートでは、「そんなの誰が見たいか?」という意見が大多数であった。
しばらくは人々の話題になり、賛否両論が競うであろう。

フェリクスとニコのキスシーンに続き、最後のシーンに入る。
フェリクスをゲイだ、不肖の息子だと嫌っていたマッチョの父親、César (Antonio Fagundes)は、後妻に裏切られて毟られたショックで脳卒中で倒れ、不随の車いす生活となり、仕方なくフェリクスとニコの別荘で世話を受ける。
フェリクスにベッドから起こされて身支度を手伝ってもらい、車いすを押されて、海辺のデッキチェアに座らせてもらう。

隣のデッキチェアに座ったフェリクスは父に言う。
"Sabe, eu te amo."
セザルはやっと心を解放する。
"Eu também te amo, filho."
和解した二人は手を握り合い、水平線に昇ったばかりの太陽に照らされる。

最終場面にはずっとマーラーの交響曲第5番第4楽章アダージェットが流れる。
Luchino Visconti監督の「ベニスに死す」(po. Morte em Veneza, 1971)へのオマージュで、場面の人物の数とたどる運命は異なるが、海辺のデッキチェアと朝日のシーンに、そのまんまの音楽となった。

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