World Cup tourists face sky-high prices in Brazil
http://www.reuters.com/article/2014/04/30/us-brazil-worldcup-prices-idUSKBN0DG1HO20140430
ワールドカップ観戦でブラジルを訪れる旅行者は、水着、日焼け止めの他に、金をたくさん持って来なければならない。
ブラジルはビーチサイドでたった1ドルでビールが飲める、熱帯のパラダイスと勘違いして来る旅行者は、ショックを受けるだろう。
実際は世界でも屈指の高価なレストランとホテルの建ち並ぶブラジルであり、ワールドカップが近づくごとに物価は上がるからだ。
有名なブラジルのカクテル、カイピリーニャ(caipirinha - サトウキビのスピリット・レモン・砂糖で作る)は10ドル、リゾットは100ドル、ホテル宿泊は1,000ドルに達する。
米国やヨーロッパの物価水準から見ても常軌を逸している基本品目がある。
コーヒーの大農園に囲まれているビジネス都市サンパウロの、エスプレッソ(espresso)の値段はリスボンの2倍だ。
両都市を行き来するビジネスマンは言う。
「馬鹿げた話だ。
かたやコーヒーの生産国、もうひとつはその輸入国なのに。」
ブラジルの物価高は最近の話でない。
経済不安定と制御不能なインフレに長いこと苦しんだ歴史がある。
1993年には年率2,400%に達した。
ロイターさん、そんな昔の話をされても困るが、大事なことが抜けている。
あの頃はクルゼイロとかクルザードとかブラジル通貨の為替レートがインフレと競うように日々下落していたので、駐在員のようなハードカレンシーを持っている人は左うちわだった。
最近のインフレは、国際的には高率とみなされるが、制御可能とされる年率6%程度になっている。
Mercerコンサルティング社の調査では、サンパウロは南北アメリカで最も物価高の都市、ニューヨークやロンドンを超えて世界19位の高価都市、リオデジャネイロは世界30位にランクインしている。
物価が高い理由の一つにビジネスコストが高いことがある。
数知れぬ税金・輸入課金、ビューロクラシー、貧弱なインフラなどがビジネスの障害となる。
経済学者はこれをpo. Custo Brasil = en. Brazil Costと称する。
リオデジャネイロ工業連合会の調査によると、外国製品と比較してブラジル製品を30%高価にしている原因である。
さらに悪いことに、政府ポリシーが家庭消費の引き上げを目標にしているため、近年賃金・エネルギー価格の上昇を招いて生産コストがさらに上がった。
ブラジルのニュースで度々言われることで、わざわざロイターに指摘してもらうまでもない。
今晩のテレビニュース前に、労働者党のDilma Rousseff共和国大統領がメーデーに寄せるメッセージで、Bolsa Famíliaつまり生活保護の金額をアップすると大風呂敷を広げていた。
すぐ後のニュースで、入金を超える政府の出費がインフレを引き起こしているから、貧困層こそインフレの一番の被害者なのに一体何考えているんだ、と至極当然なコメントをしていた。
今年は4年に一度の総選挙の年だから、最近の世論調査で人気が落ちている与党政府のなりふり構わぬ浪費を押さえることは難しそうだ。
散財するためにやって来る多少懐が豊かな旅行者も、節約に努めている。
年初に初めてリオを訪れたハンガリーのカップルは、高級レストランでリゾットに100ドル相当払わされたのに懲り、旅行の思い出の夜のシックなレストランを、ポル・キロ(po. por quilo)、つまり英語でper-kilo buffetと訳される質素な量り売りレストランで我慢して、30ドル「しか」出費しなかった。
「値段が高過ぎるものもあるが、ヨーロッパより安いものもある」
ハンガリー人は言う。
ブラジルの有名なゴム草履(Brazil's famous rubber flip-flops)はヨーロッパでは24ドルするが、ここでは8ドルで買える。
Havaianasのようなビーチサンダルのことだろう、値段が三分の一なので買いだめしてハンガリーに持って帰って転売するのか?
10足売れば160ドルか、悪くはない。
友達に配ればいい土産として喜ばれるかもしれない。
しかし解決法がないこともある。
特にワールドカップがらみの場合だ。
190のブッキングサイトの価格を比較するサイトTrivagoによる、リオで決勝戦がある7月13日の平均宿泊料は816レアル(371ドル)である。
コパカバーナの、家具もろくに無い貧弱な二つ星ホテルの朝食付き宿泊が2,000レアル(909ドル)もする。
ブラジル-クロアチアの開幕戦は6月12日サンパウロで、平均宿泊料は621レアル(282ドル)である。
この二都市間の片道航空券は、距離がたったの269マイル(433キロメートル)、50分のフライトに過ぎないのに、週日の直前購入で549から1,130レアル(250-514ドル)する。
ニューヨークとワシントン間が80分のフライトだが、同条件で購入する航空券は167ドルに過ぎない。
宿泊料も航空運賃も経済的問題に根ざしている。
政府による住宅購入補助付き融資が豊富に資金注入しているので住宅の需要が大きく、建設会社は近年アパートの建設には力を入れるが、多くの都市でホテル不足を招いた。
ブラジル中流階級の消費ブームのため過去5年航空国内線は2倍に膨れているのに、インフラへの投資が不足している。
ワールドカップ会場12都市のうち、少なくとも5都市は約束したはずの空港拡張が間に合わない見込みだ。
しかし一つの救いがある。
海外の旅行者にとってブラジルの物価高問題が少し緩和される要因がある。
ブラジル通貨レアルは昨年ドルに対して約11パーセント下落した。
ハードカレンシーを持つ旅行者にとって、ブラジルの物価高を多少しのぎやすくしてくれる。
($1 = 2.2 Brazilian reais)
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