2014年9月23日

似て非なるユーロ貨とレアル貨

BBCのホームページを見たら、おなじみの硬貨の写真がある。
ブラジルの経済が最近湿っているとかの記事だろうか、と思ってよく見たら、1ユーロ硬貨だった。
背景の地図はマドリーとの地名が読める。



私はヨーロッパへ行ったことは一度もない。
だからユーロ硬貨や紙幣を手にしたこともない。

どんなに1レアル硬貨と似ているか確かめてみたく、欧州中央銀行とブラジル中央銀行のサイト、
http://www.ecb.europa.eu/euro/coins/common/html/index.en.html
http://www.bcb.gov.br/?MOEDAFAM2
を見た。



ユーロ硬貨で面白いのは、コモンサイドつまり共通面と、ナショナルサイドつまり各国面があり、ナショナルサイドは加盟国がルールにのっとった上で好きなデザインを付けて、ユーロ硬貨のバラエティを増やしている。

1ユーロのコモンサイドと1レアル、両方の硬貨で似ている点は、外側が金色の輪、内側が銀色面の嵌めこみ仕上げであること、1の数字の形と傾きぐあいである。
しかし似ているのはそこまでだ。

1ユーロ硬貨1レアル硬貨
直径23.25mm27.00mm
厚み2.33mm1.95mm
重量7.50g7.00g
組成(心)銅ニッケル
(輪)ニッケル真鍮
(心)ステンレス鋼
(輪)青銅被覆鉄鋼

1レアル硬貨の方が大型だが薄く軽いことがわかる。
特筆すべきは、その素材の違いである。

ブラジルでは銅の盗難が多発する。
人気(ひとけ)のないところにある電線・電話線などが、電柱や地下からごっそり盗まれることがあるので油断できない。
ユーロ硬貨に使用される銅がレアル硬貨には使われず、単価の安いと思われる鋼を使う理由は、きっと銅泥棒対策だと思う。
昔のインフレ時代だったら、死蔵した硬貨の金属としての価値が、日々下がる額面価値を上回れば、鋳溶かして地金にして売れば儲かったことになる。
本当にそうした人がいたかどうかは知らない。

ブラジルに現在流通する最高額面硬貨はこの1レアルであるが、ユーロ硬貨には2ユーロ硬貨がある。
realの複数形はreaisなので、2レアル紙幣には"2 REAIS"と印刷してある。
2ユーロ硬貨に刻印されているのは"2 EURO"であって、"2 EUROS"ではない。
今までeuroの複数形はeurosだと思っていたのだが、これは間違いだったのか。

欧州連合は、euro と cent について単複同形と定めているそうだ。
これによって各国語で異なる複数形の作り方によってユーロ及びセントの複数形が異なってしまうことが避けられる。
でもポルトガル語Wikiをみると、常用の呼び方では各国語の文法に従って良いとしている。
ということはeuroの複数形はeurosでも間違っていないことになる。

そして、centの単数及び複数形はポルトガル語でcêntimo, cêntimosとなり、ブラジルレアルのcentavo, centavosにはならない。
表記法もブラジルレアルとは異なり、レアルだったら R$ 1.234,50 となるところが、ユーロだと 1 234,50 € と表記する。
ポルトガル語と日本語では数字の小数点と桁区切り点が逆になる、つまり小数点=コンマ、桁区切り=ピリオドとなって、パソコンで両言語を使うときにけっこう面倒である。
そしてユーロのポルトガル語表記では、桁区切りのピリオドは使わず、スペースとなる。

1ユーロ硬貨と1レアル硬貨の違いは、大きさや複数形や百分の一補助通貨だけではない。
肝心の両硬貨の価値比較であるが、今日現在1 euro = 3,089 reais(ポルトガル語数字表記のため、三千八十九でなく、三点〇八九)となっている。

写真でいくら似ているからといって、日本で昔一時期問題になった500ウォン硬貨を使った偽造500円硬貨事件のように、レアル硬貨をユーロ硬貨の自動販売機で使うことなど絶対に無理だ。
寸法と重さが著しく違いすぎる。
ヨーロッパのど田舎を旅行して、爺さんが一人でやっているような雑貨店で、レアル硬貨を掴ませようなどとケチでさもしい馬鹿げた悪事は試さないほうが身のためである。

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