2014年11月30日

銀行内では携帯使用禁止 - 携帯事情三題その一

ある日のニュースで携帯電話についての記事が3つ連続で続いたが、今日のブラジルの社会状況を垣間見ることができる。
ブラジル携帯事情三題として、ここでも3つ連続で載せてみる。

最初の話題は強盗犯罪に関してである。

Proibição de celular em agências bancárias não é respeitada
http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-hoje/t/edicoes/v/proibicao-de-celular-em-agencias-bancarias-nao-e-respeitada/3780906/

ブラジルの多くの州や市で、銀行支店内での携帯電話の使用は禁止されている。

なぜ禁止するか。
エチケットとか電子機器の干渉とかそういった問題ではない。
銀行支店内外に分かれて連絡を取り合う、強盗団仲間同士の携帯による通信を遮断するためである。

ATMでは引き出し不可能なほどの高額の現金を引き出したい人は、銀行の出納窓口で受け取ることになる。
ブラジルの銀行では窓口にたどり着くまでがまず大変である。

最近はどの銀行支店でも、金属探知機付き回転ドアを備え付けている。
金属製品を持っている人は、それが鍵の束であっても、携帯電話であっても、めがねの金属フレームや傘の骨であっても、金属探知機を通る前にその横にある、支店の外側に投入口、内側に取出口のある、透明な箱に入れる。
銀行警備員はその金属物体をチェックする。
自分の金属預け品を受け取ったら、整理券を取ったり、直接出納窓口への行列についたりする。

銀行支店に入るのには、別に支払いをしたり引き出しをしたりする人だけでない。
だれでも入れる。
そこが問題である。
強盗一味の、標的顧客の身なり連絡役は、本来の目的をごまかすために、窓口で何か質問したりするので、警備員の疑いを招くことは少ない。

最近の銀行支店内部の構造は、さすがに表の通りから現金を受け取っている人が、ガラス越しに丸見えになるようなところはない。
しかし、たいていの支店では、出納窓口で銀行員と現金や書類のやりとりをしている客が何をしていか、行列についている人はじっくり後ろから観察することが可能だ。
だから、強盗団は客のふりをして行列に入り、高額の現金を引き出している人を観察して、身なりを音声メッセージ、テキストメッセージ、あるいは直接画像で銀行支店の外で待ち受ける強盗仲間に伝えることが楽々できる。

ニュース画像では、窓口で一万レアルとかの高額を受け取っている顧客の後ろ姿と、行列の中でボイスメッセージやテキストメッセージを送っている強盗のひとりが同じショットの監視カメラに写されてる。
この客は支店を出てから500メートル、数分のうちに強盗一味に現金を強奪された。
ブラジルの有名な犯罪、Saidinha de bancoである。
幸い監視カメラのおかげで、この強盗団は摘発された。

この日、ニュース取材グループは、銀行名も支店名も公表されなかったが、リオデジャネイロ市の4つの支店内で携帯電話を使う実験をした。
結果は、4つのうち3つでは何も注意されることはなく、取材者やその他の善意の客達は平気で携帯を使って会話やメッセージを送受していた。
ただひとつの支店で、取材者は警備員に注意されて携帯の使用を中止した。

支店内の携帯電話使用のチェックは、銀行員と警備員が責任をもって行うことになっている。
なかなか決まり通りにできないのが実情である。

どうすれば強盗被害を防げるかであるが、行列についている人々と、出納窓口の列の間についたてがあって、出納員と対応している時には隣の出納窓口の客しか見ることができない、より安全な造りの支店が存在する。
ブラジルの銀行は、そのうち教会の懺悔室のように神父さんと懺悔する信者の二人に遮断される小部屋だらけの支店になってしまいそうだ。

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