現金を使って買い物をした時、店にお釣りがなくて困ることがある。
これは全国的な現象で、ニュースでも話題になる。
このブログに一度書いた「返ってこないお釣り 」は2011年10月の記事、それから3年余り経ち、状況はますますひどくなっている。
1センターボ硬貨を見ることはもはやなくなった。
センターボは百分の一レアルである。
街角のパン屋や雑貨屋など比較的少額の商品を扱う商店は、どうしているのだろうか。
例えば、1レアル97センターボ(R$1.97)の買い物をして、2レアル札でお釣りをもらう時だ。
考えられる方法をあげてみる。
- 店はしれっとお釣りを払わない。
- 3センターボ分の飴玉をお釣りの代わりに渡す。
- 近所の商店に、両替しに、あるいは借りに行く。
- 5センターボ硬貨をお釣りに渡す、5センターボ硬貨がなかったら10センターボ硬貨を渡す。
- センターボの金券を渡して、次の買い物時に使ってもらう。
- つけで売って後日精算する。。
- 現金ではなくデビットカードあるいはクレジットカードで支払ってもらう。
1は鷹揚な客ならお釣りがなくても文句を言わないかもしれないが、大多数の客は文句を言いそう。
2は上に同じで、飴玉なんかいらないと客は文句を言うだろう。
3は結構よくみられる解決法だが、運が悪いと外へ行った店員がなかなか戻ってこない。
何よりも最近は1センターボ硬貨自体がどこにも見あたらないから、探しに行っても無駄だ。
5と6は、近所のパン屋のように、よく行く店なら使える方法である。
7も正解であるが、客がカードを持っていなかったり、商店がカード読み取り機を持っていなかったりしたら無理である。
カードには手数料があるので、代金が少額の時はカード払いを嫌う商店もある。
消費者保護法(Código de Defesa do Consumidor)は、商店にお釣りがないときに販売代金を切り上げることを禁止している。
また、別の商品をお釣りにあてることも禁じている。
つまり、1と2は法律違反になる。
現金で支払いする場合の正解は4である。
「スウェディッシュ・ラウンディング」という言葉を最近知ったが、これがブラジルで現在起きている。
スウェーデンで1972年最小単位の硬貨が5オーレとなったため、端数処理のために考えられたという。
最近は1センターボ硬貨を見ることがなくなったので、最小単位硬貨が5センターボとなっている。
ちなみに現在流通している硬貨は、5, 10, 25, 50センターボ硬貨及び1レアル硬貨である。
紙幣は2, 5, 10, 20, 50, 100レアル紙幣がある。
上に書いたようにスウェディッシュ・ラウンディングは法律違反であり、消費者は堂々とお釣りを切り上げる(商品価格を切り下げる)要求をして良い。
ブラジル中央銀行の計算では、ブラジル国民ひとりあたり112枚のコインが出回っているはずである。
しかし市場に出回っているはずのコイン10枚中6枚しか日々流通していないという。
あとの4枚はどこへ行ってしまったのか。
思いつくのはブタの貯金箱や空き缶小銭貯金である。
蓋をハンダ付けしたペンキ空き缶で、1年間で500レアルを超える小銭貯金をした知人がいる。
買い物で釣りをもらうたびに、硬貨全部を空き缶に入れてきた。
クリスマス・年末はショッピングシーズン、これら貯金箱を壊す季節、死蔵されていた多くの小銭が再び出現するはずである。
硬貨不足が少しは解消されると思われる。
各家庭で死蔵されている硬貨を市場に戻す良い方法はあるか。
答えは簡単である。
硬貨を使う機会を作るだけでよい。
日本だったらあまりにも身近にあふれすぎていて、何だこんなことかと思うだろう。
硬貨だけで買える自動販売機を増やせばよいのだ。
言うは易く行うは難し、である。
ATMが爆破されるブラジルである。
無人自動販売機が無傷でいられるはずがない。
自動販売機も人の目のある場所と時間でなければ、中の現金や商品が手口の荒い泥棒に狙われること、まず間違いない。
商店主が考えだした苦肉の策、小銭をまとまった額持ち込んだ人に割引をしたり、クーポンやプレゼントをあげることくらいしかなさそうだ。