2016年11月28日未明、ブラジル南部のサンタ・カタリーナ州西部の畜産の街シャペコ(Chapecó - SC)のフットボールチーム、アソシアソン・シャペコエンセ・デ・フッテボル(Associação Chapecoense de Futebol)を、コロンビアのメデリン(Medellín)へ運んでいたボリビアのチャーター機が目的地近郊で墜落した。
シャペコエンセは、現在ブラジルフットボール選手権一部リーグで9位につけていて、コロンビア行きは、南アメリカのカップ戦、南米カップ(Copa Sul-Americana)決勝アウェイ戦のための遠征だった。
墜落の原因が燃料切れというので、そんな馬鹿げたというかマヌケな理由でこんな沢山の命が奪われるのは、いくら物事がいい加減となりがちな南米でもあんまりではないか、そんなはずはないと、それが真実であってほしくない願いをかけていたのだが、その願いを裏切るような事実が出てきているのだ。
サンパウロからポリビアのサンタ・クルス・デ・ラ・シエラ(Santa Cruz de la Sierra)へ商用便で着いた一行はそこからチャーター便でメデリンに向かったのであった。
機材はAvro RJ85、英国製である。
この型式の航続距離は3,000km、航続時間は4時間半である。
しかるに、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラとメデリン間の距離は2,985km、飛行所要時間は4時間15分とニュースで言っていた。
余裕は15キロメートルと15分しかないではないか!
途中の飛行が順調で、すんなり目的地で着陸できれば問題なかったのであろうが、天候が悪くて別の空港へ行かねばならなくなったらどうするのだろうか。
そしてこの日は、ありそうもない不運が重なったのだ。
カリブ海方面からメデリンへ向けて来た別会社別航路の飛行機が、燃料漏れを訴えてメデリンの管制に優先着陸を申請した。
シャペコエンセ機は燃料問題を訴えて、同様に優先着陸を頼んだのだが、先客があったのでメデリン手前で2回旋回した。
ニュースで説明した航空の専門家は、一周5分位かかると言っていたので、10分分の燃料がここで消費されてしまったわけだ。
メデリン管制は、先に不調を訴えたカリブの飛行機を着陸させてから、不慮の事故に備えて滑走路に控えていた消防車などを片付けてから、シャペコエンセ機の着陸許可を与えるところだったが、もうその時には燃料は尽きていて、レーダーの視界からも失われていて、山というか低い丘に接触してから転覆する形で斜面と衝突に至った。
第一報では電気系統に問題が起きて不時着をする可能性があったので、火災を避けるために燃料を捨てたと言っていたのだが、事実はそうではなかった。
シャペコエンセの選手がサンパウロ出発前後に機内(これは別の商用便)で撮ったビデオでは、既にこの経路を旅して経路を知っている選手が、コビハに寄港するだろうと喋っている。
ボリビアとブラジルの国境コビハ(Cibija)で給油していたらこの事故は起きなかったはずである。
なぜ以前の旅では行った給油を今回は行わなかったのか。
報道では機体のやりくりで、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラ発に遅れが出ていた。
零細チャーター機会社であるLaMia(きっとスペイン語で「わたしのもの」という意味だろう)航空は、所有機が今回墜落した一機のみだったので、やりくりができない。
コビハでは空港の照明の関係で夜は満タンにできない?という話もニュースで聞いた。。
シャペコエンセ・チームはなるべく早くメデリンに着きたい。
そのためコビハ給油は見送られたのか。
そもそも機長はフライトに最大権限を持つはずと思うのだが、どうしてこんな給油なしのタイトロープなフライト・プランを立てたのだろうか?
サンタ・クルス・デ・ラ・シエラ方面からみるとメデリンの手前に当たる首都ボゴタに寄港給油する手もあったのだがなぜそれをしなかったのか?
まさか燃料メーターが壊れていたなんてことはないだろう。
燃料が持ちそうもないなら、なぜ燃料漏れの飛行機を押しのけて緊急着陸を強行しなかったのか?高速ガス欠のように罰金があるのだろうか?それにしても命よりは安いのだが。
原因の見当はついた。
今は誰も言い出さないが、LaMia航空、保険もヤバそうである。
保険金額が通常よりだいぶ低いらしい。
Tokyo Marineが、一社だけか他社もあるか不明だが、再保険を引き受けているという。
しばらく気になることばかりである。
なくなった方々の冥福を祈り、生き延びた方々の回復を願う。
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