dengue デング
chikungunya チクングニア
febre amarela 黄熱
ブラジルは熱帯病の宝庫なのだろうか。
その中で新旧世代の葛藤などがあるのだろうか。
ジカ熱・ジカウィルスについて書いたのは1年前だった。
ジカというウィルスは、かなり新顔の病原体だと思う。
それまで聞いたことがなかったからだ。
ジカについての報道の数はあの頃よりずっと減っているが、その被害はなくなったわけではない。
というより、これからである。
小頭症で生まれた子どもたちが、どのような成長をたどるのかはよく解明されていない。
何もかも手探りのようである。
これから雨季で高温になるとヤブ蚊が繁殖するから、まあ毎年の行事だけど、デングが流行りだすのであるが、今年はミナス・ジェライス州東部で「懐かしいやつ」が急にのさばってきた。
そいつは「黄熱」、英語では"yellow fever"、ポルトガル語では"febre amarela"、みんな意味は一緒である。
黄疸(po. icterícia)を伴う熱病だからそう呼ぶのだろう。
黄熱が「懐かしい」のは、別に自分が罹ったからではない。
今の若い人は知っているのだろうか、昔の日本人だったら誰でも知っている偉人伝のビッグネームだと思うのだが、野口英世がアフリカでこの病気を研究して、結局これに冒されて亡くなった話が忘れられないからだ。
ここから黄熱そのものの話になる。
- 黄熱には、同一ウィルスであるが伝搬方法の異なる、森林型(silvestre)と都市型(urbana)がある。
- 森林型は農村部で野生の猿から蚊の一種Haemagogusによってヒトに伝染する。
- 都市型は黄熱の患者から蚊の一種Aedes aegypti(デング熱やジカウィルスを伝搬するのと同じ)によって別の人に伝染する。
- 人から人への直接感染はない。
- 致死率は20%とか40%とか言われて高く、効果のある薬剤はない。
- 対策はワクチン接種で効果は高く、ブラジルのメディアでは100%と言っている。
- 卵アレルギーで予防接種できない人でも、もう一つの対策は蚊に刺されないようにする。
- 現在ミナス・ジェライス州東部で発現したのは森林型。
- 2017年1月14日夜のニュースのミナス・ジェライス州保健局発表による州内の今回の流行は、黄熱と思われる死者数38人、確認した黄熱患者数133人。
ブラジルでは黄熱の予防接種はどこの保健所でもやっていて、無料である。
一方、日本から黄熱汚染地域へ旅行する人は渡航10日前までに予防接種を受けて、国際証明書を持っていくことになる。
東京検疫所のサイトによると、証明書発行料を含んで11,180円かかる。
今日まで全く知らなかった非常に重要なことがある。
オリンピック2016リオデジャネイロ大会のためにできた措置のような気がするのだが、世界保健機関は、大会の1ヶ月前の2016年7月11日から、黄熱の予防接種証明書の有効期間は、これまでは「接種後10日から10年まで有効」としていたのだが、「接種後10日から一生有効」と改定された。
重要なのは、改定前後でワクチンは同じなので、これまでの10年期限の証明書でも所持していれば、再接種とか証明書更新とか書き加えとか全く必要なしに生涯有効となることである。
ミナス・ジェライス州東部の黄熱発生地域では、予防接種を求める住民が保健所に大行列を作っている。
そしてブラジル保健省の立場はWHOの立場と異なって、時が経つと予防効力が落ちるおそれがあるので10年経ったら再接種をするのだが、3回目の接種は必要ないと指導している。
このブラジル保健省のページは年齢、接種歴、居住地によってかなり複雑な処方をしているのだが、簡単に言えば上の通りになる。
ネットで調べたくらいではわからないのだが、日本のワクチンとブラジルのワクチンは一体同じものだろうか?
日本で1万円以上もするものが、ブラジルで無料でできるところが怪しい。
一方が強い生ワクチンで、もう一方が死にかけて効き目が消えかけているワクチンとか、そういった違いがないと誰が言えるだろうか。
だからブラジルのワクチンの有効期限が10年なのだろうか?
謎である。
わがミナス・ジェライス州西部ではまだこの病気の流行は見られないが、予防接種カードを探してみた。
家族全員2回の接種を済ませたことがわかった。
だからもう一生涯、黄熱の予防接種は必要ない、はずである。
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