2019年6月9日

普通ならつぶれてるだろベネズエラ

ごく最近(2019年6月)の国連の発表によると、ベネズエラからの難民と移民は4百万人に達した。
国連のWorld Population Prospects 2017による、2015年のベネズエラ総人口推計値が3千115万5千人であるから、国民の10人に1人以上が逃げ出したというものすごい勘定になる。

こんな状況になっても何ら心配しないと言うか、もう何もしないが権力だけは手放したくないというマドゥロ大統領というのは驚嘆の的ではある。
前任のチャベス時代はまだ難民垂れ流しという状況までには至らなかったが、マドゥロがかなり無理して大統領になってからは、石油の生産量が半減しようがインフレが年数十万%になろうが、国民の10人に1人が消失してしまおうが意に介さないで、びくともしない(わけではないが)からくりについて事実を基に想像してみたのだった。

日本のポータルサイトのコメントの主張で多いのは、難民や移民という人たちはどうして自分の国に踏みとどまって住みやすくするように頑張らないで、疎んじられるのを知りながら、外国へ行って迷惑をかけるのか、というものである。

ベネズエラに帰ってきても食べ物も医薬も常に不足してるし、停電続きであるという苦難を考慮に入れないで単純に考えてみるのだが、この人達が全てベネズエラに戻って選挙人登録ができれば、現在マドゥロとグアイドが拮抗していると仮定すると、グアイドはマドゥロに10%の差をつけて大統領選挙で勝つようにも思う。
しかし一回犯したことだから当然のように、マドゥロは選挙妨害をするというか、選挙人登録を拒むだろうから、苦難に立ち向かう決心に反して意味のない帰還になりそうである。

彼らの行き先で一番多いのは、隣のコロンビアである。
接する国境は地続きである。
続いてペルー、チリ、アルゼンチン、以上は全てベネズエラと同じスペイン語が話される国だが、似てはいるが異なる言語のブラジル(地続き)と続く。

同じスペイン語を話す国だからといって、祖国を後にするのに抵抗はないというわけではない。
自国民の仕事を奪うと敵視されたり、差別されることもあり、仕事を見つけるのに苦労がある。
居るも去るも「前門の虎後門の狼」である。

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