先週、路上生活者のグループが路上の酒盛りで怪しげな飲み物を飲んで、4人死亡4人病院搬送という事件が、サンパウロ大都市圏のバルエリ(Barueri)で起きた。
当然毒物中毒が疑われた。
その後、多分ブラジルの安酒の代表ピンガだと思われるが、飲み物に混入したコカインの中毒であったことが判明した。
第一容疑者が入院中の一人であるため、誰が何の目的で持ち込んだかはまだ明らかにされていない。
ニュースを聞いて記憶した数字では、焼酎1ml当たりコカインが50mg混入していたという。
早速興味が湧いて調べたことを書く。
1ml当たり50mgということは50/1000=5%もの高濃度である。
ピンガがアルコール度数35%として、それに5%のコカインを加えるのだから、40%もの有効(善悪関わらず効果があるという意味)成分を含む飲料となる。
それだけ大量のコカインを飲み物に加えると味は変わるし、精神への効果がすぐに現れるだろう。
中毒にかかった路上生活者たちがこれまでにコカイン入りピンガを飲んだ経験があったかどうかは不明であるが、初めて飲んだとしても、「お前いつもと違って今日はいい酒を持ってきたな、酔い心地がとても愉快だ」ぐらいの会話で、特に詮索することなく終わってしまったのではないか。
すぐに怪しんで「これは危ない、みんなちょっと待て、飲むな」と警告するような注意深い者が誰もいなかったからこそ、被害者が多くなったのだろう。
日本の警察の平成3年警察白書を見た。
コカインの致死量は1.2gとある。
胃か腸の消化器から吸収された場合にこの数字通りなのかわからないが、少し余裕を見て1.5gとすると、バルエリ事件のピンガの30ml、つまりシングルワンショットを飲めばあの世行きとなる計算である。
どれだけの量のボトルを持ち込んだのか。
ペットボトル500ml 1本でシングル30mlは16杯とれるから、8人殺して余りが出る。
この飲み物を日本国内で調製するという反社会行為をするのに、いくら金がかかるか。
2019年3月の日本経済新聞の記事でコカイン1gの末端価格が2万円という。
50mg/mlの500ml分を計算すると必要なコカインは25gであるから、ピンガの値段を外しても50万円である。
参考にすることがあるかもしれないから、新聞記事から一文だけ引用しておくが、元ソースは警察庁である。
「18年調査での1グラム当たりの末端価格は、覚醒剤6万円、大麻5千円、コカイン2万円、ヘロイン3万円という。」
時期も場所も異なる別の、売人摘発事件のローカル報道だったが、マリファナの小売価格は25gが80レアルだと言っていた。
1レアル26円で計算したマリファナ1gは83円である。
一般的に農畜産物の値段が日本より安いブラジルであるが、安いから試してみたい、という気にもならないので、農産物には違いないがこの種類の物の値段が安くてもあまりうれしくない。
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