2020年に実施する予定であったのがパンデミックのためできなくて、後年にまわされたのは東京オリンピックだけではない。
ブラジルの国勢調査もその年に行う予定だったものが、新型コロナパンデミックのために翌年に順延された。
その2021年になったら、これを軽視していたのか、ボルソナロ政権は予算を確保してなくて再び順延、実際に行われたのが昨年の2022年であった。
その集計がようやく出たのがこのほどの2023年6月のことだった。
2022年国勢調査:ブラジルの人口は予想より470万人少ない2億3百万人
Censo 2022: Brasil tem 203 milhões de habitants, 4,7 milhões a menos que estimava
28/06/2023 Jornal Hoje
ブラジルの総人口は、203,062,512人であった。
前回の国勢調査2010年に対する12年間の増加率0.32%は、過去の国勢調査間隔の10年間ごとの人口増加率と比較して、最低であった。
ニュース報道でコメントされた気になる点を書いておく。
詳しい人口統計は別の記事にのせるつもりだが、これは小ネタ集のようなものになっている。
比較は2010年国勢調査と比較した2022年国勢調査の数字である。
大都市圏の人口推移
ゴイアニア大都市圏 +19.9%
ブラジリア大都市圏 +13.7%
サンパウロ大都市圏 +5.3%
リオデジャネイロ大都市圏 -2.1%
10大都市のうち5都市は人口が減少したが、その原因は周辺都市への移出である。
サルバドル -9.6%
レシフェ -3.2%
ベロオリゾンテ -2.5%
リオデジャネイロ -1.7%
フォルタレザ -1.0%
人口が減少した都市上位20のうち6つはリオデジャネイロ州にある
サンゴンサロ -10.3%
インタビューされた女性はサンゴンサロで20回強盗にあったのが嫌になり、隣のニテロイへ引っ越した。
20回?多すぎないか?
でも見方を変えれば、強盗にあってもうまく対処すれば命は大丈夫ということだろう。
ブラジルの5つの地方の総人口に対する割合
南西部地方 41.8%
北東部地方 26.9%
南部地方 14.7%
以上の3地方は12年間に全国に占める割合が減少した。
北部地方 8.5%
中西部地方 8%
以上の2地方は12年間に全国に占める割合が増加した。
ブラジルでも一世帯あたりの住人は減少している
2010年3.31人から2022年2.79人に減った。
一世帯あたりの住人がブラジルで一番多い州
アマゾナス州 3.64人
一世帯あたりの住人がブラジルで一番少ない州
リオグランデドスル州 2.54人
ブラジルで一番人口が多い州
サンパウロ州 44,420,459 全人口の21.88%
ブラジルで一番人口が少ない州
ロライマ州 636,303 全人口の0.31%
ブラジル議会では、国民を代表するとされる下院議員は、人口分布によって各州選挙区の定員が決定される。
そのため人口が多い州の下院議員はそれに比例して多数いる。
簡単に言えば、ロライマ州選出下院議員1人に対して、サンパウロ州選出下院議員は70人いる勘定になる。
一方上院は、州を代表するとされる議員によって構成される。そのため、現在26州プラス1連邦区あるブラジルの連邦構成単位のそれぞれ3名の定員があるため、上院の定数は81名である。
ここではロライマ州選出上院議員も、サンパウロ州選出上院議員も同じ3名である。
上院に限っていえば、選挙人の一票の重みが70倍も異なるということである。
憲法が議員の仕組みをそう定めているので、文句言うわけにはいかない。
辺境州に力を与えることになるのだが、そういうふうに作られているのである。
しかしロライマ州の州都ボアヴィスタ Boa Vista は、全国の州都の中で人口増加率が一番高い。
2010年 284,313人から2022年 413,486人へと、12年間で+45.4%も人口が増加した。
増加要因のひとつとして、陸続きのベネズエラからの移民や難民がある。
ベネズエラ人流入だけでなく、ボランティアのようなそれをサポートするブラジル人もボアヴィスタへ集まってくるのである。
ベネズエラには「相対的な」民主主義が存在すると発言しているブラジルの左派労働者党出身のルラ大統領にとっては、おだてられちやほやされる外遊は気分が良いだろうが、ぜひロライマ州やボアヴィスタを訪問して、ベネズエラから逃げてきた人達を自分の目で視察してもらい、それでも持論を曲げないか見たいものである。
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