応用経済研究所 Instituto de Pesquisa Econômica Aplicada (IPEA)による、ブラジルの家庭の通信事情の調査である。
- 45.6%の家庭には固定電話がない。
- 15.5%の家庭では、家族の誰も、つまり一家に一台も携帯電話がない。
- 51.9%の家庭にはコンピュータがない。
- 9.1%の家庭には4つのテレコミュニケーションサービスの内1つもない。
1と2を裏返すと、84.5%の家庭には少なくとも一台の携帯電話が、54.4%の家庭には固定電話がある。
3からは、約半数の家庭にはコンピュータがあるということだが、その内訳(デスクトップ、ノートパソコン、タブレット)や、インターネット接続の有無は不明だ。
固定・携帯電話も衛星・ケーブルテレビもないのに、インターネット接続だけはあるという家庭はまれだろう。
同様に、固定・携帯電話もインターネット接続もないのに、衛星・ケーブルテレビだけはあるというケースもあまり無いと思う。
4の通信手段を持たない家庭9.1%をなくそうというのが、研究者やブラジル政府が目指すデジタルデバイド解消である。
国土が広大で人口密度の低いブラジルである。
人口集中地から遠い過疎地では、固定電話の電線を引き回したり、携帯のバックボーンをリレーさせるより、通信衛星を使うのが手っ取り早い解決法だろう。
しかし現実の衛星電話は高価なサービスで、普及しているとは言い難い。
携帯電話がなかった頃から、固定電話網から外れる農村地域には、最寄りの基地局から電話機まで無線でつなぐ、telefone rural(農村電話)という、有線無線混合通信方式があった。
電話機にはアンテナがつながっていて、電気が通っていないところではバッテリー駆動だった。
天気が悪いとかかりにくくなったりした。
こんにちでは多くの農村電話は携帯電話に置き換えられているのではないか。
しかし携帯電話でも、比較的都市に近い場所でも、携帯電話の「電波の谷間」はあるので、そんなところでは、電話をかけるときは裏山に登ったり、待ち受けの時は高い竿の上に吊るしたりとかいろいろ工夫している。
各サービスの顧客満足度はけっこう高い。
- 87.1% テレビ契約
- 71.9% 固定電話
- 69.1% インターネット接続
- 65.5% 移動電話
通信の自由化の結果、これまでの固定電話会社、携帯電話会社、衛星テレビ会社などの垣根がとれて、1つの通信会社が4つのサーピス全てを提供できるようになっているので、3つあるいは全部を組み合わせた割安な総合サービスがあるのだが、この評判は良くない。
記事によると70.6%の消費者は割安総合サービスを避けて、個別のサービスを契約しているという。
一つの会社の総合サービス契約をすると、サービスが落ちるときは全部一斉に落ちて通信不能状態になるというのが不評の理由のひとつである。
これは衛星通信やケーブル通信に全部のサービスが乗っかっているからだろう。
インターネットを経由しない方法での日本のテレビ視聴は、衛星によるNHK放送だけでなので、ブラジルで日本のNHKを見たいという人は、衛星テレビの契約をする。
一般ブラジルで需要の少ないNHKなどは衛星テレビの基本パックに含まれないから、NHKの入った「エスニック」パック契約をして、大みそかの紅白歌合戦などライブ放送なのだが、時差分11時間遅れで見ている。
日本・ブラジル同時放送なのだが、日本で新年になる瞬間は、ブラジルは12月31日午後1時ということである。
しばしば勧誘電話がかかってくるが、わが家ではテレビは興味ないので地上波で十分、という理由で、総合サービスは断わり、固定電話とインターネット接続はA会社と、インターネット接続なしの携帯電話2台はB会社と契約している。
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