2014年6月19日

国歌を礼拝堂で力一杯歌う

今日までワールドカップ2014ブラジル大会で、ホスト国ブラジルの登場は12日開幕戦と昨日17日の2試合があった。
テレビの報道を見ると、ブラジル応援団が、"cantou (o hino nacional) a capela"と言っていた。
国歌を礼拝堂ふうに歌った?

ポルトガル語capelaに対応する、英語のchapelチャペルは日本語にもなっているだろうが、辞書を見ると小教会、小聖堂、礼拝堂と書いてある。
普段は無人のこじんまりとした教会や、病院の中にある礼拝室などがカペラと呼ばれているようだ。
そう、こちらでは大きな病院の中に礼拝室が備わっていることが多い。
患者だけでなく見舞い客も心の支えを求めてお祈りするのだろう、小さいが教会の中にいるような落ち着ける空間を作っている。

そして、日本語でも音楽用語だろうか、無伴奏の歌唱は「アカペラ」という。
音楽用語というとイタリア語であるから、"a cappella"というのが原語であり、ポルトガル語でも意味と発音は同じようである。
国語辞典には、《礼拝堂ふうに、の意》楽器の伴奏を伴わない合唱曲、と書いてある。
語の区切りを意識すると、「ア・カペラ」だ。

開幕戦の最初は見損なったので、第2戦直前の国歌演奏を少し注意深く見た。

メキシコ国歌が終わったあと、ブラジル国歌の番だ。
セレソン(代表)の選手たちは、音程は分からないが、大きく口を開けて歌っている。
国歌をしっかり歌うのは、心を力づけ決意を固める意味もあるのだろう。
歌詞の意味するのは国家独立の由来と祖国の誇りであるからだ。

国歌には短いものも長いものもある。
長い上に2番以降の歌詞、つまり繰り返しのあるものもある。
ブラジル国歌は長いし2番がある。
歌詞には普段聞かないようないかめしい単語が出てくる。

会場に流される国歌演奏は真中部分をカットした短縮版だった。
大多数を占めるブラジル応援団観客はどうしたか。
テープ(テープではないのだろうが慣習なので)で流れる短縮版演奏を全く無視して、演奏が終わってからもスタジアムをうめる大観衆は、短縮版でない本来の歌詞全部を、勝手に、といってもバラバラでなく斉唱で力いっぱい、一番だけであるが最後まで歌っていた。

ワールドカップ大会ホスト国であることの利点はいろいろあるだろうが、観衆が長い国歌を全部おもいっきり歌えるというのもその一つなんだと認識させられた。

自国民や近所の国が何かと言ってケチつけること無く、精一杯歌ってもらったり、スポーツ選手に誇らしく掲げてもらったり、ブラジル国歌やブラジル国旗は、無生物だから何もうれしくも悲しくも思うわけはないのだが、幸せな国歌であり、国旗であると思う。

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