2015年1月22日

ムハマンドとイエニスタ

予測変換とコピペの功罪の話である。

パソコンやスマートフォンなどで日本語を書くときには、ATOK とか MS IME とか Google日本語入力とかのお世話になる。
使っている人はわかると思うが、これが便利なのは漢字がうろ覚えであっても、入力途中で予測変換して候補が出るので、辞書を引かなくてもたいていは正しい漢字を選ぶことができる。

この間別記事を書いていた時に引っかかったことがある。
正しくはムハンマドというのにムハマンドだと思っていて、「むはま」と入力したら予測変換で全文字打つ前にムハマンドになってしまったようなのだ。

預言者の名前はポルトガル語では Maomé と書かれ、マオメ(ー)と呼ばれる。
イスラム教は昔マホメット教と呼ばれていたと思うが、それと似ている。

Yohoo知恵袋の記事
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1287663252
にはアラビア語の説明で、短母音は文字に現れない、とあるので、アラビア語をアルファベットで書くと mhmmd となり、ムハマンドと読むことはできずにムハンマドがより正しい、と詳しく説明してある。
英語にするとき子音だけではわけがわからないので、アラビア語では書いていない母音を書くときにいろいろな母音が使われる、とある。
そのため英語表記になると、
Muhammad Muhammed Mohammad Mohammed Muhamed Mohamed
などといろいろに書けるのだという。
これがすべてアラビア語では محمد 、一つ一つ切り離すと م ح م د となるそうだ。
興味深いのだが難しい言語である。
このアラビア語の達者な回答者によると、「ムハンマッド」に近い発音をされる。

Wikipediaによると、Muhammadとローマ字に転記され、近年では標準アラビア語の発音に近い「ムハンマド」に表記・発音がされる傾向がある。
でもポルトガル語で会話の時は、プロフェタ・マオメーと言わなければわかってもらえないだろう。

フットボールのスペイン代表選手の名前で、イニエスタなのかイエニスタなのかわからなくなる、というのを聞いたことがある。
原語では Andrés Iniesta 間違いなくイニエスタである。
ieという二重母音は、eにアクセントが置かれ、スペイン語では多用されるのだが、日本人だったら「家にスタ」という連想が働くのだろう。
Google日本語入力を使って「いえにす」と入力すると、「→イニエスタ<もしかして>」、と教えてくれるのはありがたい利点だ。

しかし、変換実績を学習するスマートな日本語入力システムで困るのは、パソコンやスマートフォンを一時的に誰かに貸さなければならないときだろう。
いつも◯◯な単語を変換すると、システムは◯◯な単語を候補の頭に持ってきてくれる。
◯◯が「高尚」とか「優雅」とか「難解」なら格好がつくのだが、「下劣」とか「卑猥」とか「変態」とかだったら、普通の人は恥ずかしく感じるだろう。
プライバシーを隠匿する操作をマスターしなければ危ない。

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