自撮り棒という物体であるが、英語でselfie stick、ポルトガル語ではselfieはselfieなので、pau de selfieとか呼ばれている。
10年前には存在しなかっただろう。
いや、最近読んだ記事では、デジカメが出始めた頃、ある日本のメーカーが発売したのだが、棒の先につけるには当時のカメラが重すぎたために普及しなかったと聞いた。
先取りすぎた製品だったのだ。
そうだったら自撮り棒は日本発祥ということになる。
ブラジル人はSNSが大好きである。
SNSなどしょっちゅう呼ばれて、どうでも良い写真を見させられて、いちいち褒めたり、いいね押したりするのはめんどくさくてやってられない、といううちの家族のような人はかなり少ないようである。
世界的に見るとかなり特異であるが、ブラジルではGoogleがやっていたOrkutというSNSが流行していた。
そのうちOrkutは廃れて、Googleは2014年9月にサービス停止した。
その頃からのSNSユーザーはFacebookに流れて、新しいユーザーも巻き込んで繁栄している。
ついでだが、ブラジルでLineユーザーはほとんど見られず、音声通話はできないがメッセージアプリWhatsAppがその位置を占めている。
近年のスマホの発達により、これまで家に情報機器の一切無かった家庭に、デスクトップやノートパソコンの段階をすっ飛ばしてスマホがインターネット初体験という人々が想像以上にいるようである。
使用に多少の「作法」が必要なパソコンとちがって、スマホだったらこれまでの携帯のノリで、スイッチを入れたらいきなり使える、という手軽さがある。
カメラも同様である。
日本の年配のカメラ小僧(古い!)だったら、昔は35ミリ銀塩フィルムとか、一眼レフとかを愛用していた連中が最近になりデジタル一眼とかコンデジとかを使うようになったのであるが、最近のスマホのカメラ機能の発達は著しく、余程のこだわりがなければ出かけるときはスマホだけ、という人も増えただろう。
ブラジルだったらカメラは高価な精密機械であったため、昔は手が出ず、生まれて初めて使うカメラがスマホだという人は多いと思う。
写真とSNSが結びつけばセルフィーである。
ブラジルの地方都市では見かけたことはないが、selfie stick、自撮り棒は最近のスマホの注目アクセサリーである。
これから急速に普及すると思われる。
日本のディスニーランドで自撮り棒が禁止された報道を見たが、人の密集する場所で子供も多いところであるから安全のために禁止は妥当だろう。
ブラジルのサッカー界は先手を打った。
スタジアムでライバルチームのサポーター同士の乱闘が日常的風景になる(眉を顰める良識人は極めて多いのではあるが)ブラジルである。
乱闘の武器になりそうなものをことごとく排除してきた歴史がある。
スタジアムで試合を見ながら飲むビールは最高という人は多いと思うが、瓶は危ないからと缶になった。
缶も危ないだろうとプラスチックコップになった。
酔って勢いがついて喧嘩するというので、スタジアムの酒類販売や持ち込みが禁止となった。
2014年のワールドカップでは、大スポンサーがビールメーカーというので、例外でビールが解禁されたのは新しい思い出だ。
振り回すと危ないというので旗竿が禁止となった。
最近の旗は竿についていなくて、観客席を覆う巨大旗が観客の手によって広げられたりまくられたりするのが主流である。
そうして危ないものをスタジアムから無くしてきたところに、自撮り棒などというものが現れた。
振り回すのに手ごろな長さの棒である。
スマホのところにおもりをつけるようなことを考えだす輩もいそうだ。
一昨日のニュースを見たら、これまでいくつかの州で禁止された自撮り棒が、全国的にスタジアム持ち込み禁止となったようである。
ひとつ気になることを言っていた。
飛行機の中では自撮り棒は禁止されていないようである。
人が狭い空間に密集する機内である。
後ろの列に陣取ってレジャー旅行だと浮かれる連中の騒ぎに辟易していたところ、頭上にスマホのついた自撮り棒がニューっと伸びてきたら旅が最悪になること間違いない。
こっちもそのうち禁止されそうである。
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