2017/2018年の夏時間の話である。
これまでブラジル政府の嘘を聞かされてきたのだろうか。
毎年の夏時間期間の前後によく報道されたのは、「今年は〇〇パーセント、××レアルの電気代が夏時間のために節約できた」という数字である。
過去の当ブログ記事を見返す。
少し前の話になるが2013/14年の夏時間では、連邦政府は夏時間実施による電力節約を全国総額で50億レアルと試算していた。
さらに以前の2011/2012年の夏時間の要求電力(デマンドと書いてあったが、瞬間的な電力の大きさのことだと理解した)が、夏時間なしと比較して4.6%減少すると試算した。
大量の余剰電力を貯蔵することは難しいので、発電能力は使用量のピーク時に合わせなければ、いくら需要の少ない深夜に電力が余ったとしても電力不足になる。
発電量が不安定な、太陽光とか風力のような持続可能エネルギーだけに頼ることができない理由の一つでもある。
3年前からだろうか、流れが変わり始めた。
2014/2015年の夏の平均発電コストは、前年の夏より高くなるので、いくら夏時間を実施してもこれまでの年のように大きな電気代節約ができない、と発表された。
なぜか?
水力発電は発電量が安定して、コストが安くて、電力需要に合わせて稼働タービン数を増減してある程度電力生産調整ができるし、これに大部分を頼るブラジルはその利益を享受してきた。
反対に水力発電の欠点はといえば、巨大ダム建設は水系を変化させて環境に影響が大きい、立地地形が限られる、需要地から遠いことが多いから送電に金がかかるなどあげられるが、何と言ってもダムに水がなければ発電できない。
地球温暖化と関連があるかここでは問題にしないが、少雨のためダム水位が低いと、やりくりを心配しなければならない。
ダムの水位が低いときには、雨季の大雨が来るまで水をもたせなければならないから、高コストの火力発電所をフル回転させて、できる限り水力のタービン数を減らして発電する。
これが当年夏の発電コストが昔より節減できない理由であった。
最近2017年9月21日の報道である。
政府は夏時間の終焉を検討する
https://www.msn.com/pt-br/noticias/brasil/governo-estuda-acabar-com-o-hor%C3%A1rio-de-ver%C3%A3o/ar-AAshoeD
鉱山エネルギー省の国家電力システム運用部(Operador Nacional do Sistema Elétrico (ONS))は、夏時間導入の目的であった電力代節減がこの時点に至って、効果が無効に近い、もうほとんど効果がないとの結論を出した。
夏時間廃止派の分析は、ブラジル人の消費パターンが変化して、電力負荷の中身の変化を指摘する。
夏時間の効果が高かった昔は、まだ日の高いうちに仕事を収めれば、工場や事務所の照明や機械の電源を切断するから節電につながっていた。
今は伝統的な労働時間の枠が崩れて、夜間に仕事や活動を行う人が増え、帰宅時間が遅くなっていることがある。
見落とせない消費パターン変化は、昔は見ることのなかった家庭のエアコンが普及して、早く仕事を切り上げて事務所のエアコンを切断して家に帰っても、日がまだ高くて暑いから、家庭のエアコンの稼働時間がとうしても長くなる傾向がある。
しかしながら夏時間存続派の意見は、たとえ節電経済効果がなくても、商業と観光業へはプラス効果を期待する。
人々は「1時間余計に金を使う時間ができる」というのがその理由だ。
続く2017年9月26日の報道である。
政府は夏時間の維持を決定
http://www.msn.com/pt-br/noticias/brasil/governo-decide-manter-hor%c3%a1rio-de-ver%c3%a3o/ar-AAsrRWw
ブラジル夏時間の第1回目は1931/1932年の夏であり、1985年からは毎年実施している。
2016/2017年夏時間の節電効果は1億6千万レアルで、電力部門全体の大きさと比較して小さいと評価を受けている。
前の記事の事実を認めた上で、2017/2018年の夏時間の実施を決定した。
期間は2017年10月15日0時に時計の針を1時間進め、2018年2月18日0時に1時間遅らす。
夏時間継続期間は126日である。
実施地方はブラジルの南部、南東部、中西部である。
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