2020年3月2日

Vale社関連韓国鉱石船の座礁

過去の記事「韓国製新鋭巨大鉱石船は鉄くずになるか」では、別の船会社の持ち船に、鉱石輸送の最初の航海に出たばかりで亀裂が入った事件について記した。

No Maranhão, Marinha planeja esvaziar tanques de navio encalhado
29/02/2020 22h33
Ibama encontra óleo ao redor de navio encalhado na costa do Maranhão
28/02/2020 14h53
2つ目のリンクに写真多数

マラニョン州沖約100キロあたりで、2020年の灰の水曜日である2月26日から、Vale社の29万5千トンの鉄鉱石を積んだ韓国船会社所有の鉱石運搬船が座礁している。
20名の乗組員は当初船内にいたが、船がだんだん傾いてきたため、タグボートに避難した。

鉱石運搬船Stellar Bannerは全長340メートルで、積荷は中国向けの鉄鉱石29万5千トンである。
ブラジル海軍、イバマ(IBAMA-ブラジル環境資源院)、荷主のブラジルVale社、船主の韓国Polaris Shipping社は、座礁して横に傾いている巨大な船から、4千トンの燃料の大部分を、より小型の船に積み替えて撤去しようと計画している。
燃料を抜いてから、船を軽くして砂州から浮上して曳航可能になるまで鉄鉱石の一部を抜き取る試みに移る。
もちろん海洋汚染を防ぎ、同時に船体を保全するためである。

現在のところ、甲板に置いてあったと見られる、比較的少量のグリースやオイル類が海面に漏れ出しただけで、燃料及び鉄鉱石は漏れていないので、大規模な汚染には至っていない。
オイルフェンスを施設する作業船は現場で監視中、燃料抜き取り作業船4隻が現場に向かっている。

Stellar Banner丸の船長は、「船が未だ正体不明の何かにぶつかり、船殻に2つひびが入ったので、難破を避けるために海岸から100キロにある砂の浅瀬に座礁させた」と語った。
「未だ正体不明の何か」とは、一体どんな物体なのだろうか。
340メートルの船体に損傷を与えるような鯨がいるのだろうか?
それとも以前問題を起こしたのと同様な欠陥船であり、航行中に突然ひびが入ったのか?
単に操船の誤りで座礁したのを言い繕うつもりではないのか?
超大型船ではあるが100キロの沖合で座礁するというのは、沖合だから水深は深いだろうと安心できず、自動にしろ手動にしろ操船は大変だろう。

この韓国の船会社には不名誉な事故の前歴がある。

船主Polaris Shipping社が所有するStellar Daisy丸が2017年に大西洋に沈没したことは、「船の改造は危険か?」に書いた。
乗組員24人が26万トンの鉄鉱石を、やはり中国へ運搬する途中であった。
フィリピン人船員が2名助かったのみで、残りの22人は発見されていない。

後日譚である。
2019年に韓国政府が契約した米国の海洋探査会社Ocean Infinity社は、南アフリカのケープタウン西1300キロの大西洋海底にStellar Daisy丸の残骸を発見した。
引き上げることもできず、難破原因は未だに明らかになっていない。

さてStellar Daisy丸難破の翌2018年、中国Rizhao (Chinese: 日照)港で、同社の所有船マーシャル諸島船籍Stellar Eagle丸の改造を行っていたのであるが、安全査察をした韓国海事省により、22箇所の非認可の変造が発見されて勧告を受けた。
Stellar Eagle丸は、安全基準に達するまで出港を禁止された。

というわけで、この韓国の海運会社Polaris Shipping社の評判はあまり芳しくない。

続報 Vale社から中国へ鉄鉱石を運ぶ途中で座礁した船はマラニョン州沖で沈められる
Navio que levava minério da Vale para China e encalhou é afundado na costa do MA
12/06/2020 23h02

上の2020年6月12日付けリンク記事によると、この船は鉄鉱石と燃料の大部分を抜き取ってから浮上したので点検が行われたが、座礁地点に沈没させる決定がなされた。
報道は詳細を述べていないが、きっと点検の結果船体は曳航に耐えないという結論になったのであろう。

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