2021年2月27日

コロナ禁酒と外出禁止令

lei seca - 禁酒法
toque de recolher - 外出禁止令

よその州や市で、夜間外出禁止令やアルコール販売禁止令などが出ているというニュースは、最近よく耳に入る。
お気の毒なことに、と人ごとのように感じていたものの、わが町も強力な規制がかかった。
病床を増やしてもすぐに足りなくなる医療崩壊状態だから、しかたない。

2021年2月23日から少なくとも一週間、20時から翌朝5時までの、緊急要件に当たらない外出と、24時間つまり少なくとも7日間ぶっ続けのアルコール飲料販売禁止が、市条例で施行されている。

ニュース記事の見出しが、"Lei seca e Toque de recolher"となっていた。

Lei seca は、文字通りだと「干上がる法律」ということだろうが、通常アルコール販売が禁止されている状態を表している。
米国の「禁酒法」は簡単に調べてみる(Wikipedia)と、合衆国憲法修正18条のもとで、アルコールの製造、販売、輸送を、1920年から1933年もの長期間禁止した法律である。
原語は"Prohibition"と簡潔である。

今回のアルコール販売禁止は、立法府による法律ではなく、行政府である市役所によるから、適用地域は市域に限られている。

Toque de recolher をポルトガル語辞書で調べると、「晩鐘、消灯の鐘」と書いてある。
toqueは鐘などの鳴る音のことで、recolherは帰宅するという動詞であるから、トッキ・ジ・レコリェルとは元々は、現在もあるかどうか知らないが、日本の学校で鳴る下校チャイムのことであろう。
toqueには楽器の演奏の意味もあるから、下校時刻を知らせるための、ドヴォルザークの「家路」のような、聞いたら自然と家に帰りたくなる音楽のことを toque de recolher と呼んでもよいだろう。

しかし帰宅時刻である20時だけでなく、20時から5時までの間に toque de recolher という言葉を当てるのなら、その時間帯に外出するなということだから、外出禁止令としておこう。

今晩のニュースを見ていたら、サンパウロ州政府は、全州で金曜日の2月26日から3月初めまで、23時から翌朝5時までの外出禁止を行うそうである。
23時からと20時からをくらべると、特にレストランやバーのような外食業種にとっては、全く大違いである。

先週2月17日から、熱心な信徒が節制を行う四旬節に入っているため、アルコールなど販売禁止にしても、市民の抵抗が少ないとでも思ったのだろうか。
レイ・セカ前日は、駆け込み酒類購入のため、スーパーなどが密状態になる逆効果がみられた。

夜8時を回ると、これまでの深夜のごとく辺りが静まり返るのは、新鮮な感覚だ。
バスも夜8時には終点に着いているし、通りを走る自家用車も商用車もない。

特筆すべきは2021年2月25日の夜だ。
コロナのために2021年までずれ込んだフットボールのブラジル選手権(Brasileirão)の最終節で、人気クラブの一つ、フラメンゴが2年連続優勝した。
花火は打ち上げられたが、普通の年だったら熱心なファンが通りに繰り出して、クラクションを鳴らしながら走り回る、にぎやかな自発的優勝パレード(というか馬鹿騒ぎ)が全くないので、静かすぎてしまらない、奇妙な優勝の夜だった。
この静寂さは通常のときはなかなか得られない、とても貴重な時間だ。

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