米国はワクチン入手と接種に全力で取り組んでいる。
国内に複数のワクチン開発生産メーカーがある上に、政府の呼びかけに応えてライバル会社も巻き込んで協力して、ワクチン生産能力を上げている。
バイデン大統領は約3ヶ月先の5月末までに、米国の成人にワクチン接種を終えるつもりだと発言した。
そして現在の1日あたり接種人数は約2百万人で、これまで人口の15%が接種済みだという。
一方ブラジルはどうか。
本ブログの一つ前の記事で、ブラジル連邦政府はワクチンの購入交渉が下手で、ワクチン入手が非常に困難なことを書いた。
今日(2021/3/5)のニュースは、保健省の3月ワクチン購入予定数が4千5百万から3千7百万台まで下がったと言った。
それもまだ未契約だったり未承認だったりするワクチンを含んでいるという、不確実な数字である。
毎日発表される24時間の接種数を見ているが、一日あたり25万から30万くらいである。
それも連邦政府の五月雨式供給が途絶えると、接種も中断する。
2021年3月5日現在人口の3.75%が少なくとも1回、1.2%が2回めの接種を完了している。
以上の数字と国連発表の人口統計から計算してみた。
2020年推計で米国の人口は3億3100万、ブラジルの人口は2億1256万である。
米国もブラジルも一番優先順位が高いグループは医療従事者、とりわけコロナ患者に直接接触する人たちであるが、その人数は不明なため、高齢者から接種が始まったものと仮定する。
そして接種のペースは上の数字がこれからも続き、接種を拒否する人はいないとした。
65歳以上の人口と接種が終わる予定日
米国 55,049千人(総人口の17%)2021/3/7
ブラジル 20,389千人(総人口の10%)2021/4/15
18歳以上の人口と接種が終わる予定日
米国 257,510千人(総人口の78%)2021/6/16
ブラジル 158,962千人(総人口の75%)2022/7/21
確かにバイデン大統領の掲げた目標は、少し頑張れば半月早めて達成できそうだ。
しかしブラジルでは同じ結果となるまで、1年以上も余計に年月を要するということだ。
最初に接種した人たちの免疫が切れてしまい、次の接種サイクルに入ってしまうだろう。
永遠のワクチン接種キャンペーンになる。
現在までの新型コロナ死亡数
米国 520千人(世界1位)人口10万人あたり157人
ブラジル 261千人(世界2位)人口10万人あたり123人
まだ今のところは単位人口あたり死亡数で比べると、米国の状況はブラジルより深刻だといえる。
しかし米国はあと3ヶ月もすれば18歳以上の国民皆接種、つまり国民の78%がワクチンによる免疫を得て、国全体が集団免疫獲得のレベルに達する。
そうすれば死亡数増加もおのずからゼロに近くなってくるだろう。
かたやブラジルの単位人口あたり死亡数は米国とかなり近くなっているし、ワクチン接種が進むまでブラジルの死亡数減少は減速しないとなると、実数でも米国に追いつくことは間違いない。
ブラジルの接種速度が一日100万であったとしたら、2021/8/2に18歳以上の人口に接種が完了するのであるが、奇跡を妄想してもしかたがない。
米国は科学無視のトランプ大統領が、科学重視のバイデン大統領に代わり、流れが一気に変わった。
ブラジルはトランプ大統領に薫陶されたボルソナロ大統領が、思想を変えない限り2022年末まで相変わらず科学軽視・無視を続ける見込みであることが、両国の科学力・生産力の差を、さらに拡大していく未来が心配される。
しかし2022年下旬の大統領選挙で再選を目指すとなると、急速に方向転換する可能性は非常に大きい。
現実に、連邦政府がワクチン入手にもっと力を入れないと、地方政府が共同でワクチンを直接購入する動きが急速に形成されていて、連邦政府は保健政策の主導権と国民の称賛を持っていかれる可能性があり、大統領はそれを望まないだろう。
だらだら長びくコロナ流行のもとで、経済を止めたり緩めたりを繰り返しながら補助金を小出しにする消耗戦より、流行を一気に停止してから経済全開にするほうが政府の税収を増やし出費を減少するという認識が、もっと広まり力を得ると良いのにと思う。
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