2024年3月10日

デング蚊と戦う小魚

デング蚊の繁殖と戦う魚種
Espécie de peixe ajuda no combate à proliferação do mosquito da dengue
Jornal Nacional
06/03/2024

蚊の幼虫つまりボウフラを食べるため、池やプールのような大量の静水がある場所に放される魚がいる。
うちにもこれがいる。
学名 Poecilia reticulata、つまりグッピー"guppy"である。
しかし水槽で飼育される観賞用品種のような、美しい色や模様を持ってはいない。
グッピーのページにある上の写真のような野生型である。
ポルトガル語では通称名 barrigudinho というが、形容詞かつ名詞である barrigudo, barriguda が「太鼓腹の〔人〕」という意味なので、それに指小辞がついているから、強いて訳すと「腹ぷっくり小魚」とでも呼べるだろう。
この他にも gúpi(これは英語名発音をポルトガル語表記にしたものだと思う)、lebiste、guaru と、様々な名前で呼ばれていることがわかった。

この魚種の衛生目的利用は、1930年代にサンパウロやリオデジャネイロのような大都市で、マラリア対策として行われてきた。
デング蚊とマラリア蚊は異なるが、現在はデング蚊 Aedes aegypti 繁殖抑制に使われるように、手法が改良された。
研究によると魚一匹は、1日に70から80のボウフラを捕食する。
体の大きさの割によく食べるものだ

最近のデング蚊撲滅キャンペーンでは次のように言っている。
「一週間にたった10分だけ、家の周りや庭を観察してボウフラを退治しよう」
容器に溜まった水だったらひっくり返すだけで良いが、ひっくり返せないならば、排水するか殺虫剤を撒くかとなる。
根拠は、産卵された蚊の卵が幼虫、蛹への変態を経て成虫となって飛び立つまでが1週間なので、そのどこかで生活環を断ち切るということである。

グッピーは幼虫や蛹だけでなく、水辺に成虫の蚊が産んだ卵も食べるそうである。
ボウフラが湧いたバケツにグッピーを入れると、ボウフラを見つけるまでは当て所(あてど)なく泳いでいるが、見つけると水ごと一気に吸い込んでくれてなかなか面白い。
面白いだけでなくデング蚊対策の頼もしい味方である。

その後詳しく調べていたら、グッピーはカダヤシ目カダヤシ科に属すると書いてある。
カダヤシとはあまり聞いたことのない名前だ。
ココヤシとかパームヤシとか、ブラジルにはヤシ類は多いがその一つの名前なのかと勘違いしそうだ。
なんとカダヤシとは当然ながら「カダ椰子」ではなく「蚊絶やし」なんだという。
英名も Mosquitofish または Topminnow ということで、ボウフラを捕食するその食性がそのまま名前になっている。
道理でボウフラ退治が得意なわけだ、と納得した。

それならば、ポルトガル語で「腹ぷっくり」なんて名前ではなく、mata-mosquito「蚊殺し」とか come-mosquito「蚊食い」とか、日本語や英語に倣った、強面する名前にしてやっても良いのではないかと思う。
そんなことを思っていたら、既に peixe-mosquito 英語名そのままの魚がいるではないか。
これはグッピーと同じカダヤシ科ではあるが、別属の Gambusia affinis につけられた名前だ。
写真を見るだけでは peixe-mosquito = Gambusia affinis と barrigudinho = Poecilia reticulata の野生型の区別がつかない。
この件から外れるが、似ているが異なるメダカとカダヤシの違いが図解されていたのが興味深い。

0 件のコメント:

コメントを投稿