ブラジル中で大流行中のデング熱は、確認患者数が百万人を超えた。
この病気には特効薬はなく、かかってしまったら対症療法しかないのだが、ワクチンが存在する。
日本の武田薬品 (Takeda Pharmaceutical Company Limited) の製品で、商品名は"QDENGA"、多分ケデンガあるいはキデンガと呼ぶのだろう。
90日間隔で2回接種する。
効果はデング熱の4つのタイプ全部に対して、恒久的な免疫を作るもののようだ。
インフルエンザワクチンのように毎年とか、コロナワクチンのようにそれより短期間に接種を繰り返さなければならないような面倒なワクチンではない。
でも武田薬品は、熱帯地方でしか需要のないだろうこの病気のワクチンを、よく開発してくれたものである。
公共保険外でならば、ある診療所の宣伝をみるとR$ 390,00(390レアル)で処方してもらえる。
現在の為替レートは1レアル=30円であるから、計算すると11,700円となる。かなり高価なものだ。
適用年齢は4歳から60歳であり、この年齢帯なら処方箋を必要としないが、それ以外の年齢の場合は医師に受診して処方箋が必要である。
対象年齢で医師の受診を必要としないので、多分禁止事項や副反応の心配は少ないのだろう。
公共保険の場合現在、ワクチン供給量の関係から、デング熱が大流行中の五百あまりの地方自治体(市)において、児童からローティーンにあたる10歳から14歳に限って接種してもらえる。
この年齢帯が、デング熱に罹って入院が必要になる可能性が高いと言われているからである。
幼児とか老人が重症化することが多い普通の病気と比べると、対象年齢を見て奇異な感じを受ける。
これまで私的保険あるいは自由診療でのみしか手に入らなかったワクチンであるが、未曾有の大流行のために保健省が扱うようになった経緯がある。
しかしワクチンの分配に問題がないわけではない。
まず、製造供給が一社だけであり供給量に限りがあるため、公共保険が割り込んで分捕るような形になって、自由診療の病院でワクチン不足ぎみになった。
一番困るのは、90日後の第2回接種のときにワクチン在庫がなく入荷を待たされる事態が起きる。
一方で、公共保険が確保したのは大体120万回分であるが、ワクチンを求める人が少なく、こちらではワクチンが余り気味になっていて、約三分の一の40万くらいしか使用されていない。
どんな病気にも絶対罹りたくないから、できることは金がかかっても構わないから何でもするという人がいる一方で、罹ったときの症状が多少辛くても、死亡率が低い病気なら何もしないほうが得策と思う人や、根っからのワクチン忌避者に生まれついた人など、様々な考えがあるからこんなことになっても仕方ない。
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