昔英語の時間だったか、欧米ではイースターには絵の具できれいに塗り飾った卵をいろいろなところへ隠して、子供たちはそれを探すのを楽しみにしている、という話を聞いたように思う。
ブラジルで復活祭(po. páscoa, es. pascua)のシンボルというと、なんといってもウサギと卵である。
ブラジルの復活祭卵は、ペイントしたニワトリの卵ではなく、チョコレートでできている。
大きさも鶏卵大どころではなく、大きなものは長径30センチメートル以上もある。
普通は中空で、お楽しみとして中に別の小さなチョコレートが入っていたりする。
おまけのおもちゃなどが入っていて、その分値段を釣り上げる製品もある。
ブラジルには、バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣はない。
でもブラジルの菓子製造業にとって、チョコレートを売りまくる強い味方が、復活祭の卵チョコレートなのだ。
日本のお年玉みたいなもので、親戚中の子供に卵チョコレートをプレゼントする人は多い。
手元にあるフランス系スーパーCarrefourのチラシを見ると、卵チョコレートは350g級が19.90レアル、750g級が49.90レアルとなっている。
同じチラシで、普通の150gくらいの板チョコが3.99レアルなので、形が卵形をしていて、きれいに包装されているというだけで重量単価が2倍以上に跳ね上がる。
いくつも買う人には、結構な出費になる。
でもなぜウサギと卵なのだろうか。
両方とも繁殖力、生命力の象徴と言われているが、ウサギは卵を産まない。
この2つは結びついているのか、全く関係ないのか、これまでわからなかったのだが、きょう次の記事を見た。
クレジットカード請求書と同封されたパンフレットに書いてあったものだ。
出典や署名はない。
信じて良いかどうかわからないが、ウサギと卵の関係が初めて説明されたので書いておこう。
復活祭の起源と意味はひとつだけではない。
長い歴史の中で、異なる文明に触れてきた。
その中でブラジルには、いろいろなシンボルが生まれ親しまれてきた。
復活祭には3つのバージョンがある。
まずキリスト教、イエス・キリスト(Jesus Cristo ジェズス・クリストと読む)の復活である。
そしてユダヤ教、エジプト隷属からの解放と約束の地との邂逅を祝う。
それから収穫と豊穣を司る春の女神の祭典としての行事だ。
今日ブラジルで知られるシンボルである、ウサギ、卵、チョコレートとタラはこれらの文化の産物である。
タラはキリスト教文化から導入された。
カトリックは復活祭の前のある期間に「温血の」肉食を断つことを信徒に求めた。
タラは「冷血の」肉であると考えられたから、ポルトガル人たちはこの期間中、肉に代わるものとして好んで消費してきた。
ポルトガル人たちは、この習慣を植民地であったブラジルへ持ち込んだ。
ブラジルの多くの地方で、肉食を避ける聖金曜日に肉、つまりメインディッシュの代わりとして食される。
しかし、復活祭当日のごちそうとして魚のメニューを用意するのが習慣になっている家族や地方もある。
アングロサクソンの多神教(po. paganismo, en. paganism)に起源を持つ、OsteraあるいはEostreはゲルマン神話の春の女神であり、ウサギを抱き、一個の卵を手に持つ。
北半球の復活祭時期が春に重なるところから、同時に祝われるようになったので、これら豊穣のシンボルは、復活祭に取り込まれた。
春と収穫につながる、豊穣のときを祝うために、異教徒たちは魔力のシンボルや金で卵を飾り、地中に埋めたり、かがり火に投げ込んだりした。
神話では、オステラは子供が好きで、彼らを喜ばすために鳥を、子供と一緒に遊んでくれるウサギに変身させた。
しかし、ウサギは元の体に帰りたくなったのだが、オステラの魔法の変身力が戻ってくるのに、次の春まで待たなければならなかった。
時が来て、ウサギを鳥に変身させたとき、鳥は感謝して卵をいくつかさしあげた。
でも変身はいっときのものだったので、またもやウサギになって、卵をきれいに飾って世界中に広めた。
卵形チョコレートは、伝統的なペイントした鶏卵に代わるものにしようとして、フランスの菓子職人たちが導入した。
このすばらしい美味は、今日では世界中で、とりわけブラジルで愛されるようになったのである。
なるほど。
現代のブラジルではオステラが喜ばすのは子供たちだけでなく(もちろん子供たちは喜ぶのだが)、菓子製造業の大人たちをもっと喜ばせているのだ。
後でキーワードOsteraで検索したら、Wikipediaにも鳥とウサギの物語は載っていた。
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