2016年10月1日

エチオピア経由考

エチオピア航空でブラジルから日本往復の旅をした。
この経路は2つの便に分かれている。
しかし預け荷物は最終目的地まで行くので、アメリカ合衆国経由便のようにいちいち荷物の受け渡しをする面倒さは無い。
  • 成田から香港(4h45m)経由アジスアベバ(10h05m)行き
  • アジスアベバからロメ(5h30m)経由サンパウロ(7h40m)行き
アジスアベバ Addis Ababa - エチオピアの首都、アフリカ連合の本部がある大陸の重要都市
ロメ Lomé - 西アフリカのトーゴ共和国の首都
カッコ内に示した時間はその飛行区間の所要時間で、待ち・乗り換え時間などを含まない。

香港の忙しさは中国人の特性

香港停泊は1時間、通しの乗客は機内に留まるように言われ、この間に乗客の乗降と機体の給油が行われるが、やたら大勢の係員がどやどやと機内に入ってくる。
掃除係りはビニール大袋を持って席の間を回っているから、ゴミがあれば渡してスッキリする。
確認はしなかったが、便所掃除もしっかり行われているようである。

乗客リストとシールを手にした係員は、既に乗っている乗客に搭乗券提示を求めて、本来の座席をマジックで書き込んだ丸いシールを無造作に乗客の腕とかに貼っていく。
なかなかきっちりと管理するんだなと最初は思ったが、きっと中国人は座席指定など全く無視して勝手に空いている所に座るだろうから、こうでもしないと誰がどこに席を取っているか把握できなくなり、後から乗ってきた客と喧嘩が起きないとも限らないから仕方なくこんな手間を掛けているのだろうと思うに至った。

香港からアジスアベバに到着したときには、まだ機体がタクシング中でベルト着用サインが消えないうちに、大勢いた中国人乗客は一斉に立ち上がって頭上の荷物入れを開けてわさわさ降機準備を始めてしまって、エチオピア人のCAが「お願いですから座っていてください」と英語で言っても相手は大勢、ほとんど言うことを聞く人がいなかったところから、香港空港の係員の念の入った座席管理も身勝手な中国人対策ではないかと思えてしまうのである。

しかしサンパウロから7時間半も飛行したのにろくに便所掃除が行われない(確認はしなかったがそう思われた)のんきなトーゴのロメよりは、けたたましい香港の掃除軍団の仕事は便所がきれいになるだけ数倍気持ち良いと思った。

エチオピア航空の拠点、アフリカの大ターミナルであるアジスアベバ国際空港はかなりカオス

アジスアベバ空港に駐泊している飛行機は、ざっと見て十機以上もあったが、ほぼすべてエチオピア航空の機材であった。

到着・出発は第2ターミナルとなっていて、横に第1ターミナルが見えたがトランジットのためそちらへ行ってみることはできなかった。
きっと第1ターミナルは国内線専用なのだろう。

第2ターミナルの建屋であるが、ちょうど先ごろ終了したリオデジャネイロ五輪の施設のように、屋根下に構造材がむき出しに見えるような簡素な構造である。
堅牢な壁は一切なく、可動式間仕切りとドアや引き戸からなる区画は、イベント会場には好都合そうであるが、マイレージ高級会員のプレミアムラウンジであっても全く同じで、開け放たれた質素なドアから垣間見ると、多少豪華なソファと、飲み物と軽食のカウンターが備え付けてあるだけの、かなりがっかり仕様であった。

スペースに比較して人が圧倒的に多いので、出国手続き後で保安検査・搭乗ゲート呼び出し前の待合スペースは、軽食しか出さないと思われるレストランや貧相な免税店と密集していて、保安検査後のゲート前待合室とはガラス仕切り壁で区切られているのだが、向こう側もこちら側同様に人が密集しているので、全く落ち着かない。

町内会のバザーの商品陳列が十倍マシにみえるような、飾り付けなど気を使わない、全く売る気のなさそうな、どこも代わり映えしないくせに数だけはいくつもある免税・おみやげ店を一周りして、通りかかった時間のせいか食べ物が大方片付けられたビュッフェが20ドルもするのに幻滅すると、もうすることがなくなる。
デッキ・チェアのような形の、くつろげそうな、しかしだいぶ色の褪せた安楽椅子を運良く占めることができれば、搭乗時間まで一眠り仮眠することができる。

10時間以上空の窮屈な旅を続けて、うんこくらいは強固な大地の上の静かなトイレ個室でしたい、という人は多いだろうが、全く期待できない。

当初トイレとして作ったスペースが圧倒的に足りなくなったのだろう。
本来のトイレの横に、ちょうど仮設トイレのような高床式の、急な急造スロープをあがって入るトイレが増設してある。
そんな増設トイレが2カ所はあった。

増設でも仮設でも清潔で混雑なく気持ちよく使えるのだったら構わない。
絶え間なく掃除のおばちゃんが出入りして床を掃除しているのに、狭い空間に利用者が多すぎるので人はぶつかり合い、床は一向にきれいにならない。
言ってみれば、駅便所のなかでも下に当たる清潔さ程度だろうか。
サンパウロのグアルーリョス国際空港が天国に思える。

すっぽりかぶる前開きのないガウンのような形の、当地の典型的衣装のおっさんが、サンダルを片足づつ脱いで洗面台の上に足を持ち上げて洗っていたのはご愛嬌である。
蛇口をひねれば水が出るのに素直に感謝して、こういうところでもうんこしたり歯を磨いたりできないとアフリカ大陸の旅行はできないのであろう。

搭乗券と案内モニターに表示される第14ゲート前は、人が団子状態になっている。
普通一つのゲートには一つの直前の便の乗客しか案内しないと思うのだが、どういうわけか複数の便の乗客が複数の列を作っているようなのである。
搭乗中の便名の案内モニターをゲート直下に付けたら良いと思うのだが、予算が足りないのか、あくまで仮設であるからか、それが無いために無用な混雑を引き起こしているように思えた。

ロメ国際空港は西アフリカのハブ空港

ロメ国際空港に駐機している飛行機の中で大型のはエチオピア航空、小型のはアフリカ大陸シルエットの横にASKYと書いてあるASKY航空であり、これは「西アフリカ諸国の政府が主導し設立した」とWikipediaに書いてある。
ここがハブ空港である証拠に乗り降りする人がかなり多い。

行きの旅程中、隣りに座った人たちの素性は次のとおりだった。
  • サンパウロ→アジスアベバ ブラジル人の年配女性二人
    アジスアベバからエジプトのカイロ行きへ乗り換え、カイロに住む友人を訪ねてピラミッドなどを観光すると言っていた。
  • アジスアベバ→香港 中国人青年が一人、アフリカ勤務で帰省の旅か?
  • 香港→成田 一人で三人がけ席を専有できた。

帰りの旅程中は次のようだった。
  • 成田→香港 隣人なし。
  • 香港→アジスアベバ ポルトガル語も英語もよくわからない中国人青年が一人、アフリカの勤務地へ戻るのか?
  • アジスアベバ→ロメ 別の中国人青年、他の大陸から来たのか、アフリカ大陸内での移動かは不明。
  • ロメ→サンパウロ 隣人なしでゆったり。

大きな中国のプレゼンス

上に書いたように、乗客にはアフリカで乗降する中国人が多い。
香港で搭乗して、アジスアベバやロメからアフリカ各地に散っていくのだろうか。
空港内表示にも中国語は当然のように併記されていることが多い。
免税店には中国の酒や煙草の宣伝が大きく掲げられている。
アフリカで働く中国人が帰省のときに土産にするのだろう。

第2ターミナルの混雑さを見ると、現在の3倍位のスペースがあっても良さそうである。
アジスアベバ空港の拡張工事は進行中で、工事現場を囲む塀には、アルファベットと漢字で建設会社の名称の看板があるが、現地語であるアムハラ文字(ゲエズ文字)での表示はないのが悲しい。
空港の改良は中国の力を借りて行われてゆくのだろう。

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