ズバリそれだけを知りたいなら、米国のカーニバルで有名なニューオーリンズのサイトがあって、向こう9年、2027年までのMardi Gras(マルディ・グラ)の日付がここでわかる。
Mardi Grasとはフランス語で確か「肥えた火曜日」と言う意味だったと思うが、ブラジルでは普通にTerça-feira de Carnaval「カーニバルの火曜日」と呼ぶ日である。
カーニバルがキリスト教行事かというと巨大な疑問であるが、少なくとも日付の決め方だけは教会に従っている。
このようにキリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて日付が移動するものがある。
年の後半にある、知らない人はいないクリスマスは12月25日(ブラジルの祝日)、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日(ブラジルの祝日)―これはハロウィン(10/31)-万聖節(11/1)-万霊節(11/2)と続く―と、毎年同じ日付に決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。
2019年の移動宗教祝日を下に一覧表にした。
復活祭の日、2019年ならば4月21日日曜日が、すべての移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2018年より20日遅い。
さて2019年の復活祭の日付の決定について大きな疑問が湧いたのだが、詳しく調べた結果氷解したのでここに記す。
面倒くさい話はいらないから結果だけ見たいという人は、ここをクリックして記事の最後にある表へ飛んでほしい。
2019年の3月分点、つまり教皇庁のあるローマの春分の日は3月20日、その次の満月の日は翌日の3月21日になるはずだ(天文データはhttps://www.timeanddate.comによる)。
March Equinox (Vernal Equinox) is on Wednesday, 20 March 2019, 22:58 in Rome.
Full Moon 21 Mar 02:42
これだけ見ると、天文学的な3月分点のわずか3時間44分後に満月の瞬間が訪れるのであるが、教会暦では3月21日は「春分の次の満月」とみなされずに、その次の満月4月19日金曜日が「春分の次の満月」となって、従って2日後の2019年4月21日日曜日が復活祭となっている。
なぜだ?
はるか昔から(カトリック)教会本部の重要な仕事の一つが、復活祭の日付を決定することであった(コンプトゥス)のであるから、上のデータだけ見て2019年の復活祭の日付は、俺の計算と違うぞおかしいぞとローマ教皇庁へ抗議しても当然相手をしてくれないと思われ、調査してみた。
コンプトゥスのリンクをざっと見たら、概要のところに簡単な説明がある。
毎年教会暦を確認する時に考え込まないように、次に整理しよう。
- キリスト教の教会暦において春分の日は3月21日に固定されている
- 3月21日(暦上の春分の日)当日あるいはそれ以降の最初の暦上の満月(新月から数えて14日目)を過ぎたあとの最初の日曜日が復活祭
- 太陽が春分点を通過するのが3月20日であり、日本の祝日春分の日が3月20日であっても、教会暦の春分は必ず3月21日である
- 月が望(厳密な満月時刻)となるのが、その前の朔(厳密な新月時刻)から15日目であっても、教会暦では必ず14日目である
でも3月21日は満月当日でないか?
上の規則2が適用されるかどうか確かめるために、3月21日を含む朔望月を調べると、朔日つまり陰暦1日は
New Moon 6 Mar 17:03
であるから、陰暦15日は3月20日であり、天体の月の望日つまり
Full Moon 21 Mar 02:42
より一日早く、従って教会暦春分日と同日以降の満月にはならない。
だから次の満月は次の朔望月に持ち越されて
New Moon 5 Apr 10:50
を朔日とする陰暦15日つまり4月19日であり、これは天体の月の望日
Full Moon 19 Apr 13:12
と一致する。
ちょうど中秋の名月(十五夜)が必ずしも満月でない現象と全く同じ現象が起きるのである。
くどい演繹をしたが、これで納得できた。
あわてて教皇庁へ抗議などして恥をかくという、大変な目に遭うところだった。
当然の結果として、一朔望月である29日半に加えて、月曜から日曜の6日間から4日少ないだけの2日を足した合計の31日が春分の日付に加算されるから、2019年の移動宗教日はとても遅い部類である。
実際に2015年から2027年までの過去4年と将来9年の13年間で最も遅い日付である。
ブラジルで国定祝日(feriado nacional - 下表ではFN)、任意出勤(ponto facultativo - 下表ではPF)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意出勤というのは、建前では労使協定によって、職種組合や職場ごとに、休日とするか勤労日とするか決められる。
大部分の勤め人にとっては、普通の休日となることが多いが、商店は営業するところと休むところがある。
行事 | 日の決まり方 | 2019年 | 休日種類 |
---|---|---|---|
カーニバル Carnaval | 週末から灰の 水曜日前日4日間 | 3月4-5日 月火曜日 | PF |
灰の水曜日 Quarta-feira de Cinzas | 復活祭46日前の水曜日 | 3月6日水曜日 | 14時までPF |
四旬節Quaresma | 灰の水曜日から復活祭前日 | ||
枝の主日 Domingo de Ramos | 復活祭7日前の日曜日 | 4月14日日曜日 | |
聖週間Semana Santa | 枝の主日から復活祭前日 | ||
キリスト受難日 Paixão de Cristo | 復活祭の2日前の金曜日 | 4月19日金曜日 | FN |
復活祭Páscoa | 北半球春分の次の 満月の次の日曜日 | 4月21日日曜日 | |
ペンテコステPentecostes | 復活祭の49日後の日曜日 | 6月9日日曜日 | |
キリスト聖体の日 Corpus Christi | 復活祭の60日後の木曜日 | 6月20日木曜日 | PF |
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