2020年8月13日

当たる予測外れる予言

ルイス・エンリケ・マンデッタ(Luiz Henrique Mandetta)は、2019年1月から2020年4月までブラジルの保健相であった。
国民の隔離政策とクロロキン使用について、ボルソナロ大統領との意見の相違が大きく、4月半ばに罷免された。

この人は元々医師であり、Covid-19の流行の予測を行ったことを2020年3月29日の当ブログ記事に書いた。
思い出してみよう。

「患者の増加期は4,5,6⽉、平坦期が7,8⽉、下降期は9⽉からで、⼈⼝の50%が感染するまで続くだろう、と予想していると発言した。
しかしこれは政府と国民が全く対策を取らなかった場合であり、医療崩壊に至ると付け加えた。」
ということだった。

最近のテレビニュースでは、ブラジルのCovid-19動向を説明するのに、感染確認数増加や死亡数増加について、今日と14日前それぞれの日から7日前までの移動平均をとって、その間の比率を計算している。
14日前と比較してプラスマイナス15%以内に収まっていたら、増減なしと判断する。

それに準じて、7日間移動平均のグラフを作ってみた。
死亡数増加について見てみる。
初期に当たる4月中旬に200%程度から始まった死亡数増加数の14日間増減曲線は上下しながらも急速に低下して、6月中旬ころからグラフ横軸を中心として上下する増加数平坦期(つまり、おおよそ一日1000から1050)に入っていて、現在も続いている。
マンデッタ元保健相の予測にほぼ沿っているといえる。

ということは、マンデッタ予測がこれからも当たるのならば、いま8月中旬に入っているから、あと3週間もすれば増加数が減少していく時期を迎えることになるだろう。
あるいは平坦期入りが半月早まったことから、減少期も早まってすぐにこれから減少が始まる(常にグラフの横軸の下に位置する)かもしれない。

さて、ボルソナロ大統領の問題発言にこういうのがあった。
ブラジルのCovid患者急増に関してどういった政策を取ろうとしているのか記者に問われて、
「どうしろって言うんだ?私は救世主だが奇跡は起こせない」
と答えたものだった。

種を明かせば大統領のフルネームは"Jair Messias Bolsonaro"で、メシアスがミドルネームであるから、それにかけているのであって、何も自分が救世主であると自任しているわけではない。

名前が救世主であるのはまあ良いとして、予言者であるかどうかが問題だが、別の機会にこう発言した。
「コロナは国民の"60%"が罹るまで続く」
"60%"と言う数字は50から60だったか、それとも60から70だったかよく覚えていないが、とにかく半分以上ということだ。

この発言は明言しないまでも、スウェーデンが拠りどころとする、国民が集団免疫に達するのを目標とするということと、実質的に同じではないか。

マンデッタ元保健相はボルソナロ政府発足当時からの保健相であるから、両者が決別するまでのボルソナロ大統領の医学・疫学的な発言内容は、マンデッタがボルソナロに指南したことに違いないと思われる。

さて、当たるか当たらないか?

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