2023年4月23日

年金改革できない国フランス

フランスの年金改革についてニュースで説明していた。
簡単に記しておく。
以下ブラジルでなくフランスの話である。

将来20年でフランスの人口の三分の一が、60歳以上の老齢者となる。
現在のフランス国内総生産のうち、社会保障費が14%相当を占める。
フランスの年金改革の骨子は、2年かけて年金受給最低年齢を62歳から64歳へ引き上げることである。

マクロン大統領は、議会の議決を必要としない大統領令について定めた、フランス憲法49条を拠り所に年金改革を強行した。
これを覆すことのできる議会による大統領不信任は、改革反対派にとって成立のハードルが高く成立しなかった。

フランス司法はこの年金改革の内容について、正当で合憲であると判断した。
反対派は国民投票を要求するが却下される。
国民に不人気だが将来のために必要と思われるような本題に関しては、国民投票で決定する性質のものではないことは法律の専門家でなくてもわかるだろう。

マクロン大統領は正面突破を狙ったが、もっと(ずる)賢いやり方があったのではないかと思う。
例えばの話であるが、年金最低受給年齢を62歳から64歳へ上げる年金改革と、年金については今の制度に手を付けないが、そのままだと近いうちに国庫の底がつくから、付加価値税を今の10%から20%へ(数字は例え話で架空)引き上げる税制改革とどちらを選ぶか、といった、「究極の二択」を議会へ提案するのである。
連合王国でEUから出るか出ないかのブレグジットについての国民投票をおこなったように、年金改革と税率アップのどちらかを選ぶという設定なら、国民投票をすることも妥当になるだろう。

その結果現在は年金改革反対で全国民がまとまっているようにみえるが、高齢者層と若年層のあいだに分裂を引き起こすかもしれない。
どこの国にも二極化はあって、米国やブラジルの大統領選挙でみられるように、全員の同意は必要でなく、半分プラス1票があれば十分であるからだ。

最新のニュースではフランスの軍艦が台湾付近を航行したということで、フランスというかマクロン大統領は中国に寄ったと思えば米国寄りに戻ったりと、かなり外交バランスに気を使っていることが見える。

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