2011年7月22日

外国の医学部で金をかけずに医師になる

ブラジルの公立大学は授業料が無料である。
連邦立・州立・市立全部が無料かは確認できないが、少なくとも連邦立大学は無料だ。
だから特に医学部などは狭き門である。
普通に倍率100倍を超す。
しかしこの高倍率の理由は、もしかしたら受かるかもという楽観的受験者が多いというブラジル事情があるのだが。

難関の公立大学に入れないが、さりとて私立は授業料が高すぎるという向きには、留学という方法がある。
留学が安くつく?

アルゼンチンの103の大学の85%は公立で、大部分は首都ブエノスアイレスにある。
入学試験はなく、全員が入学できる。
全国150万人の大学生のうち、少なくとも2万5千人は外国人だ。
グラフィックデザインを例にとると、UBA(ブエノスアイレス大学)で学ぶ場合に授業料はゼロ、一方サンパウロの私立大学の授業料は月額2500レアルにまで達する。
公立大学の授業料無料はブラジルもアルゼンチンも同じだが、入学試験の有る無しが違う。

あるブエノスアイレスの私立大学で医学を学ぶブラジル人は400人を数える。これから入学の新入生500人のうち30%はブラジル人だ。
食費・住居費・交通費は個人持ちだが、レアル高の為替がブラジル人の味方になる。
現在1レアルが2ペソ以上に相当する。
一番授業料の高い医学部で7年間学んでも合計14000レアルしかかからない。

入学は簡単で身分証明と高校課程終了証明を添えて申請するだけだ。
しかしどの学科にも必修の1年間の基礎課程の後、難しい進学試験がある。
ポルトガル語とスペイン語は非常に似ていると言われるが、ポルトニョールと呼ばれる国境付近で話されるような両言語まぜこぜでは学生はやっていけない。

ようやく卒業しても難関が待っている。
アルゼンチンの医学部卒業者がブラジルで医師として医療行為をするためには、ブラジルの学位有効化試験に通らなければならない。
アルゼンチンの法学部卒業者がブラジルで弁護士として働くためには、OAB(ブラジル弁護士会)の試験に合格しなければならない。
OABの試験はブラジルの法学部卒業者にも課せられるため、スペイン語でアルゼンチンの法律を学んでから、ブラジルの法律を学び直して試験を受けるメリットはないように思える。
(以上2011年7月20日 Globo Jornal Hojeの記事をもとにした)

と、この報道があった日にインターネットで見たのは、医者になるためにロシアの大学に行くという話。
記事になったのはクルスク(Kursk)州立医科大学で学ぶ17歳のブラジル女子学生のケースだ。

Aliança Russaという団体が、ロシアの大学を代表してブラジル国内で試験を行う。
選考を通って11月にロシアへ渡った17名のうち、今ロシアに残っているのは7名という。
授業は英語で行われるが、ロシア語も欠かせないらしく、11月から1月まではロシア語の授業だったという。
諦めたブラジル人にとっては、寒さと言語が大きな障害となるようだ。

カロリーネは高校卒業時のブラジルの公立医学部受験に落ち、私立に行く金はなく、予備校に行く気もないので、ロシア留学というかなりまれな道を選んだ。
ロシアの大学は外国からの留学生を奨学金付きで受け入れていて、(彼女の場合?)学費は年間5900レアルになる。
これはブラジルの私立医学部の2ヶ月の授業料に当たる。
さらに4人部屋の寮費を含む生活費が月700レアルかかる。
この月額1200レアルの勘定は、ブラジルの私立医学部で学ぶ場合よりずっと安くなるわけだ。

外国の大学で学び取得した学位をブラジルで生かしたい人は、学位を承認し法的有効化する手続き、つまりアルゼンチンの例であげた試験に合格することが必要だ。
これはアルゼンチンもロシアも同じだ。

ブラジル国内25の公立大学が協力して昨年行われた医師学位有効化試験法制化の先行試験は、32ヶ国で学んだ628名が挑んだが、合格者はたった2名だった。
どうも卒業後に最大難関があるようだ。
時々摘発される偽医者は、外国の医師資格をブラジルで有効化できない人が偽って病院で働いているのではなかろうか。

(以上2011年7月20日 http://ultimosegundo.ig.com.br/educacao/por+curso+de+medicina+brasileiros+vao+a+russia/n1597091493486.html から)

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