日本のニュースをみるのに、あらたにすを使うのだが、日経と朝日で全く反対の記事があった。
ひとつは
「中国「新幹線」空席8~9割 急速に鉄道離れ
収入減、今後の整備計画に影響も」(2011/7/29 23:09 日本経済新聞Web)、
一方、
「中国高速鉄道、ほぼ満席 絶えぬ「速さ」求める人たち」(2011年7月30日22時8分 asahi.com)
ということである。
どちらが真実に近いのかはわからないが、取材した日時や調査対象の路線が異なっていたら、全く反対の結果が出るのかもしれない。
さて、ブラジルと中国の高速鉄道運賃の比較をしてみよう。
asahi.comによると、「温州永嘉駅-上海まで1等席が219元(1元は約12円)で、正規運賃だと千元を超える飛行機より大幅に安く、長距離バスと大差ない」。
そこでGoogle Earthを使い、両都市間の距離を求めてみた。
車で移動した場合の走行距離であるが、鉄道でも大差がないと仮定しよう。
温州永嘉-上海の距離は439km、運賃は219元、1元は約12円だから、2,628円である。
リオデジャネイロ-サンパウロの距離は442km、ブラジル政府が要求する最高運賃は200レアル、1ドル=77円=1.57レアルで計算すると、9,809円となる。
ブラジルは中国の3.7倍も高いではないか。
ブラジル政府の設定するリオデジャネイロ-サンパウロ高速鉄道運賃の上限200レアルは、ブラジル国内では高すぎるという声が多い。
リオデジャネイロ-サンパウロのバス運賃を調べてみた。
座席の大きさで異なるが68から114レアル、新幹線の三分の一から半分くらいに当たる。
中国の鉄道運賃は異常に安すぎる。
しかしブラジルでは同じ距離を走らせて3.7倍も収入が上がるのに、中国は応札しなかった。
よほどブラジル側の要件が法外なのだろう。
さらに気になるのは次の記事だ。
"The price of high-speed ambitions" (BBC 28 July 2011 Last updated at 11:41 GMT)
この記事によると、今回の事故で中国は米国への高速鉄道展開のチャンスをゼロにしてしまった。
それだけでなく、マレーシア、ベネズエラ、サウジアラビアは、中国の高速鉄道をコピーしたいが、計画は中断した。
とあるのだが、ブラジルはどこへ行った?
先日のブラジルの高速鉄道入札不調により、計画自体が消滅したのかと思ってしまうような記事だ。
ブラジルでの中国の高速鉄道事故の報道は極めて少なく、事故当初にテレビで流れたが、事故後の車両を埋めたり掘り返したりとか、遺族の補償とか報道管制とかの動きは表に出ていない。
経済紙には出ているのかもしれないが確認していないのでわからない。
高速鉄道建設に国民の興味があったなら、建設運営体になる可能性のある中国での事故に報道は無関心ではいられないと思うのだが、冷めている。
中国の高速鉄道事故の報道量は、
日本(朝日・日経・毎日サイト) >> BBCやReutersサイト >> ブラジルのTVやサイト
の順に少なくなる。
日本では全く出ていないニュースだと思うが、今ブラジル連邦政府の運輸省(Ministério dos Transportes)は汚職で揺れている。
入札不正で連邦政府資金が横流しされているとTribunal de Contas da União(会計検査院)から指摘されて、政府高官20名が罷免されている。
足元に火がついて新幹線入札どころではないのではないか。
当初は2014年ワールドカップまでに開通させると言っていた気がするが、このまま応札者なしだから仕方ないという形でうやむやに消えて行くような気がしてならない。
2013年8月12日追加
Leilão do trem-bala é adiado em um anoMinistro dos Transportes e diretor-presidente da EPL anunciaram uma nova mudança na data para a concessão dos interessados na construção do trem de alta velocidade
iG São Paulo | 12/08/2013 13:21:23 - Atualizada às 12/08/2013 16:43:14
という記事が出た。
運輸相が高速鉄道入札の1年延期を発表した。
入札期限は2013年8月16日金曜日であるが、応札が1社に終わりそうだというのだ。
記事の中には「Japão, Alemanha, França e Coreia do Sul、つまり日本、ドイツ、フランス、韓国を含む、少なくとも7ヶ国の企業が興味を示した。」とあるのだが、その気配がみられない。
ブラジル政府は、そのうち安くなるだろうからと、永遠に延期を繰り返すつもりだろうか。
投げやり感満々である。
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