2018年12月29日
巷にあふれるマシェット
高千穂6人殺害 凶器は軍用山刀「マシェット」か
毎日新聞2018年12月26日 13時24分(最終更新 12月26日 20時38分)
記事の見出しが気になるのである。
軍用山刀「マシェット」?
「マシェット」は、スペイン語のマチェテであろう。
Wikipediaをみると、マチェテは、「中南米の現地人が使う山刀のスペイン語による呼称である」と説明している。
ポルトガル語でも同じ綴りでマシェチと読む単語はあるが、同じものを私たちはファコン(facão)と呼んでいる。
ナイフ(faca)に指大辞がついて「大ナイフ」といった意味になる。
ファコンなら私も使うぞ。
だから私も中南米の現地人なんだぞ。
しかし新聞の見出しの「軍用山刀」とは何だ。
確かに軍用に使われていることは上のリンク(特に英語版が軍用の使用について歴史を交えて説明している)を見てもらうとわかる。
普通の読者の受ける印象では、軍用と書かれると非常に危険な武器であると感じてしまうだろう。
昔はともかく、現代はファコンを使って白刃戦をするというのではない。
ブラジル陸軍はアマゾン(あるいはその他の原野や森林)でサバイバル訓練をするらしいが、欠かせないサバイバル用品であることは認める。
野生動物の狩りをしたり、戦わなければならないこともあるだろう。
実際は、軍需よりも民生用のほうが多いと思う。
高千穂でこれによって6人も殺されているから、武器ととらえられても仕方ないか。
私たちはこれを使って、行く手を塞いでいる枝葉や灌木を切り払って通り道を作ったり、草刈りをしたり、枝を打ち払って製材したりの作業をする。
農場には大小2つあった。
日本では鉈や鎌を使うような作業に、ブラジルのファコンは使われている。
ブラジル旅行をして、海岸の屋台で売っているヤシの実のジュース(液体の胚乳)を頼んだことがある人は見たかも知れないが、器用なココナツ売りは左手にヤシの実を持ち、右手に持ったファコン一つでヤシの実の片側を削って、ストローを差し込む穴を開けてくれる。
ココナツジュースがなくなると、ファコンで半分に割ってくれて、同じようにファコンで実の果皮をそぎ取ったものをヘラにして、ココナツの内側についたゼリー状の胚乳を食べる。
つまり、ファコン一つでココナツ売りの全ての用が足りるわけだ。
サトウキビの収穫は、現在は1台で200人分(この数についてはうろ覚え)の働きをするハーベスターを使って行われることが多いが、昔は人手に頼っていた。
収穫期になったサトウキビ畑に火を入れて、茎の周りに密着していて収穫作業の妨げになる、鞘状になっている下葉の基部を燃やしてしまう。
収穫の対象となる茎だけになったサトウキビを、収穫人はファコン一つで刈り倒して、集められた茎は砂糖やアルコール製造の原料になるために計量運搬される。
このようにファコンは軍用より何よりも農具なのである。
従って、どこの農機具屋でも売っている。
もちろん購入するのに許可などいらないから、誰でも買える。
日本の鉈や鎌よりも普及していると思う。
「殺傷能力の高さから、南米においてはしばしば凶器として犯罪に使用される」というWikipediaの解説がある。
鉈よりは軽いから、殺傷能力も鉈よりは低いと思う。
あるときある牧場でシュラスコがあったのだが、カウボーイ頭の男が腰にピストルをつけていたので、「お前そんな物を持ってきて大丈夫か?」と聞いたら、「いや荒っぽい奴が多いから」と答えた。
「危ないのはお前の方だろう」と言いたかったがこらえた。
部下をいつもいじめまくっていて、酒の入った娯楽の座で仕返しされるのを恐れているのかとも想像した。
遠くから馬でやってくるカウボーイ(vaqueiro ヴァケイロ)たちは、腰に鞘に入ったファコンを着けていなくても、馬具に装着しているだろう。
道中で藪を切り開かなければならなくなる可能性があるから必需品といえる。
秀吉が刀狩りを行ったのは、支配層の力を絶対的に増大するだけでなく、民衆の間に犯罪の凶器となりうる武器や道具を溢れさせないので、警察力が小さくても、凶悪犯罪は起きにくくなるわけである。
ブラジルの農村社会では農林造園機具でもあるファコンを取り上げてしまっては仕事にならない。
つまり、ブラジルでファコンを取り上げたり、所有認可制にするような政策はありえないから、社会にファコンが溢れているのは仕方ない。
当然だが、物は物に過ぎず、道具はそれを使う人によって善にも悪にもなる。
2018年12月28日
2019年のキリスト教移動祝日
2019年のカーニバルは何月何日か気になる人もいるだろう。
ズバリそれだけを知りたいなら、米国のカーニバルで有名なニューオーリンズのサイトがあって、向こう9年、2027年までのMardi Gras(マルディ・グラ)の日付がここでわかる。
Mardi Grasとはフランス語で確か「肥えた火曜日」と言う意味だったと思うが、ブラジルでは普通にTerça-feira de Carnaval「カーニバルの火曜日」と呼ぶ日である。
カーニバルがキリスト教行事かというと巨大な疑問であるが、少なくとも日付の決め方だけは教会に従っている。
このようにキリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて日付が移動するものがある。
年の後半にある、知らない人はいないクリスマスは12月25日(ブラジルの祝日)、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日(ブラジルの祝日)―これはハロウィン(10/31)-万聖節(11/1)-万霊節(11/2)と続く―と、毎年同じ日付に決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。
2019年の移動宗教祝日を下に一覧表にした。
復活祭の日、2019年ならば4月21日日曜日が、すべての移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2018年より20日遅い。
さて2019年の復活祭の日付の決定について大きな疑問が湧いたのだが、詳しく調べた結果氷解したのでここに記す。
面倒くさい話はいらないから結果だけ見たいという人は、ここをクリックして記事の最後にある表へ飛んでほしい。
2019年の3月分点、つまり教皇庁のあるローマの春分の日は3月20日、その次の満月の日は翌日の3月21日になるはずだ(天文データはhttps://www.timeanddate.comによる)。
March Equinox (Vernal Equinox) is on Wednesday, 20 March 2019, 22:58 in Rome.
Full Moon 21 Mar 02:42
これだけ見ると、天文学的な3月分点のわずか3時間44分後に満月の瞬間が訪れるのであるが、教会暦では3月21日は「春分の次の満月」とみなされずに、その次の満月4月19日金曜日が「春分の次の満月」となって、従って2日後の2019年4月21日日曜日が復活祭となっている。
なぜだ?
はるか昔から(カトリック)教会本部の重要な仕事の一つが、復活祭の日付を決定することであった(コンプトゥス)のであるから、上のデータだけ見て2019年の復活祭の日付は、俺の計算と違うぞおかしいぞとローマ教皇庁へ抗議しても当然相手をしてくれないと思われ、調査してみた。
コンプトゥスのリンクをざっと見たら、概要のところに簡単な説明がある。
毎年教会暦を確認する時に考え込まないように、次に整理しよう。
でも3月21日は満月当日でないか?
上の規則2が適用されるかどうか確かめるために、3月21日を含む朔望月を調べると、朔日つまり陰暦1日は
New Moon 6 Mar 17:03
であるから、陰暦15日は3月20日であり、天体の月の望日つまり
Full Moon 21 Mar 02:42
より一日早く、従って教会暦春分日と同日以降の満月にはならない。
だから次の満月は次の朔望月に持ち越されて
New Moon 5 Apr 10:50
を朔日とする陰暦15日つまり4月19日であり、これは天体の月の望日
Full Moon 19 Apr 13:12
と一致する。
ちょうど中秋の名月(十五夜)が必ずしも満月でない現象と全く同じ現象が起きるのである。
くどい演繹をしたが、これで納得できた。
あわてて教皇庁へ抗議などして恥をかくという、大変な目に遭うところだった。
当然の結果として、一朔望月である29日半に加えて、月曜から日曜の6日間から4日少ないだけの2日を足した合計の31日が春分の日付に加算されるから、2019年の移動宗教日はとても遅い部類である。
実際に2015年から2027年までの過去4年と将来9年の13年間で最も遅い日付である。
ブラジルで国定祝日(feriado nacional - 下表ではFN)、任意出勤(ponto facultativo - 下表ではPF)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意出勤というのは、建前では労使協定によって、職種組合や職場ごとに、休日とするか勤労日とするか決められる。
大部分の勤め人にとっては、普通の休日となることが多いが、商店は営業するところと休むところがある。
ズバリそれだけを知りたいなら、米国のカーニバルで有名なニューオーリンズのサイトがあって、向こう9年、2027年までのMardi Gras(マルディ・グラ)の日付がここでわかる。
Mardi Grasとはフランス語で確か「肥えた火曜日」と言う意味だったと思うが、ブラジルでは普通にTerça-feira de Carnaval「カーニバルの火曜日」と呼ぶ日である。
カーニバルがキリスト教行事かというと巨大な疑問であるが、少なくとも日付の決め方だけは教会に従っている。
このようにキリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて日付が移動するものがある。
年の後半にある、知らない人はいないクリスマスは12月25日(ブラジルの祝日)、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日(ブラジルの祝日)―これはハロウィン(10/31)-万聖節(11/1)-万霊節(11/2)と続く―と、毎年同じ日付に決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。
2019年の移動宗教祝日を下に一覧表にした。
復活祭の日、2019年ならば4月21日日曜日が、すべての移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2018年より20日遅い。
さて2019年の復活祭の日付の決定について大きな疑問が湧いたのだが、詳しく調べた結果氷解したのでここに記す。
面倒くさい話はいらないから結果だけ見たいという人は、ここをクリックして記事の最後にある表へ飛んでほしい。
2019年の3月分点、つまり教皇庁のあるローマの春分の日は3月20日、その次の満月の日は翌日の3月21日になるはずだ(天文データはhttps://www.timeanddate.comによる)。
March Equinox (Vernal Equinox) is on Wednesday, 20 March 2019, 22:58 in Rome.
Full Moon 21 Mar 02:42
これだけ見ると、天文学的な3月分点のわずか3時間44分後に満月の瞬間が訪れるのであるが、教会暦では3月21日は「春分の次の満月」とみなされずに、その次の満月4月19日金曜日が「春分の次の満月」となって、従って2日後の2019年4月21日日曜日が復活祭となっている。
なぜだ?
はるか昔から(カトリック)教会本部の重要な仕事の一つが、復活祭の日付を決定することであった(コンプトゥス)のであるから、上のデータだけ見て2019年の復活祭の日付は、俺の計算と違うぞおかしいぞとローマ教皇庁へ抗議しても当然相手をしてくれないと思われ、調査してみた。
コンプトゥスのリンクをざっと見たら、概要のところに簡単な説明がある。
毎年教会暦を確認する時に考え込まないように、次に整理しよう。
- キリスト教の教会暦において春分の日は3月21日に固定されている
- 3月21日(暦上の春分の日)当日あるいはそれ以降の最初の暦上の満月(新月から数えて14日目)を過ぎたあとの最初の日曜日が復活祭
- 太陽が春分点を通過するのが3月20日であり、日本の祝日春分の日が3月20日であっても、教会暦の春分は必ず3月21日である
- 月が望(厳密な満月時刻)となるのが、その前の朔(厳密な新月時刻)から15日目であっても、教会暦では必ず14日目である
でも3月21日は満月当日でないか?
上の規則2が適用されるかどうか確かめるために、3月21日を含む朔望月を調べると、朔日つまり陰暦1日は
New Moon 6 Mar 17:03
であるから、陰暦15日は3月20日であり、天体の月の望日つまり
Full Moon 21 Mar 02:42
より一日早く、従って教会暦春分日と同日以降の満月にはならない。
だから次の満月は次の朔望月に持ち越されて
New Moon 5 Apr 10:50
を朔日とする陰暦15日つまり4月19日であり、これは天体の月の望日
Full Moon 19 Apr 13:12
と一致する。
ちょうど中秋の名月(十五夜)が必ずしも満月でない現象と全く同じ現象が起きるのである。
くどい演繹をしたが、これで納得できた。
あわてて教皇庁へ抗議などして恥をかくという、大変な目に遭うところだった。
当然の結果として、一朔望月である29日半に加えて、月曜から日曜の6日間から4日少ないだけの2日を足した合計の31日が春分の日付に加算されるから、2019年の移動宗教日はとても遅い部類である。
実際に2015年から2027年までの過去4年と将来9年の13年間で最も遅い日付である。
ブラジルで国定祝日(feriado nacional - 下表ではFN)、任意出勤(ponto facultativo - 下表ではPF)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意出勤というのは、建前では労使協定によって、職種組合や職場ごとに、休日とするか勤労日とするか決められる。
大部分の勤め人にとっては、普通の休日となることが多いが、商店は営業するところと休むところがある。
行事 | 日の決まり方 | 2019年 | 休日種類 |
---|---|---|---|
カーニバル Carnaval | 週末から灰の 水曜日前日4日間 | 3月4-5日 月火曜日 | PF |
灰の水曜日 Quarta-feira de Cinzas | 復活祭46日前の水曜日 | 3月6日水曜日 | 14時までPF |
四旬節Quaresma | 灰の水曜日から復活祭前日 | ||
枝の主日 Domingo de Ramos | 復活祭7日前の日曜日 | 4月14日日曜日 | |
聖週間Semana Santa | 枝の主日から復活祭前日 | ||
キリスト受難日 Paixão de Cristo | 復活祭の2日前の金曜日 | 4月19日金曜日 | FN |
復活祭Páscoa | 北半球春分の次の 満月の次の日曜日 | 4月21日日曜日 | |
ペンテコステPentecostes | 復活祭の49日後の日曜日 | 6月9日日曜日 | |
キリスト聖体の日 Corpus Christi | 復活祭の60日後の木曜日 | 6月20日木曜日 | PF |
2018年12月27日
2019年のブラジルの祝祭日
連邦政府の企画開発管理省は、2019年の祝日と任意出勤についての通達442号を2018年12月28日付官報に掲載した。
下の表はこれに応じている。
一連のキリスト教関連の移動休日は、2018年より20日遅くなる。
たとえば2018年の灰の水曜日は2月14日、2019年は3月6日であるので14+6=20を足した日になる。
Feriado Nacionalは国定祝日であるが、もう一つのPonto Facultativoは任意出勤という意味である。
職種や企業によって働くか休むかが決められる日である。
各人が勝手に自分の都合で出勤したり欠勤したりして良いという意味ではない。
左端列の通し番号で11が欠番になっているが、政府公報では「公務員の日」(Dia do Servidor Público)になっていて、民間は通常日であるが、官庁は休日となる。
国営銀行とみなされるブラジル銀行(Banco do Brasil)と連邦貯蓄銀行(Caixa Econônica Federal)について、この日に営業するかは確実でなく注意する必要がある。
当表の連邦政府が定める全国一円の休日のほかに、各地で市、地方あるいは州の記念日が数日定められていることが多い。
次のサイトで、任意の過去・将来年の、任意の国の休日が入った月齢付きカレンダーを閲覧・印刷できる(英語・ドイツ語・当国語-ブラジルならポルトガル語)。
このリンクはブラジルの2019年
下の表はこれに応じている。
一連のキリスト教関連の移動休日は、2018年より20日遅くなる。
たとえば2018年の灰の水曜日は2月14日、2019年は3月6日であるので14+6=20を足した日になる。
1 | 1月1日 | 火 | Confraternização Universal | 世界友好の日 | FN |
2,3 | 3月4-5日 | 月火 | Carnaval | カーニバル | PF |
4 | 3月6日 | 水 | quarta-feira de cinzas | 灰の水曜日 | 14時までPF |
5 | 4月19日 | 金 | Paixão de Cristo | キリスト受難の日 | FN |
6 | 4月21日 | 日 | Tiradentes | チラデンチス・復活祭 | FN |
7 | 5月1日 | 水 | Dia Mundial do Trabalho | 世界労働の日 | FN |
8 | 6月20日 | 木 | Corpus Christi | キリスト聖体の日 | PF |
9 | 9月7日 | 土 | Independência do Brasil | ブラジル独立の日 | FN |
10 | 10月12日 | 土 | Nossa Senhora Aparecida | アパレシーダ聖母の日 | FN |
12 | 11月2日 | 土 | Finados | 死者の日 | FN |
13 | 11月15日 | 金 | Proclamação da República | 共和制宣言の日 | FN |
14 | 12月24日 | 火 | véspera de natal | クリスマスイブ | 14時以降PF |
15 | 12月25日 | 水 | Natal | クリスマス | FN |
16 | 12月31日 | 火 | véspera de ano novo | 大晦日 | 14時以降PF |
注:FN = Feriado Nacional 国定祝日、PF = Ponto Facultativo 任意出勤
Feriado Nacionalは国定祝日であるが、もう一つのPonto Facultativoは任意出勤という意味である。
職種や企業によって働くか休むかが決められる日である。
各人が勝手に自分の都合で出勤したり欠勤したりして良いという意味ではない。
左端列の通し番号で11が欠番になっているが、政府公報では「公務員の日」(Dia do Servidor Público)になっていて、民間は通常日であるが、官庁は休日となる。
国営銀行とみなされるブラジル銀行(Banco do Brasil)と連邦貯蓄銀行(Caixa Econônica Federal)について、この日に営業するかは確実でなく注意する必要がある。
当表の連邦政府が定める全国一円の休日のほかに、各地で市、地方あるいは州の記念日が数日定められていることが多い。
次のサイトで、任意の過去・将来年の、任意の国の休日が入った月齢付きカレンダーを閲覧・印刷できる(英語・ドイツ語・当国語-ブラジルならポルトガル語)。
このリンクはブラジルの2019年
2018年12月20日
かなり楽だった人生初の水星観察
日本の天文関係のサイト、今年いちばん見やすい水星(2018年12月)や2018年12月15日 水星が西方最大離角、2018年12月下旬 水星と木星が大接近などを見ると、2018年12月の明け方の空には水星が一番見やすくなるだけでなく、木星と接近することになっている。
宵・明けの明星は非常に明るいため、それが金星であると認識するかは別として、意識しなくても目に入ってくる存在である。
しかし、より小さく、最も太陽に近い惑星である水星はそのため、わざわざ「観察するぞ」と意気込んで、しかも一年の中でどの時期のどの時刻にどの方向を探すべきか、あらかじめ調べておかないとなかなか見ることができない。
今まで水星を見た記憶が無いということは、これから見ることができれば人生初の水星の肉眼での観察ということになる。
北半球の中緯度にある上記サイトのデータと、当地南半球低緯度の天体の動きは異なるから、参考にはなるが実状は違うはずである。
さいたま☆天文同好会の内山茂男氏による、水星の最大離角をみると興味深いことがわかる。
季節によって水星の高度は変化するが、大雑把に結論すると、時期を選べば南半球は、北半球と比較して水星の高度は高くて、観察の条件が良好である。
西方最大離角のときの日出時高度というグラフを参考にして、当地(南緯19º)は赤道とオーストラリア・パース(南緯32º)の中間だろうと見当をつけると、地平線からの日の出時高度が17º位であることがわかる。
12月には埼玉(東京)とあまり高度差がない。
だから観察の難度も同等かというと、これが大違いである。
南半球は夏を迎えようとしているから、戸外でじっと空を観察するのが楽である。
しかも低緯度でありながら夏時間(サマータイム)実施中であるから、滅茶苦茶早起きしなくても良い。
せいぜい虫除けをするくらいだ。
ごく気楽に出かけられるから、この時期の寒い日本の明け方の星空観察とは大違いである。
夏至の一日前である2018年12月20日、近くの公園の湖の西岸に、スマホと双眼鏡を持ってでかけた。
公園に運動のため行く人々と同じような、半袖シャツとショートパンツである。
全く寒さを感じないから、おそらく22ºCくらいだろうと見当をつける。
スマホにはSky Mapというアプリが入っていて、双眼鏡は8x23 6.3ºという小さめのレジャー用である。
スマホのSky Mapが正確に方角を指さないので、煌々と明るい金星を使って目測で角度補正をする。
湖の向こう方向にはサッカースタジアムの輪郭が見えるが、消灯されている。
スタジアム外壁の上には雲の層が見えるが、もっと上空は晴れている。
12月は雨季なので、ちょっとした大気の具合ですぐ雲が出てくる。
午前6時に立ち止まって観察を開始したら、全く困難なく木星と水星のペアを確認することができた。
より明るく大きく見えるため、水星を探す目標となってくれる木星から、地平線との角度左上約30ºの空間に水星が、これもかなり明るく見える。
発見順は、金星→木星→水星の流れである。
実視界6.3ºの双眼鏡の、丸い視野の直径の約40%離れているので、木星と水星の距離角度は約2.5ºの近さにある。
一応2018年12月20日のデータを書いておこう。
2018年12月21日(夏至の日)、この日も観察したが、出遅れた。
公園まで歩いて10分近くかかるのだが、家を出てすぐ前の通りで東の空を見たら、水星が左、木星が右に今日は横一列に並んだ、太陽系で最小と最大の惑星の最接近(見かけだが)を観察できた。
双眼鏡の視野と比較して、2つの惑星の見かけの距離(角度)は1º前後であった。
太陽や月の直径が角度30分であることから、とても近く見えることがわかる。
昨日より天気がよく、曙光を隠してくれた雲がないので、東の空全体がすぐに明るくなってしまい、昨日容易に観察できた時刻でも、今日は観察困難となっていた。
観察は、刻々と増す明るさとの競争である。
水星が双眼鏡でも周りの明るさに埋もれて確認できなくなったのは6:23頃であった。
2018年12月22日(夏至の翌日)、昨日の反省で少し早めに出たが、報われず東の空の雲の層が厚く、観察の条件がここ数日で一番悪い。
6時10分ころようやく木星が確認できた。
それから水星が雲の層の上に現れるまで数分かかった。
この日の水星の位置は、木星の高さの水平平行線から左下へ約60下りた場所だった。
2つの天体の見かけ距離は双眼鏡の視野から概算して大体1.3ºとみた。
これから木星は太陽から離れていき、夜の領域に入っていくため見やすくなる。
水星は反対に太陽に近づくため、観測困難になる。
宵・明けの明星は非常に明るいため、それが金星であると認識するかは別として、意識しなくても目に入ってくる存在である。
しかし、より小さく、最も太陽に近い惑星である水星はそのため、わざわざ「観察するぞ」と意気込んで、しかも一年の中でどの時期のどの時刻にどの方向を探すべきか、あらかじめ調べておかないとなかなか見ることができない。
今まで水星を見た記憶が無いということは、これから見ることができれば人生初の水星の肉眼での観察ということになる。
北半球の中緯度にある上記サイトのデータと、当地南半球低緯度の天体の動きは異なるから、参考にはなるが実状は違うはずである。
さいたま☆天文同好会の内山茂男氏による、水星の最大離角をみると興味深いことがわかる。
季節によって水星の高度は変化するが、大雑把に結論すると、時期を選べば南半球は、北半球と比較して水星の高度は高くて、観察の条件が良好である。
西方最大離角のときの日出時高度というグラフを参考にして、当地(南緯19º)は赤道とオーストラリア・パース(南緯32º)の中間だろうと見当をつけると、地平線からの日の出時高度が17º位であることがわかる。
12月には埼玉(東京)とあまり高度差がない。
だから観察の難度も同等かというと、これが大違いである。
南半球は夏を迎えようとしているから、戸外でじっと空を観察するのが楽である。
しかも低緯度でありながら夏時間(サマータイム)実施中であるから、滅茶苦茶早起きしなくても良い。
せいぜい虫除けをするくらいだ。
ごく気楽に出かけられるから、この時期の寒い日本の明け方の星空観察とは大違いである。
夏至の一日前である2018年12月20日、近くの公園の湖の西岸に、スマホと双眼鏡を持ってでかけた。
公園に運動のため行く人々と同じような、半袖シャツとショートパンツである。
全く寒さを感じないから、おそらく22ºCくらいだろうと見当をつける。
スマホにはSky Mapというアプリが入っていて、双眼鏡は8x23 6.3ºという小さめのレジャー用である。
スマホのSky Mapが正確に方角を指さないので、煌々と明るい金星を使って目測で角度補正をする。
湖の向こう方向にはサッカースタジアムの輪郭が見えるが、消灯されている。
スタジアム外壁の上には雲の層が見えるが、もっと上空は晴れている。
12月は雨季なので、ちょっとした大気の具合ですぐ雲が出てくる。
午前6時に立ち止まって観察を開始したら、全く困難なく木星と水星のペアを確認することができた。
より明るく大きく見えるため、水星を探す目標となってくれる木星から、地平線との角度左上約30ºの空間に水星が、これもかなり明るく見える。
発見順は、金星→木星→水星の流れである。
実視界6.3ºの双眼鏡の、丸い視野の直径の約40%離れているので、木星と水星の距離角度は約2.5ºの近さにある。
一応2018年12月20日のデータを書いておこう。
事象 | English | Português | 時刻 |
---|---|---|---|
天文薄明 | Astronomical twilight | Crepúsculo astronômico | 5:09 |
航海薄明 | Naval twilight (Nautical twilight) | Crepúsculo náutico | 5:39 |
観察開始 | 6:00 | ||
市民薄明 | Civil twilight | Crepúsculo civil | 6:08 |
肉眼で水星視認可能 | -6:17 | ||
双眼鏡で水星視認可能 | -6:21 | ||
双眼鏡で木星視認可能 | -6:26 | ||
日の出 | Sunrise | Amanhecer | 6:32 |
2018年12月21日(夏至の日)、この日も観察したが、出遅れた。
公園まで歩いて10分近くかかるのだが、家を出てすぐ前の通りで東の空を見たら、水星が左、木星が右に今日は横一列に並んだ、太陽系で最小と最大の惑星の最接近(見かけだが)を観察できた。
双眼鏡の視野と比較して、2つの惑星の見かけの距離(角度)は1º前後であった。
太陽や月の直径が角度30分であることから、とても近く見えることがわかる。
昨日より天気がよく、曙光を隠してくれた雲がないので、東の空全体がすぐに明るくなってしまい、昨日容易に観察できた時刻でも、今日は観察困難となっていた。
観察は、刻々と増す明るさとの競争である。
水星が双眼鏡でも周りの明るさに埋もれて確認できなくなったのは6:23頃であった。
2018年12月22日(夏至の翌日)、昨日の反省で少し早めに出たが、報われず東の空の雲の層が厚く、観察の条件がここ数日で一番悪い。
6時10分ころようやく木星が確認できた。
それから水星が雲の層の上に現れるまで数分かかった。
この日の水星の位置は、木星の高さの水平平行線から左下へ約60下りた場所だった。
2つの天体の見かけ距離は双眼鏡の視野から概算して大体1.3ºとみた。
これから木星は太陽から離れていき、夜の領域に入っていくため見やすくなる。
水星は反対に太陽に近づくため、観測困難になる。
2018年12月4日
結局泣きを見るキューバ人医師
「もっと医者を」の選抜医師はすでに働き始める
Profissionais selecionados para o 'Mais Médicos' já começam a trabalhar
Segunda, 26 nov 2018
このグロボ放送の記事によると、
キューバ人医師を始め、ブラジルの正式な資格を持たない医師たちはどこへ行った?
この記事の日付で、まだ空きのあるポスト数は239しか残っていない。
現在決定済みのポストであっても、後から辞退するケースはかなりあるとは思うが、どうせブラジルの医師は僻地勤務なんか応募しないから俺たちに回ってくるだろうと、高をくくっていたキューバ人医師は(いたとしたらだが)、泣きを見ることになってしまった。
まだ今のところ、どれだけのキューバ人その他の国籍の医師がブラジルに残ろうとしているかは不明である。
さて、ここで疑問が起きる。
5年前に労働者党(PT)が、ブラジルの過疎地で勤務してもらうため、キューバその他の国から医師を呼んで来るプログラムを作ったのであるが、そのときの説明では医者が足りないから外国の資格でも良しとしよう、医者はポルトガル語かスペイン語を話す人だったらOK、ということだった記憶がある。
プログラムが5年経った今、ブラジル次期政権とキューバとの確執により急遽帰国することになったキューバ人医師の穴を埋めるために約8千5百名募集したら、ブラジル正式資格保持医師が3万人応募してきた。
一体5年間に何が起こったのだろうか?
ブラジル正式資格を持つ医師が3万人ほど増加した?
前回募集は経験その他の応募要件が高かったが、今回は経験を問わないので、なりたて医師が多数応募した?
5年前はなりふり構わず、労働者党政府が盟友と認めるキューバ政府に援助をしたかっただけ?
キューバという国は、少なくともラテンアメリカでは医学が進んでいる、医療に力を入れている国であるとみられている。
インタビューされたブラジル人患者はみんな、キューバ人医師に大変感謝している。
キューバ人医師への月額1万レアルの報酬の70%がキューバ政府へ直接送金されるということは、本来キューバ人医師が個人で受け取るべき報酬からピンはねされて、7,000レアル✕8,500人✕12か月で7億1400万レアル、約3億127万ドル(5年前の為替レート2.37)の援助をしたと解釈することができる。
選挙に金がかかるからという理由で汚職に手を染めるのは、左右関わらず大政党はどこもだが、イデオロギー同盟国に送金とは、ブラジル大衆にとっては誠に不明快な税金の使い方をしたものである。
人権を声高に叫ぶ人たちは、中国やキューバの人権は別物だと思っているのだろう。
ここでは声を潜めてしまうようである。
Profissionais selecionados para o 'Mais Médicos' já começam a trabalhar
Segunda, 26 nov 2018
このグロボ放送の記事によると、
- ブラジルの正式資格医師の応募者30,734
- 募集ポスト数8,517
- うち8,278は応募者は要件を満たして勤務先自治体が決定している
- うち40はすでに着任
- ブラジルの正式資格医師の応募期間は12月7日まで
キューバ人医師を始め、ブラジルの正式な資格を持たない医師たちはどこへ行った?
この記事の日付で、まだ空きのあるポスト数は239しか残っていない。
現在決定済みのポストであっても、後から辞退するケースはかなりあるとは思うが、どうせブラジルの医師は僻地勤務なんか応募しないから俺たちに回ってくるだろうと、高をくくっていたキューバ人医師は(いたとしたらだが)、泣きを見ることになってしまった。
まだ今のところ、どれだけのキューバ人その他の国籍の医師がブラジルに残ろうとしているかは不明である。
さて、ここで疑問が起きる。
5年前に労働者党(PT)が、ブラジルの過疎地で勤務してもらうため、キューバその他の国から医師を呼んで来るプログラムを作ったのであるが、そのときの説明では医者が足りないから外国の資格でも良しとしよう、医者はポルトガル語かスペイン語を話す人だったらOK、ということだった記憶がある。
プログラムが5年経った今、ブラジル次期政権とキューバとの確執により急遽帰国することになったキューバ人医師の穴を埋めるために約8千5百名募集したら、ブラジル正式資格保持医師が3万人応募してきた。
一体5年間に何が起こったのだろうか?
ブラジル正式資格を持つ医師が3万人ほど増加した?
前回募集は経験その他の応募要件が高かったが、今回は経験を問わないので、なりたて医師が多数応募した?
5年前はなりふり構わず、労働者党政府が盟友と認めるキューバ政府に援助をしたかっただけ?
キューバという国は、少なくともラテンアメリカでは医学が進んでいる、医療に力を入れている国であるとみられている。
インタビューされたブラジル人患者はみんな、キューバ人医師に大変感謝している。
キューバ人医師への月額1万レアルの報酬の70%がキューバ政府へ直接送金されるということは、本来キューバ人医師が個人で受け取るべき報酬からピンはねされて、7,000レアル✕8,500人✕12か月で7億1400万レアル、約3億127万ドル(5年前の為替レート2.37)の援助をしたと解釈することができる。
選挙に金がかかるからという理由で汚職に手を染めるのは、左右関わらず大政党はどこもだが、イデオロギー同盟国に送金とは、ブラジル大衆にとっては誠に不明快な税金の使い方をしたものである。
人権を声高に叫ぶ人たちは、中国やキューバの人権は別物だと思っているのだろう。
ここでは声を潜めてしまうようである。
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