2026年6月29日

ワールドカップ、地上波とストリーミングの11秒を巡る熾烈な戦い

O triunfo do delay: como a CazéTV conseguiu nocautear a tradição da Globo na Copa de 2026

1時間後に2026年FIFAワールドカップのブラジル日本戦を控えたところだ。
でもワールドカップ開戦前からテレビ界では熾烈な戦いが始まっている。

地上波の主力は、ブラジル最大の資金と視聴率を誇る Globo である。
自局のテレビコマーシャルのキャッチが面白いというか、考えようによってはくだらなく情けない。
「近所の家ではゴールの大歓声が上がっているのに、君のテレビではまだゴールしていないのは悔しくないか?」というのである。
グロボのCMによると、地上波とストリーミングの時間差は11秒という。
このまえ家で地上波放送のテレビの前で、スマホでインターネット・ストリーミングを見ていたが、時間差は11秒だけでなく20数秒あった。

番組の合間に流すCMだけでは足りないと見たのだろう。
生活保護その他社会福祉目的の低所得者データベース、CadUnicoの登録者向けに、デジタル地上波受信用室内卓上アンテナを無料配布するという機材現物支給もやっていた。

一方のストリーミング代表は、新勢力 CazéTV と言っていいだろう。
ストリーミングは当のグロボ系列を初め他にもたくさんあるが、カゼTVの強みは、ストリーミング視聴契約を結んでいなくても、YouTubeを見ていると試合時間になるとおすすめに強引に入ってくるので、思わずクリックしてしまうところである。
スマホでもタブレットでも、パソコンのモニターでも、インターネット接続できるテレビでも何でも、つながっているものなら視聴できるから場所を選ばない。
もちろん無料である。
CMは最初の方に少しだけ入るのと途中で画面分割で入るのだが、あまり邪魔ではない。
当然日本でも視聴できる。
YouTubeで選択するだけで登録など必要無しですぐに視聴できる。
接続速度やネット状況によるだろうが、画質も悪くない。
グループステージの第3戦では同時間に2つの試合を配信していたから、今まで全試合配信しているようである。

日本でも視聴できるが、日本人の方々へ一つだけ注意しておこう。
当然だがブラジルの配信なので言語はポルトガル語である。
画面表示もである。
日本の略字は英語版ではJPNであるが、ポルトガル語ではJAPである。
歴史的用語にうるさい人は気にするかもしれないからここで注釈しておこう。
他の国の略号を見れはわかると思うが、あくまでもポルトガル語表記の国名の略号である。
ポルトガル語で日本はJapãoなので、どこにもNの字は現れない。
だからブラジルでの放送や配信ではJPNと書かれるとわからない人が出てくるのだろう。

視聴はYouTube上だから、DAZNと契約とか心配しなくても大丈夫だ。
YouTubeで"CazeTV"を検索すれば見つかるだろう。

2026年4月22日

2026年のブラジルの祝祭日

連邦政府の公共サービス運営・革新省(Ministério da Gestão e da Inovação em Serviços Públicos)は、2026年の祝日と任意出勤についての通達Portaria MGI Nº 11.460/2025を2025年12月30日付官報に掲載した。
役所の名前は去年と同じである。
下の表はその中身である。
条文に断っているように、この表の本来の目的は、連邦行政官庁や国営企業の休日を定めたものである。

連邦政府が定める当表に載っている全国一円の休日のほかに、各地で市、地方あるいは州の記念日が数日定められていることが多い。
わが町ではそのような地方の祝日が2つある。

一連のキリスト教関連の移動休日は、2025年より15日早くなる。
たとえば2025年のキリスト受難金曜日は4月18日であったが、2026年は4月3日である。

11月1日Confraternização Universal世界友好の日FN
2,32月16日,17日月火CarnavalカーニバルPF
42月18日Quarta-Feira de Cinzas灰の水曜日14時までPF
54月3日Paixão de Cristoキリスト受難の日FN
64月20日FN
74月21日TiradentesチラデンチスPF
85月1日Dia Mundial do Trabalho世界労働の日FN
96月4日Corpus Christiキリスト聖体の日PF
106月5日PF
119月7日Independência do Brasilブラジル独立の日FN
1210月12日Nossa Senhora Aparecidaアパレシーダ聖母の日FN
1310月28日Dia do Servidor Público federal連邦公務員の日PF
1411月2日Finados死者の日FN
1511月15日Proclamação da República共和制宣言の日FN
1611月20日Dia Nacional de Zumbi e da Consciência Negraズンビと黒人自覚の国定日FN
1712月24日Véspera do Natalクリスマスイブ13時からPF
1812月25日NatalクリスマスFN
1912月31日Véspera do Ano Novo大晦日13時からPF
注:FN = Feriado Nacional 国定祝日、PF = Ponto Facultativo 任意出勤
任意出勤とは、職種や企業や自治体によって働くか休むかが決められる日である。
各人が勝手に自分の気分で出勤したり欠勤したりを決めて良いという、都合の良い解釈をしてはいけない。

昨年の連邦政府による祝日一覧と比較して、祝日の数は19、一つ増えた。

2025年祝日の残念な点として、9月から11月にかけて3つの祝日が日曜日に重なってしまうことだったが、その翌年は曜日が一つずれるため、それらは月曜日になる、つまり日曜日とつながる連休になる。
逆に昨年土曜日だった祝日が、今年日曜日と重なってしまう残念な祝日のケースは、15番一つのみである。
ブラジルに日本のような振替休日の決まりはない。

振替休日はないのだが、番号6番と10番に注目すると、6番は月曜日、10番は金曜日であり、祝日と週末土日の間の穴を埋める働きをしている。
こういうのをponte(橋)というので、「橋架け休日」とよんでおく。
これが昨年は一つだったのに、今年は2つに増えたため、祝日総数が増えたのである。

17番と19番のクリスマスイブと大晦日の任意出勤は、一昨年までは14時から任意出勤であったのか、13時からへ早まっている。
14時からであると、昼食の休憩が13時に終わってから中途半端に1時間働かなければならなかったものを、13時とすれば、午前中仕事したら昼食を取らずに休みに入って良い、と現実に即したのであろう。
人は楽な方に流れていく。

13番の10月28日(水)は「公務員の日」(Dia do Servidor Público Federal)で、民間は通常日であるが、連邦の官庁は任意出勤(PF)となっている。

次のサイトで、任意の過去・将来年の、任意の国の休日が入った月齢付きカレンダーを閲覧・印刷できる(英語・ドイツ語・当国語-ブラジルならポルトガル語)。
このリンクはブラジルの2026年

2026年1月4日

プーまねするトラ

タイトルは何かというと、「プーチン大統領のマネをするトランプ大統領」なのである。

プーチン大統領(繰り返されるので以降職名を略す)は、虐待されているロシア系住民を保護しなければならないと、ウクライナへ戦車を連ねて侵攻した。
実際のところは、ウクライナは元々ソ連の一部であったから、現在はロシアに属して当然と考えているからだろう。
4年前のことであった。

トランプは、ベネズエラの麻薬密売組織が米国国民に危害を加えているという理由で、ベネズエラを攻撃した。
実際のところは、麻薬がどうかというより、チャベス政権に没収国有化された、かっての米国石油企業の資産であった採掘精製施設を奪還したいことのようだ。
昨日のことだった。

プーチンは一週間で終わるはずだったから、特別軍事作戦と呼ばせて、これは戦争だと非難する反対者の声を黙殺した。
結局4年経っても決着がつかない。

トランプは、今回の作戦は一度限りで二度目がないことを望むが、ベネズエラの態度次第では二度目も辞さないと言った。
本当にこの一回で終われば御の字だろう。
プーチンの手際の悪さと比べて、お前さんとは違って俺はうまくやったぜと、鼻を明かすことができるだろう。

今回一回の攻撃が完全な成果を上げてこれきりなら、議会の承認の前に独立国の国土内で作戦実行したことは、これだけならと大目に見てもらえると思っているだろう。
もちろん8月頃から、なぜか太平洋を爆速で疾速する高速艇を、麻薬の運び屋と見て何隻も攻撃沈没させて、議会や国民対策としてベネズエラの脅威を印象付けてきた。

ブラジリア時間で1月3日午後2時ころ米国トランプの声明があったので、ブラジル視線から見たことを特に書く。
問題にするものが麻薬より原油であることが途中で明らかになってくる。
麻薬は金にならないが、原油は金になるから当然だろう。

簡単にベネズエラの原油について
世界最大の原油埋蔵量を持つ国であり、全世界埋蔵量の17%であると推定されている。
ウーゴ・チャベスが政権を手にしたのが今から27年前の1998年のこと、ボリバル革命社会主義を唱えてきた。
途中でチャベスは死去、ニコラス・マドゥロが引き継いだ。
彼は元トラック運転手だったとか。
金属労組幹部だったブラジルのルラと来歴が似ている。
いくらベネズエラ難民が地続きの国境からブラジルに入ってこようと、ルラ労働者党は都合の悪い事実は無視して、親ベネスエラを続けるのは当然なのだろう。
チャベス大統領時代に米国と決別して、米国資本の採油施設を接収して国営化してしまった。
技術スタッフがベネズエラ国営会社から逃げ出し、利権を吸い尽くそうとする政権の息が掛かった連中が、ずさんな操業をしてきたのだろう。
最盛期の日産330万バレルから、2025年には110万バレルまで、生産量は三分の一に激減した。
原油価格は以前の高水準を維持することができない上に、西側の経済制裁のためにベネズエラ石油は好条件で販売することはできなくなった。
ベネズエラの原油は重質油のため、精製のためにナフサを必要とするのだが、米国を追放したあとで仲良くなったロシアがその供給元となり、石油製品の大口購入は中国となった。
中国は世界の他の誰も買おうとしないベネズエラ産石油の値段を、相当叩いて安く買っているのではないか。

トランプは米国民間企業の資金と人材を使って、衰退したベネズエラ石油産業を復興すると言っているから、製品を売った儲けはいくらかはベネズエラに残るだろうが、投資した分以上は米国へ持っていくことになるのだろう。
現在中国くらいしか大口買い手がいないベネズエラ石油製品の生産量を上げれば、中国へ有利に売ることができるし、ロシアの天然ガスを買えなくなって困っているヨーロッパへ製品を売ることも考えられる。
どれだけ重質油のベネズエラ原油が天然ガスを代替できるかはわからないが。
ベネズエラに親米政権を確立することができれば、一石三鳥位の効果を上げることができる。

国際社会は一昨年のベネズエラ大統領選挙では、マドゥロが不正によって大統領の座についたことは、ブラジルのルラような親ベネスエラ左派政権さえも認めざるを得ない。
マドゥロを力ずくで引退させても非難するのは、ロシア、イラン、キューバ、中国、北朝鮮くらいだろう。
今回米国の作戦によってこのマドゥロだけをレーザー手術的に摘出したことでベネズエラ政権が屈服して、ベネズエラへの被害を最小に抑えながら石油産業を奪還したら、トランプの好きなビッグ・ディールなのだろう。

昨日のトランプ声明で何回か繰り返された単語が、「西半球」であった。
米国が中央アメリカや南アメリカを「裏庭」とするという表現はかなり言い古されている。
実際のところトランプがプーチンのマネをしたというのは正確でないだろう。
米国が中米に手を突っ込んだのは36年ぶり、1989年にパナマのノリエガ将軍を米軍が捕獲した作戦は今回のマドゥロ拘束とそっくりであった。
要するにトランプだけではなく以前の米国政権も似たりよったりなのだ。

西半球の反応である。
今回は米国が中央アメリカを超えて南アメリカの独立国を攻撃した点が、南米諸国にショックを与えている。
トランプによるマドゥロ捕獲に拍手を送っているのが、アルゼンチン、パラグアイ、チリであり、主権の侵害と非難するのがコロンビア、ウルグアイなど、ブラジルは名指しは避けたものの、非難した側に入っている。
簡単に言えば、南米大陸の南の方にある国々は右派政権が多く、ベネズエラと国境を接していないため米国の肩を持ち、北の方にあって実際に国境を接している国は、左派政権が多く米国を非難している。

昨日のニュースでで見たブラジル・ベネズエラ国境は大して人気(ひとけ)もなかった。
一時はベネズエラ側の国境が閉鎖されたようだが、午前中明るくなった時間には再開されていて、ブラジル人観光客はベネズエラから帰ってきたり、ブラジルへ移民したベネズエラ人の中には、実家へ帰っていたのだが、首都カラカスで事変があって家族が心配になったから再びカラカスへ向かうという人もいた。
これまでと反対に政権派のベネズエラ人が亡命しようとか、とりあえず避難しようとか、そんなに大きな動きは起こっていないようである。
年始の連休明けに何らかの動きはあると思われる。

トランプは西半球の安全は守ると言った。
ニュースで評者はモンロー主義の復活と言っている。
トランプ就任の頃のインタビューでは、これからの重点地域はアメリカ大陸とアジアである、と言っていたはずだ。
西半球という単語は何回か発したが、全世界の話はしなかった。
東半球ではヨーロッパは勝手に解決しろ、アフリカは知らない、という態度が見え隠れするのだが、アジアはどうなのか。
①日本・オーストラリア・インド・韓国と中国包囲網
②同盟国とは付かず離れずしながら、関税などを材料にして中国と交渉してできるだけ有利な貿易をめざす
今回トランプは②を行う有力な材料を手にしたといえる。
テレビで見た論者で最も悲観的な意見は、ベネズエラは俺のもの、ウクライナはプーチンへ、台湾は習へというのだが、これは条件が違いすぎてよほどのことがないとこうはならないとは思うが、そこはトランプのことであるから全く予想がつかない。

2025年12月15日

ブラジル運転免許証が80%も安く取れるようになる

自動車学校の必要なし、更新が自動になる新しい運転免許証の規則
Novas regras para CNH, sem autoescola e com renovação automática, valem nesta semana
Governo lançará um novo aplicativo chamado CNH do Brasil em substituição à Carteira Digital de Trânsito; veja o que muda
08/12/2025 10h39

ブラジルの運転免許取得について大きな変更がある。
簡単に言えば、免許を取りやすくなるとまとめられよう。

記事中に要点を箇条書してある。

  • 自動車学校の講義は必須でなくなる
  • 学科は政府の公式アプリによって無料で提供され、最低必須時間の制限はなくなる
  • 生徒は自分の車を使って、交通局に登録された独立インストラクターを選んで実技の実習をすることができる
  • 実技時間はこれまでの自動車学校での必須20時間から2時間へ削減され、これはインストラクター個人とでも、自動車学校でも練習できる
  • 実技試験、健康診断、生体情報採取は実地で行う
  • 実技試験1回目で不合格だった者は、2回目を無料で受けることができる
  • 免許取得までの有効期限はこれまで開始後1年であったが、これからは期限の制限はなくなる

連邦政府は、この改正の目的は、運転免許取得のコストを下げること、運転手養成のプロセスをデジタル化することだとしている。
現在のブラジルの運輸大臣(Ministro dos Transportes), Renan Filho は、インストラクターの職が無くなる心配はない、なぜなら独立して営業することができると説明する。
私はそうは思わない。

取得コストに関して言えば、現在の5千レアルまで達する取得コストは、新しい制度のもとで80%減少ができると、運輸大臣は言う。
5千レアルが千レアルになるということだ

日本人だったらきっとびっくりする事実を書こう。
運輸大臣が発言したことだから誇張ではないだろう。
ブラジルでは無免許で運転しているのが2千万人いるというのだ。
ブラジルの人口推計が2025年で2億1300万人だから、大雑把に言って人口の十分の一が無免許運転をしているようなのだ。
交通事故を起こしたとき責任はどうなるかが気になると思うが、ブラジルでは運転手ではなくて車の持ち主に責任が課せられる。
そして、免許を取りたいのだが、金がなくて取れないという人たちがその他に3千万人いるらしい。
潜在的免許取得者が人口の25%相当存在することになる。

以上は免許新規取得についてだったが、更新にも簡略化がなされる。
優良運転手には無料で自動的に免許更新ができる恩典が与えられる。
この場合の優良運転手とは、更新の前年に違反点数がない運転手である。
免許鉦の有効期間については変更はない。
60歳を超えると自動更新はできなくなり、従来のように健康診断を実地で受けなければならない。

現在も携帯電話にインストールする政府の公式運転免許アプリはあるが、機能が一新される。
先に書いたように、これを使って交通法規や安全運転などの学科を自習することが可能になる。
自動車学校の講義は必修でなくなるから、やる気があればこれだけで自習して、同じくオンラインで学科試験を受けることが可能になる。

新規免許取得の流れは次のようになる。

  • パソコン・携帯・タブレットなどでこのアプリを使って、無料であるが必修な講座を受講する
  • 講義聴講が終了すると、生徒は学科試験受験資格となるデジタル証明書を受け取る
  • 学科試験の前に交通局事務所で生体情報採取と写真撮影を行う
  • 次いで健康診断と心理テストを、資格を持つ医療者のもとで行う
  • 生徒は学科試験を受ける
  • 学科試験に合格したら、実技習得のため、これまでのように自動車学校か、認定を受けた独立インストラクターを選択できる
  • その後、実技試験を受ける。合格したら、免許を許された生徒は、自動的にアプリでデジタル運転免許証を受け取る

これからは印刷された免許証はオプショナルとなり、発行に手数料がかかるらしい。
デジタル免許証が原本となり、これはアプリを使い無料でアクセスでき、警察に見せたり証明に使ったりできる。

2025年12月3日

ブラジルでは夫婦別姓は普通に多い

夫婦別姓が日本で検討されているようだが、ブラジルの状況はどうか。
結婚して苗字が変わる方法は、日本と変わりない、こともない。

説明しよう。
私たち夫婦の場合どうなったかというと、あまり深く考えることなくごく一般的な方法を取った。

それは、妻の旧姓を取り除くことなく、夫の苗字を追加して、〈名前〉〈妻姓〉〈夫姓〉となるケースである。
私の妻の氏名は、その語順の3語から成るシンプルな形である。
引用記事の表題の中の、"acrescentar sobrenome do marido"とは、そういう意味である。
その場合当然、妻の姓は夫のものより長くなる。

ブラジル人の名前によくあることだが、〈名前〉の部分が複数の単語で構成される名前がある。
ジョゼ・アントニオとか、アナ・ルシアといった名前である。
また、苗字が一語だけでなく、de や dos などが付いて、デ・シルバとかドス・サントスのように二語になるものがある。
〈名前〉〈名前〉〈妻姓〉〈夫姓〉〈夫姓〉とか、5語で構成される氏名まで見たことがある。
インタビューされた女性の氏名は、Elisângela Santos Parreiras Souza,〈名前〉〈姓〉〈姓〉〈姓〉である。
苗字が3つあるのだが、どこからどこまでが夫の姓かはわからない。
王侯貴族のような歴史的人物には、もっとやたら長いのがあるようである。
2語の苗字を持つ男女が結婚したときに、どの姓を選択するか想像するのだが、きっと双方から一つずつ選ぶのだろう。

今思うと、子供の氏名を出生登記するとき、妻の姓と夫の姓をを両者並べて2語の苗字としても良かったのではないかと思う。
ブラジル国内のブラジル人同士の婚姻であっても、苗字が変わる場合には、登記所で選択した苗字で婚姻登記をして、それに基づいて身分証明書や免許証のような、個人に属する書類を変更しなければならない。
その手続が面倒だから、結婚しても両者氏名を一切変更しないという選択は多いようだ。

ここからは統計である。
正式に結婚してから苗字が変わった女性の割合は、
2003年 49.41%
2024年 39.64%

へと低下した。
それでも2003年時点ですら、苗字を変えない選択をした女性が約半分もあったのがかなり意外ではないか。

ミナス・ジェライス州は、ブラジルの中では例外的といわれる。
苗字が変わったものは、
2003年 16.16%
2024年 33.84%

へと増加した。
記事ではその理由をミナス・ジェライス州では伝統的に教会婚が多く、いわゆる昔風の、女性は結婚してから婚家に入るという社会の慣習が強いからだとしている。
それでいながら、どうしてブラジル全体と比較して、苗字が変わる女性が少ないのか、特に伝統的であるこの地で2003年の数字が極めて低い理由は、この記事内で明らかにされなかった。
データ元:ミナス・ジェライス州民事登記公証人組合 Sindicato dos Oficiais de Registro Civil de Minas Gerais

2025年2月14日

ブラジル闇バイト老人の生体情報貸し

Operação da PF investiga suspeitos de conseguir ilegalmente benefícios e empréstimos consignados para idosos

日本でもマイナンバーカードの偽造集団があるそうであるが、ブラジルで最近生活保護と、先に書いた委託融資の詐取を行っている詐欺団が摘発された。

詐欺団はわかった分で2300万レアルを詐取した。
発覚した生体情報貸し老人は21名であるが、300人分の登録がなされていた。
闇バイトするのが若者でなく老人であるのは、BPCの対象になるのが障害者でないならば、65歳以上の高齢者であるため、少なくともそのような外見の人でなければならなく、若い人ではできないからだ。
一人で30人に化けたものもいた。
日本の生活保護と同じように、毎月の掛金(保険分担金)を支払うことなくもらえるBPC(継続支給恩典)の金額は、1か月あたり最低給料(1,518レアル)にはるかに及ばない600レアルであるから、1回分の金額は少ないが、うまくいけば毎月必ず入金があるから、後には時々要求される受給資格適合確認をうまく騙せばよい。

日本の例に当てはめて簡単に説明すると、闇バイト老人の生体情報を利用して架空の貧困老人を作り上げて、生活保護を不正に受け取るようなものだ。
以下犯罪の手順が説明されているが、本人出頭が必要な場面では、30の架空登録をした闇バイト老人は、異なる30か所で手続きをしたのだろうか。
闇バイト老人は詐欺団から報酬として、詐取した不正受取金の一部を受け取っていた。
バイト内容を知らずに騙されたのではなく、悪事を働いている自覚がなければできない仕事である。

  1. 闇バイト老人は生体情報、つまり指紋と顔写真を提供する
  2. それを元に偽造グループは、Certidão de Nascimento 出生証明書、CPF 自然人登記番号、Carteira de Identidade 身分証明書、Título de Eleitor 選挙人証を偽造する
  3. 偽造書類を使い、銀行口座を開設して、さらに国の CadÚnico つまり低所得者対象の福祉単一登記に登録する
  4. INSS 社会保険院からBPC(継続支給恩典―日本で言えば生活保護のようなもの)を受け取る、また empréstimo consignado 委託融資を契約して融資金を受け取る

1人分の生体情報を使って複数の架空人登録をするためには、当人の悪意がないと不可能であろう。
それが可能であるということは、ブラジルの個人登録管理制度のもとでは、一人の生体情報を使って何人もの架空の個人登録をすることが、システム的に可能であるということである。

日本の統一登録であるマイナンバー、そのカードの作成には生体情報が入ると思うが、誰かが新規登録するときにその生体情報と、すでに登録されている生体情報を照合して、同じ生体情報を使いまわしすることがないようになっているのだろうか。
最近は現場へ行かずに家からオンラインで登録や認証する場面が多いのだが、AIの力を借りて顔写真と指紋を新たに生成して、自分・他人の生体情報を使いまわしすることなく、全く新しい架空の個人を創作して登録をすることは不可能なようにシステムはできているのだろうか。
考え始めるとなかなか厄介な問題だと思う。

2025年2月13日

年金生活者を借金漬けにするブラジル

empréstimo consignado 委託融資

INSS: 全受給者の約40%が委託融資を借りている
INSS: quase 40% dos beneficiários têm algum empréstimo consignado ativo

前回は学校で学ぶ児童・生徒の給食の話から加工食品の話が始まった。
今回は年金をもらう高齢者の話をしよう。
融資の仕組みについてである。

empréstimo consignado と名付けられた融資である。
委託融資―ちょっと訳しにくいのだが、つまり年金受給者や公務員や民間のサラリーマンのように、毎月の収入受取が確実な人に銀行が融資して、返済は年金や給料の支給にかかわる役所が支給金から天引きして銀行に渡す仕組みの融資である。
委託とは、銀行が取り立てを給与支払者に委託するという意味なのだろう。
貸す側にとっては貸し倒れの心配が非常に低く、そのため利率も他の融資と比較して低い。

Instituto Nacional de Seguro Social (INSS) 国立社会保険院は、2025年1月に4千万人以上の恩典受給者を数える。
全くの余談だが、前回のブラジルの高等教育を除く公立学校で学ぶ学童・生徒の総数が、偶然同じ4千万人であった。
そのうちの70%は最低給料(2025年は1,518レアル、1レアル約26円として大体39,500円)を受け取る受給者である。
INSSは老齢年金、被扶養者の遺族年金、日本で言えば生活保護に当たると思われる Benefícios de Prestação Continuada (BPC) 継続給付恩典を支払っている。

そして4千万人のうちの38.6%にあたる1,545万人の受給者が、2025年2月6日時点まで有効な委託融資契約を少なくとも1つ結んでいる。
つまり銀行から金を借りている。

借金をしている受給者の割合が4割近いというのは、各人がどんな意識を持って借りているのかわからないが、随分多くないか?

委託融資の最大返済期限が84か月(7年)から96か月(8年)に伸ばされた。
返済期限が伸ばされても借り入れ利息は変わらないのであれば、支払う利息総額は大きくなるはずである。
でも一月あたり支払金額は小さくなるから、借り手にとっては気が楽になるはずだ。
そして借金を乗り換えながら、決して完済することなく借金漬け生活を続けて、銀行だけが儲けることになるのだろう。

どこかで歯止めをかけるように、年金や給料など収入額と融資金額の比率や、最高金利は決められている。

2024年の平均年利は次の通り

  • INSS受給者の委託融資 21.9%
  • 公務員の委託融資 23.8%
  • 民間の正社員の委託融資 40.8%
ちなみにブラジルの基準金利は年利13.25%
日本の常識から見ると一桁違っているのではないかと感じられるかもしれないが、間違いなくこれで合っている。

2025年2月9日

加工食品と超加工食品

Comida processada 加工食品
Comida ultraprocessada 超加工食品

Governo reduz o emprego de processados e ultraprocessados na merenda das escolas públicas
Por Jornal Nacional
04/02/2025 21h30

ブラジルでは4千万人の児童・生徒が15万の公立学校で学ぶ。
確か初等中等教育期間は11年だったと思うので、ざっと割り算してみると1学年につき360万人となる。
日本の年間出生数とか共通テストの受験者数などから見ると大した数だと思う。
この数字の外に私立学校で学ぶ子どもたちも加わるのである。

さて連邦政府は、州政府や市政府が公立学校で供される給食の食品について次のように決めた。
加工食品と超加工食品の学校給食での購入金額にして、2025年の目標は材料費全体の15%、2026年には10%までとすることを目標とする。
現行は20%までとなっている。

これから書くのは、ブラジルで言う加工食品と超加工食品の違いは何かということだ。
当記事内に説明がある。
原典 Guia Alimentar para a População Brasileira da Ministério da Saúde 保健省のブラジル国民のための食品ガイドから記事に引用された。

  • Comida processada 加工食品
    自然の食品に砂糖、塩あるいは調理に使われるその他の材料を加えたもの

    • legumes na salmoura 野菜の塩漬け
    • extrato de tomate トマトエキス
    • carne seca 乾燥肉
    • peixes enlatados 缶詰の魚
  • Comida ultraprocessada 超加工食品
    加工食品よりさらに加工工程が増し、砂糖、塩、油脂以外の材料を必要とする

    • achocolatado ココア飲料
    • biscoitos ビスケット
    • barras de cereal シリアルバー
    • macarrão instantâneo 即席麺
    • salgadinhos スナック菓子
    • refrigerantes 清涼飲料水

わかったようなわからないような区別だ。
でも超加工食品は甘すぎ、塩辛過ぎでいかにも体に悪そうな気がする。
加工食品の範疇は、日本で言えば和食の漬物やツナ缶に見るように、かなり身近なものである。
保存のために加える砂糖、塩、油脂などの量が生食に比べて過剰になることは想像できる。

少し意外だったが、少なくともここで引用した加工食品、超加工食品の定義に、食品添加物の有無は全く関係していない。
超加工食品だからといって、添加物ドバドバ使われているというわけではない。

2025年1月31日

2025年のキリスト教移動祝日

米国のカーニバルで有名なニューオーリンズのサイトがあって、2061年までのMardi Gras(マルディ・グラ)の日付がここでわかる。
Mardi Grasとはフランス語で「肥えた火曜日」と言う意味というが、ブラジルでは普通にTerça-feira de Carnaval「カーニバルの火曜日」と呼ぶ日である。
カーニバルがキリスト教行事かというと巨大な疑問であるが、少なくとも日付の決め方だけは教会に従っている。
有り体に言えば、謝肉祭というくらいだから、カーニバルで現世の喜びを十分に満悦してから、心置きなく襟を正して四旬節の節制に臨む、という意味をつけられる。
とにかく、キリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて日付が移動するものがある。

年の後半にある、キリスト教関係で一番有名な日であるクリスマスは12月25日(ブラジルの祝日)、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日(ブラジルの祝日)―これはハロウィン(10/31)-万聖節(11/1)-万霊節(11/2)と続く一連であるが、前の2つは祝日ではない―と、毎年同じ日付に決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。
そのためにクリスマスと並び大切な日と考えられる復活祭については、決まった日付がないため、3月ころとか4月ころとか言うだけで、毎年調べて意識しないと特定できない。
ただしその日付の決め方から、毎年月日は変わっても、当然曜日は変わらない。

2025年の移動宗教祝日を下に一覧表にした。
復活祭の日、2025年ならば4月20日日曜日が、一連の移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2024年より20日も遅くなる。

復活祭の日付の決定方法について過去の記事に説明した。

待降節(Advento)は、クリスマスに備える期間であるが、その第一日は日曜日に決まっていて、11月30日の「聖アンデレ(Santo André)の日」に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの約4週間で、最も早い年で11月27日、遅い年でも12月3日に始まる。
アドベント期間には必ず4つの日曜日が含まれる。
2025年は、11月30日、12月7日、14日、21日の4つの日曜日の後、25日クリスマスは木曜日に当たる。
このように、天体の月の動きによって大幅に日付が前後する、年の前半の移動祝日とは、その決め方が全く異なる。

行事日の決まり方2025年休日種類
カーニバル
Carnaval
週末から灰の
水曜日前日4日間
3月3日,3月4日
月火曜日
PF
灰の水曜日
Quarta-feira de Cinzas
復活祭46日前の水曜日3月5日水曜日14時までPF
四旬節Quaresma灰の水曜日から復活祭前日
枝の主日
Domingo de Ramos
復活祭7日前の日曜日4月13日日曜日週末
聖週間Semana Santa枝の主日から復活祭前日
キリスト受難日
Paixão de Cristo
復活祭の2日前の金曜日4月18日金曜日FN
復活祭Páscoa北半球春分の次の
満月の次の日曜日
4月20日日曜日週末
ペンテコステPentecostes復活祭の49日後の日曜日6月8日日曜日週末
キリスト聖体の日
Corpus Christi
復活祭の60日後の木曜日6月19日木曜日PF
ぽつんと年末に孤立、月日の決め方も異なる
待降節初日
Início do Advento
11月30日に最も近い日曜日11月30日日曜日週末

ブラジルで国定祝日(feriado nacional - 上表ではFN)、任意出勤(ponto facultativo - 下表ではPF)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意出勤というのは、条例や労使協定によって、地方自治体、職種組合や職場ごとに、休日とするか勤労日とするか決められる。
大部分の勤め人にとっては、普通の休日となることが多いが、商店は営業するところと休むところがある。

2025年1月14日

2025年のブラジルの祝祭日

連邦政府の公共サービス運営・革新省(Ministério da Gestão e da Inovação em Serviços Públicos)は、2025年の祝日と任意出勤についての通達Portaria MGI Nº 9.783, DE 27 DE dezembro DE 2024を2024年12月30日付官報に掲載した。
役所の名前は去年と同じである。
他の省庁に吸収されて、去年の名前がなくなっているようなことは起きなかった。
下の表はその中身である。
条文に断っているように、本来の目的は連邦行政官庁や国営企業の休日を定めたものである。

一連のキリスト教関連の移動休日は、2024年より20日も遅くなる。
たとえば2024年のキリスト受難金曜日は3月29日であったが、2025年は4月18日である。

11月1日Confraternização Universal世界友好の日FN
2,33月3日,4日月火CarnavalカーニバルPF
43月5日Quarta-Feira de Cinzas灰の水曜日14時までPF
54月18日Paixão de Cristoキリスト受難の日FN
64月21日TiradentesチラデンチスFN
75月1日Dia Mundial do Trabalho世界労働の日FN
86月19日Corpus Christiキリスト聖体の日PF
96月20日PF
109月7日Independência do Brasilブラジル独立の日FN
1110月12日Nossa Senhora Aparecidaアパレシーダ聖母の日FN
1210月28日Dia do Servidor Público federal連邦公務員の日
27日に祝われる
PF
1311月2日Finados死者の日FN
1411月15日Proclamação da República共和制宣言の日FN
1511月20日Dia Nacional de Zumbi e da Consciência Negraズンビと黒人自覚の国定日FN
1612月24日Véspera do Natalクリスマスイブ13時からPF
1712月25日NatalクリスマスFN
1812月31日Véspera do Ano Novo大晦日13時からPF
注:FN = Feriado Nacional 国定祝日、PF = Ponto Facultativo 任意出勤
任意出勤とは、職種や企業や自治体によって働くか休むかが決められる日である。
各人が勝手に自分の都合で出勤したり欠勤したりして良いという意味ではない。

昨年の連邦政府による祝日一覧と比較して、祝日の数は同じ18である。
そして、年々キリスト教祝日のいくつかの日付が移動するが、2025年はこれがうまい具合につながる。
聖週間の祝日つまり4月18日(金)の受難日から20日(日)の復活祭のすぐ後に、ブラジル独立に功績のあった人物の歴史的記念日である4月21日がすぐあとの月曜日に来て、土曜日に仕事がなければ4連休となる。
一応書いておくと聖土曜日19日は正式には祝日になっていない。
このような連休はめったに起きないだろう。

2025年祝日の残念な点であるが、9月から11月にかけて3つの祝日が日曜日に重なってしまうことだ。
ブラジルに振替休日はない。

16番と18番のクリスマスイブと大晦日の任意出勤は、前年までは14時から任意出勤であったのか、13時からへ早まっている。
14時からであると、昼食の休憩が13時に終わってから中途半端に1時間働かなければならなかったものを、13時とすれば、午前中仕事したら昼食を取らずに休みに入って良い、と現実に即したのであろう。

9番に何の説明もないのは去年と同様である。
突然、日付と ponto facultativo と書いてあるだけなのだ。
木曜日の祭日と週末の土曜日の狭間を連結して連休を作る意図なのだろうが、全く記述がない。
説明するまでもない、ということなのだろう。

12番の10月28日(火)は「公務員の日」(Dia do Servidor Público Federal)で、民間は通常日であるが、連邦の官庁は任意出勤(PF)となっている。

以上連邦政府が定める当表に載っている全国一円の休日のほかに、各地で市、地方あるいは州の記念日が数日定められていることが多い。

次のサイトで、任意の過去・将来年の、任意の国の休日が入った月齢付きカレンダーを閲覧・印刷できる(英語・ドイツ語・当国語-ブラジルならポルトガル語)。
このリンクはブラジルの2025年

2025年1月13日

小さな飛行機は事故が多いのか

CENIPA - Centro de Investigação e Prevenção de Acidentes Aeronáuticos 航空事故調査予防センター

ブラジル直近10年の航空機事故の大半は小型機のもの
Acidentes fatais com pequenas aeronaves dominam o cenário da aviação no Brasil na última década
Por Jornal Nacional
11/01/2025 20h56

ブラジルと日本の航空事情の大きな違いは、ブラジルはその国土の広さからくる。
富裕層の自家用飛行機やエアタクシーを使う交通、農薬散布など農業面の飛行機利用の多さであると言える。
以下の記事は「ブラジルは飛行機事故が多すぎるのではないか」という印象を説明してくれそうである。

ブラジル航空死亡事故(飛行機・ヘリコプター)
CENIPA

2024年2015-2024年
事故数33277
死亡数137650

2015-2024年ブラジル航空死亡事故数運用別
CENIPA

  • 自家用 particular 158
  • 農業用 agrícola 66
  • アエロタクシー táxi aéreo 17
  • 試験用 experimental 9
  • 専門用 especializada 8
  • 警察用 policial 7
  • 教習用 instrução 7
  • 商用定期便 regular 1

軍用の区別が見当たらないのだが、統計が民間用だけで軍用が入っていないからなのか、専門用というのが軍用を意味するのか、あるいは喜ぶべきことに10年間軍用機の事故がなかったのか、どれかは不明である。

先ほど「ブラジルは飛行機事故がとても多いのでは」と書いたのだが、データからは自家用・農業用の運用に関わる小型の飛行機の事故の数が多い(死亡を伴う航空事故総数の81%)ことがわかる。
たしかに航空機事故はしばしば起きるが、ほとんどは乗員数人の小型機によるものだ。
別に小型機だったら事故を起こしてもよいというのではない。
きっちり分業できている商用大型機とは異なり、小型機の保守管理運用は。ひとえにパイロットと、自家用機の場合にはオーナーの責任にかかるものである。
ブラジル国内の航空機数は近年増加してきたが、今日その数は1万1千あり、その内1万機以上は自家用・農業用の小型機である。
小型機の事故が多いのは、飛んでいる小型機の数が圧倒的に多いので、事故も比例して多いと考えれば納得できるだろう。

商用定期便の1件は昨年8月に起きたVoepass航空の ATR72 型機の墜落事故で、62人が死亡したもので現在も事故調査が続いている。

2025年1月9日

ブラジルの2024年貿易を簡潔に

ブラジル2024年の貿易収支は後退したものの、歴代2位
Superávit da balança comercial em 2024 recua, mas saldo é o segundo melhor da história
Por Jornal Nacional
06/01/2025 21h53

2024年のブラジル貿易収支、746億ドルは歴代2位の黒字なんだそうだ。1位は前年の2023年989億ドルであった。
以下情報元は開発商工業サービス省 MDIC - Ministério do Desenvolvimento, Indústria, Comércio e Serviços

2024年輸出品目と金額

  1. 原油 448億ドル
  2. 大豆 429億ドル
  3. 鉄鉱石 265億ドル
  4. 砂糖 159億ドル
  5. 石油由来燃料 117億ドル
  6. コーヒー生豆 113億ドル

2024年ブラジルの輸出先

  1. 中国 944億ドル
  2. 米国 403億ドル
  3. アルゼンチン 137億ドル
  4. オランダ 117億ドル
  5. スペイン 99億ドル

南米が一国しか入っていないのと、ヨーロッパの国の顔ぶれが少し意外な気がする。
中国と米国の貿易額にこれだけ差があると、あと10日あまりで米国大統領に就任するトランプが難癖つけてきても(すでにBRICSに関税の脅しをかけているが)、ブラジルはさっさと中国というか、関係の強いBRICSサイドに固まりそうである。
EUとMERCOSURの自由貿易協定は、EUの農業者の反対と南米側への環境対策の押し付けが絡んでいるので、なかなか決着がつかないところだ。

2024年輸入品目

  1. 石油由来燃料
  2. 原油
  3. 自動車

輸入に関して言うと、ブラジル国内ではガソリン/エタノール・フレックス燃料車の生産は本場ではあるが、EVやハイブリッド車については輸入に頼っている。
現在経済は順調であって、為替がレアル安になってはいるが、生産財、原材料、消費財の輸入意欲は強く続いている。

2024年6月17日

世界の後塵を拝する日本

商業ドル為替は上昇へ反転し、2023年1月4日以来の高値に達する
Dólar comercial volta a subir e atinge maior valor desde 4 de janeiro de 2023
11/06/2024 21h18

ブラジルの通貨レアルの対ドル安値を嘆く記事であって、詳しい中身は知らなくてもよいが、途中に出てくるグラフが衝撃的だった。

プリントスクリーンした問題のグラフ


よーく見ると国・通貨の数が32なのに、データ数が33あるという不思議な表なのである。
どの数字が余っているのかはもちろんわからないので、ロシアルーブルの上の数字をを外す。
そのためそれだけ国なしの数字のみとなっている。
今回強調したい部分はグラフの一番下にあるからだ。

グラフの最下位付近の拡大


日本円はグラフに登場する32カ国中で、2024年のドル建て価値の最大下落通貨となっている。

現在アルゼンチンの大統領は前職ペロニスタのフェルナンデスから急転回しており、右派ハビエル・ミレイ Javier Milei 大統領である。
大統領選挙中にコスプレで登場したり、模型だろうがチェーンソーを振り回したりする、一見狂人である。
しかし前任の左派政府がコントロールできなかった超インフレを、放漫財政を引き締めて抑え込もうとしている点は真面目に評価できると思う。
2023年のインフレ率が211.4%であったアルゼンチンペソにすら、時期が異なるとはいえ、日本円が及ばないとは一体どうしたものだろうか。
この手の経済関係のランキングで、日本円が世界最後尾だった例が過去にあっただろうか。
円の弱さが情けない。
日本大丈夫か?
下に32カ国比較グラフから転記した表を載せよう。

ドルに対する通貨の価値-2024年
6月10日までの変動%

Moeda/País通貨・国0.48
Rublo russoロシアルーブル0.02
Libra Esterlinaスターリングポンド-0.26
Yuan Renminbi chinês中国人民元-0.36
Rupia indianoインドルピー-1.35
Sol peruanoペルーソル-1.99
Zloty polonêsポーランドズウォティ(ズロチ)-2.02
Coroa tchecaチェココルナ-2.10
Rand sul-africana南アフリカランド-2.42
Dólar de Cingapuraシンガポールドル-2.49
Euroユーロ-2.50
Peso colombianoコロンビアペソ-2.52
Coroa dinamarquesaデンマーククローネ-2.67
Ringgit malaioマレーシアリンギット-2.87
Dólar australianoオーストラリアドル-3.03
Dólar neozelandêsニュージーランドドル-3.54
Peso chilenoチリペソ-3.55
Coroa suecaスウェーデンクローナ-3.61
Shekel israelenseイスラエルシェケル-3.64
Dólar canadenseカナダドル-4.37
Florim da Hungriaハンガリーフォリント-4.65
Dólar taiwanês台湾ドル-5.15
Peso filipinoフィリピンペソ-5.58
Rupia indonésiaインドネシアルピア-5.62
Won sul-coreano韓国ウォン-5.74
Leu romenoルーマニアレウ-5.86
Franco suíçoスイスフラン-6.10
Baht tailandêsタイバーツ-6.33
Peso mexicanoメキシコペソ-7.01
Lira turcaトルコリラ-8.16
Real(ブラジル)レアル-9.41
Peso argentinoアルゼンチンペソ-10.08
Iene japonês日本円-10.16

この表を見れば、日本語・ポルトガルで32カ国の通貨の名前がわかる。
さらにポルトガル語の国名のgentílico、これは日本語で「デモニム」と、聞き慣れない言葉で呼ばれるそうだが、要するにその国の国民を指す単語で、国名の形容詞形といって良いと思うが、それを確認することができるという副産物がある。

2024年6月2日

パトス湖にまつわる数字の謎

2025年2月28日追加
vagoneta について宣伝の後動画3分ポルトガル語ニュース記事
リオ・グランデ(リオ・グランデ・ド・スル州)で、帆走するトロッコは観光客を4キロ沖合へ連れて行ってくれる
Carro movido com um tipo de vela leva os turistas 4 quilômetros mar adentro em Rio Grande (RS)
27/02/2025 Em Jornal Hoje

トロッコの旅は約45分、5人で100レアル、見ればわかるが安全装備など何も無いので、小さい子供には危なそう

Laboratório de Oceanografia Costeira e Estuarina da Universidade Federal do Rio Grande (FURG)
リオ・グランデ連邦大学沿岸河口海洋学研究室

グアイバ湖の水はパトス湖に達して、被災地に再び洪水の恐れが増す
Águas do Guaíba chegam à Lagoa dos Patos e aumentam chance de novas enchentes em região já destruída
Por Jornal Nacional
23/05/2024
という記事に、洪水水の大西洋への排水について説明がある。

まず当地のことを知ろう。
Google Mapsを使い、地図と航空写真で現地の様子を見る。
パトス湖の大西洋への開口部はのっぺりしているのではなく、煙突を横に倒したような形状の、細長い水路を形作るように、2本の突堤が海岸線とほぼ直角に、大洋の方角に伸びている。
測ってみると、その水路の長さは約3.5km、水路の先端が外洋に接する部分の幅が580mという大きな建造物である。
それ自体はコンクリートではなく、写真からうかがえる限り、1~3メートルくらいの形の不定形な巨石を積んである。
テトラポットと比べて、不揃いな石積は趣がある。
西側突堤 Molhes da Barra do Rio Grande の真ん中にはコンクリート床があり、その上に2本のレールが敷かれていて、それが突堤の途中、海岸から2.8km地点まで続いている。

上はウィンドサーフィンのような三角帆、下はトロッコ台車のような風力で動く乗り物 vagoneta があって、多分観光トロッコになっているものと思われ、突堤の上を往復することができる。
コンクリート床のトロッコの線路横は、自動車は進入禁止だが、自転車で行くことができるだけの幅がある。
乗り物を使わなくても、往復5.6km、ウォーキングで行っても、気持ちよさそうな場所である。

そして最近の話である。
ブラジル最南端の町は、1.5mを超える洪水に覆われて、記事の時点で16日になる。

今回の大洪水時のパトス湖の大西洋への開口部での流出速度は、秒速3.5m、時速10kmである。
記事にはそう書いてあるが計算すると12.6km/hとなるのだが。
人の早足の速度の二倍くらいである。
これは通常の流出量の10倍くらいになるという。

通常時にはパトス湖の水量が全部交換するのに8日、つまり192時間かかるのであるが、今回の大洪水時には湖全量交換が15時間で起きているらしい。
5月23日時点で、海への1秒あたり流出量が1500万リットルだった。

とても興味深いことがある。
「琵琶故知新」というサイトで見つけた琵琶湖の水はどれぐらいの期間で入れ替わるの?に、「琵琶湖の水循環」という図がある。

まず最初に湖からの流出量を比較してみる。
「琵琶湖の水循環」によると、琵琶湖から瀬田川への流出量と琵琶湖疏水への流出量の合計は、年間53.3億トンと計算されている。
比較のために統一する単位を秒あたりトンあるいは立方メートルと決める。
1年は60x60x24x365=31,536,000秒である。
年間流出量をこの秒数で割ると、秒あたり169.0m3となる。
パトス湖の秒あたり流出量は上の数字を立方メートルに換算してやると、15,000m3である。
倍率は89倍の差がついている。
大水害時には90倍だが、通常時は9倍ということになる。
琵琶湖にこの流量だったら大阪は確実に水没するのだろう。
知らんけど。

暫定結論:大水害時のパトス湖の流出量は通常の琵琶湖の90倍

2つの湖の貯水量の差はどうか。
パトス湖 10,140km2、琵琶湖 669km2なので、前者は後者の15倍である。
琵琶湖の貯水量は27.5km3とあるが、パトス湖は水路によって海とつながっているため、世界湖の広さ順位には番外となっていて、貯水量の記載もない。
それでも面積が確定されている湖の中に当てはめると、世界15位と16位の間に入るからなかなか大きい。
最大水深は12mとあるので、平均水深を4mだと見当をつけて貯水量を計算すると、面積×深さ=10,140x0.004=40.56km3となる。
あれ?面積は琵琶湖の15倍もあるのに、貯水量は2倍にも達しないのか。

事実:パトス湖の面積は琵琶湖の15倍
暫定結論:しかしパトス湖の貯水量は琵琶湖の2倍以下

最後に湖全水量交換時間あるいは滞留時間である。
単純に貯水量を流出水量で割ったものと考える。
先のサイトによると琵琶湖の水が交換するのには4.7年かかる。
大水害時パトス湖の全水量交換は15時間という最近の報道による数字を信じよう。
4.7年は24x365x4.7=41,172時間であるから、両者の比率は2,745倍となり、非常に大きな差がついた。

暫定結論:パトス湖の水の滞留時間は琵琶湖の2,745分の1に過ぎない

パトス湖についての数字に辻褄が合っているのか確かめる時が来た。
パトス湖の貯水量であるが、海への1秒あたり流出量と滞留時間から計算できるはずである。
すると15時間=60x60x15=54,000秒だから、この秒数に15,000m3を掛けてやると、810,000,000m3つまり0.81km3である。
もう一回あれ?である。
さっき適当にパトス湖の平均水深を4mとして計算した貯水量の50分の1にしかならない。
4mの50分の1は8cm、平均水深がたった8cmなんてありえない。
どこが怪しい数字かといえば、パトス湖の滞留時間がたった15時間ということはありえないと思える。
データが不足していて確認することはできない。
大体パトス湖上流のグアイバ湖の大水がこの湖下流地域に達するのに9日かかると記事内の別の箇所で書いてあるのに、たった15時間で湖の全水量が放出されるというのは、なんとも理解できないのである。
水そのものが15時間で入れ替わるのに、波つまり水位差が到達するのに9日かかるということがあるのだろうか。

2024年6月1日時点で、パトス湖上流のポルト・アレグレがようやく氾濫水位を下回ったが、下流のペロタスはまだ1.5m位水没している。
抜けるような晴天でありながら、上流の洪水が到達して、街を覆う水が徐々に増えていくのを見るのは、全く奇妙な感覚だと思う。

結局何が正しいのかはわからないが、それがわかっただけで徒労ではなかったとしよう

2024年5月20日

2024年リオ・グランデ・ド・スル州大洪水のメカニズム

2024年5月初めあるいは4月末からか、ブラジル南端の州、リオ・グランデ・ド・スル州は大雨洪水に見舞われている。
この州はどんなところか。
面積 281,707.151 km2、ざっと日本の国土面積の四分の三である。
そこに 1088万2965人(2022年)の人が住んでいる。
まあ日本の人口の十分の一である。

州都ポルト・アレグレは、ブラジルの首都ブラジリアから約2千キロメートル南にある、面積約500km2、人口149万人(2020年)の大都市である。
今のところ、都心の低地部が冠水して2週間を超えた。
空港もバスターミナルも水没しているため、空路陸路の旅客交通は停止している。
州内の山地ではがけ崩れ、川沿いでは橋の流失によって、道路が各地で分断している。
救援物資のみがかろうじて通過できるような半孤立した場所もある。

どのような天候と地形のメカニズムで、この地方が洪水になるのか知りたいと思った。

Porto Alegre という名前が示すように、この町は港町なのであるが、外海に面してはいない。
グアイバ川 Rio Guaíba と呼ばれることもあれば、グアイバ湖 Lago Guaíba と呼ばれることもある水域がある。
水の流れがあれば川、流れがなく溜まっていれば湖ということになるようである。
グアイバ湖の上流側は、タクアリ川 Rio Taquari、カイ川 Rio Caí、パルド川 Rio Pardo、グラヴァタイ川 Rio Gravataí、シノス川 Rio dos Sinos と、多数の支流が流れ込み三角州を形成している。
なおこれらはみな支流で、川の太さから見ると、ポルト・アレグレの西方つまりリオ・グランデ・ド・スル州の中心部から流れてくるジャクイ川 Rio Jacuí がこの水系の本流のようである。
ポルト・アレグレの町は、この三角州の下端、グアイバ湖の北東端岸に面している。
グアイバ湖の南側の下流部には、さらに大きなパトス湖 Lagoa dos Patos がつながり、その一番南端でようやく外海、大西洋へ水が放たれる。

パトス湖がどれだけ大きいかというと、面積10,140km2、比較のため日本最大の琵琶湖は669km2だから、その大きさがわかる。
面積の割には水深は浅く、最大水深は12mということである。
それでも霞ヶ浦の7mよりは深い。
海と標高差の極めて小さい水路でつながっているために、海水が入り込む汽水湖である。

パトス湖の形は細長い紡錘形に近いのだが、面白いことに海岸から直角に内陸の方に伸びているのではなく、海岸線と平行になる方向で、幅約8kmの大きな砂州で外海と仕切られている形なのである。
パトス湖の北と南の両端、つまりグアイバ湖との接続部から外海へ通ずる水路までは280kmもある。
ちなみに東京駅と名古屋駅間の直線距離が約270kmである。
ポルト・アレグレ市の標高は10mなので、ポルト・アレグレに溜まった雨水が外海に排出されるためには、たった10mの標高差で280km遠くまで水を押し出さなければならないわけである。
水が極めてゆっくりとしか流れないことが想像できる。実際ポルト・アレグレ付近の水がパトス湖南端の大西洋流出水路付近に達するまで数日かかるので、そうするとペロタス市やリオ・グランデ市のようなパトス湖南部の湖岸の都市が洪水になる。
当面の天気予報によると、大西洋からの強い海風がパトス湖の南東へ向かい、海への流出方向に逆らうように吹き付ける形になり、パトス湖の洪水水の流出を遅らせることになるだろう。

ポルト・アレグレ地方のこれまでの最大の洪水は、1941年のものであった。
グアイバ湖の氾濫水位が3mであるところ、その年は4.76mに達して、氾濫水位まで下がるのに32日を要した。

その後1960年代末にポルト・アレグレの護岸工事が始まった。
それは市街地とグアイバ湖を区切る延長68kmの堤防、14の水門及び23箇所の排水ポンプ場を持つ。

しかしながら、2024年の大洪水では、流入する川すべての流域が大雨になったために予想を上回る速さで水位が上がり、グアイバ湖の水位は1941年を上回る5m超えとなり、最大5.35mに達した。
困ったことに水門が完全に閉まらないで隙間から水が侵入したり、排水ポンプ場が水没したり、感電防止のために電気供給が止められてポンプに通電できなくなったりして、当初は4箇所のポンプしか運転できなかったという。
普段から水門やポンプ場の定期的な点検ができていなかったことは、洪水が一部人災と考えられることにつながっている。

今回のリオ・グランデ・ド・スル州の水害では、洪水による死者約160名、行方不明者約90名、浸水のため避難者数が約66万人を数えている。(2024/5/20現在)

2024年3月26日

誇っていいデングワクチンは日本製

ブラジル中で大流行中のデング熱は、確認患者数が百万人を超えた。
この病気には特効薬はなく、かかってしまったら対症療法しかないのだが、ワクチンが存在する。

日本の武田薬品 (Takeda Pharmaceutical Company Limited) の製品で、商品名は"QDENGA"、多分ケデンガあるいはキデンガと呼ぶのだろう。
90日間隔で2回接種する。
効果はデング熱の4つのタイプ全部に対して、恒久的な免疫を作るもののようだ。
インフルエンザワクチンのように毎年とか、コロナワクチンのようにそれより短期間に接種を繰り返さなければならないような面倒なワクチンではない。
でも武田薬品は、熱帯地方でしか需要のないだろうこの病気のワクチンを、よく開発してくれたものである。

公共保険外でならば、ある診療所の宣伝をみるとR$ 390,00(390レアル)で処方してもらえる。
現在の為替レートは1レアル=30円であるから、計算すると11,700円となる。かなり高価なものだ。

適用年齢は4歳から60歳であり、この年齢帯なら処方箋を必要としないが、それ以外の年齢の場合は医師に受診して処方箋が必要である。
対象年齢で医師の受診を必要としないので、多分禁止事項や副反応の心配は少ないのだろう。

公共保険の場合現在、ワクチン供給量の関係から、デング熱が大流行中の五百あまりの地方自治体(市)において、児童からローティーンにあたる10歳から14歳に限って接種してもらえる。
この年齢帯が、デング熱に罹って入院が必要になる可能性が高いと言われているからである。
幼児とか老人が重症化することが多い普通の病気と比べると、対象年齢を見て奇異な感じを受ける。

これまで私的保険あるいは自由診療でのみしか手に入らなかったワクチンであるが、未曾有の大流行のために保健省が扱うようになった経緯がある。
しかしワクチンの分配に問題がないわけではない。
まず、製造供給が一社だけであり供給量に限りがあるため、公共保険が割り込んで分捕るような形になって、自由診療の病院でワクチン不足ぎみになった。
一番困るのは、90日後の第2回接種のときにワクチン在庫がなく入荷を待たされる事態が起きる。

一方で、公共保険が確保したのは大体120万回分であるが、ワクチンを求める人が少なく、こちらではワクチンが余り気味になっていて、約三分の一の40万くらいしか使用されていない。

どんな病気にも絶対罹りたくないから、できることは金がかかっても構わないから何でもするという人がいる一方で、罹ったときの症状が多少辛くても、死亡率が低い病気なら何もしないほうが得策と思う人や、根っからのワクチン忌避者に生まれついた人など、様々な考えがあるからこんなことになっても仕方ない。

2024年3月12日

デング熱の経験

ここのところデング熱関係のエントリーが続いたのにはわけがある。
2024年にはいってブラジルはデング熱の大流行に見舞われている。
それだけでなく私自身がデング熱に罹ったからだ。
ごく簡単に経過を書いておこう。

  • 第1日 早朝寝ている間に悪寒を感ずる。体温38度台、食欲減退
  • 第2日 体温38度台、頭痛、食欲減退
  • 第3日 体温37度台、頭痛、食欲減退
  • 第4日 体温37度台、頭痛、食欲減退
  • 第5日 体温37度台、頭痛、食欲減退
  • 第6日 体温36度台、食欲減退
  • 第7日 体温平熱、食欲回復、手のかゆみ
  • 第8日 体温平熱、食欲回復、手足のかゆみ
  • 第9日 体温平熱、食欲回復、手のかゆみ
  • 第10日 記録終了

体温に関しては、家に2つの体温計があるのだが、最初の数日使っていた電子式がどうも温度が低めに出るような気がして、途中から水銀体温計に変えたので、結局のところ水銀体温計のほうが正しい体温を示すと思われるが、正確な体温はよく分からなかった。

第2日に公共の総合診療所 (Unidade de Atendimento Integral)へ行った。
普通なら熱止めの薬を適当に選んで薬局で買って服用して様子を見るのだろうが、デング熱の場合には、普通よく使われるアスピリン系解熱剤は、効果がなかったり逆に悪化の原因となったりするという知識があったので、自己診断はせずに、2日めに診療所へ行ったのであった。
採血、血液検査となり、結果を待つ前に点滴となった。
前日からあまり食べてないから、栄養補給にはなっただろう。

新型コロナのばあいはパンデミア pandemia だったが、このデング熱の場合はエピデミア epidemia(汎ではない)流行と言われているので、診療所の中に点滴コーナーができていて、後ろに番号が書かれた廊下のベンチに患者は並んで点滴を受けていた。

一度家に帰ったが、指示されたようにその日の夜に診療所へ戻ると、血液検査の結果が出ていた。
疫学的検査をしたようには見えなかったが、血球などの通常の血液検査はしたのだろう、血小板が減っているからデング熱だという診断が出され、処方箋をもらった。
デング熱には4つの型があり、そのうちの一つに罹るとその型には終生免疫ができるが、その後に他の型に感染すると、2回目の発症時には症状が強く出るから注意が必要だ、といわれている。

  • 経口補水塩類 SRO (Sais de Reidrataçãp Oral)1袋を1リットルの水に溶かした溶液を用意する
  • 経口補水塩類溶液を1280ml、水、ココナッツ水、茶類、ジュース類、牛乳のようなその他の水分を2560ml、合計3840mlの水分を1日に摂取する
    ただしアルコール飲料、炭酸飲料は飲用しない。
    午前、午後、夜の時間帯に三分の一ずつ摂取する
  • 解熱のためにはパラセタモール Paracetamol 別名アセトアミノフェン Acetaminophen 750mg を6時間毎に服用する

前にこのブログに書いたように、出血性デング熱へ重症化するのを防ぐために、大量の水分を取らなければならない。
確かに処方箋はそういう指示をしている。
1日に3.8リットルの水分を摂取というのは、午前中にコップ7杯、午後にコップ7杯、夜間にコップ7杯ということである。
なかなかの大量なのであるが、幸い知人が言っていたような、「水を大量に飲めというのだが、飲むと口の中が金属の味がして非常に不味く、とても大量に飲めるものではない」症状が出なくてとても助かった。

2024年3月10日

デング蚊と戦う小魚

デング蚊の繁殖と戦う魚種
Espécie de peixe ajuda no combate à proliferação do mosquito da dengue
Jornal Nacional
06/03/2024

蚊の幼虫つまりボウフラを食べるため、池やプールのような大量の静水がある場所に放される魚がいる。
うちにもこれがいる。
学名 Poecilia reticulata、つまりグッピー"guppy"である。
しかし水槽で飼育される観賞用品種のような、美しい色や模様を持ってはいない。
グッピーのページにある上の写真のような野生型である。
ポルトガル語では通称名 barrigudinho というが、形容詞かつ名詞である barrigudo, barriguda が「太鼓腹の〔人〕」という意味なので、それに指小辞がついているから、強いて訳すと「腹ぷっくり小魚」とでも呼べるだろう。
この他にも gúpi(これは英語名発音をポルトガル語表記にしたものだと思う)、lebiste、guaru と、様々な名前で呼ばれていることがわかった。

この魚種の衛生目的利用は、1930年代にサンパウロやリオデジャネイロのような大都市で、マラリア対策として行われてきた。
デング蚊とマラリア蚊は異なるが、現在はデング蚊 Aedes aegypti 繁殖抑制に使われるように、手法が改良された。
研究によると魚一匹は、1日に70から80のボウフラを捕食する。
体の大きさの割によく食べるものだ

最近のデング蚊撲滅キャンペーンでは次のように言っている。
「一週間にたった10分だけ、家の周りや庭を観察してボウフラを退治しよう」
容器に溜まった水だったらひっくり返すだけで良いが、ひっくり返せないならば、排水するか殺虫剤を撒くかとなる。
根拠は、産卵された蚊の卵が幼虫、蛹への変態を経て成虫となって飛び立つまでが1週間なので、そのどこかで生活環を断ち切るということである。

グッピーは幼虫や蛹だけでなく、水辺に成虫の蚊が産んだ卵も食べるそうである。
ボウフラが湧いたバケツにグッピーを入れると、ボウフラを見つけるまでは当て所(あてど)なく泳いでいるが、見つけると水ごと一気に吸い込んでくれてなかなか面白い。
面白いだけでなくデング蚊対策の頼もしい味方である。

その後詳しく調べていたら、グッピーはカダヤシ目カダヤシ科に属すると書いてある。
カダヤシとはあまり聞いたことのない名前だ。
ココヤシとかパームヤシとか、ブラジルにはヤシ類は多いがその一つの名前なのかと勘違いしそうだ。
なんとカダヤシとは当然ながら「カダ椰子」ではなく「蚊絶やし」なんだという。
英名も Mosquitofish または Topminnow ということで、ボウフラを捕食するその食性がそのまま名前になっている。
道理でボウフラ退治が得意なわけだ、と納得した。

それならば、ポルトガル語で「腹ぷっくり」なんて名前ではなく、mata-mosquito「蚊殺し」とか come-mosquito「蚊食い」とか、日本語や英語に倣った、強面する名前にしてやっても良いのではないかと思う。
そんなことを思っていたら、既に peixe-mosquito 英語名そのままの魚がいるではないか。
これはグッピーと同じカダヤシ科ではあるが、別属の Gambusia affinis につけられた名前だ。
写真を見るだけでは peixe-mosquito = Gambusia affinis と barrigudinho = Poecilia reticulata の野生型の区別がつかない。
この件から外れるが、似ているが異なるメダカとカダヤシの違いが図解されていたのが興味深い。

2024年3月9日

デング蚊の見分け方

デング蚊と普通の蚊の違いはこうだ
Especialista explica diferenças entre mosquito da dengue e pernilongos
Jornal Nacional
02/03/2024

デング蚊 mosquito de dengue

黒に白の斑があり、日本の藪蚊と似ている
デング熱だけでなくジカ熱 (Zica)、チクングニア熱 (Chicungunha) も媒介する
昼間、特に早朝、午後遅くに吸血活動
低空飛行のため、人の脚を刺すことが多い
きれいな静水で繁殖
正式に区別したいときは種名 Aedes aegypti(和名ネッタイシマカ)で呼ばれる
日本のヤブカ (Aedes albopictus) と同属

(普通の)蚊 pernilongo / muriçoca

茶色く、脚が長く、日本のアカイエカに似ている
フィラリア症 Filaríase / 象皮病 Elefantíase を媒介、最終記録は2017年、レシフェ市
西ナイル熱 Febre do Nilo Ocidental を媒介、最近5年で7件、ピアウイ州、トカンチンス州
夜行性であり夜に吸血活動
きたない水で繁殖
属名は Culex、和名ではイエカ属

2024年2月6日

2024年のキリスト教移動祝日

米国のカーニバルで有名なニューオーリンズのサイトがあって、2060年までのMardi Gras(マルディ・グラ)の日付がここでわかる。
Mardi Grasとはフランス語で確か「肥えた火曜日」と言う意味だったと思うが、ブラジルでは普通にTerça-feira de Carnaval「カーニバルの火曜日」と呼ぶ日である。
カーニバルがキリスト教行事かというと巨大な疑問であるが、少なくとも日付の決め方だけは教会に従っている。
有り体に言えば、謝肉祭というくらいだから、カーニバルで現世の喜びを十分に満悦してから、心置きなく襟を正して四旬節の節制に臨む、という意味をつけられる。
とにかく、キリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて日付が移動するものがある。

年の後半にある、キリスト教関係で一番有名な日であるクリスマスは12月25日(ブラジルの祝日)、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日(ブラジルの祝日)―これはハロウィン(10/31)-万聖節(11/1)-万霊節(11/2)と続く一連であるが、前の2つは祝日ではない―と、毎年同じ日付に決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。
ついでに言うと、ブラジルではハロウィンは子供の学校行事で楽しむくらいで、同じキリスト教といっても外国の行事のようなものである。
もっともインスタ映えや商業主義のために、近い将来どうなっていくかは予想できない。

2024年の移動宗教祝日を下に一覧表にした。
復活祭の日、2024年ならば3月31日日曜日が、一連の移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2023年より9日早い。
2016年から8年ぶりに復活祭が3月中の、早い日付になる。

復活祭の日付の決定方法について過去の記事に説明した。

待降節(Advento)は、クリスマスに備える期間であるが、その第一日は日曜日に決まっていて、11月30日の「聖アンデレ(Santo André)の日」に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの約4週間で、最も早い年で11月27日、遅い年でも12月3日に始まる。
アドベント期間には必ず4つの日曜日が含まれる。
2024年は、12月1日、12月8日、15日、22日の4つの日曜日の後、25日クリスマスは水曜日に当たる。
このように、天体の月の動きによって大幅に日付が前後する、年の前半の移動祝日とは、その決め方が全く異なる。

行事日の決まり方2024年休日種類
カーニバル
Carnaval
週末から灰の
水曜日前日4日間
2月12日,2月13日
月火曜日
PF
灰の水曜日
Quarta-feira de Cinzas
復活祭46日前の水曜日2月14日水曜日14時までPF
四旬節Quaresma灰の水曜日から復活祭前日
枝の主日
Domingo de Ramos
復活祭7日前の日曜日3月24日日曜日
聖週間Semana Santa枝の主日から復活祭前日
キリスト受難日
Paixão de Cristo
復活祭の2日前の金曜日3月29日金曜日FN
復活祭Páscoa北半球春分の次の
満月の次の日曜日
3月31日日曜日
ペンテコステPentecostes復活祭の49日後の日曜日5月19日日曜日
キリスト聖体の日
Corpus Christi
復活祭の60日後の木曜日5月30日木曜日PF
ぽつんと年末に孤立
待降節初日
Início do Advento
11月30日に最も近い日曜日12月1日日曜日

ブラジルで国定祝日(feriado nacional - 上表ではFN)、任意出勤(ponto facultativo - 下表ではPF)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意出勤というのは、条例や労使協定によって、地方自治体、職種組合や職場ごとに、休日とするか勤労日とするか決められる。
大部分の勤め人にとっては、普通の休日となることが多いが、商店は営業するところと休むところがある。