さて、Google Earthでリオデジャネイロをみていたら、不思議な島を見つけた。
座標は、 23° 0'12.18"S, 43°18'33.39"W である。
高級コンドミニアムと高級ブティックの入るショッピングセンター、それにリオのお約束である海岸に恵まれた新しい高級住宅街は、バッハ・ダ・チジューカ(Barra da Tijuca)であるが、チジュカ湖(Lagoa da Tijuca)の東端に、その海へ通じる連絡水路をふさぐように島が2つある。
東側の島がIlha dos Pescadores(漁師島)、西側の島がIlha da Gigóia(ジゴイア島)だ。
Google Mapでみると、2つの島はただ島の名前が書かれているだけで、何もない無人島に見える。
しかし衛星写真に切り替えると無人島どころではないことがわかる。
漁師島は大陸と橋でつながっているのだが、漁師など全く見あたらず、代わりにあるのは何面ものテニスコート、ボートかヨットのハーバー、駐車場など、つまり島一つがクラブになっているようである。
変わっているが、島一つがひとつの高級そうなクラブになっているので、島の統一はとれている。
より興味をひくのが西側のジゴイア島だ。
測ってみると南北460メートル、東西330メートルの小さな島だ。
下の記事を見ると居住者は3千人とあるのだが、そんなにたくさんの人がここに住んでいるようには思えない。
島の形がきっちり長方形であるとして人口密度を計算すると、3000/(0.46x0.33)で、19762人/平方キロメートルと、とんでもなく高い。
同じく島である、高層の建物が立ち並ぶモルディブの首都マレで 104403/1.7で61413人/平方キロメートルなのだが、ジゴイア島には3階建て以上の建物はなさそうである。
島は大陸とはつながっていない。
島の外周に位置する大きめの高級そうな家々は船着場を備えて、船で行き来できるようになっている。
島の内陸部には家がたくさん建っていて、道路もある。
しかし自動車は一台もないようである。
自動車が通れる幅の道路がないし、この島の大きさから全く必要性がないからだ。
島の南側に連絡船が行き来して、バッハ・ダ・チジューカを東西に縦走するアメリカ大通(Avenida das Américas)とつないでいる。
その水路の距離は約60メートルにすぎない。
Google Earthで写真を見ると島の様子がさらにわかる。
島内陸の小さめの家は、小ぎれいな住宅だ。
ペンション(pousada)もある。
道路は歩行者向けの幅だ。
驚いたことにゴミで汚れたドブ川まである。
ドブ川沿いに船着場があったりする。
以下は2010年6月13日の記事から。
あなたはバッハ・ダ・チジューカの真ん中の島に住みたいと思うだろうか?
田園生活的興味からこの島を訪れたくなった。
島の生活はマジックに満ちている。
いや、島には独自の生活がある。
島には商店、美容院、ピッツアリア、ペンション、街角の飲み屋、ONG(=NGO)まで揃っている。
島へ渡るには渡し舟を利用する。
運賃はルートによって違うが、0.50レアルから。
約3千人の島の住人は2つに分けられる。
ひとつは、島外で働き、鳥の声で目が覚める島の家に帰ってくる人たち、もうひとつは、島の商店で働き、全て島内で済ませてしまう人たちだ。
閉めると島の人が文句をいうので、休日も営業する雑貨屋Amendoeiraとか、最後の客が帰るまで閉店しない開業41年のGalegoバーとかが、後者の例だ。
島には犯罪はなく、島の人の不満は高額な土地家屋税(頭文字をとってイーペーテーウーと呼ばれる IPTU - Imposto sobre a propriedade Predial e Territorial Urbana)だけのようだ。
石の舗道を歩くと、観光地であるブジオ(Búzios), パラチ(Paraty)あるいはカライバ(Caraíva)にいるのかと錯覚させる。
(http://oglobo.globo.com/rio/bairros/posts/2010/06/13/por-dentro-da-ilha-da-gigoia-299247.aspを参考)
続いては2010年8月11日の記事から。
島であることから専有は禁止されているはずである。
しかし1997年までに、連邦政府の機関Superintendência da Patrimônio da Uniãoは160件に対して、手数料の支払を条件として占有を許可したが、所有証明書などは発行されていない。(と言うことは譲渡はできないのだろうか?)
しかも役所による検査など無いので、建築は不規則に続いている。
市役所の言い分は、この島は市の管理権はなく、海軍に所轄するものだという。
通りの名称や番地表示、水道・電気供給は住民がみずからの手で行ったものだ。
インフラの不足を物ともせず不動産投資は続き、大きな土地所有者は賃貸のために家屋を建設している。
「これまでは田舎町ののどかさのあった島に急にさまざまな階層の人が行き来するようになってファベーラ化している」
と昔からの住民は語る。
2010年3月、7人の住人は、禁止されている自然保護地区へ建設を行った件で5万6千レアルの罰金と違法建築の取り壊しを課された。
この取締りがなかったら、2階建ての家16軒が建っていただろう。
最近の市役所による取り締まりにかかわらず、島には建設材料の店があり、住民は勝手に家を建てたり改造したりする。
土地家屋税を徴収する市役所は2005年ころから島の管理法を検討しているが、島の正当な所有者である連邦政府の関与が必要だと考えている。
一方連邦政府は州及び市の政府が占有や自然保護の取締りをすべきだと主張している。
誰もが責任をかぶりたがらない中、不動産関連の広告はインターネットに出回っている。
この地域を管轄する区役所は、管理を厳しくして必要ならば建築を停止すると不法建築者をびくびくさせている。
(http://mais.uol.com.br/view/99at89ajv6h1/ilha-da-gigoia-esta-em-processo-de-favelizacao-04029B326EE0C193A6?types=A Ilha da Gigóia está em processo de favelização - 11/08/2010 20h27を参考にした)
ああ、ここも元は不法占有地なのだ。
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