南アメリカでは、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、ボリビア、パラグアイが徴兵制度を維持している。
ブラジル国籍を持つ息子が徴兵検査に行ってきた。
今日はブラジルの徴兵制について調べてみた。
18歳になる男性ブラジル市民には12ヶ月間の兵役義務がある。
しかし大半はexcesso de contingência(定員超過)のため、兵役を免除される。
以下Wikipediaに載っていた1964年の法律4.375号からの抜粋だ。
5条 ブラジルの兵役義務は平和時には、市民が18歳になる年の1月1日に始まり、45歳になる年の12月31日まで継続する。
74条 いかなるブラジル市民も19歳になる年の1月1日から45歳になる年の12月31日までの期間、兵役義務の遅滞のない証明なしに次の行為を行うことはできない:
- a) パスポートを取得・延長すること
- b) 連邦・州・直轄区・市政府の許認可により規定される団体・企業・協会などに職員・従業員・協会員として入ること
- c) 連邦・州・直轄区・市政府との契約に署名すること
- d) いかなる形態の学校の入学試験を受けたり入学手続きをすること
- e) 企業・職業のいかなる形での職務・許可のための職業証明・登録をすること
- f) 公職につくための採用試験を受けること
- g) 種類・支払の形態を問わず、いかなる名称での公職につくこと
- h) 連邦・州・直轄区・市政府から恩典を受け取ること
- a) 期限付きの登録証明書 Certificado de Alistamento, nos limites da sua validade
- b) 予備役証明書 Certificado de Reservista
- c) 免役証明書 Certificado de Isenção
- d) 入隊免除証明書 Certificado de Dispensa de Incorporação
帰化したブラジル市民にも適用されるので、例えば30歳で帰化したら兵役登録をしなければならない。
74条を見ると、兵役を忌避すると学校にも行けず、公務員にはなれず、国外旅行へも出られないことになる。
e)項がわかりにくいが、ブラジルには職域団体へ登録しなければ、書類へサインすることができない職業が結構ある。
例えば、医師の処方箋には署名と共に必ずCRM(Conselho Regional de Medicina)登録番号が書かれている。
工学技師・建築士・農学技師関係にはCREA(Conselho Regional de Engenharia, Arquiteto e Agronomia)、化学技師にはCRQ(Conselho Regional de Quimica)、薬剤師にはCRF(Conselho Regional de Farmácia)があるという具合で、登録がなければその職業人として書類にサインできないので、兵役を忌避するとせっかく学んで取得した資格を使って仕事に就けないことになる。
実際には次の流れになる。
まずブラジル市民の男子は、18歳になる年の1月から4月にかけて徴兵名簿への登録(alistamento)を行う。
登録証明書には、兵役希望欄があって、はい・いいえのどちらかに印が付いている。
8月頃に徴兵検査に呼ばれる。
選抜に残ると再度呼ばれるらしい。
選抜が終わるのが翌年1月ころ、入隊は更に1年後になる。
兵役期間は12ヶ月である。
なお良心的兵役拒否のためのボランティアなど代替役務の制度はブラジルにはない。
以下見つけたサイトから抜粋した。
選抜の基準は、
- 肉体運動に支障のある健康上の問題がないこと
- 身長はブラジル人平均の1,72mより上回っていること
- 家族を養う義務のないこと
- 同性愛者でないこと
- 薬物使用者でないこと
- 面接でははっきり兵役希望を表明する
- 体を鍛えておく
- タトゥーやピーシングをしない
- 高等学校を卒業しておく
- 慎ましい態度で、勉学を続けるか家族を養う必要があるので兵役を希望しないと言う
- 母親の自筆で家族を養うために働いてもらう必要がある旨の手紙を書いてもらう
- 労働手帳や雇用主による証明書など勤労している証明書を提示する
- 面接で尊大な態度に出るな、議論はするな、問題を起こすな
- 相当するのならば例えば腰痛、糖尿、心臓疾患、ひどい近視乱視などの医師自筆の診断書を持っていく
- 運動検査ではずるに見えない程度に力を抜き、すぐに疲れたふりをせよ
- 心理テストでも手を抜け、問題をよく読まずに適当に答えろ
- 恥も外聞もなくとにかく兵役から逃れたいのなら服装と態度でホモセクシャルのふりをする
息子の検査結果だが、視力検査でよく見えなかったのと言ったので視力によるものか、大学在学中であることからか、一人っ子であるからか、単に名簿登録人数より入隊定員が少ないからなのかわからないが、選抜初回参加後免除された。
登録証明書には定員超過(excesso de contingência)とスタンプが押されている。
あとは国旗の誓(Juramendo da Bandeira)に参加して忠誠を誓い、75条d)の入隊免除証明書を受け取って、無事に兵役義務の終了となる。
ほとんどの若者は兵役を希望しないが、徴兵定員は徴兵名簿登録者の5%に満たないので、兵役希望者であっても採用されない可能性があると言われている。
ブラジルの徴兵制度(その2)
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