ブラジルで鉄道事故があった。
2011年7月の中国の高速鉄道事故より規模も反響もずっと小さいのだが、路面電車も鉄道だろう。
事故があったのはリオデジャネイロ市のセントロ(Centro = 都心)地区とサンタテレーザ(Santa Teresa)地区を結ぶ路面電車だ。
2011年8月27日土曜日午後4時頃、高台のサンタテレーザからセントロへ下っていた定員超過の路面電車は、カーブを曲がりきれず脱線して、コントロールを失った車両は20メートルほど先で横転して電柱に衝突した。
定員超過というのは、一両編成の路面電車の定員座席32名、立席12名合計44名であるところ、運転士を含む5名が死亡、けが人57名合計62名の死傷者を数えたからだ。
ステップに立ち車体にしがみつく乗客は当然定員に入っていない。
Foto: Divulgação/Riotur
死亡した運転士(路面電車の場合motorneiroと呼ばれる―初めて知った)は、思い切って飛ばすほかの運転士と違って、時に遅れるくらいゆっくり運転する慎重な運転士だったと、職場仲間もサンタテレーザの住民も証言した。
リオデジャネイロ市交通局は原因解明に努め、解明されるまでは電車の運行を停止すると発表した。
リオの路面電車は現在この一路線しか残っていなかったと思う。
サンタテレーザ地区は観光客も訪れるので、この路面電車は地元住民の足であると共に、ブラジル内外の観光客も多く利用する。
2ヶ月前の2011年6月にはこの路線がセントロの元水道橋(Arcos da Lapa)上を走行する区間で、ステップに乗っていた24歳フランス人男性観光客が水道橋の15メートル下の道路に転落して死亡する事故があったばかりだ。
水道橋に保護網はあったのだが、隙間から下の道路へ落下した。
カメラその他の持ち物は皆盗まれたと警察は発表した。
瀕死の観光客から盗むとはひどいが、ありそうな話だ。
この時のリオデジャネイロ州交通局の発表では、水道橋走行中は事故防止のため時速5kmに減速している、保護網については補修予定ということだった。
ワールドカップやオリンピックを控えるリオデジャネイロだが、この2つの事故の教訓により路面電車のぶら下がり厳禁は実行されるだろうか。
実行されても取り締まりに手が回らないかもしれない。
教訓:想像以上に揺れる電車に慣れていない訪問客は気をつけるように、ステップでぶら下がりは個人責任で、スリや強盗にも注意。
2011年10月7日追加
犯罪研究所(Instituto de Criminalística Carlos Eboli)の鑑識書によると、事故原因はブレーキの整備不良で、非常ブレーキも作動しなかった。
ブレーキ以外にも保守不足が多数指摘された。
事故後のテレビ報道ではネジ止めすべき場所を針金(!)で止めてあった部品のクローズアップが流れたりしたが、それが証明された。
事故の被害者は死者6名、けが人56名と、死者が1人増えた。
2012年5月14日追加
5月8日報道によると、リオデジャネイロ検察は路面電車運行会社の保守部門5人を起訴した。
2015年7月28日追加
http://odia.ig.com.br/noticia/rio-de-janeiro/2015-07-26/apos-quatro-anos-bonde-de-santa-teresa-volta-a-circular.html
によると、Largo da Carioca から Largo do Curvelo まで、かっての全長10キロメートルの内900 mのみ、月曜日から土曜日の11時より16時まで無料で運行されることになった。
沿線住民の利便より、観光客のためだと地元住民はインタビューに答えた。
2014年のワールドカップに間に合うはずだったのが、2014年後半、2015年3月、2015年7月と延期されて、ようやく7月初めから試運転が行われていた。
テレビのニュースでは再開運転区間を1.4キロと言っていた。
せっかくなので地図を見て距離を測ってみた。
ターミナルの端から端まで測ったら1.5キロメートルあった。
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