先月は水星と木星の接近観察をしたのだが、今月は水星は太陽に接近してしまうから見えず、一方で木星は太陽から離れてきているので、早起きさえできれば観察が容易である。
そして木星と金星が接近する。
アストロアーツの2019年1月下旬 金星と木星が接近や、国立天文台の明け方の空で金星と木星が接近(2019年1月)に情報がある。
2019年1月20日の日曜日、未明に雨が降っている音が聞こえた。
雨の音が消えたのに気づいて空を見た。
午前4時50分だった。
空の明るさと観察時刻の関係は次のようだったから、見たのは完全に夜間であった。
日の出時刻は夏至の頃から20分ほど遅くなっている。
事象 | English | Português | 時刻 |
---|---|---|---|
観察開始 | 4:50 | ||
天文薄明 | Astronomical twilight | Crepúsculo astronômico | 5:30 |
航海薄明 | Naval twilight (Nautical twilight) | Crepúsculo náutico | 5:59 |
市民薄明 | Civil twilight | Crepúsculo civil | 6:27 |
日の出 | Sunrise | Amanhecer | 6:51 |
この日はブラジルで皆既月食のみられる一日前で、西の空には、もののページによると「小望月(こもちづき)」と呼ばれる満月の一日手前が見られるはずだが、雲に隠れている。
しかし月明かりが雲をランプシェードのように照らして、雲はかなり明るい。
その雲の間に南から南東にかけて、ちょうど木星・金星やみなみじゅうじ座を見渡せるだけの大きさに、そこだけぽっかり窓が開いていた。
雨上がりの空気の透明度は極めて高く、夜空は黒く、星は際立つ。
窓の左にはひときわ明るい金星と次に明るい木星が、双眼鏡の7ºの視野の三分の五の距離で一望できる。
木星は日々高度を上げているが、23日の最接近までまだ日があるので、金星は木星より高い位置にある。
さそり座(Scorpius)のアンタレス(Antares)はさすがにその4倍位の距離にあるので視野には収まらない。
もっと右の南に当たる方向を見ると、正立したみなみじゅうじ座(Crux)が均整な形で天の南極を指している。
みなみじゅうじ座の十字架部分を双眼鏡で見ると、縦棒がちょうど視野に収まる大きさであるから、角度は7ºである。
南十字の上方に、3つの明るい星による、"へ"の字の左右を逆にした、いびつな傘のような三角形があり、左方には2つの明るい星が斜線を作っている。
調べたら、この斜線は"Southern Pointers"と呼ばれて、中点を通る垂直線が南十字の縦棒の延長線とぶつかる点が、天の南極を見つける方法となっている。
なお、天の南極には北極星のような明るく目印になる星は存在しない。
はちぶんぎ座(Octans)σ星がもっとずっと明るかったらα星と呼ばれて、南極星を名乗れて、南半球の全住民に見てもらえただろうが、5.4等と暗いので物好きな人しか見つけてくれずに、残念な星である。
正立したみなみじゅうじ座の上と左右の三方は、ケンタウルス座(Centaurus)に囲まれていて、これら5つの明るい星はα星とβ星(斜線)、γ星, δ星とε星(傘)つまりケンタウルス座で最も明るい5つの恒星である。
明るい雲にぽっかり空いた漆黒の窓に描かれた、輝く息をのむ惑星と恒星のコラボであった。
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