初詣のような正月の行事がないブラジルの、年越しのパーティーで疲れて何もかも止まってしまったような元日の午後に、式典の中継を見るともなく流していた。
並行して行っている他のことの手を止めてまで、テレビの前に歩いていくほど注意を引いたことを書く。
だから報道を改めてチェックする手間を省いた第一印象のみであるから、ある程度の勘違いと情報漏れは十分にありうることに注意してほしい。
議事堂で行われた就任・宣言書類署名の儀式で、上院議長の演説があった。
連邦上下議員も大統領と同日選挙だったが、式典の指揮は議会議長によるものだから、旧議員が行うようだ。
再選が叶わなかったエウニシオ・オリヴェイラ上院議長にとっては、悔しいが最後の大仕事だったと思う。
ボルソナロ第38代共和国大統領が観衆の前で2回目の(1回目は議事堂内)演説をする前に、大統領夫人が手話で演説をした。
ミシェリ夫人は前から障害者を助ける活動に携わっているため、手話は付け焼き刃でなく、音声は別の人に任せて自身は手話のみの演説をした。
就任式で一番感動的な場面だった。
大統領の2回めの演説で注意を引いた点をあげる。
- 汚職・特権の撲滅
- 党利のための政府役職分配の習慣から脱する
- 悪党を保護して警察を目の敵にするような間違ったイデオロギーを正す
- 武器の所有と正当防衛の権利を尊重する
- 対外的にはブラジルに利益をもたらす国際関係を重視する
- 締めは「すべての上にブラジル、すべての人々の上に神」(Brasil acima de tudo, Deus acima de todos)という選挙運動中からおなじみのレンマ
大衆向けであり、演説自体はかなり短かったが、終盤でブラジル国旗を広げてみせて、「これがブラジルの色だ、再び赤くなることはない、なるとしたら我々の血の色だ」と勇ましい明言をした。
名指しはしなかったが、もちろん労働者党(PT)とそれに連帯する左翼勢力のことである。
就任の挨拶を来賓から受ける時の序列は、次のようになっていた。
招待されなかった国は、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアであった。
- メルコスル(南米共同市場)-パラグアイとウルグアイ
- ポルトガル(旧宗主国として尊重しているのか、伝統を共有しているからか?)
- メルコスル以外の隣国-チリとボリビア
- 中央アメリカ
ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領は、社会主義運動つながりでPTのルラ元大統領と親しく、ボルソナロ大統領就任式には出席しないのではと思われたが、ブラジルは戦略的に重要な隣国であるから挨拶だけは欠かすまいと考えたため、参席してお祝いの言葉を交わしていた。
首相で最初に登場したのはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相で、先週金曜日から夫人と共にブラジル訪問している。
既にボルソナロ大統領は、時期は不定であるが、ブラジル大使館をテルアビブからエルサレムへ移転する意向を表明して、ブラジルとイスラエルの緊密な関係が予想されていた。
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