2012年12月30日

イタリアのトットーリ

ローマ字で書かれた、アクセスのあった都市名のリストを見ていた。
大半は日本の都市名で、東京23区は区名であるのだが、日本以外の都市名がランダムに入っている。
その中に現れた"Tottori"という都市名をみて、鳥取であると気づくのに5秒かかった。

どこかイタリアの都市にありそうな名前だと思ったのだ。
なぜか?

同じ子音が二つ続く部分(tt)があること、語尾がイタリア語名詞の複数形によくみられる-iであることからであろう。

Tottoriはイタリアでもおかしくない。
試してみよう。

Pos.ComuneProv.RegioneAbitanti
1RomaRomaLazio2 796 102
2MilanoMilanoLombardia1 350 287
3NapoliNapoliCampania956 664
4TorinoTorinoPiemonte905 352
5PalermoPalermoSicilia653 235
6GenovaGenovaLiguria606 070
7BolognaBolognaEmilia-Romagna383 949
8FirenzeFirenzeToscana374 580
9BariBariPuglia318 591
10CataniaCataniaSicilia289 651
11TottoriTottoriCiugocu196 353

イタリア10大都市リストに紛れ込ませてみた。
最後に"Ciugocu"に至って、あれっと思うまでは、全く違和感がないだろう。
Ciugocuは、イタリア語で「中国」と発音するために、こう書くだろうという綴りに似せてみた。
ちなみにデータは順位、都市名、県名、地方名、人口の順になっている。

トットリときいて、鳥を取るのか取る鳥なのか、鳥取と書くのか取鳥と書くのか、その度に迷う私にとっては、トットーリ、イタリア (Tottori, Italia)のほうが書きやすいのは確かだ。

鳥取の皆様、誠に申しわけありません。
馬鹿なブログですので大目に見てください。

2012年12月25日

2013年のキリスト教移動祝日

今日はクリスマス、かなり暑い日だが、来年に思いを馳せよう。
キリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて移動するものがある。

年の後半にある、だれでも知っているクリスマスは12月25日、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日-これは日本ではハロウィンの2日後と言ったほうが通りが良いかもしれない-と決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。

2013年の移動宗教祝日を下に一覧表にしてみた。
復活祭の日、2013年ならば3月31日日曜日が、すべての移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2013年の3月分点、つまり北半球の春分の日は3月20日、その次の満月の日は3月27日だ。

ブラジルで任意休日(ponto facultativo)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意休日というのは、職種組合や職場によって、休日とするか勤労日とするか異なるのだが、大部分の勤め人にとっては、普通の休日と変わらない。

行事日の決まり方2013年休日種類
カーニバルCarnaval週末から灰の水曜日前日4日間2月11-12日月火曜日PF
灰の水曜日Quarta-feira de Cinzas復活祭46日前の水曜日2月13日水曜日14時までPF
四旬節Quaresma灰の水曜日から復活祭前日
枝の主日Domingo de Ramos復活祭7日前の日曜日3月24日日曜日
聖週間Semana Santa枝の主日から復活祭前日
キリスト受難日Paixão de Cristo復活祭の2日前の金曜日3月29日金曜日PF
復活祭Páscoa北半球春分の次の満月の次の日曜日3月31日日曜日
ペンテコステPentecostes復活祭の49日後の日曜日5月19日日曜日
キリスト聖体の日Corpus Christi復活祭の60日後の木曜日5月30日木曜日PF

2013年12月14日追加

ポルトガル語でクアレズマ quaresma と呼ぶ四旬節は、ポルトガル語の序数、「第40の」クアドラジェジマ quadragésima (形容詞の女性活用形)、元のラテン語ではアクセントがないだけのquadragesimaが語源になっているという。

ということは四旬節は40日でなければならない。
日本語でもその意味である。
日数計数については、wikipediaのLentにカレンダーを使って説明してあるのがわかりやすい。

四旬節の期間について、このブログに1年半にわたり、誤った情報をのせていたことがわかった。
上の表は正しくなっている。
ここで訂正しておわびいたします。

40という数字は聖書をみると特に意義のある数字である。
イエスが荒野で断食してサタンの誘惑と戦ったのが40日間であった。

2012年12月17日

世界破滅の日は影ひとつ無い日

夏至、というと北半球に住む人はびっくりするから、12月至点、といっておこう。
6月・12月、いずれにしろ至点(solstício)は、太陽が天球の赤道から最も離れる極大点だ。
それがあと数日後に近づいた。

12月至点には、太陽は最も南側の軌道をとる。
南回帰線だ。
ポルトガル語では、Trópico de Capricórnioという。
「やぎ座の回帰線」、現代では「磨羯宮の回帰線」と訳されるそうだ。
南回帰線上に住んでいる人には、この日に太陽が真上から射す。

南回帰線と北回帰線に挟まれた地帯、つまり熱帯では、太陽が天頂(同じゼニチでもブラジルポルトガル語でzênite、ポルトガルのポルトガル語でzéniteと書くそうだ、難しいものだ)を通る瞬間が年に2回あるはずである。
というので、わが家南緯19度で太陽が天頂を通る2012年11月16日にその写真を撮ろうとしたのだ。
洗濯物を干す針金からぶら下げたほうきの柄の影がどうなるか、結果は次のとおりだった。


全装置


影拡大

南回帰線であるが、サンパウロ市の北部を通る。
正確に調べたら、グアルーリョス(Guarulhos)市に立地するサンパウロ国際空港の敷地内、滑走路のすぐ南側を通っている。

ブラジリア夏時間(UTC-2) 2012年12月21日、この日は一部の人々には世界の終末と恐れられているようだが、南半球の大多数の人にとっては、毎年クリスマス前に来る夏至の日である。
9時12分が太陽の至点通過であるが、サンパウロにいる人は、昼になったら注意してみよう。
www.timeanddate.comによると、12月19日(南中13:04)から23日(南中13:06)まで、太陽の子午線通過最高高度は89.9度となっている。
日なたに出ると、自分の影が全く見えないはずである。


ここを南回帰線が通る

2012年12月15日

コリンチアーノのチーム愛

コリンチャンスのファン、これをブラジルではコリンチアーノ(corint(h)iano)というのだが、常軌を逸する努力をして訪日している。

12月のブラジルの空港は、日本を訪れるコリンチアーノでごった返している。
サンパウロ領事館発行のビザ発行数は急増した。

商店主ロドルフォ氏(Rodolfo da Fonseca)は、サンパウロの自宅改築を中止した。
その金は、日本行きの旅行に当てた。
彼は、いとこと一緒に、コリンチャンスの試合を見に行くのだ。

「テレビを売った。
ビデオゲームを売った。
金を手にしてから言ったんだ。
『俺は日本へ行く。異論は認めない。』」
彼は明かす。

「私の応援仲間友人は、質入れしたり、(胴元になって)くじ券を売ったりしたよ。職場の同僚もくじ券でかなり金を作ったわ。」
事務員ナタリア(Natália Rodrigues Zanotti)さんは語る。

このチーム熱愛のため、在サンパウロ日本大使館のビザ発行数は、2ヶ月で8500にのぼった。
この数は、普段の5倍に当たる。

ミナス・ジェライス州ポソス・デ・カルダス(Poços de Caldas - MG)のマルコス(Marcos)さんの家族は、旅行をあきらめた。
彼だけは、サポーターの信念を抱き搭乗する。
「チモン(timão 偉大なチーム、コリンチャンスの愛称)がチャンピオンになるのをこの目で見るんだ。
俺は優勝カップを取りに行くんだよ。」

商売を営むフェルナンド・コニシ(Fernando Konishi)さんの旅行トランクには、コリンチャンスのネーム入りの服しか入っていない。
彼は家族一同で日本へ行く。
チモンを見るために、10人家族全員借金をしている。

「後先考えず行動してしまう典型だね。
じっくり考えたらこんなことするわけがないだろ。」
彼は笑う。

コリンチアーノはグアルーリョス空港で搭乗する。
ここ数日は、サンパウロ国際空港は熱狂的サポーターの集合場所になってしまった。

「私はうれしいけれども、同時に悲しいの。
というのは私は行けないから。
わかるでしょう。」
主婦イザベル(Isabel dos Santos)さんは言う。

販売マネージャー・ヴァルミル(Valmir Domingues)さんは車を売った。
しかし息子たちを連れていくのにはお金が足りなかった。
彼らを説得するのに殺し文句を使った。
「お父さんは運がついているんだよ。
1977年から決勝を逃したことがないんだ。
今度もね。」

2012年12月8日

恐怖の陸の地引網

ポルトガル語のアハスタル(arrastar)という動詞は、引きずるという意味だ。

その名詞形のひとつ、アハストン(arrastão)というと、辞書には「引きずろうとする激しい力」とでている。
トロール網や底引き網のこともアハストンという。
根こそぎ漁獲する、という印象だ。

地引網を行なっている地方が今どこにあるのかは知らないが、砂浜で地区の漁民家族が大集合して網を引き、浜に上がってくる網を見ながら、どれだけ魚がいるか期待に萌える楽しみな時間だろう。
しかし最近はこの単語の意味に好ましくないものが追加されて、残念ながら頻繁に使われている。
リオデジャネイロのコパカバーナは砂浜で、地引網はないのだが、新しいアハストンはときどきニュースになった。
最近は警察見回りが強化されたのか、あまり聞かなくなった。
それでも、砂浜でない場所でアハストンは起きる。

サンパウロ市南部の日本料理レストランに強盗グループが入ってアハストンを行った。
4人の強盗はピストルと軽機関銃!(submetralhadora)で武装しており、レジの現金と客の持ち物を強奪して逃走した。

15人の客が被害にあったのは、金曜日早朝、サンパウロ南部の上流地区、モエマ(Moema)のZeni Sushi(銭寿司と書くのであろう)。
普段は大雑把なブラジルの記事にしては、通り番地まで書かれている。

記事の写真を見ると、客は若者ばかりで、日本人顔は見られない。
まあそれだけ、日本食が日系以外のブラジル人の間にも普及しているということだろう。
日本人がよく行く日本食レストランと、ブラジル人が好む日本食レストランは異なるという事情もある。

警察によると、強盗グループは黒いHyundai I30で乗りつけた。
犯人の一人が車で待機している最中、ピストルと軽機関銃を持った3人がレストランに入り、従業員と客を制圧した。

強盗団は、レジの現金と客の持ち物を奪い逃走した。
強盗団は、大胆にも目出帽など使わなかった、ということは(備え付けてあったならば)防犯カメラに素顔がとらえられているだろう。
現在のところ誰も捕まっていない。

これが困ったことに、現在の陸(おか)での地引網である。

(http://ultimosegundo.ig.com.br/brasil/sp/2012-12-07/grupo-faz-arrastao-em-restaurante-japones-na-zona-sul-de-sao-paulo.htmlを参考)

なお、アハストンの新しい意味には、良いものもあって、音楽や宗教行事などで浜や通りを埋め尽くした群衆が歓喜の中で行列することもさす。

2012年12月2日

名シェフの腕も間違いを起こす

サイトg1.globo.comの見出しは、
Brasil cai no 'Grupo da Morte', com Itália e México
「ブラジルはイタリア、メキシコと一緒の死のグループに入る」
http://globoesporte.globo.com/futebol/copa-das-confederacoes/noticia/2012/12/brasil-enfrentara-italia-na-ultima-rodada-em-salvador.html
とある。
日本の名はここにはない。
記事の中で10月の親善試合4-0が触れられている。
これについての論評はフットボールファンにまかせておこう。

コンフェデレーションズカップ2013ブラジル大会抽選会で何が起こったのか。
予告通り2012年12月1日、サンパウロ・アニェンビ展覧会場(Centro de Exposições do Anhembi)で、コンフェデレーションズカップグループ抽選会が行われたのだが、まれに見るゴタゴタを全世界に中継してしまった。

何がどう起こったのかビデオを見てみた。

既に報道されているように、
1. 同じフェデレーションの(つまり同じ大陸の)国は同グループに入らない
2. 開催国とワールドカップチャンピオンは同グループに入らない
3. 開催国ブラジルはA1
という規則から、
A ブラジル、イタリア
B スペイン、ウルグアイ
は確定しているのだが、イタリアがA2, A3, A4の中から、ウルグアイがB2, B3, B4の中からどれになるのかは抽選で決まるようになっていた。

ポット1とポット2から国名のボールをひくのはモデル Adriana Lima、ポットAとポットBからグループポジションのボールをひくのはシェフ Alex Atala、いずれもブラジルの魅力、美女とガストロノミーということで選ばれたのだろう。

最初はブラジルで、黄色のボール2つが、次にスペインを表す、赤色の2つのボールがひかれて、それぞれ既定のA1, B1に収まった。
次にアドリアナがポット1からひいた白いボールはウルグアイ、司会のFIFA事務局長Jérôme Valckeは「ウルグアイはスペインのいるBグループ」と言っていたのに、アレックスはポットAからボールを引いて渡してしまった。
ジェロームはウルグアイのポジションをボールに書いてあったA3と宣言したが、表示ボードにはB3と出た。

次はポット1最後のイタリアの白ボールだが、アレックスはポットBのボールを渡そうとしたが、注意されてAのボールを渡した。
あとでビデオをよく見ると、ジェロームは困惑し、アレックスは首を傾げていたようだ。
ここでジェロームは「間違いがありました」と言った。
イタリアはA4になった。

ポット2に移った。
最初はメキシコ、グループはAで、ジェロームはすでにウルグアイのときに間違ってひかれたA3のボールが手にあったので、それをあててA3となった。
これが2つ目の論点だ。
ウルグアイの抽選で間違いが起きたときに、A3のボールをポットAに戻すか、すぐに「最初にポット2からひかれる国にA3を当てる」と宣言するか、はっきりしておくべきだった。

2番目はタヒチ、グループはBで、BのボールがひかれてB3となった。
表示ボードにはB3にはウルグアイの名前が入っている。
ここでジェロームは「大きなミスをした」と言っている。
報道によるとフランス語でFIFA会長に謝ったという。

3番目は日本、グループはAで、AのボールがひかれてA2となった。
ポット2の最後4番目は、2013年2月に決定予定のアフリカチャンピオンで、Bグループに入り、B4となった。

ジェロームは「最初のパートに戻って、ウルグアイの確認」と言って、最後の余ったボールをひかせて、B2と宣言した。
この時点で、タヒチのポジションのB3が正式に確認された。

報道によれば、抽選会のリハーサルのときは、ブラジル、スペインに続いて3番目にイタリアボールがひかれたので、アレックスはポットAから3番目のボールをひいたらしい。
ポット1の最後はウルグアイだったので、4番目はポットBからひいて、結果的にリハーサルのポット1段階ではABABの順でボールをひくことになった。
多分このために、シェフのアレックス氏は、順番はABABとなるのだろうと思い込んでしまったのではなかろうか。
ポット2の段階では、ボールをひく順番はABABとなっているので、そう思い込んでしまってもしかたがないかもしれない。

本番ではブラジル、スペイン、ウルグアイ、イタリアの順だったから、グループポットは、ABBAの順になってしまい、アレックスは混乱したのだろう。
テレビ中継解説やインターネット記事などでは、腕の確かな名シェフの腕も間違いを起こしたとかからかっている。

この混乱も、今となっては訂正されて正式決定したからどうでもよいのだが、コンフェデレーションズカップはワールドカップの1年前の前哨戦であると同時に、大会運営サイドでもチェックをすることができる絶好の機会となっている。
ブラジルは後進国とか、運営がgdgdで心配だとか2chなんかではからかわれているようだが、この事故を十分に反省して、ワールドカップ本番の抽選会がうまく行けば良しとしようではないか。

チケット発売は次の月曜日、12月3日からとなっている。

Venda geral de ingressos para Copa das Confederações começa na próxima segunda
http://www.ebc.com.br/noticias/esporte/2012/12/venda-geral-de-ingressos-para-copa-das-confederacoes-comeca-na-proxima

2012年12月3日から2013年1月15日までオンラインで受け付けたチケット購入注文は、具体的に何をするのかわからないが、電子抽選(sorteio eletrônico)を行うことになっている。

2013年2月15日から4月7日までのチケット購入注文は、残りチケットに関して先着順に対応するという。

この期間後にも、6月15日から30日まで直近(当日?)の販売がある。
直近販売はFIFAページだけでなく、Belo Horizonte, Brasília, Fortaleza, Recife, Rio de Janeiro と Salvadorの会場の公式販売所で先着順に行われる。

2012年11月29日

コリンチャンスは訪日に大乗り気

2012年FIFAクラブワールドカップは12月6日から日本で開催されるのだが、南アメリカ代表コリンチャンス(Corinthians)は遠征旅行を控えて、ずいぶん気合が入っている。
先の日曜日ブラジル選手権の最終戦、対サントスが行われたが、スタジアムは巨大富士山型の旗と、いろいろな漢字を書いた横断幕で日本遠征気分満々に飾られた。

そこにみられる訳語にかなり違和感があるのがあったので書いてみた。

勇気 = coragem
愛 = amor
勝利 = vitória
ここまでは良い。

配列 = disposição
棚卸しでもしているのか?数学の授業か?
確かに辞書をみると最初に出てくる訳語だ。
http://pt.wiktionary.org/wiki/disposi%C3%A7%C3%A3oをよくみると、
7. animação, entusiasmo, vontade, boa vontade;とある。
「元気」とか「気合」とでもしたほうが良いのではないか。

人種 = raça
これもどうかと思う。
「人種」は、確かに最重要な訳語である。
しかし調べると、
3. (Sentido figurado; Brasil) (Uso: informal) espírito de luta; determinação, empenho, coragem.とある。
ここは「闘魂」といきたい。


知恵
信仰
などの漢字も幕に書かれていた。
訳語は見えなかったが、まあこれらは間違い無いだろう。

当日は、2000年にブラジルで開催されたクラブワールドカップで優勝したコリンチャンスの元選手たちが、
INVASÃO CORINTHIANA
とデザインされたシャツを着て登場した。
「コリンチャンスの侵略」との、物騒な表現だ。
でもこういう侵略だったら大歓迎だ。
インヴァゾンのIが日本列島を形どっており、Oが日の丸になっている。
やる気満々だ。

やる気満々というと、
http://globoesporte.globo.com/futebol/times/corinthians/
は、23名の遠征メンバーを、「23人の侍」として、その紹介記事に各人に日本語の単語をあてて雰囲気を盛り上げている。
ここでも不思議なのがあるから紹介しよう。

選手名標語標語訳語
WALLACE REIS DA SILVADEDICAÇÃO献身
ANDERSON CORRÊA POLGACARÁTER人格
DANILO FERNANDES BATISTAPACIÊNCIA忍耐
DOUGLAS DOS SANTOSGUERREIRO戦士
GUILHERME ANDRADE DA SILVAGUERREIRO戦士
JULIO CESAR DE SOUZA SANTOSBATALHADOR戦闘機
JUAN MANUEL MARTÍNEZTRANQUILIDADE平静
JOSÉ PAULO (PAULINHO) BEZERRA JÚNIORPERSISTÊNCIA固執
RALF DE SOUZA TELESHUMILDADE謙虚さ
ROMÁRIO (ROMARINHO) RICARDO DA SILVACALMA平穏

今日現在まで登場したのは以上のメンバーである。

戦士が2回登場しているのはどうしてだろう。
戦士はともかく、戦闘機とは何だ。
機械人間か。

これからも面白い訳が出たら紹介したい。

最後になったが、コリンチャンスは日本人・日系ブラジル人のファンも多いこともあり、親日度が高いようである。
2011年3月11日の大震災直後には、「フォルサ・ジャパン」と書かれたユニフォームでプレイしたのは、いつまでも忘れない記憶になろう。



2012年11月12日

ブラジル新型公衆電話はWi-Fi付き

早とちりしないように、これはまだテスト中だ。

ブラジルで公衆電話は、卵の半分を斜めに切り取ったような曲線のフォームの殻に覆われていて、その形から「大きな耳」orelhãoと呼ばれる。
そのオレリョンであるが、近年の携帯電話の普及とともに使用者が減っており、まあそれは全世界的な現象ではある。
1年に-50%の割合で使用が減っているというのは、かなりの急減といえるだろう。

新型の公衆電話、いわばオレリョンVer2.0がテスト中というニュースだ。
Wi-Fiアクセスポイントを兼ねた公衆電話である。
電話の契約者である必要はなく、携帯、タブレットなどWi-Fi機器を所持していれば、50m以内にいる人は誰でも接続ができる。
簡単な登録をすれば、毎日最初の15分は無料で接続ができ、それ以上の時間接続を望む場合は電話会社のクレジットを購入する。
特色あるのは、公共ドメイン、例えば.gov (governo 政府)、.jus (justiça 司法)の接続は時間無制限にできるそうだ。
社会参加プログラムの意味があるのだ。

このテストはサンタ・カタリーナ州都フロリアノポリス(Florianópolis - SC)で、電話キャリアOiによって行われているが、2013年末までに全国の州都を中心に1000台のWi-Fiアクセスつき公衆電話を設置する計画がある。

Wi-Fiアクセスポイントだけなら、利用者が公衆電話を操作する必要はなく、公衆電話と合体する必然性はないとは思うのだが、まあポイントがわかりやすいという利点はあるだろう。
半径50mといったらかなりの数の端末が接続可能と考えられるが、接続速度など詳しいことはニュースでは解説しなかった。
15分を超えた場合の接続料金についてもニュースではわからなかった。
同日内で別のポイントに移動したら、時間カウントがどうなるのかもわからない。
でも、家の前に公衆電話があったら、毎日15分の接続が一切無料でできるというのはかなりうれしいことではないか。

(TV Globo Jornal Hoje 10/11/2012を参考した)

この記事と前後して、
「なぜフェイスブックが、無料Wi-Fiアクセスを提供するのか」
http://wired.jp/2012/11/09/facebook-wifi/?utm_source=mail&utm_medium=mv
というのを読んだ。

フェイスブックが最近試験的に始めたのが、無料のWi-Fiアクセスサーヴィスと引き替えに、ユーザーにアプリのチェックイン機能を利用させるというものだ。
フェイスブックは、Wi-Fiアクセスポイント機能を備えたルーターを小売店や飲食店などに無償で配布することになる。
ユーザーがフェイスブックアプリを使ってチェックインすれば、無料でネット接続ができる。
ということは、漏れてくる電波で店外からアクセスするのでなければ、その小売店や飲食店で消費しなければならないだろう。
この試みも、いくつかの店舗で小規模なテストを行っている段階だそうだ。

ブラジルの15分無料公衆電話近辺アクセスが良いのか、フラジルでも利用者増大のフェイスブックでの小売店・飲食店内の時間制限無しアクセスが良いのか、利用者によって好みはわかれようが、テストがうまく行って普及してくれたらうれしい。

2012年11月9日

コンフェデレーションズカップ2013ブラジル大会チケット販売予告

コンフェデレーションズカップ Copa das Confederaçõesは来年6月、もう7ヶ月後までに迫った。
会場は既報の通り、6つとなっている。
ブラジリアは開幕戦、他の都市は3試合ずつ行われる。
2012年11月8日、サンパウロで発表された。

発表前まで、スタジアム建築が遅れているレシフェとサルバドルが心配されていた。
ブラジルの組織委員会は、FIFAの定める期日までのスタジアム完成を約束した。
ブラジルフットボール連盟(CBF)会長José Maria Marin氏は、6会場での開催を高らかに確認した。
“Belo Horizonte, Brasília, Fortaleza, Salvador, Recife e Rio de Janeiro”

FIFAのコミュニケーションディレクター Walter de Gregório氏は、施設完成は一日の遅れも許されない、と釘をさした。

ブラジル政府スポーツ相Aldo Rebelo氏は、
「スタジアム、主要な交通機関スタジアム周辺工事はコンフェデレーションズカップに間違いなく間に合うように完成する」
と確認した。

最終期限は2013年4月15日だ。
工事が進んでいるのはフォルタレザのカステロンと、ベロ・オリゾンテのミネイロンだ。

都市名(北から南へ)スタジアム名進捗度
Fortaleza - CECastelão94%
Recife - PEArena Pernambuco70%
Salvador - BAFonte Nova80%
Brasília - DFMané Garrincha81%
Belo Horizonte - MGMineirão93%
Rio de Janeiro - RJMaracanã75%

この表を見ると、リオのマラカナンもブラジリアのマネ・ガリンシャも数字の上では遅れているではないかと思うのだが。

「私は楽観派の一人だ。全てコンフェデレーションズカップに間に合う」
ブラジル組織委員会メンバーである、日韓大会で大活躍したロナルドは語った。

12月1日には組み合わせ抽選会が行われる。
既に8つの内7つの参加国が決定している。

現世界チャンピオンのスペイン、ヨーロッパ2位のイタリア、アメリカチャンピオンのウルグアイ、アジアの覇者日本、オセアニアの勝者タヒチ、開催国ブラジルだ。
アフリカチャンピオンは2013年初めに決定する。

この日同時に、入場券発売方法が明らかになった。
入場券はインターネットを通じて購入可能になる。
入場券発売は12月3日から行われる。
最も安い券は57レアル、最も高い券は418レアルになる。
学生・老人・bolsa-família 参加者(ブラジルの生活保護プログラム)は最も安い席を半額、28.50レアルで購入することが可能だ。

(http://g1.globo.com/jornal-nacional/noticia/2012/11/cbf-anuncia-que-copa-das-confederacoes-tera-seis-sedes.html
を参考した)

翌日になってなにかおかしいのに気づいた。
7カ国が決定済みと言っているのに、あげられているのは6カ国だ。
元サイトを引用しよう。

No dia 1º de dezembro vai acontecer o sorteio dos grupos da Copa das Confederações que já tem sete dos oito participantes confirmados.

Espanha, campeã do mundo. Itália, vice-campeã europeia. O Uruguai, campeão da América. Japão que conquistou o título na Ásia. Taiti, vencedor da Oceania. E Brasil, o país sede.

O representante africano só vai ser decidido no inicio de 2013.

ニュース報道のビデオも見た。
確かにメキシコがすっぽり抜けている。
ウルグアイは南米サッカー連盟(CONMEBOL Confederación Sudamericana de Fútbol)の代表であり、メキシコは北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF Confederation of North, Central American and Caribbean Association Football)の代表だから、上の文でアメリカチャンピオン・ウルグアイというのは間違っている。
先のオリンピックの恨みがあるのか?
メキシコ大使館が抗議するぞ。

2012年11月22日追加

Copa das Confederações
Fifa inicia pré-venda de ingressos para a Copa das Confederações; espera é de 30 minutos
Por ESPN.com.br
http://espn.estadao.com.br/noticia/294262_fifa-inicia-pre-venda-de-ingressos-para-a-copa-das-confederacoes-espera-e-de-30-minutos

こういう記事が出た。
FIFAはコンフェデレーションズカップのチケット先行販売を今日2012年11月21日水曜日に開始して、その待ち時間は30分ということだ。
VISAクレジットカードを持っている人は、ここでカテゴリー1から3までと障害者優待席を購入できる。

購入のために、FIFAスポンサー(つまりクレジットカードVISA)の顧客は、まずFIFAのサイトで登録が必要だ。
FIFAサイトをみたら、ファーストネーム、ラストネーム、メールアドレスを入れてBegin Registrationボタンを押すようになっている。
そのあとで待ち行列に入る。
記事によると、正午ころ、サイトの待ち時間は約30分だった。
今午後10時ころだが、試してみたら10分程度でサイトにつながった。
一人で6枚まで購入できる。
12月1日のグループ組み合わせ抽選前だから、スタジアム地元のファンが自国他国関係なく試合を見たい場合にチケット先行購入することになるのだろう。

開幕戦1試合のみのブラジリアを除く5会場の、それぞれの通し券(2ないし3試合、決勝・準決勝は除かれているようだ)も発売される。

その他の人はチケット販売は12月3日からとなっている。
発売日はグループ抽選の後だから、購入時にどの国の試合かわかっている。
そしてカテゴリー1から3に加え、一番安いカテゴリー4も販売される。
カテゴリー4には、学生、老人、Bolsa-Família受給者向けの半額チケットも含まれる。

さて、読者コメント欄を見ると、FIFAのサイトの作りが悪いためか、クレジットカードの購入確認がないとか、そのためにダブって購入してしまったが、キャンセルの仕方がわからないとか、自分のCPFははねられたので父親のCPFを使って購入したとか、そんな例があげられている。

CPF (Cadastro de Pessoas Físicas)を求められるということは、ブラジル居住者、海外居住でもCPF所有者を対象にしているということだろう。

翌日になって
http://esporte.ig.com.br/futebol/2012-11-22/venda-de-ingressos-da-copa-das-confederacoes-bate-recorde-em-24-horas.html
という記事があった。

24時間のチケット売上は7万4千席という記録。
この段階(つまりVISA顧客優待プログラムである先行販売)での開幕戦および決勝戦のチケットは売り切れた。

ぶん殴る前に10まで数えよう

「ぶん殴る前に10まで数えよう」っていったい何だ。
10まで数えてからぶん殴るのではない。
10まで数えたらぶん殴る気が失せるというのだ。

最近はサンパウロ市が物騒で、毎晩のように10人単位の殺人事件が報道されている。

ブラジルの殺人事件の大半は薬物がらみといわれる。
つまり、麻薬販売人グループ内のいざこざ、ライバルグループ間の勢力拡張抗争、薬物売買場面での争い、代金不払いの清算(凄惨?)といったものだ。

その上に、ブラジルの大都市のファベーラ(favela)がある。
ファベーラに巣食う犯罪組織から、政府が支配権を奪回するため警察力さらには軍隊力を行使するので、強迫された犯罪組織が反発して、非番の警察官を殺害する事件がサンパウロで連発している。

つい昨日サンパウロ州政府と連邦政府の間、つまりサンパウロ州警察と連邦警察が、凶悪犯罪対策のためにより緊密な協力体制を結成したというニュースが流れたばかりだ。

一方で、街角で普通の市民の間に起きる喧嘩が発展したような、感情爆発による衝動的殺人事件も頻発している。

ブラジルの全国の殺人事件の4件に1件は、衝動(impulso)により、つまらないきっかけ(motivo fútil)で起きる。
暴力に訴える者は、感情の制御ができなくて何も考えず衝動のおもむくまま突っ走る。

そのため、あるキャンペーンが今日発表された。
「10まで数えよう。深呼吸して10まで数えよう。」
頭に血がのぼって即座に暴力へ訴える前に、深呼吸して冷静に10まで数を数えて頭を冷やそうというのだ。

パラ州ベレンでおきた傷害事件では、オートバイのアラームが原因でライダーと交通警察官が口論していたが、警察官が落ちていた板切れでライダーを殴り始めて、通行人が仲裁するまで喧嘩は続いた。

ブラジリアから30kmのセイランジアでは、隣人同士の口論が40歳のモトボーイ、つまりオートバイの配達屋が命を失う殺人事件まで達した。
隣からのオーディオの音量が大きすぎ耳障りだったという些細な原因なのだが、モトボーイは怒った隣人に弾丸5発を撃ち込まれて死亡した。

この日の報道ではないが、今まで聞いた中で最もくだらない理由で殺人が起きたと思うのは、若者の兄弟げんかが激昂して相手を刺し殺したという地元の事件だ。
一つ屋根の下に住む兄弟が殺人事件の犯人と被害者になってしまったのは、テレビを部屋のどこへ置くかでもめたからであった。
全く情けなくなる。

連邦区の全殺人事件の23%は衝動的に起きたという。
サンパウロ州の2011年1月から2012年9末までの統計では、実に83%が些細な(motivo banal)理由で殺人事件にまでなった。
公共省の統計では、ブラジルの全殺人事件の4件に1件は衝動的に起きるという。

衝動に我を忘れて暴力へ突っ走るという危ない行動は全国的に見られるわけだが、そのために「10まで数えよう」キャンペーンが今日ブラジリアで発表されたのだ。

MMAと柔道の格闘技家たちが出演しているビデオを見た。
格闘は畳の上だけにしようとのメッセージである。

"Conte até dez. A raiva passa e a vida fica."
「10まで数えよう。怒りは過ぎ去り、命は残る。」

キャンペーンコーディネーターTaís Ferrazさんは語る。
「ブラジル人はもっと寛容と平和(tolerância e paz)を大切にしなければならない。ブラジルの殺人率を激変しなければ。ブラジルは世界でも有数の暴力事件の多い国だから。」

キャンペーンは期限を定めず、主に学校でビデオやパンフレットを使い、教育省と協力して行われる。

2012年10月24日

サンバの極意は女尻振り、男ちょいワル

クラブの行事で、Oficina de dançaつまりダンス・ワークショップがあった。

ブラジルのテレビGloboの日曜番組 Domingão do Faustão「大ファウストの大日曜日」というのがある。
太めのパーソナリティ、ファウスト氏のでっかい日曜日というバラエティ番組だ。
ダンスインストラクターが俳優など有名人とペアを組み、有名人を指導して毎週定められる課題音楽でペアダンスの上手さを競う勝ち抜き戦、Dança dos famosos「有名人のダンス」というコーナーで、2012年準優勝した、リオ・デ・ジャネイロから来たインストラクター Patrik Carvalho氏が講師というのが売り物だ。

朝食というか、朝のコーヒータイム(café da manhã)があるというのにつられて、朝8時に着いたが、カフェの準備はできているのに、だれもいない。
夏時間に突入して最初の朝、つまり日曜日の朝8時という時刻は、昨日までだったら7時であったのだから、わざわざ日曜に朝1時間早起きして行こう、と考えたブラジル人は非常に少なかったということだ。
三々五々集まってきた人々が食事を始めたのは、定刻を30分以上過ぎたころだったろうか。
テーブルと椅子にはかなりの空きが見えたものの、実際にダンスを習うスペースが小さかったせいか、ステージ前のスペースは人で一杯の盛況、熱気にあふれていた。

どんなものが題材になって、どんなふうに進められたのか簡単に書いてみよう。

一番目の題材はサルサ Salsaである。
サルサはスペイン語で歌われて、ブラジルからでたものではないのだが、ダンスの一つのステップとして認知されているようで、その点では日本のダンスと同じようなものかもしれない。
ステップとして簡単なのかは分からないが、Wikipediaをみると、これを踊れれば、コロンビア、ベネズエラやキューバ、パナマのような中南米だけでなく、アメリカ(合衆国)の中のニューヨーク、プエルトリコのヒスパニック系の音楽シーンをカバーすることができる、いわば習っておけば通用範囲が広い、スペイン語そのもののようなダンス音楽である。

インストラクターが交代して、二番目の題材はフォホー Forróである。
これは、一番目のサルサとは異なって、ブラジルは北東部 (nordeste)発祥の、かなり土着性の強い音楽であったものだが、最近はブラジルのどこでも聞いたり踊ったりするようになっている。
土着フレーバーの強い演奏では、アコーディオン(sanfona)によるメロディーと、トライアングル(triângulo)の刻むリズムが印象的だ。
これがうまく踊れたら、とくにブラジルのセルトン(sertão)のような田舎での、例えば6月祭(festa junina)といったブラジル奥地気分満々の場面で、注目を浴びること間違いない。

そして最後に出てきたステップがサンバ Sambaである。
ブラジルと言ったらサンバ、という常識的というか条件反射的回答をする人は多いと思う。
まあ今日のインストラクターはリオから来たのだし、サンバと言ったらリオデジャネイロが本場というのが、ブラジルでも常識になっている。

昔からブラジルの観光コースには、リオデジャネイロのサンバショーというのは定番になっているし、最近ではリオやサンパウロのカーニバルの主役であるエスコーラ・ジ・サンバ(escola de samba)でも、練習風景やリハーサルなどが観光客に向けて公開されているところもあるらしい。
ステップなど何にも知らないまま、サンパショーの舞台とかエスコーラの練習場(barracão)なんかに急に担ぎ出されて、ステップの前後左右全くわからないまま、拍遅れで真似踊りしたり、開き直って盆踊りを踊るよりも、多少ともブラジル人インストラクターに教えてもらってから踊ったら、よりサンバ気分満点となること疑いなしだ。

どの題材の訓練でも共通しているのは、一つの踊りのステップを4つの同じ長さの基本的なエレメントに分解して、最初は一つ、次は1つ目と2つ目をつなげて、次は、1つ目と2つ目と3つ目を通して、最後に1, 2, 3, 4と通しで踊るようにするという方法だ。
それぞれのエレメントは、例えは1つ目は前後移動、2つ目は左右移動、3つ目は回転運動といった具合に、それぞれ8拍の長さになっている。

サンバは、男ステップと女ステップが異なっている部分がある。
この教授説明が面白かった。

女性はrebolar(ヘボラール)、葡和辞典を見ると、腰などを振る、とある。
ずばり、尻を左右に振ることだ。
男性が尻を振り過ぎたらいけないよ。

男性はmalandro(マランドロ)、辞書にはごろつき、悪党、無頼漢とか悪い意味しかない。
ここでは、ちょいワルとしておこう。
女性の後を追って歩いてから、8拍目にワッとびっくりするんだ。
女性の肉感的魅力に、すなおにびっくりして表現するのがブラジルのちょいワルなのだろう。

そして、上半身の動きはpirraça(ピハッサ)、辞書を見ると人を困らせる行為、意地悪、いやがらせとある。
誰でも子供の時は駄々をこねていやいやをしただろう、いやいや(pirraça)、いやいや(pirraça)、いやいや(pirraça)、いやいや(pirraça)をしなさい。
間違ったサンバは、手と足と同じ方向へ踊ることだ、だから右足を出すときには手は左方向へ振りなさい。
といったように非常にわかりやすい。
だからといって、しろうとがすぐにうまく踊れるものではないのだが。

始まるまではそれほど期待していなかったが、実際はとても楽しい行事であった。
観光業界の人よ、ブラジルのリオなどのダンス教室とタイアップして、半日ブラジル人の教えるダンス教室で練習、夜はエスコーラ・ジ・サンバのリハーサルに参加なんていうツアーはいかがだろうか。
カーニバルとワールドカップやオリンピックとは、時期がずれてしまうのは難点ではある。
ワールドカップやオリンピックのツアーに組み込んだら、ブラジルと聞いて思い浮かぶ象徴の二つである「フットボール(サッカー)」と「サンバ」が含まれる体験型旅行として受けると思う。

2012年10月19日

ネイマールの36時間10,360キロゴール

ブラジル時間2012年10月16日火曜日午前9時10分という、およそフットボール観戦にはふさわしくない時間に、Wrocław, Polandでブラジル-日本国際親善試合が始まった。
結果はブラジル4-0日本であったが、これについてはいろいろな感想があるだろう。
ここに書くのはそのことではない。

ブラジルの地上波では、水曜日夜と日曜日夕方にブラジレイロン(Brasileirão)とよばれるブラジル一部リーグの中継がある。
ブラジル時間2012年10月17日水曜日午後10時には、クルゼイロ(Cruzeiro)-コリンチャンス(Corinthians)が中継された。
しかしその途中で速報でゴールシーンが流れたら、サントスにネイマールがいるではないか。
ネイマールのサントス200試合目の節目で、華麗なドリブルからつながる実に見応えのあるゴールだった。
五条大橋の欄干を身軽に飛び交う牛若丸は、きっとこんなだったのだろうと思わせる。

二つのゴールの時間差と距離差を測ってみた。

ブラジル時間2012年10月16日火曜日午前9時10分 ブラジル-日本親善試合開始
ブラジル時間2012年10月16日火曜日午前10時13分(後半3分)ネイマールこの試合2点目(ブラジル3点目)のゴール
ブラジル時間2012年10月17日水曜日午後10時 ブラジル一部リーグ サントス(Santos)-アトレチコ・ミネイロ(Atlético Mineiro)試合開始
ブラジル時間2012年10月17日水曜日午後10時11分(前半11分)ネイマールのゴール(サントス2点目)

時間差 36時間
距離差 Wrocław, Poland -> Santos - SP, Brasil 10,360km

10月18日夜のニュースでは、ポーランドからブラジルまで14時間の旅だったという。
移動時間を引いたら、休息時間は22時間しかない。

昔よく野球のダブルヘッダーがあったが、サッカーとは運動強度が違う。
この前のロンドンオリンピックでもサッカーは最低中2日だったと思うが、試合の間に最低70時間ほど置いているわけだ。
ネイマール本人の希望か、クラブの要請(強制?)かはわからないが、20歳と若いから無理もできるのだろう。

こういうのは正式な記録にはならないだろうが、あまり無理をしないで長く活躍してほしいものだ。

2012年10月12日

2012/13年のブラジル夏時間

ブラジルの夏時間
きょう終わるブラジルの夏時間

ブラジルで春は、9月分点から始まる。
ちょうど日本では、「秋の日は釣瓶落とし」と言われる季節だ。
南半球のこちらは、「春の日は暮れそうで暮れぬ」わけだ。

毎日7時前後から約50分ウォーキングをするのだが、春分点のころから、7時には日が相当高くなっている。
7月や8月には、7時前には日が昇ったばかりで、寒波が来るとかなり寒さを感じることも多かったのだが、春になると高く昇った陽の光は強い。
最近は7時ころ、公園の温度計は20度以上指していることが多い。
少し走るとかなり汗をかく暑さで、ひんやり涼しい季節が懐かしくなる。
それなら30分、1時間早く起きれば良い、と言われればそれまでだが、家族がいると、皆の生活時間と合わせた方が良いし、一人だけ早く起きるのは辛い。
そうなると10月の恒例行事、サマータイムに早く来てほしい。

最初に書いておく。
ブラジルの夏時間実施は、全国一斉でなく、州単位で行われる。
そのため、大陸部に元々2つある時間帯(UTC-3とUTC-4)に、夏時間実施/不実施が加わり、UTC-2, UTC-3, UTC-4が交じり合い複雑になる。
州間旅行する場合には十分注意が必要だ。

2008年の大統領令によって、サマータイム入り、サマータイム明けの日は決められている。
今年の夏、つまり2012/13年の夏時間は、10月第3日曜日である2012年10月21日0時に時計の針を1時間進め、2月第3日曜日である2013年2月17日0時に時計の針を1時間遅らせる。

通常時にブラジリア時間はUTC-3(マイナス3)時間帯であるものが、夏時間実施中には、UTC-2時間帯となる。
UTC+9である日本との時差は12時間から11時間になる。
カーニバルが2月第2週で、第3週日曜日にかからないため、夏時間の継続期間は126日になる。

2020/21年までの夏時間期間を、ワークシートを組んで計算した。
*は、2月第3日曜日がカーニバルと重なるため、夏時間終了が2月第4日曜日にずれた日である。
これを見ると、カーニバルと第3日曜日が重ならくても、夏時間期間が126日になる年があることがわかる。
開始日終了日日数
2012/132012/10/212013/2/17119
2013/142013/10/202014/2/16119
2014/152014/10/192015/2/22*126
2015/162015/10/182016/2/11126
2016/172016/10/162017/2/19126
2017/182017/10/152018/2/18126
2018/192018/10/212019/2/17119
2019/202019/10/202020/2/16119
2020/212020/10/182021/2/21126

2010/11年の夏まで、8年間夏時間を実施せず、2011/12年の昨夏に夏時間を実施した、ふらふら変わるバイアBahia州(州都はサルバドルSalvador)は、2012/13年の夏になどうするのか?
全くわけのわからない州で、この日曜日2012年10月7日にJaques Wagnerバイア州知事が夏時間実施を発表したものの、今日11日に、バイア州はこの先2年は(つまり彼の知事任期中は)夏時間は実施しない、と修正した。

「過去11ヶ月間に夏時間について2万件の苦情を頂いた。大きな量だ。フィールド調査をしたら、75%の州民が夏時間に反対していることがわかった」と述べた。
そんなに苦情があったのなら、なぜ州知事はいったん無理を押しての夏時間採用を発表したのか。
それだけ夏時間採用による、バイア州で4.2%と算出される節電効果、及びブラジリア時間との一致を重視したかったのか。

州知事が意見を交換した団体を見ると、労働組合は夏時間反対、企業組合は夏時間賛成に、それぞれ固まるようだった。
夏時間実施/非実施の決定が10月7日の地方選挙に関係していたのかとの質問に対しては、州知事は堅く否定した。

というわけで、バイア州の人(baiano)よすみません、夏よ、サマータイムよ、早く来い。

('Não haverá horário de verão na BA nos próximos 2 anos', diz governador
11/10/2012 13h14 - Atualizado em 11/10/2012 13h41
http://g1.globo.com/bahia/noticia/2012/10/nao-havera-horario-de-verao-na-ba-nos-proximos-2-anos-diz-governador.htmlを参考した)

2012年10月16日追加

2012/13年のサマータイムに波乱が出た。

上に書いたように、バイア州は夏時間実施州グループから抜けたのであるが、トカンチンス(Tocantins 略称TO)州が夏時間を実施することになった。

トカンチンス州は、1989年にできた新しい州である。
それまで、サツマイモを細い方を北に向けて立てたような形をした、広大なゴイアス州(Goiás GO)の北半分を分割してトカンチンス州(州都はパルマスPalmas)となったのだ。

地方区分では北部に含まれ、本来は夏時間は実施しないはずだ。
ブラジル北部は、赤道に比較的近く、夏季の昼間時間はそれほど長くならず、したがって夏時間の効果が出にくいのだ。

トカンチンス州知事の説明では、ブラジリア、サンパウロ、リオなどを含む夏時間実施地域と時差が出ないようにして、銀行業務や航空便の便利を図りたいとのことで、住民の希望というより、役所や企業の都合を優先した感じがしないわけではない。

夏時間の実施州はこのため、Rio Grande do Sul リオ・グランデ・ド・スル, Santa Catarina サンタ・カタリーナ, Paraná パラナ(以上3州は南部), São Paulo サン・パウロ, Rio de Janeiro リオ・デ・ジャネイロ, Espírito Santo エスピリト・サント, Minas Gerais ミナス・ジェライス(以上4州は南東部), Goiás ゴイアス, Mato Grosso マット・グロッソ, Mato Grosso do Sul マット・グロッソ・ド・スル(以上3州は中西部), Tocantins トカンチンス(上に書いたように北部)とDistrito Federal 連邦区つまりブラジリア周辺である。

この情報は間違いないというか、これから土壇場で変更することはないと思う。
2012年10月16日付けの連邦政府の官報(diário oficial)に発表された情報だからだ。

しかしまあ、日本であったら夏時間実施日の一週間前を切っているのに、実施するとかしないとかがようやく決定するというのは全く考えられないであろう。
実はブラジルは、このへんのコンピューターシステムの変更などのノウハウは素晴らしいものを持っているのかもしれない。

トカンチンス州に住み、マイクロソフトのウィンドウズを使っている人は、今週中にタイムゾーンの都市選択をフォルタレザからブラジリアに変更すれば、夏時間移行は自動的に行われるはずである。

(16/10/2012 09h20 - Atualizado em 16/10/2012 11h41
Governo exclui a Bahia e inclui o Tocantins no horário de verão
http://g1.globo.com/brasil/noticia/2012/10/governo-exclui-bahia-e-inclui-o-tocantins-no-horario-de-verao.htmlより)

2012年10月4日

ブラジル選挙戦略は数字替え歌熱唱

2012年10月7日は、4年に一度の地方選挙投票日だ。
選挙制度については、調べるほどに山ほど書くことが出てくるが、少しにしておこう。

ブラジルの選挙は、1996年から、投票機を使用するようになっている。
投票機は、urna eletrônica(電子投票箱)とよばれる。


写真はWikimedia Commons

投票機を見てわかるように、デジタルホンや通常の携帯電話と同じ配列の数字キーと、最下列左から白色の「白票」キー、橙色の「訂正」キー、少し大きめで緑色の「確認」キーが、入力インターフェイスの全てだ。
各キーには点字が刻まれて、視覚障害者でも他人の助けなしで投票できるようになっている。

出力インターフェイスはキーボードの左側の画面で、文字や画像が表示できる。
通常選挙では、候補者番号を入力すると、画面に候補者の氏名と顔写真が写り、確認キー打鍵をうながす。

日本の投票では、投票者は候補者名を枠の中に他人が判読できる字で書かなかればならない。
文盲率の極めて低い日本だからこのやり方は実行可能だ。

ブラジルは文盲率(Taxa de analfabetismo)が高い。
2000年時点で、15歳以上のブラジル人の13.6%が文盲だ。

どこかアフリカの国かインドだったか、すべての投票者の顔写真の入った画用紙大の巨大投票用紙をテレビニュースでみたことがある。
巨大な投票用紙の中から、投票したい候補者を見つけるのに時間がかかるし、印をつけてから折りたたんで投票箱へ入れるのも大変そうだ。

一方で、ブラジルで投票は権利でなく義務である。
投票ができない場合でも、投票不可申告(justificativa つまり申しわけ)を行わねばならない。
文盲であることは、投票しない・できない理由にならない。

ブラジルはurna eletrônicaを発明、採用した。
暗号化などプログラム自体は大きく変化しているだろうし、内部のハード改造も行われているだろうが、筐体とキーボード部分は一見して初期モデルと一緒だ。
電子投票になってから、開票作業が極めて迅速になり、大部分は当日に、遅くとも翌日に結果がわかるようになった。

今回のは地方選挙だから、市長(prefeito)、市議会議員(vereador)を選出する。
市長候補には、政党に2桁番号があてられている。
一つの政党から二人の市長候補が出るという事態は想定していない。
通常は党大会で統一候補を選ぶからだ。

たとえば、現在の連邦政府主力与党である労働者党(Partido dos Trabalhadores)は13、主力野党であるブラジル社会民主党(Partido da Social Democracia Brasileira)は45となっており、全国共通である。
政党固有番号はまた、今年の地方選挙と同様に4年ごとに、次回は2年後に行われる大統領・連邦上下院議員・州知事・州議会議員の選挙にも共通して使用される。

市議会議員には5桁番号があてられる。
上位2桁は政党を、下位3桁はその政党内の候補者番号を表す。

この数字割当では、ブラジル全国に99の政党が存在し、各党の候補者は各市ごと999人まで立てることができるわけだ。
13111と同じ番号でも、うちの市と隣の市とでは、別の候補者を意味する。

市議会議員の投票では、投票者は5桁の候補者番号を間違いなく打ち込まなければならない。
そのための戦術は、候補者が別の政党に移らないかぎり変えることのできない上位2桁はともかく、下位3桁をいかに覚えてもらうかである。

上位2桁とのつながりを考慮しながら、強いパスワードの反対を考えれば良いわけだ。

単純に考えても、
11111(同一番号)
12345(連続番号)
とかがあるし、
キーボード形状を考慮すると、
12321(キーボード右行左行、しかも回文)
14741とか25852(キーボード下降上昇、しかも回文)
などがある。

今日本の選挙運動に残っているのだろうか、昔は「候補者名連呼」があった。
現在のブラジルは「数字あて歌の連唱」である。

例を二つだけあげよう。
13913 treze nove treze 13-9-13
23999 vinte e tres nove nove nove 23-9-9-9

こいつらはうるさく頭の上を飛び回る。
そして投票当日、頭が真っ白になった投票者は、耳にこびりついた数字あて歌を歌いながら、選挙参謀の思惑通りに番号を打つのである、となるのだろうか?

2012年スペルクラシコのゆくえ

今年の(第2回)スペルクラシコ・ダス・アメリカス "Superclássico das Américas"(po.), "Superclásico de las Américas"(es.)は、2週間前のブラジルのゴイアス(Goiás)州都ゴイアニア(Goiânia)で、ブラジルが辛くもロスタイムで2-1と、何とか面目を保ったのであるが、第2(最終)戦アルゼンチンのレジステンシア(Resistencia)では、試合そのものにケチが付いた。

2012年10月3日水曜日、両国の国歌演奏のあと、これから試合だというときにスタジアム(Estádio Centenario)の照明が一部消えてしまった。
チリ人主審Enrique Osses氏は23時5分まで待ったのだが、照明の故障が直らないので、試合をキャンセルした。

アルゼンチンのマスコミ(Clarin)は、照明故障の原因を、ブラジルチームを乗せたバスが、スタジアムの横に設置してある発電機の一つに衝突したのを原因とした。
これはとてもおかしい。
スタジアムの発電機?
非常用ならわかるが、スタジアムは通常時に発電機で照明自給しているのか?

ブラジルチームのバスが衝突?
運転手はアルゼンチン人だろうが。
試合がキャンセルされたら、第1戦で勝利のブラジルが大会勝者となるのはわかる。
しかし発電機に衝突してまで勝ちたいと思うか?
失礼を承知で言うが、そんな大した大会ではないだろう。

ブラジルのゴールキーパーJefferson及びアルゼンチンのキーパーUstariは口々に、照明塔1本分まるまる欠けている状態では試合できないと言った。
両チームはグランドでウォーミングアップをしながら、照明の回復を待った。

35分後、選手たちはロッカールームへ引き上げた。
ブラジルのTV試合中継局Globoは、後続番組を流し始めた。
それはSNSで大きな反響を呼んだ。

テレビの前のソファで、いつか私は寝入ってしまった。
目が覚めたら、深夜の番組をやっていた。

CBF(ブラジルフットボール連盟)会長Andrés Sanchez氏は、「23時5分まで待っても照明が戻らないならチームはみんな帰る」と表明していた。
実際に23時5分まで戻らなかったため、AFA (Associação de Futebol da Argentinaアルゼンチンフットボール協会)と協議の上で、試合はキャンセルされた。

来週CBFとAFAが会議で、カップの行方を決定する。
というのも、ブラジルにとっては今年中に試合をねじ込むスケジュールが組めないからだ。

(Queda de energia cancela duelo entre Argentina e Brasil em Resistencia
iG São Paulo | 03/10/2012 22:36:48 - Atualizada às 04/10/2012 11:22:20
http://esporte.ig.com.br/futebol/2012-10-04/queda-de-energia-atrasa-duelo-entre-argentina-e-brasil-em-resistencia.htmlを参考した)

翌日10月4日昼前の報道では、ある報道記録社が照明設備発火をビデオに納めたという。
事故の原因は、まだ解明されていない。

(Vídeo registra explosão que teria causado apagão de jogo do Brasil 04/10/2012 - 11h40
http://tvig.ig.com.br/esporte/futebol/futebol-internacional/video-registra-explosao-que-teria-causado-apagao-de-jogo-do-brasil-8a49802639368a22013a2c33f8472603.html)

アルゼンチンのレジステンシアは、チャコ(Provincia del Chaco)県都であり、人口は約36万人、辺境地方の中心都市である。
地図を見るとアルゼンチン北東部の内陸で、パラグアイの南側に近い。
テレビでは、ブエノス・アイレスから千キロ離れており、スタジアムは2万5千人収容と言っていた。

なぜレジステンシアへ試合を持っていったかの理由も説明していた。
アルゼンチンフットボール協会がこの都市での開催を企画した理由は、フットボールの中央一極集中を緩和したいからということだ。
目論見が裏目に出たようで、アルゼンチンフットボール関係者やレジステンシアのファンは残念がっていることと思う。

2012年10月12日追加

スペルクラシコ第2(最終)戦は、2012年11月21日にボンボネラで行われる、と南アメリカフットボール連盟(Conmebol - Confederación Sudamericana de Fútbol)は10月11日に発表した。
ボンボネラ(Bombonera)は、首都ブエノス・アイレスのボカ・ジュニオール(Boca Juniors)の本拠スタジアムである。

("Superclássico" entre Brasil e Argentina é remarcado para a Bombonera
iG São Paulo | 11/10/2012 22:15:10 - Atualizada às 11/10/2012 22:33:43
http://esporte.ig.com.br/futebol/2012-10-12/superclassico-entre-brasil-e-argentina-e-remarcado-para-a-bombonera.htmlから)

2012年9月27日

安いビールはアルコール度が低いか調査

私はビールの味がよくわからない。
よほどまずくなかったら、たいていのビールならおいしく飲める。
昔は本当にまずくて飲めないビールがあったものだが、最近はそんな銘柄は見なくなった。
ブラジルのビールの品質が改善したのか、私の味覚が退化したのかはわからない。

ビールの銘柄が話題になると、「xxxxは苦すぎる」、「私はxxxxでなければ胃が受け付けない」、「xxxxを飲むと頭が痛くなる」とか実にさまざまな意見を聞くのだが、正直私にはどうでも良い。
しかし、ひとつの命題が出されたので、どうでも良いと放っておくわけにはいかなくなった。

「安いビールはアルコール度が低い」
これは真か偽か?

近所のスーパーマーケットCarrefourで350mlの缶入りのアルコール度と値段を比較してみた。
調査日 2012年9月25日

MarcaAlcool(%)Preço(R$)
Antarctica4.90%1.69
Antarctica Sub Zero4.60%1.19
Bavaria4.60%0.99
Bohemia5.00%2.15
Brahma4.80%1.85
Crystal4.50%1.29
Devassa4.70%1.49
Itaipava4.50%1.39
Kaiser4.50%1.19
Nova Schin4.70%1.35
Skol4.70%1.99




ブラジルでは「安いビールはアルコール度が低い」と言えそうだが、少なくともこの調査では、値段の最高最低差は100%であるのに対し、アルコール度の最高最低差が10%にすぎないので、「値段が2倍のビールは酔いも2倍」というわけにはいかないようだ。

2012年9月17日

みんな週末に〇〇を使いたがる

ポータルサイト br.msn.comに次のニュース見出しがあった。
'Todo mundo prefere usar no fim de semana'
「みんな週末に使いたがる(使うのを好む)」
動詞 usar(使う)の目的語がないぞ。
見出しスペースの関係で省略されたのだろう。
〇〇に入る単語は何か?
いろいろな単語が入りそうだ。
これはティーザーか?とクリックしたくなる。

正解は「みんな週末に自動車を使いたがる」、
'Todo mundo prefere usar o carro no fim de semana'
であった。
(http://estadao.br.msn.com/ultimas-noticias/todo-mundo-prefere-usar-o-carro-no-fim-de-semana)

サンパウロ市で土曜日に渋滞が起きるのは、交通工学(engenharia de tráfego)にかかったら、必然で予測できていたという。
ブラジル連邦政府は自動車にかかる工業製品税の減免税(Imposto sobre Produtos Industrializados (IPI))を2012年8月末で終了する予定だったが、10月末まで延長した。
経済下支えの政策だ。
サンパウロ市の自動車台数は2010年から現在まで11万台増加して、528万台になった。
2年で2%とは大したことないような気がするが。

「だれもが自動車を持つ権利がある。
その意味では私は自動車を擁護する。
だれもが週末に自動車を使いたがる。
以前は、土曜日午後は商店が閉店していたので、交通量は少なかった。」
交通コンサルタントFlamínio Fichmannは言う。

気をつけなければならないのは、別の専門家Luiz Célio Botturaの言葉だ。
「無謀運転と飲酒運転のため交通事故は増えている。
週末は取締りが甘くなるので、交通は混乱しやすい。」

週末に酒を飲む機会が多いのはわかる。
警察も週末に働きたくないのもわかる。
最近車を手に入れたばかりで、週末しか運転しないドライバーが飲酒運転したらどうなるか?
想像して備えなければならない。

「みんな週末に〇〇を使いたがる」
〇〇に「保険」「警察」「病院」などが入らないようにしよう。

2012年9月16日

ぽっこりお腹とむっちりお尻

「ぽっこりお腹」は肥満よりも死亡の原因となる
http://wired.jp/2012/09/13/paunch/?utm_source=mail&utm_medium=mv
を読んだ。

要約すれば、腹部の内臓脂肪は体のほかの部分の脂肪と比べて、心臓循環器系の病気を誘発しやすく、腹ぽっこりの肥満はそうでない単純な肥満の人々より早死する可能性が高い。

この研究は米国で行われたのであるが、有名なBMI指数と並んで、初めてみる指数が使われている。
ウエストとヒップの比率を測る指数(WHR: Waist-hip ratio)というものだ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Waist-hip_ratioをみると、この見出し語では、日本語ページもポルトガル語ページもまだ存在しない。
道理で聞いたことのない指数なわけだ。

さてこの指数を測るのは、メジャーさえあれば簡単だ。
ウェストにくびれのある人は、一番細い部分を測り、ヒップは一番太い部分を測るのだ。
くびれのあるべき部分が反対に太っている人は、ヘソ上1インチの周囲を測りウェストとし、臀部は寸胴でどこも太いという人は、大腿骨の外側に突き出した部分の高さを測ってヒップとする。
ウェスト/ヒップが WHRとなる。

肥満の判定は次のとおりになる。
世界保健機構 WHO (World Health Organisation)は、男性WHR>0.95、女性WHR>0.80、あるいは、BMI>30.0を腹部肥満とする。
国立糖尿消化器腎臓病研究所 The National Institute of Diabetes, Digestive and Kidney Diseases (NIDDK) は、女性WHR>0.8、男性WHR>1.0の場合に、脂肪の分布のため、健康上のリスクが上昇するとされている。

腹囲やBMIと比較してWHRは、より高齢の人で死亡率予測に有効とみられる。
BMIの代わりにWHRを肥満を判定する指数に採用すると、心臓病リスクありと判定される人は世界で3倍に増えるという。

別の研究では、腹囲はWHRより心臓循環器リスク要因をよく反映するという。
こんな反例があるため、WHRは日本の医学・栄養学界で重要視されていないのだろうか。

WHRは、Fertility(生殖力)の判定にもなる。
女性0.7、男性0.9の場合に、ホルモン分泌が正常で健康状態がよく、生殖力も高いとされている。
WHR>0.8の女性は、それより低い女性と比較して不妊の率が高くなる。
男性はWHR0.9近辺が、生殖力が強く前立腺がんや睾丸がんが少ないという。

WHR0.7の女性から生まれる子供の頭が良くなるという研究結果まである。
臀部に含まれる多価不飽和脂肪酸鎖が、胎児の脳発育に好影響を与えるという説明がされている。

そして、やはり話はここに来ると思ったのが、Measure of attractivenessつまり魅力の指数である。
WHRが女性の魅力の有意な指数となることは、複数の研究者が指摘している。

インド・ヨーロッパ系文化においては、BWR0.7の女性が最も魅力ある女性だと、男性は感じる。
魅力的と感じられる女性のBWRは、文化・民族によって異なる。
中国、南アメリカ、アフリカの一部で0.6、カメルーンやタンザニアのHazda族では0.8とされる。

南アメリカの男性が、魅力を感じる女性のBWRは0.6、腰が細く尻が大きい、いわゆるcorpo de violão(ギターの体形)とよばれる女性の姿だ。
WHRはウェストとヒップの「比率」だから、数値を下げるためには、ウェストを小さくするか、ヒップを大きくすれば良い。
ヒップ90cmの場合でBWR0.7のウェストは63cm、BWR0.6だとウェスト54cmだ。
BWR0.6はウェスト絞り過ぎだと思う。

今あるウェストを絞るは無理という女性は、ヒップを人工的に大きくすれば良いという結論にたどり着くのは必然だ。
そこで、「本当の美容整形大国はどこか」で使った"ISAPS International Survey on Aesthetic/Cosmetic Procedures Performed in 2010"を見なおしてみる。

ドイツ・フランス・イタリアの欧州や日本・中国・インド・韓国のアジアで比較的少ない、美容整形手術のButtock augmentation(豊尻手術)は、ブラジルとコロンビアで突出している。
メキシコも多い。
美容整形手術の件数が多い上位25ヶ国合計では、Buttock augmentationが全手術件数に占める件数割合は1.3%であるが、国別にみるとコロンビア3.2%、ブラジルは2.8%、メキシコ1.7%が多いグループだ。
ドイツ・フランス・イタリアは0.3%に過ぎないから、ヨーロッパのラテンと南アメリカのラテンには、臀部のシリコン増大手術に関して大きな違いが認められる。
ヨーロッパは豊食で、カロリー過多つまり太り過ぎのため、尻を大きくするなんてとんでもない、という女性が多いのかもしれない。
ヨーロッパと南アメリカの食事栄養状態の違いを考慮しなければならないが、ラテンアメリカの大尻好きが確かに証明されたといえよう。
もちろん大きいだけでなくて、丸くしまり、形がよく突き出ていることが大切なのは言うまでもない。

異性にモテる肉体をめざして、女性はWHR0.7、男性は0.9を追求するのは同時に、美容整形という近道を取らなければ、肥満を避けて健康的な生活を享受できる肉体を持つことにつながるのだ。
動機が不純だとないがしろにできない。

2012年8月23日

ストリートビューで死体が道に転がっていた

一昨日家の前で隣人が、ノートパソコン片手に近所の人に何か見せていた。
呼ばれて行ってみると、彼は「お前の家もみえるよ」と言って、見せてくれた画面に写っていたのはわが家の塀だ。
とうとううちの前の通りもGoogle Maps / Google Earthのストリートビューで全世界に公開された。

息子は何ヶ月か前に、近所の大通りでGoogle撮影車を見たと言っていたので、予想はしていた。
自分が写っているのではないかと期待していたようだが、確かめたら写ってはいなかったようだ。

WikipediaでGoogle Street Viewの項目を見ると、どの国のどの都市がストリートビュー公開されているかリストがのっている。
"Google Street View in Latin America"にはショッキングな記述があった。
当時聞いた覚えがないのだが、聞き逃したのか、大した話題にならなかったのかはわからない。

"In the initial release of Brazil's Street View, two dead bodies were found in the images. These were later removed."
imageが複数形だから、一ヶ所にあったのではないようだ
どこに死体があったのか気になって、元記事のリンクをたどった。

2010年5月10日のニュージーランド(.nz)ないしはオーストラリア(.au)発の記事だ。
見出しは"Google Street View snaps dead bodies in Brazil "、最初の一文で"crime-hit Brazil"と言っている。
あまりいい気はしない。

問題の死体は、一つはリオデジャネイロのAv. Presidente Vargasって目抜き通りではないか。
Presidente Vargas(ヴァルガス大統領)の名前を持つ通りは、たいていの町にあるが、重要な通りについていることが多い。
「死体は半身が覆いに隠れているが、路面に流血のしみが見て取れた。」
と書かれている。

もう一つの死体はミナス・ジェライスMinas Gerais州都のベロ・オリゾンテBelo Horizonteで、NZ記事の写真を見ると大勢の野次馬とパトカー数台が写っている。

これまでストリートビューでは、塀を乗り越えようとしている男、立小便をしている男、ビキニ姿で日光浴中の女性などが話題になっていたのは知っていたが、ブラジルの死体は、全世界に危険度を最大限に吹聴して、外国の方は覚悟して来てくださいと言っているようなものだ。

さてノートパソコンを近所の人に見せていた隣人であるが、家の前の通りでパソコンを強盗に盗られたりしないように気をつけてほしい。

(http://www.stuff.co.nz/the-press/world/4199013/Google-snaps-bodies-in-Brazilを参照した)

2012年8月22日

ワールドカップボランティア募集

ブラジルで来年開催のコンフェデレーションズカップ及び2014年のワールドカップのボランティア募集要項が発表された。
2012年8月21日、サルバドールでの発表式では、FIFA担当と共に、ブラジルワールドカップ組織委員のベベット(Bebeto)とロナウド(Ronaldo)両元代表選手が参加した。

コンフェデレーションズカップには7,000名、ワールドカップには15,000名が募集される。
その他抽選会など付随の行事にも募集が行われる。

募集は15日間受け付け、その後、募集期間延長か募集終了か決定される。

世界中の誰でも、次の要件を満たせば参加できる。
大会開催時の20日間に開催地に滞在できる。
開催地までの旅費および滞在費は自分持ち。
大会開始時に満18歳に達している。

活動分野は次の通り。
serviços de transmissão - communications(伝達)
serviços de alimentação - catering services(食事供給)
transporte - transport(交通)
protocolo - protocol(式典手続)
credenciamento - accreditation(登録)
tecnologia da informação - IT(情報技術)
operações de imprensa - press operations(報道)
hospitalidade - hospitality(歓待)
serviços médicos - medical services(医療)
competições - competition services(試合運営)
その他

一日の労働時間10時間まで。
無報酬。
勤務時間中の食事、開催地内の交通費、ユニフォームは支給される。

英語・フランス語・ドイツ語ができ、外交官志望の法学士、Caio Lealさんは、早速応募手続きをした。
「外国の人との交流、異文化とのふれあい、私達の文化と街を紹介すること、お金で買える何物にも代えがたい貴重な経験となるだろう」
希望に満ちて語った。

(http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/08/inscricoes-para-trabalho-voluntario-na-copa-de-2014-estao-abertas.html
及びhttp://pt.fifa.com/worldcup/news/newsid=1684542/index.html?intcmp=newsreader_news_captionを参照した)

興味のある方はFIFAサイトを参照されたい。

2012年11月13日追加

上記サイトを見たら、"Registration is now closed. "と書いてあり、ボランティア希望者登録は終了していた。

2012年8月21日

2013年のブラジルの祝祭日

2013年のブラジルの国定祝祭日及び任意休日を現在わかるかぎりあげておこう。
年末に連邦政府が正式発表したら確認訂正の予定である。

一連のキリスト教関連の移動休日は、2012年より9日早くなる。
たとえば2012年の灰の水曜日は、2月22日であった。

1月1日Confraternização Universal世界友好の日feriado nacional
2月11-12日月火Carnavalカーニバルponto facultativo
2月13日Quarta-feira de Cinzas灰の水曜日14時までponto facultativo
3月29日Paixão de Cristoキリスト受難の日feriado nacional
4月21日Tiradentesチラデンチスferiado nacional
5月1日Dia Mundial do Trabalho世界労働の日feriado nacional
5月30日Corpus Christiキリスト聖体の日ponto facultativo
9月7日Independência do Brasilブラジル独立の日feriado nacional
10月12日Nossa Senhora Aparecidaアパレシーダ聖母の日feriado nacional
11月2日Finados死者の日feriado nacional
11月15日Proclamação da República共和制宣言の日feriado nacional
12月24日Véspera do Natalクリスマスイブ14時以降ponto facultativo
12月25日Natalクリスマスferiado nacional
12月31日Véspera de Ano Novo大晦日14時以降ponto facultativo

feriado nacionalとは文字通り国定の休日であるが、ponto facultativoは、休日になったり勤務日になったりは職場によって異なる任意休日のことだ。
ponto facultativo(=任意)だからといって、勤め人が職場の決まりを無視して勝手に休んで出勤扱いになるわけはない。

灰の水曜日の14時まで任意休日というのは、午前中は前夜火曜日のカーニバル大騒ぎの疲れを癒す時間となっており?、銀行・官公庁や商店などは午後2時から開店する習慣があるからである。
灰の水曜日自体はキリスト教の行事であり、四旬節(クアレズマ Quaresma po. / Lent en.)つまり復活祭の前日までの主日(日曜日)を除く40日の節制期間の始まりである。
節制期間前に、はめをはずして大騒ぎするというのがカーニバル(こちらではカルナヴァル)の存在意義なのだが、宗教的意義から離れてにぎやかな祭りとして独立してしまったというみかたは多い。
つまり、はめをはずして大騒ぎはするのだが、四旬節の節制はしない、という人が多いのである。

また、ここにあげた休日のほかに、各地で市と地方の記念日が数日定められていることが多い。

2013年1月6日追加

企画予算運営省(Ministério do Planejamento, Orçamento e Gestão)が、2013年1月4日付で官報(Diário Oficial)に載せた2013年の祝祭日によって校正した。
http://www.in.gov.br/imprensa/visualiza/index.jsp?jornal=1&pagina=47&data=04/01/2013
昨年のブログ記事と同じく、一般の人に関係の少ない公務員の日10月28日はリストから外してある。

それにしても、既に1月1日が過ぎてしまった後に祝祭日リストを発表するのはどうしたものだろう。
日本だったら数カ月前に発表しないとカレンダーや手帳の業者が文句を言うに違いない。
移動祝日であっても、何年も前から暦によって予測可能だから問題はない、ということなのだろう。

2012年8月18日

労働者党政権下でも公務員ストの季節

労働者党(PT - Partido dos Trabalhadores)は、労働組合を支持基盤としていた。
だから労働者党が政権をとったら、労働組合に擦り寄った政策をとり、ストライキが減少するだろうというのは全く間違った読みだ。
だれが政権をとっても、無い袖は振れない事実は、ブラジルでも日本でも変わらない。

8月は連邦予算の期限となっている。
この時期のどさくさに予算獲得をねじ込もうと、どの公務員組合も考えるのだろうか、8月になって連邦公務員ストが頻発している。

連邦大学教員組合は、5月からストに入っており休講続きで、学生は、休暇期間に補習が行われるのか、あるいは半年期(semestre)がふいになるのではないか、と心配をしていて気の毒なのだが、大学に接点を持たない一般の人に大きな影響は出ていなかった。
学生は、ストは迷惑と現在感じていても、将来大学の教員になる可能性も大きいので、その時に給料が増えていたら自分も得をするというので、ストに賛成したり共感を持ったりする。
確かブラジル訪問していたノーベル賞を出しているスイスの大学人がインタビューで「ストライキ?全く考えられない」と話しているように、大学自治権もある大学教員が数ヶ月もストライキで活動停止するという事態は、国際的にみたらかなり異端なのだろう。
自治権といっても、もちろん自分たちの給料はみずから決められないからストライキが起きるのだ。
まあ熱心な研究者だったら、講義を行わなくて良いのを幸いに、研究に没頭できるメリットがあるのかもしれない。

今週になって目立っているのが、連邦警察、連邦道路警察、連邦税庁、農務省検疫など交通や流通をコントロールする職種のストライキだ。

連邦警察が犯罪人でない一般人との接点を持つのは、パスポート発行と入出国管理である。
パスポート発行は、多くの州で健康上の理由など緊急の場合を除いて停止されている。

国際空港の入出国管理は必要以上に時間をかけるので、出入国ゲートは長蛇の列となった。
同じく国際空港の業務である税関は、連邦税庁の管轄であるが、ここがまたスト中なので、再び行列になる。
陸続きの国境の税関でも、車が数キロメートルの行列を作っていた。

ずっと昔JRが国鉄だった頃、遵法闘争というストがあった。
その名の語るように、法を守りながらの闘争ということだが、要するにノロノロ運行するということだった。

ブラジル版は、operação padrão「標準作業」と言われる。
日本の国鉄とやることは同じだ。
出入国管理が普通の何倍もの時間がかけられる。
税関では例えば10人に1人が通常抜き打ち携帯品検査にかけられるのが普通であっても、スト中は全員必ず検査を受ける。

8月16日木曜日になって、連邦警察と連邦道路警察職員による遵法闘争の停止を求める、連邦政府による仮処分請求が、Superior Tribunal de Justiça高等裁判所に承認された。
Napoleão Nunes Maia Filho 判事は遵法闘争を違法と認め(表現が矛盾しているが)、不服従の組合には一日につき20万レアルの罰金を科すと仮処分判決した。

連邦政府は法相と国家総弁護部を通じ司法権に請求していた。

判事はさらに、スト員が、公務員の同僚、当局関係者、一般利用者を問わず通行禁止や締め出しをすることを禁止した。
これにより人間の通行だけでなく、商品や貨物の流通を同時に確保する。
遵法闘争は事務手続きの効率を大きく損なうことを目的にした違法行為とみなした。

司法請求に先立って、Luís Inácio Adams弁護総長は、連邦警察と連邦道路警察職員の行動を、サボタージュとみなし、絶対容認不可と批判している。
連邦警察職員組合は、初任給を7,500レアルから18,800レアルへ、最高給を11,800レアルから24,800レアルへ引き上げ要求をしている。

連邦政府は30に及ぶ職種の連邦公務員の賃上げに140億レアルをあてると大統領府は発表した。
諸組合の要求を丸呑みすると、922億レアルが必要だという。
大統領府の見解は、同じ労働党によるLula前政権で十分改善した公務員給料に、これ以上の待遇改善をする余裕はない。

さて次の8月17日の報道では、司法判断を受けた連邦警察組合側は遵法闘争を止め、反対にoperação sem padrão「規範なし作業」に戦術を変更した。

同日報道では連邦政府は18の職種に対し15.8%昇給の一律回答をした。
それを受け、いくつかの連邦大学職員組合はスト中止を決定した。

ストライキに寛容的なブラジルではあるが、テレビで解説した経済学者の意見が一番まともであろう。
「Lula前政権の期間は世界経済もブラジル国内経済も税収増に寄与して、公務員の昇給も容易だったが、今は経済環境が全く異なっている。
世界中の国々をみてみるが良い。
政府が手綱を引き締めるのは当然の政策だ。
ブラジルでは民間と比較して公務員の給与水準は高いし解雇もない。
状況を直視せよ。」

(http://estadao.br.msn.com/ultimas-noticias/stj-pro%C3%ADbe-que-pol%C3%ADcias-federal-e-rodovi%C3%A1ria-fa%C3%A7am-opera%C3%A7%C3%B5es-padr%C3%A3o
http://estadao.br.msn.com/ultimas-noticias/governo-prop%C3%B5e-aumento-de-158percent-para-grevistas
TVニュースその他を参照した)

2012年8月12日

村田諒太と金を闘ったエスキバはブラジルの亀田兄弟

「ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級決勝で村田諒太はエスキバ・ファルカンに判定勝利」、きわどい試合で最後までどちらが勝ったかわからなかったが、村田よおめでとう。
どちらを応援したら良いかわからなかったから、レフェリーが村田の腕を上げるまで複雑な気持ちに包まれた試合だった。

しかし今日の話題は、エスキバ・ファルカンという名前についてだ。
Esquiva Falcão Florentinoと書くのだが、Esquivaという名前がおかしい、奇妙だ。
こういうブラジル人の名前があるのか、と疑問を持った。
もちろん、初めて聞く名前だ。

意味不明というのではない、その逆だ。
esquivarという動詞は、辞書を見ると、「避ける、よける」と書いてある。
その動詞の三人称単数形だから、「(彼が)よける」という意味だ。
あるいは、命令形(つまり二人称しか存在しない)単数形で「(お前)よけろ」という意味のほうがボクシングらしくてよさそうだ。

でもそれなら、「よけろ」より「倒れろ」のが、ボクシング選手の名前としてはもっと良い。
と言うことは、Caiという名前になるが、なんか頼りない感じだ。
Caioという男の名前はあるが、これだと一人称単数形だから、「(俺が)倒れる」という意味になるから、ボクサーの名前としては絶対避けなければならない。

テレビのインタビューのときに、Esquivaはあだ名ではない、本名だとわざわざ言っていたから、本当に珍しい名前なのだろうと納得した。

そんなことを考えながら調べてみたら、前日にライトヘビー級でブラジルに銅メダルをもたらした、Yamaguchi Falcão Florentinoは、Estivaの兄だとわかった。
母親はMaria Olinda Falcão、父親はAdegard Câmara Florentinoというから、両親から一つづつ苗字を受け継いでいる。
子供は15人の大家族である。
Adegardは、Touro Moreno(褐色の牡牛という意味)というリングネーム(?)のボクサーで、現在75歳、エスピリト・サント州ヴィトリア(Vitória ES)で、慎ましい暮らしをしながら、裏庭のバナナ畑で子供たちにボクシングを教えたという。

試合の最中、リングサイドからセコンドは、選手の名前を呼ぶことしかできないため、名前を呼ぶことが指導につながるというからEsquivaと名付けたという、びっくりな由来だ。
Esquiva! Esquiva! と名前を連呼して励ましながら、「(相手のパンチを)さけろ、よけろ」と指導していることになる。

長兄の名前Yamaguchiであるが、なぜその名前か、ざっと調べただけでは説明は見つからない。
Yamaguchiという日本人あるいは日系人にお世話になり、感謝の気持ちを子供の名前にした、と想像する。

わずか2日間で、兄弟から2人、Yamaguchi(ライトヘビー級銅・24歳)とEsquiva(ミドル級銀・22歳)のメダリストを出したのはすごい。
インターネットポータルUOLの記事によると、兄弟にはあと2人ボクシングをやっているのがいる。
60kg級の有望な15歳、Estivaと、リオ五輪ヘビー級の星にしたいThomas Edsonである。
Estivaは、キューバの伝説のボクサーTeófilo Stevensonから命名、トーマス・エジソンはボクサーではないが、偉い人であるのはブラジルでも常識だろう。

4人兄弟が4階級に散らばっているのも興味深い。
兄弟げんかは絶対起こらないわけだ。
日本のボクシング界では亀田三兄弟が有名だが、ブラジルではFalcão四兄弟に注目だ。

(多くのサイトの記事を参考にした)

2012年7月28日

携帯のブチ切れに政府はブチ切れ新規顧客を断ち切る

この月曜日、2012年7月23日から国立通信庁(ANATEL - Agência Nacional de Telecomunicações)による、携帯電話会社への制裁(行政指導)が始まる。
TIMは最多の19州で、Oiは5州で、Claroは人口最大のサンパウロ州を含む3州で新規顧客受付ができなくなる。
この決定は、ANATELによると、携帯電話会社のサービスに対する消費者の苦情があまりにも多いことが理由となっている。
苦情の内容は、料金不当請求、突然切れるなどの通話品質、顧客アフターサービス窓口がつながりにくく、しかも不親切で問題解決の役に立たない、などである。

地図を見ると、ひとつの州で販売禁止を食らうのはひとつの携帯電話会社に限られていることから、各州で一番苦情件数が多かった携帯電話会社が、その州での新規顧客への販売ができなくなっているようなのだ。

日本だったらNTTに当たるような、つまり前身は国営であった歴史を持つ会社であるVivoは、販売禁止を命じられた州が一つもないという名誉を得た。

ここでAnatelが2012年5月17日に発表した2012年4月のデータをみよう。
ブラジル携帯電話キャリア一覧とシェアだ。
Vivoは国内携帯電話回線数で占有率第1位、TIMは第2位、Claro第3位、Oiは第4位に位置する。

電話会社シェア前月比
1Vivo29.75%-0.06pt
2TIM26.89%+0.09pt
3Claro24.48%-0.08pt
4Oi18.57%+0.04pt
5CTBC0.28%
6Sercomtel0.03%

制裁解除のためには、各携帯電話会社がサービス品質改善プランを作成して、それがANATELに承認されることが必要だ。

消費者はおおむねANATELの制裁を支持しているが、この効果については疑問を持っているようだ。

「少しは改善されるだろうが、制裁が終わって時間がたてば元に戻ってしまいそうだ。」
「携帯電話会社は売るまでは親切だが、売ってしまったあとは手のひらを返す。」

今週になって、各社は年間数十億レアル規模の設備投資をアピールして、制裁解除に向け躍起になっている。

先のAnatelのデータでは、2012年4月ひと月で220万回線が新規契約となったというので、新規顧客への販売禁止の影響はかなり重大と思われる。
報道では、約2週間ほど新規販売禁止状態が続くとみられている。

(Atualizado: 23/07/2012 03:06 | Por estadao.com.br
http://estadao.br.msn.com/economia/proibi%C3%A7%C3%A3o-de-venda-de-chips-come%C3%A7a-a-valer-hojeその他を参考した)

[2012年8月23日追加]
家にあるTIM携帯に、2012年8月3日付けで、TIMから販売再開のメッセージが届いていた。

2012年7月16日

韓国製新鋭巨大鉱石船は無事復活

韓国製新鋭巨大鉱石船は鉄くずになるか
Vale社の巨大貨物船団戦略のつまずき

7ヶ月前にその最初の荷積み中の事故で足止めされていた、世界最大級の鉱石貨物船Vale Beijing丸であるが、ようやく航海できるよう修復された。
重量級貨物船の接岸を拒んでいた中国も、やっと許可する見込みがでてきた。

これまでに例のない、35隻に及ぶValemax級巨大貨物船(megacargueiro)は、Vale社の重要取引相手中国への運賃削減の切り札であったが、この船が2011年12月6日にマラニョン州ポンタ・ダ・マデイラ港で起こした事故は、不運な大失点となった。

航海データによると、積載量40万トンを誇る、STX Pan Ocean社所有のこの船は、韓国のドックで修理を行った後、8月8日にポンタ・ダ・マデイラ港へ到着予定である。
事故の原因は未だに明らかになっていない。

「Vale Beijing丸は、4月末から6月末にかけて修理と点検を行なって、現在は完璧に就航している。」STX Pan Ocean社のスポークスマンは宣言した。
STX Pan Ocean社はさらに6隻のメガ貨物船を2013年末までに納品することになっている。

中国の巨大貨物船入港禁止により、Vale社は中国への鉄鉱石運搬に、フィリピンのハブ港の使用(積荷の載せ替え)を強いられていた。

(Vale社の巨大貨物船、マラニョンでの事故から7ヶ月後復航する
Megacargueiro da Vale volta a operar sete meses após acidente no Maranhão
Reuters | 16/07/2012 08:26:51
http://economia.ig.com.br/empresas/2012-07-16/megacargueiro-da-vale-volta-a-operar-sete-meses-apos-acidente-no-maranhao.htmlから)

2012年7月14日

こんばんは、シンデレラ

ポルトガル語でボア・ノイチ Boa noite といえば、人と出会った時ならこんばんは、別れる時ならさようならである。
[Tenha uma] boa noite、「良き夜を持ち給え」ということだ。

「こんばんは、シンデレラ“Boa Noite, Cinderela”」と言ったら何か。
童話ではない、犯罪だ。
ハッピーエンドではなく、身ぐるみはがれる大損害に終わる。

「リオデジャネイロ市南部で観光客相手の犯罪グループ16人を逮捕」という記事を見た。
リオデジャネイロ市南部は、最も有名なコパカバーナ(Copacabana)やイパネマ(Ipanema)などの海岸観光地とか、高級住宅街のバッハ・ダ・チジューカ(Barra da Tijuca)を含むため、観光客にもおなじみの地区である。

民事警察はこの土曜日2012年7月14日に、外国人観光客を対象に犯罪を犯していたブラジル人16人を逮捕した。
犯罪の中には、いわゆる「こんばんは(さようなら)、シンデレラ」が含まれている。
この名高い犯罪では、被害者は睡眠薬を飲まされて眠り込んでいる間に、持ち物を盗まれる。

今回の「こんばんは、シンデレラ」が目新しい手口、ニュースの言葉では電子版(versão eletrônica)であるのは、被害者につけ入り睡眠薬を飲ませる売春婦(garota de programa)が、被害者がホテルやレストランでクレジットカードやデビットカードを使って勘定支払いをするときに、こっそり暗証番号を盗み見て記憶する。
被害者に睡眠薬入りの飲み物を飲ませることに成功して、哀れな被害者が寝込んでしまったら、先ほど暗証番号を記憶したカードを拝借する。
それからクレジット・デビットカード携帯入力機で支払い処理をする。
ニュースでは言わなかったが、他人名義の幽霊商店をでっち上げてカード処理機を入手するのだろう。
あるいは現金払出し可能なATMへ行き、引出しをする。
犯罪団による引き抜きで、一件3万ユーロ(約6万9千レアル)の被害額に達した件もあった。

警察の観光支援部 Deat (Delegacia de Apoio ao Turismo) は、この犯罪グループ逮捕のため、4ヶ月間潜入捜査を行なっていた。
逮捕されたグループ員は、女性12人と男性4人であった。

これからワールドカップやオリンピックが控えていることもあって、外国人観光客が被害者であるというのが気をつけたい点である。
「旅の恥はかき捨て」とか言って、しかもせっかくブラジルに来たのだからブラジル女性を…とか色気を起こすことは、どこの国の男性観光客にもありそうなことだ。

被害者にとってみれば、ホテルに入ってお楽しみの後で、2日も前後不覚にでもなってしまったら、さすがに薬を盛られたと後から気づくだろう。
しかし、犯人が睡眠薬に通じていて、ごく適量を処方することができて、少し寝過ぎたな、というくらいで目が覚めたなら、手元にあるクレジットカードから抜かれたなどとは、夢にも疑わないだろう。
疑われなければ、警察へ訴えられることもない。
下手すると二晩も三晩も続けて被害に遭うような目だってありかねない。
本国へ戻って、クレジットカード明細書を受け取って初めて、やられた、と気づく例が多いという。

さて、どうしたら被害を防げるか?
売春婦など買わない、というのが最善の答えであるが、それでは話が進まないので、買春をすすめるわけでは全くないが、それを前提に次善の策を考えてみる。

たまたま出会った売春婦が、犯罪人か善人かなどわかるわけがない。
犯罪人だったらどうしたらよいかだ。

犯罪の分析から、第一に睡眠薬を盛られないようにする、第二にカードの暗証番号を盗まれないようにすることが大切だ。

女性の言いなりになって、案内されるバーやホテルに入ったり(共犯者がいる可能性あり)、供される飲食物を疑いを持たず多量に飲食したりすると、てきめんにやられそうだ。

観光客の立場だと、土地勘がないから自分で主導権をとってホテルを選ぶことなど難しいのだが、売春婦を買うなど、多かれ少なかれ危険な場面といえるのだから、できるだけ前もって情報を集めておくにこしたことはない。

インターネットのシングル旅行などのサイトは、自慢話など割り引いて読めば、これから旅行する場所の情報が得られるかもしれない。

そこそこのホテルだったらコンシェルジュがいるだろうし、いなくても信用できそうなホテルの従業員にその土地を歩く注意を聞くのも良いだろう。
親身なタクシー運転手がいれば心強いが、同様に善人もいれば悪人もいるだろうから、先の信用できそうなホテルの従業員に紹介してもらうと、少しは悪人に当たる確率が下がるかもしれない。

食べ物については、まともなレストランやバーで供されるものしか口にしないようにする。
料理が出てきたら、さもしいと思われようが、目を離さないうちに一気に食べ終えることだ。

飲み物についてだが、安全なバーでウェイターから出されるものを、コップから目を離さずに飲むことだ。
女性が持ってきてくれた飲み物や、一踊りしたりトイレに行ったりして放っておいた飲みかけを飲むのは危ない。

ホテルの部屋で、ことに入れば、のどが渇くだろう。
水やドリンクを入れた自分のボトルや水筒を常に身につけ持ち歩き、服を脱いだ時も目を離さず、これだけを飲むようにする。
缶入りの飲み物をその場で開けて飲むのも安心できる。

暗証番号であるが、銀行でカードを使って現金を引き出す場合と同様な注意が要求される。
被害者になりたくなければ、暗証番号を打ち込むときは、空いている手でキーストロークを隠すようにして、同伴者を含む周りの視線を完全に遮断することが必要だ。

以上気をつければ、かなり「こんばんは、シンデレラ」の被害に遭う可能性は低くなると思う。
そんなに気を使わなければ安心して女遊びなどできないなら馬鹿らしい、と思ってあきらめるならば、より安心だ。

(http://noticias.r7.com/rio-de-janeiro/noticias/policia-prende-15-integrantes-de-quadrilha-que-aplicava-golpes-como-boa-noite-cinderela-20120714.htmlを参考した)

サンパウロ市周辺の携帯電話番号が9桁

サンパウロ市周辺の携帯電話番号が一桁増える。
市外局番(DDD)11の地域が対象で、この7月29日から変更される。
今までの8桁番号の先頭に9が添加される。

この変更は州都サンパウロ市を含むサンパウロ州の64市で行われる。
どこからかけるか(発信地)に関係なく、通話先携帯がこの64市(市外局番11)である場合には9を入れなければならない。

8桁の携帯電話の番号の先頭に9をつけることにより、これまで固定電話に割り当てられていた先頭数字2, 3, 4, 及び5の一部が92, 93, 94, 95となって、携帯のために確保される、と考えてよいのだろう。
この変更によって、市外局番11地域で、5xxx-xxxxという番号が固定電話であるか携帯電話であるか迷う心配はなくなる。
固定電話の番号に関して変更は予定されていないから、これまで通り2xxx-xxxx, 3xxx-xxxx, 4xxx-xxxx, 5xxx-xxxxが固定電話と考えてよい。
市外局番11地域では、8桁なら固定電話、9桁なら携帯電話と判断してよくなる。

市外局番11地域外から、11地域の携帯へ電話するときに、いくつ数字を打たなければならないのか。
これまでの全国共通である0+キャリア識別2桁+市外局番2桁+局番4桁+番号4桁が、市外局番11地域の携帯へかけるときのみ、0+キャリア識別2桁+11+9+局番4桁+番号4桁となるわけだ。
0-xx-11-9xxxx-xxxx と、全部で14桁打ち込まなければならない。
外国からであると、00-(キャリア識別2桁?)-55-11-9xxxx-xxxxと、全部で17桁になる。

電話番号の表記がどうなるのかはわからない。
これまでだったら、普通(11)9876-5432だったのが、(11)99876-5432となるのか、(11)9-9876-5432となるのか、意表をついて3桁区切りになって(11)998-765-432となるのか不明だ。

さらに、電話番号を口述するとき、数字を一つづつ読む方法のほかに、2桁ずつ区切る言い方があるのだが、これがどうなるのだろうか。
noventa e oito (98), setenta e seis (76), cinquenta e quatro (54), trinta e dois (32) ときれいに区切れていたのが、9が一つ入ることによってどう区切るのかは、実際にこの9桁番号が使われるようになってからわかるだろう。
表記にお構いなく3桁区切りになって、novecentos e noventa e oito (998), setecentos e sessenta e cinco (765), quatrocentos e trinta e dois (432)と呼ばれる可能性もありそうだ。

当分は、今までのように8桁しか入れなくても相手につながる推移期間が設けられる。
その場合は、録音で「次回からは9を入れてください」とのメッセージが流れるそうだ。

国立テレコミュニケーションズ庁(ANATEL)によれば、この措置は増大し続けるサンパウロ圏の回線を収容するために必要なものである。
ブラジルは今日2億5500万以上の携帯電話回線がある。
人口1億9500万を超えているのは、当然ひとりで複数の番号を持つ人がいるからだ。

2012年7月8日

人種と国勢調査用語

ブラジル地理統計院(IBGE)の国勢調査による、ブラジル人の寿命と人種についての発表だ。

1960年と2010年のブラジル人の寿命(expectativa de vidaというから、新生児の期待余命と言っていいのだろう)が比較された。
2010年は73.4歳で、50年前と比較して+25.4年寿命が長くなった。

1960年に6.3人だった、一人の女性の産む子供の数は、2010年には2人を切る1.9人となった。

IBGEの国勢調査で人種(肌の色)調査は自分自身の申告によるのだが、50.7%が褐色あるいは黒色と申告した。

ニュースで特に注釈したが、IBGE調査の用語では黒色(黒人)は、negroではなく、pretoが使われる。
negroというと、preto同様に黒色のことであるが、単純に色名称の黒色を言うときにはpretoを使うという印象がある。
黒人自身が、黒人の誇りという意味を包含するとき、negroというと、単なるpretoより意味が深い。
Dia da Consciência NegraとかMovimento Negroというのがその例だ。

ニュースで指摘しなかったが、褐色の肌、そしてそれを持つ人は普通morenoと言うのだが、IBGEでは色の名称pardoと呼ばれる。
pardoといったら茶色だ。
スズメpardalと関係があるかは知らない。
morenaと言う単語は、ブラジル美人の代名詞として歌の歌詞に数え切れないほど登場する。

IBGE用語では、単語自体の、音響学でなく意味的な響き、つまり単語が与える印象や先入観を極力排除したいという意向がみえ、その結果、表現が乾いてそっけない。

(http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-nacional/v/ibge-divulga-novos-dados-do-censo-2010/2018623を参考した)

ブラジルの宗教はカトリック一辺倒から多様化へ

IBGE(ブラジル地理統計院)の国勢調査による2000年から2010年の宗教人口の変化が発表された。

カトリック教徒(católico)はこの10年間に減少しているが、まだ人口の大多数を占めている。
2000年は1億2500万人だったのが、2010年には1億2330万人と減少した。
カトリック教徒のブラジル総人口に占める割合は、2000年73.6%から、2010年64.6%と、かなり減少した。
1970年に91.8%と、10人に9人はカトリックであった時代と比べると、その後退は大きい。

プロテスタント、つまりキリスト教の新教であるが、protestanteという単語はあるがあまり使われず、ブラジルではevangélicoといわれる。
福音(evangelho)派だけを指すのではなく、新教一般を表す単語とみてよい。
protestanteというとprotestarという動詞が想像されて、反抗とか支払拒絶とかいう意味が強調され気味になるからと思われるが、確かなことは知らない。

そのエヴァンジェリコは10年間で躍進した。
2000年に人口比15.4%だったものが、2010年には22.2%に増した。
人数では2000年に2620万人、2010年に4230万人であった。

2010年に無宗教者(sem religião)は人口の8%、心霊主義あるいはスピリティズム(espírita)は人口の2%を占めた。
少数派宗教としては、ウンバンダ(umbanda)、仏教(budismo)、カンドンブレ(candomblé)がニュースで上げられたが、信者を増やしているようだ。
ウンバンダとカンドンブレはアフリカに由来する。

ブラジル各地方と宗教の関連である。
北東部はカトリックが強く、人口の72.2%を占める。
北部は他地方と比べて、エヴァンジェリコが多く、人口比28.5%、南東部は心霊主義が人口比3%と他地方より多い。

州別では、ピアウイ州(Piauí)がカトリック85%と最も多く、エヴァンジェリコが多いのはロンドニア州(Rondônia)で33.8%、心霊主義者が多いのはリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で人口の4%を占める。

心霊主義というと、狂信、カルトなんかが連想されていかがわしいと思ってしまいそうだが、調査によるとこの信者は、他教と比べて最も所得が高く、高学歴だという。
ブラジル南東部という所得の高い地方に心霊主義者が多いということは、鶏が先か卵が先かはわからない。

信教の自由が保証されているもとで、カトリック一点集中から、無宗教を含む宗教の多様化へ向かった社会の変化が観察できる。

(http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-nacional/v/numero-de-evangelicos-aumenta-61-entre-os-anos-2000-e-2010/2018643/を参考した)

すべての人に大学を、と言っても競争はあり

ブラジルの高等教育(大学過程)振興策に、プロウニ(Prouni)というプログラムがある。
Programa Universidade para Todosというのがその本名だ。

これは連邦政府教育省(Ministério da Educação (MEC))のプログラムで、低所得者層の学生へ、私立大学の授業料の全額あるいは半額を無償支給するというものだ。
家族一人あたりの収入が1.5最低給料(R$933)までの場合には授業料全額、1.5から3最低給料(R$1,866)の場合には授業料半額が支給される。
志願者は、全国中等教育試験(Exame Nacional do Ensino Médio (Enem))を受けて、最低400点を取ることが必要条件になっている。
小論文で0点をとると、いくら他科目の合計が400点以上でも失格だ。

もう一つの条件は、中等教育を公立学校か、私立学校を奨学金待遇で修了していることである。
私立学校の授業料を、自費で払う程度の経済力のある家庭の子弟には、支給しないということだ。

大学卒の学位を保持しているものは志願できない。
二回目の学生生活で受け取ることはできないわけだ。

身体に障害のある人や、公立学校の現役の先生は、教員課程か教育学分野に限って志願できる。
この場合には所得制限はない。
身障者の社会参加プログラムと、全国の有資格教員不足を補う、社会的意義があるのだろう。

志願者は、通常の入学試験を受けたり、既に大学から入学が認められている必要はない。
プログラムに志願すると、ENEMの点数が合否判定に使われることになる。
志願受付期間中に、Prouniのサイトで志願手続きをすることになっている。

受け入れる私立大学は、一次選考合格者を、受験料無料の条件のもとで、独自の試験を課すことができる。

Prouniは身体障害者及び、自称、つまり本人の宣言による、原住民(indígena)、褐色人(pardo)、黒人(preto)への特別枠を持つ。
特別枠の定員は、IBGEによる最新の国勢調査による、州ごとの人種割合と同じ比率に設定される。
特別枠へ志願するものは、一般枠と同様に上記条件を満たしていなければならない。

ということは、本人の宣言のない場合の一般枠と比較すると、人種宣言することによって多少倍率が低くなると考えてよいのだろうか。
ある特定の人種に志願者が集中してしまい、特別枠の倍率が一般枠より高くなってしまうことなどないのだろうか。
この疑問について、まだ説明をみたことはない。
しかし、この人種枠をみても、Prouniは社会参加プログラムの一環であることが伺える。

連邦政府が2004年にこのプログラムを創設してから、現在まで100万人を超える学生を援助して、その内の67%が全額支給を受けた。

2012年7月3日に発表された、2012年後期の志願者数は456,973人であった。
ひとりで2つの選択ができるので、選択の数では874,273となっている。
一次選考の結果は5日木曜日に発表された。

志願者は、全国の1,316私立大学の90,311の奨学金枠を競った。
52,487が全額支給、37,824が半額支給であった。
今回の倍率は5.1倍で、2012年前期の6.2倍と比較すると低い。

倍率が低くなったといっても、「すべての人に大学を」という名前に反して、誰でもたやすく取れるものではなさそうだ。
「すべての人に大学を」と銘打っても、当然ながらすべての人が大学に入れるわけではない。
「すべての人に等しく大学への機会を」と言ったほうがいいか。

教育省はProuniの改善を今年にもめざしており、そのひとつは所得要件を高くして学生をもっと呼び込むこと、もうひとつは、経済発展に寄与の大きい学科への奨学金付与を多くして、人文科目への集中を緩和することとされている。

「所得要件を高くして」ということは、「所得要件を厳しくして」とは反対の意味と取れるが、そうすると競争はいっそう激しくなるであろう。
経済発展に寄与の大きい学科を厚遇するというのは、工学・自然科学分野への志願者を増やし、国策としてこの方面に力を入れるということである。

(http://ultimosegundo.ig.com.br/educacao/2012-06-21/o-que-e-o-prouni.html及び
http://ultimosegundo.ig.com.br/educacao/2012-07-05/mec-divulga-convocados-para-receber-bolsas-do-prouni.htmlを参考した)

2012年6月29日

こんな事件には民衆は拍手喝采

86歳のお年寄りの女性が、アパートに侵入した強盗を撃つ。

事件は、2012年6月9日、リオ・グランデ・ド・スル州カシアス・ド・スル(Caxias do Sul, RS)のセントロで起きた。
強盗は3階にある彼女のアパートに、柵をよじ登って侵入した。

彼女は86歳で、3人の娘、5人の孫があった。
タンスにしまってあった32口径のリボルバーで3発発射して、強盗を射殺した。

強盗はアパートの外側の柵をよじ登って、居間に通ずる窓を壊して侵入した。
そこから、彼女が眠っている部屋に向かった。

「こんなことが人生に起こるとは、ただの一度も想像したことはなかった。」

「男はその扉から入ってきたわ。
”どうしてここへ来たの?”
私は入ってきたのは孫だと思って尋ねた。
彼は何も触らず出ていきながら、”静かにしていろ”と言った。
そうして、孫ではないと気づいた。
私はたんすのそばに行って、リボルバーをとった。

”ばあさんよ、(何か分からないことを言って)、とっととそこを開けろよ。”
”どうして開けられますか。
お前さんは、入ってきたところから、出ていくんだよ。”」

大変な状況に驚きながらも、老住人はためらいがなかった。

「”どうしたらいいの?
彼か、私か、だわ。”

私は考えた。
娘たちのこと、孫たちのことを思った。
守るべき人が大勢いる。
そして思い至った。

”お前さんは、今、出ていくんだよ。
”パン”
彼は想像もしていなかった。
一発撃った。
心臓の近くに命中した。

彼は去っていきながら、腕を上げた。
”やつは生きている。”
彼の罪について思った。

”もう一発”
”パン”
”今もう一発”
”パン”」

老婦人は歩くのに支障があり、手は関節炎を病んでいた。
銃を射ったことはかって一度もない、と証言した。
警察はリボルバーを押収した。

それは家族の遺産だった。
「50年間そこにあって、一度も使ったことはなかったわ。
使いたいと思ったこともなかったけれど、使わなければならなかったのよ。」

老婦人は殺意のある殺人(homicídio doloso)の容疑で起訴されるが、逮捕はされず捜査を受ける。
彼女の正当防衛が認められれば、起訴は猶予される。

強盗を恐れて何十丁も武器を収集したあげく、夫婦の愛の変節によって、その武器の一つで命を失う。
遺産として何十年も放置されてきたたった一つの銃で、子孫への愛によって、家族と財産を救う。

先日の食品メーカーYuki役員、武器マニアの日系人Marcos Matsunagaバラバラ殺人事件と比べて、銃とその持ち主の運命の、なんと大きな隔たりだろうか。

(11/06/2012 12h43 - Atualizado em 11/06/2012 14h35
Idosa de 86 anos atira em assaltante que havia invadido seu apartamento
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/06/idosa-de-86-anos-atira-em-assaltante-que-havia-invadido-seu-apartamento.html
を参考にした)

銀行出口は通りゃんせ

通りゃんせと言ったら、行きはよいよい、帰りは怖い。
帰りは怖い「銀行の出口」、saidinha de banco と呼ばれる犯罪がある。
銀行の出口から帰り道には十分注意しなければならない。

銀行の顧客は、銀行内は安全地帯だと思って、多額の現金を不用意に引き出す。
獲物を狙っている犯罪者は、誰が高額をおろして、どんな身なり服装かを携帯で銀行外の共犯者へ連絡する。
そして、銀行を出たところで強盗に囲まれる。
現金を奪われたり、カードとパスワードを渡すよう強要される。

観察役は疑いをいだかれないよう、銀行員へ冗談を言ったり、親切で人当たりがよかったり、身なりがきちんとしていたりする。
いかにも私は犯罪者です、というような外見をしていることは、まずありえない。

警察の広報担当者は言う。
「銀行でできるだけ多額の現金を下ろさない。
インターネットバンキングを利用する。
多額の現金が必要ならば、あらかじめ銀行に連絡して、目立たない奥で受け取れるよう手はずを整える。」

犯罪の被害者にならないために、ATMを使う時の姿勢は大切だ。
機械の間近に正面から向かい合って、後ろからの視線を遮る。
犯罪者はATM操作者を観察してパスワードを盗もうとするからだ。
受け取った現金を確認して財布に入れるときは、機械と自分の体の間で、体に引きつけ胸元で行う。
後ろに待っている人がいるから早く機械から去ろうなどと親切心を起こして、衆人から丸見えの体勢になって、札を数えたり財布に入れたりしてはならない。

運悪くATMコーナーや銀行を出たところで強盗に囲まれたらどうするか。
緊張の一時であるが、おとなしく従わなければ危険である。
防犯カメラが近くにあるのなら、危険でない限り、カメラの視界に入るように努める。
後で犯人逮捕につながるかもしれない。

銀行を出るときは、停車している車、怪しげな歩行者、特にオートバイに注意しよう。
バイク、特に二人乗りは犯罪者によく使われる交通手段だ。
銀行へ行くときは、できるだけ多人数で行きたい。
二人が相手だと、ひとりを相手にする時と比べて、犯行は困難になる。

(Edição do dia 14/06/2012 14/06/2012 14h37 - Atualizado em 14/06/2012 14h37
Crime na saída de bancos pode ter pena de até oito anos de detenção
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/06/crime-na-saida-de-bancos-pode-ter-pena-de-ate-oito-anos-de-detencao.html
を参考にした)

2012年6月16日

刑事コジャックと蒟蒻

en. konjac
po. kon'nyaku あるいは konhaku

人待ちの間、街のセントロ(中心部)の広場にある、バンカ(banca de revista)つまり雑誌・新聞売り場をなにげなく見ていた。
ある雑誌の表紙に、"KONJAK"という見出しがある。

"KONJAK"とは何か、そのまわりに書いてあるのを読んでわかった。
Receita para incrementar o macarrão que emagrece やせる麺類のレシピ、というもので、雑誌の名前は Só Dietas 「ダイエット・オンリー」という、初めて見る薄い雑誌だった。

KONJAKとは日本語のコンニャクなのだと納得した。
ブラジルのコンニャクは、麺状、つまり糸こんにゃくのようだ。
実物を見たことはない。
サンパウロにはありそうだ。

あとで調べたら、これは英語で、Wikipediaの主見出しは en.wikipedia.org/wiki/Konjac、バリエーションのひとつがKonjakになっている。
英語ではコンニャク(語尾は子音 KOHN-yak)と読むようだ。

ポルトガル語Wikipediaではpt.wikipedia.org/wiki/Kon'nyakuとなっている。
kon'nyaku あるいは konhaku と書かれる。
外来語であるが、綴りをポルトガル語発音すると、前者はコンニャク、後者はコニャクと読める。
雑誌の見出し"Konjak"をポルトガル語風に読むと、「コンジャッキ」になってしまう。

昔、刑事コジャックという刑事物があった。
ツヤツヤの禿頭のTelly Savalas主演の刑事シリーズ物で、調べたら、1970年代にテレビで放映されていた。
原題は"KOJAK"だというから、雑誌で見たのと一字違い、というか一字多い。

刑事コジャックを知っている、テレビで見た記憶がある、というと、年齢がわかってしまうのはしかたない。

2012年6月11日

Yokiの役員の猟奇な殺人

6月に入って、ブラジル各地でフェスタ・ジュニーナ(Festa junina 6月祭)の準備が進んでいる。
6月祭につきものの食物といったら、トウモロコシや落花生がある。
トウモロコシや落花生その他穀類、乾物や、豆乳など飲料を生産する会社に、Yoki Alimentosがある。
Yokiというマークで、漢字が横にあって、与喜と書かれる。

さて最近テレビニュースで話題になっている事件が、このYokiの役員のバラバラ殺人だ。
この事件について見てみよう。
殺人事件が起きたのは2012年5月19日、被害者はマルコス・マツナガ Marcos Kitano Matsunagaというから、日系ブラジル人だ。

手足がバラバラにされて(esquartejado)ビニール袋に入れられた被害者の死体は、大サンパウロ都市圏で日系人も多く住むコチア(Cotia)の郊外で、5月27日に発見された。
鑑識官は、バラバラにする手際の良さに驚いた。

鶏を一羽まるごと買ってきて、味付けしてオーブンで焼く、鶏の丸焼きは誰も大好きだが、慣れない人が解体するとうまく関節のところで切断できず、きれいに切り分けられない。
せっかくの料理がまずそうに見えてしまう。
人間も同じようなもののようで、鑑識官は、犯人は解剖学に明るいと見た。

解剖学に通じた、動機のある容疑者は誰か?
逮捕されたのは被害者の妻のエリゼ・マツナガ Elize Kitano Matsunagaだ。
彼女は看護師の資格を持っている。

証拠はいろいろなところで上がってきているが、決定的なのは容疑者と被害者の住むサンパウロ市内の高級アパートのエレベーターに取り付けられた防犯カメラの画像だ。

19日晩、外出から戻った夫婦、まだ1歳の娘、乳母はエレベーターで高層のアパートへ昇る。
TV画面を見ると、最上階のペントハウスのようだ。
乳母は仕事を終え、すぐに自宅へ帰っていった。
被害者はいったんアパートから出て、地階へ降り、宅配ピザを受け取ってアパートへ戻る。
一人でエレベーターの中で壁を蹴りつけたり、かなりいらいらしている様子だった。
これが被害者の最後の映像だった。

警察によると19日20時ころ、容疑者は至近距離で夫を射殺した。
容疑者は、被害者の死体を10時間放置後に包丁で解体した。
死後硬直と血液凝固のため、解体時に部屋はそれほど汚れなかった。
翌日11時半、容疑者はひとりでアパートを出てエレベーターに乗ったが、大きなキャスター付きトランク3つを引いていた。
その朝、もう一人の乳母は(乳母二人とは裕福な家庭だ)アパートに着いていたが、異常には全く気づいていなかった。
12時間家を空け、23時50分に帰宅したときは、トランクなしだった。

逮捕された容疑者は犯行を自白した。
夫の浮気が原因で別れ話もあり、喧嘩していたという。
子供は小さいから、一人で自由にできる遺産を目当てにしたのかもしれない。

報道では、容疑者は夫と知り合った2004年当時、娼婦(garota de programa)だったという。
でも看護の心得があり、法学士であるというから、勉学好きだったのだろう。
400枚もの結婚式の写真は、幸福な結婚生活を予感させるものだったのに、どこかで狂ってしまった。

さて、このマルコス・マツナガさんであるが、銃器の収集という趣味があった。
警察はライフルを含む、三十丁を超える火器を発見した。
千発近い弾丸も一緒だ。

マツナガ夫妻は、強盗に襲われることを恐れていた。
銃器のコレクションは、その強迫観念と関係があるのかもしれない。

でもそのコレクションが一つの命を奪い、もうひとつの人生を殺人者となしてしまうのは、皮肉な運命だ。
容疑者が夫を撃った380口径のピストルは、夫にプレゼントされたものだったという。

[2012年6月14日追加]
その後の報道では、エリゼが夫の浮気を調べるため依頼した私立探偵が撮影した、マルコスが女とレストランの前でいちゃつく場面が独占スクープでテレビに流れたり、この女の供述によるとマルコスは妻に嫌気が差して離婚したいとこぼしていたとか、愛人援助の具体的金額とが暴露されていて、金持ちのおやじと妻・愛人、それは同時に客と元・現売春婦の三角関係的愛憎ドラマ事件の様相を示している。

マルコスは愛人をYokiの工場に招いて見学させて、その時は彼女を落花生生産者という肩書きで案内したという面白い話もあった。

事件が報道された当初、冷酷に死体をバラバラにするという手口から、エリゼが一方的に悪者にされていたようだが、殺された旦那も因果応報ではないかとみられてきているようである。

(TV Globo, TV Record, ig.com.brの多くの記事を参考にした)

教訓:
恋人・妻選びは慎重に。
危険な趣味に手を出さない。
金で必ず幸せが買えるわけではない。

2012年6月8日

今日は一連の移動祝日の最後の日

今日はキリスト聖体の日 Corpus Christiの休日だった。
各地で教会の前の道路に着色したおがくずなどで宗教画を描き、聖体の行列が行われた。

セマナ・サンタ(聖週間)について書いたものに少し付け加える。
このときはカーニバルから復活祭までを一連のキリスト教関係の移動祝日としたのだが、復活祭の後もいくつかあるのだ。
下に一覧表にしてみた。

ブラジルで任意休日(ponto facultativo)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意といっても、事実上は休日と変わらない。

行事日の決まり方2012年休日種類
カーニバル
Carnaval
週末から
灰の水曜日前日4日間
2月20-21日月火曜日PF
灰の水曜日
Quarta-feira de Cinzas
復活祭46日前
の水曜日
2月22日水曜日14時までPF
四旬節
Quaresma
灰の水曜日から復活祭前日
枝の主日
Domingo de Ramos
復活祭7日前
の日曜日
4月1日日曜日
聖週間
Semana Santa
枝の主日から
復活祭前日
キリスト受難日
Paixão de Cristo
復活祭の2日前4月6日金曜日PF
復活祭
Páscoa
北半球春分の次の
満月の次の日曜日
4月8日日曜日
ペンテコステ
Pentecostes
復活祭の49日後
の日曜日
5月27日日曜日
キリスト聖体の日
Corpus Christi
復活祭の60日後
の木曜日
6月7日木曜日PF

と連なるキリスト教行事の日付は、毎年、天体の月の動きに応じて移動する。

2013年12月14日追加

ポルトガル語でクアレズマ quaresma と呼ぶ四旬節は、ポルトガル語の序数、「第40の」クアドラジェジマ quadragésima (形容詞の女性活用形)、元のラテン語ではアクセントがないだけのquadragesimaが語源になっているという。

ということは四旬節は40日でなければならない。
日本語でもその意味である。
日数計数については、wikipediaのLentにカレンダーを使って説明してあるのがわかりやすい。

四旬節の期間について、このブログに1年半にわたり、誤った情報をのせていたことがわかった。
上の表は正しくなっている。
ここで訂正しておわびいたします。

40という数字は聖書をみると特に意義のある数字である。
イエスが荒野で断食してサタンの誘惑と戦ったのが40日間であった。

2012年6月1日

みんな一つのリズムで

(en.) All in one rhythm
(po.) Juntos num só ritmo
読み方をカタカナで書くと「ジュントス・ヌン・ソー・ヒッチモ」

昨日ワールドカップ2014ブラジル大会のスローガンが発表された。
同時にプロモーションビデオも披露された。
ブラジル観光案内ビデオのようでもある。

日の出
投網
アマゾン河(多分アマゾナス州)
イグアスの滝(パラナ州)
キリスト像(リオデジャネイロ)
草サッカー
カポエイラ
円盤型美術館(リオデジャネイロ州ニテロイ)
幸運テープ(バイア州サルバドル)
カーニバル(多分リオデジャネイロ)
パンデイロ(タンバリン)
草サッカー
大通(サンパウロ)

youtubeを見ると、けっこう大勢のブラジル人が、ワールドカップに浮かれるよりもっと大切なことがあるだろ、と否定的コメントをつけている。
ブラジル人全てがサッカー狂であると思ったら大間違いだ。
「みんな一つのリズムで」はないのがブラジルだ。

この日、2013年のコンフェデレーションズカップ(Copa das Confederações)の日程が発表された。
2014年のワールドカップ本番同様、ブラジルは6月30日の決勝まで進むと、ようやく初めてリオデジャネイロのマラカナン(Maracanã)スタジアムに登場することになる。
グループAのブラジルは15日の開幕戦をブラジリアBrasíliaで迎え、19日フォルタレザFortaleza、22日サルバドルSalvadorが確定している登場試合である。

レシフェRecifeのアレナ・ペルナンブコArena Pernambucoと、サルバドルのアレナ・フォンテ・ノヴァArena Fonte Nova両スタジアムは建設遅れが心配されているものの、試合会場に組み込まれている。
FIFA事務局長Jérôme Valckeは、今年の11月までにスタジアムは完成しなければならないと言った。
チケットの販売はスタジアムの完成を待って、11月の中旬からと予定されている。

一方ブラジル政府スポーツ相Aldo Rebeloは、コンフェデレーションズカップが(問題の2都市を含む)6つの都市で開催されることに微塵の疑いも持っていない、と心配していない。

ブラジリアは一試合のみだが、ブラジルが戦う開幕戦を押さえており、他の都市はいずれも3試合となっている。
サンパウロでは試合は行われたいが、組み合わせ抽選会が行われる。

ホスト国ブラジルのほかに、現在参加が確定している国は、2010年ワールドカップチャンピオンのスペイン、2011年アジアカップ優勝の日本、2011年のゴールドカップ優勝のメキシコ、2011年のコパ・アメリカの優勝国ウルグアイの合計5ヶ国である。
欠けている3ヶ国は、今月決定予定のヨーロッパ、オセアニアと、2013年2月予定のアフリカのチャンピオンである。

(コンフェデレーションズカップ6都市で、決勝はマラカナン Copa das Confederações terá seis sedes e final no Maracanã
http://esporte.ig.com.br/futebol/2012-05-30/copa-das-confederacoes-tera-seis-sedes-e-final-no-maracana.htmlを参考)

2012年5月30日

世界最古と最新の通信手段のコラボはこれ!

なかなかのびっくりニュースがあった。
悪知恵の働くブラジル人である。

昔の通信手段として思いつくのには、飛脚、早馬などがあるが、伝書鳩は、想像する限り世界最古のテレコミュニケーション、つまり遠隔通信手段の一つと思う。
電話電信がなかった時代の戦争では、通信によく使われたという。

伝書鳩はその名のように、普通は信書を運ぶものである。
このほど、リオデジャネイロ(と言ったと思うが、最初注意して聞いていなかったので確かではない)かどこかで、布の袋を背負った伝書鳩が数羽捕獲された。
その運ぶ積荷と行く先を調べたら、なんと、携帯電話を背負って、刑務所へ運ぶハトであった。

疑問がいくつかあるのだ。

まず第一、ハトは携帯を背負って飛べるのだろうか?
普通空を飛ぶ鳥は、重い荷物は運ばないはずだ。
狩りをする猛禽類は例外的に、かなり大きな獲物を足につかんで飛ぶのをよくテレビ番組で見る。
猛禽類は自分自身も大きいから、結構な重さを運べそうだ。
しかし、ハトの大きさで、足でなく背中に携帯を背負って、羽ばたきのじゃまにならないのだろうか?

伝書バトは帰巣本能を利用するはずだ。
第二の疑問だが、この伝「携帯」鳩は、どこに住んでいるのだろうか?
囚人の面会者がこっそりハトを隠し持って、囚人が自分の牢で餌をやり、しばらく飼育しながら飛行訓練をして、刑務所の場所を覚えさせてから、また面会者へこっそり渡すのだろうか。

ハトより携帯のほうがずっとコンパクトだから、ハトを隠して持ち込むのは、携帯を持ち込むより困難だろう。
しかし携帯よりハトが小さかったなら、ハトに携帯を運ばせることなど当然できない。
ハトの利点は、金属報知器にかからないことぐらいしかないと思うのだが。

ニュースではこれらの疑問を一切解明してくれないので、ハトを使って刑務所へ携帯を持ち込む方法を考えてみた。

最近はGoogle EarthやMapで、誰でも航空写真を見ることができる。
これで、刑務所の中の日光浴や運動をする開けた場所がどの方角にあるかがわかる。
仮に、刑務所の運動場が北側にあるとしよう。

そうしたら、刑務所の南側にあたる方面にある場所で伝書バトを飼育して、帰巣訓練する。
刑務所の北側で放鳥すると、刑務所の運動場を横切って南方へ飛ぼうとするはずだ。

別の場所で、携帯を背負ったら何メートル飛べるか実験をする。
100メートル飛べたとしよう。

何曜日の何時に運動場にいる予定か、囚人の面会日に会いに行って、こっそり尋ねる。
その曜日・時刻になったら、刑務所の運動場の100メートル北側で携帯を背負ったハトを放せば、限界まで飛んで疲れたハトは、携帯と共に刑務所運動場へ落ちるはずである。

2012年5月24日

ブラジル人の75%はワールドカップ2014開催に不安

2012年5月23日に政府は、ワールドカップ2014ブラジル大会の諸工事が5%完了した、と発表した。
諸工事とは、スタジアムだけでなく空港、道路、公共交通機関等インフラ全てを含んでいる。

「5%も達成している」のか、「5%しか達成していない」のか、大会の2年前の現在、普通の感覚なら当然後者であろう。
報道陣の前で、スポーツ相Aldo Rebelo氏は、大丈夫だと太鼓判を押していた。

報道の翌日、br.msn.comが読者アンケートを行った。
楽観的なブラジル人、という思い込みを覆す結果が出たのでここに載せてみる。

設問:あなたは2014年開催時までに全て準備万端になっていると思いますか?

読者回答(2012年5月24日20:15頃):
25%7,165票はい、ブラジルの伝統になっているように、土壇場になって全部間に合うと思います。
49%13,758票いいえ、想定外のことばかりで、国際的大恥(verdadeiro vexame internacional)を晒すと思います。
26%7,244票一部はい、スタジアムはできるだろうが、空港、鉄道、ホテルは……。

75%のブラジル人が開催時までの諸工事完了を信じていないという結果なのは驚きである。

2012年5月23日

ブラジルで石を投げても大卒に当たらない

今日の話は、ブラジルの高等教育の普及度についてだ。
参考記事の数字は、IBGE(ブラジル国立地理統計院)によっている。

15歳から17歳の年齢層(中等教育に相当する)で在学している者の割合は、過去10年間で77.4%から83.3%へ伸びた。

ブラジルの地方別では、南西部が一番進学率が高く、低い地方は北部と南部だ。
北部はそうかなと納得するが、南部は教育熱心でありそうに思えるので、これは少し以外な結果だ。

中等教育(ensino médio)の修了が大学、つまり高等教育(ensino superior)へのアクセスである。
大部分の中等教育の生徒にとって、この段階でぶつかる困難は、公立大学は入試が難しく、私立大学は学費が高いという事情だ。
それでも国勢調査は、現在高等教育への扉はかってなかった広さで開いていることを示している。

IBGEの国勢調査によると、大学卒業の学位を持つブラジル人の割合はこの10年で4.4%から7.9%へ急増した。
もう少しで10人に1人が大卒という時代がやってくる。

教育省(MEC)によると、2001年から2010年への10年間、大学在学生は倍増した。
ブラジル連邦政府は、無償奨学金と融資奨学金を創設した。

Alexsandraさんは毎日2時間半を通学時間に費やして、心理学の授業を受ける。
全国中等教育試験(ENEM)で良い成績をとって、ProUni制度の無償奨学金を受けることができたので、私立大学に学んでいる。
6人兄弟の中で初めての大学生だ。
「私がうれしいだけでない、家族みんなが喜んでいる」Alexsandra Moreiraさんは語る。

Alexsandraさんのように、全体の74%の学生は私立大学に通う。

ブラジルの競争力に大きな影響を持つのは、科学技術分野である。
この分野は経済にも大きな影響がある。
カルロス・シャーガス財団(Fundação Carlos Chagas)の研究コーディネーター、Sandra Unbehaum氏はそのように考える。

しかし技術・工学分野は、志願者が比較的多くない。
大部分の生徒は社会科学、経営、法学を目指す。

調査の数字がその原因を示してくれる。
中等教育修了者のわずか11%しか、数学で満足なレベルに届いていない。

こういった生徒は大学に入って、自分の習学レベルがずっと遅れていることに気づく。
これは初等教育から持ち越されてきたものだ。
この10年で中等教育は、質的向上がみられたとはいえない。
この停滞が高等教育へ与える影響は非常に大きい。

(Edição do dia 02/05/2012 02/05/2012 21h08 - Atualizado em 04/05/2012 16h59
Cresce número de brasileiros com diploma universitário
http://g1.globo.com/jornal-nacional/noticia/2012/05/cresce-numero-de-brasileiros-com-diploma-universitario.htmlを参考)

ブラジルの大卒の人口に占める率を見ると、世界の中でのポジションがどうなのか気になる。
調べたらかなり衝撃的なことがわかった。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3929.htmlによると、ブラジルの大卒率は32ヶ国中最下位だった。
最終節を引用する。
「グラフの対象となった36カ国は、若年層の大卒率の高い順に、韓国、カナダ、ロシア、日本、ニュージーランド、ノルウェー、アイルランド、デンマーク、イスラエル、ベルギー、オーストラリア、米国、スウェーデン、フランス、オランダ、スペイン、ルクセンブルク、スイス、英国、フィンランド、エストニア、チリ、アイスランド、ポーランド、スロベニア、ギリシャ、ハンガリー、ドイツ、ポルトガル、イタリア、メキシコ、オーストリア、スロバキア、チェコ、トルコ、ブラジルである。」

大卒率が高い国は、韓国、カナダ、ロシア、日本で、25-34歳人口の55%以上が大学を卒業している。
大学全入に近くなると、大学の高等学校化、つまり教育レベルの低下が避けられないはずである。
日本の大学では、全部の大学ではないだろうが、最近の大学新入生は数十年前の新入生と比較して基礎学力が足りないので、大学1年は高校の学習の復習に当てていると聞く。

一方ブラジルは大卒率が低い、人口の中の大卒が少ない、珍しい、尊重される存在だ。
石を投げても大学生にはまず当たらないわけだ。
大卒が少ないということは、学士の資格が重みを持つ、つまり高卒と比較して給与水準が高いということだ。

ブラジルの産業構造は韓国に似ていて、国際的にも競争力の強い少数の大企業と、大多数の中小企業で構成されているとみなせる。
就職先にこだわるとそれなりに困難はあろうが、不相応なところをめざさない限り、大学生は就職には困らないと思う(と無責任に言ってみる)。
将来は「大学は出たけれど…」の韓国やスペイン状態がやって来るであろうが、今のところブラジルは10人に大卒たった1人状態だ。

大学生に価値がある社会を求む日本の若者よ、ブラジルに若いうちに移住して、ブラジルの大学で学ぶという手もある、と言いたい。
なにしろ公立大学は授業料が無料だ。
現在のブラジルの学制は基礎教育8年、中等教育3年で、日本より1年少ないから入試は日本より簡単であろう。
たとえば、高校数学では微積分はでてこない。
外国語(ENEMでは英語・フランス語・スペイン語から選択)も難しくなさそうだ。
ポルトガル語で小論文があるのが難問だろう。

基礎中等教育課程で1年少ない分をポルトガル語学習にあてて、高校を4年で卒業して大学に入るという道もありだ。
もっとも大学は5年コースが多いから結局総年数は日本と変わらなくなるが。
ブラジルに骨を埋める決心が必要であろうが、英語をしっかり学んでおけば外国で仕事をすることもできるわけだ。

日本の大学に不満と日本の将来に不安を抱く日本の若者よ、ブラジルへ来たれ!

2012年5月22日

医師にも馬鹿な人種差別者はいる

ブラジルには人種差別は存在しない、なんて言い切るのは全くの妄想だ。
奴隷制が存在した歴史を持つ国の中では、現在まで残る、表面に見える差別は少ないのかもしれない。
しかし、一部の人々の心の奥でくすぶって生き続けるこの心情をときおり垣間見ると、「ブラジルのアファーマティブアクション」で書いたように、百数十年で撲滅するには、巨大すぎる汚点だといえる。
今月初めに起きたニュースである。

ブラジリアの映画館で、チケット売り場の列に割り込もうとした男が、それを注意した係員に投げつけた言葉のせいで逮捕される事件があった。
憤った係員がセキュリティ要員を呼んだので、映画館のあるショッピングセンターの防犯カメラに、すたこら逃げていく小太りの男の姿がはっきり写っていた。

映画館の係員はMarina Serafim dos Reisという黒人の女性で、列の割り込みを注意した彼女は、
「お前は口のきき方が悪い、だからそんな色なんだ。
お前はいる場所が間違っている。
お前は人間を相手にするのでなく、動物を相手にしろ。
ここに住むのでなく、アフリカでオランウータンの相手でもしていろ。」
と男に言われたと証言した。

彼女は警察に届け出て、男の身元捜索に協力した。
そして判明したのがHeverton Otacílio de Campos Menezesという医師で、10年前に、大統領選挙の投票の行列に同じように割り込みをしようとして注意され、投票所の係員の黒人女性に同様の侮辱をした再犯である。
その時は、クロちゃん(neguinha)、お前はバナナ共和国の代表か?と言ったらしい。

調査にあたっているAilton Rodrigues de Oliveira捜査官は、医師は名誉毀損(injúria difamatória)の容疑で起訴されよう、と次の説明をした。
「人種差別(racismo)は、隔離という行為(segregarつまりseparar)が伴う場合、たとえば、白人しか入れない学校といった場合に適用される。
この医師の件は、差別的侮辱(injúria discriminatória)に当たり、殺意なき殺人(homicídio culposo)に匹敵する罪で、1年から3年の禁固が適用される。」

(Edição do dia 02/05/2012
02/05/2012 14h18 - Atualizado em 02/05/2012 14h18
Polícia identifica médico que ofendeu mulher negra em cinema de Brasília
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/05/policia-identifica-medico-que-ofendeu-mulher-negra-em-cinema-de-brasilia.htmlを参考)

「このレストランに××人は入ってはいけない」、「この席は××人専用」とか言って人種間隔離行動制限があるのがracismo、行動制限は伴わないが侮辱言動があるものが、injúria difamatóriaと言うとは、これまで知らなかった、勉強になった。

まず第一に、医師という普通なら尊敬されそうな人が、行列の割り込みというずるい行為をして、それを注意した人がたまたま黒人女性で弱い立場と見たので、鬱憤晴らしをするという情けない行為を繰り返していることだ。
この医師は精神分析医(médico psicanalista)だというが、こういった非人間的言動に傷つく心を癒すのは専門の範疇でないのか。
自身を犠牲にして実験でもしているのか。

もう一つのツッコミどころは、アフリカにオランウータンがいると思っているところだ。
ニュース後報では、アフリカ系ブラジル人(afro-brasileiro)を尊重しているとの謝罪声明文を読んでいたが、取ってつけたような発言とこの知性では、10年後にまた行列割り込みを注意されて差別発言をしそうな予感がする。

言葉の使い方はほんとうに難しい。
たとえば、上のneguinhaなど、親しい間柄や子供に使うと親愛の意味を持つ単語が、使われる人と場面により侮蔑語となる両面性を持つからだ。
新参外国人にとっては厄介な単語なので、踏むと危険な単語はなるべく避ける。

2012年5月13日

街に出るときはカードは一枚

クレジットカードや銀行カードの宣伝ではない。

最近の強盗や電撃誘拐(sequestro relâmpago)などの犯罪はだんだん洗練されてきている、というか、多人数で役割を分担して、手口が手馴れてきている。
しかしいつも被害者のスキをつく点は同じだ。

ある年配女性は3時間の恐怖を味わった。
友人と二人で(車に乗ろうとして)いたところ、二人組の強盗に囲まれた。
一人の犯人がハンドルを握り、犯行の間たった一回しか停車しなかった。
それは、奪ったカードと小切手帳全てを、別の車にいた共犯者に渡した時だった。

三人目の共犯者は、他の二人と連絡を取りながら現金を引き出した。
彼らは、駐車場にどんな車があるか、何人乗っていたか、女性か、一人でいるかなど、(あらかじめ)連絡を受けているようだった。

別の男性は4人組の強盗に捕まり、ショッピングセンターに連れて行かれた。
そこでさらに悪党一人が加わり、3人は被害者を拘束する役で、他の2人は奪った銀行カードで現金を引出し、クレジットカードで買い物をしまくった。

悪党たちは、人々のある共通した性質を利用する。
それは不注意、気の緩みだ。
もしあなたが電話をしている最中だったら、家族の、学校の、あるいは職場の心配にとりつかれていたら、あなたの周りのことに気を使っていられるだろうか。

サンパウロの軍警察広報担当者は、電撃誘拐の継続時間は被害者が携帯するカードの数に比例する、と注意を呼びかける。
「被害者はより長時間犯人に拘束される。
いくつものカードでいくつものATM (caixa eletrônico)で引き出さなければならないからだ。」

不注意な行動はほかにもある。
通りの真ん中で何気なく財布を広げて、札やカードを取り出す人も多い。
銀行の中であっても油断できない。
見張りがいる可能性があるからだ。
大金を持っているのを見られたら、身なりを共犯者に連絡されてしまう。

(11/05/2012 13h54 - Atualizado em 11/05/2012 13h57
Pequenos cuidados podem evitar que você vire vítima de bandidos
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/05/pequenos-cuidados-podem-evitar-que-voce-vire-vitima-de-bandidos.htmlから)

札入れ・カード入れを札やカードではちきれんばかりにパンパンにしている人がいる。
これはポケットに入れても、そのボリューム満点で膨らむため、悪党に目をつけられそうだ。
その上に、この記事で説明するように、カードがたくさんあればあるほど、犯人は全てのカードを使いきろうとするのは当然だ。

それぞれの銀行は、運悪く犯罪が起こっても一件あたりの被害額を抑えようと、夜間の引き出し限度額を昼間と比較して低く設定するが、一行200レアルとしてもカードが5枚入っていたら1,000レアルになる。
複数の銀行のカードが使える機械があっても、犯人の心理として5枚全部を一箇所で引き出すとは限らない。
その場合、5ヶ所のATMを転々として引き出すだろう。
その間、被害者は共犯者に拘束され続けるわけだ。

犯人たちは連絡を取り合っているから、ニセの暗証番号を教えたりしてごまかすことなどできるわけがない。
腹を立てた犯人に殴られるのがおちだ。

都会に住んでいる人は、現金も小切手帳もカードも全く持ち歩かないわけにはいかないだろう。
現金を持ち歩くときには大部分を隠し持ち、「見せ金」を出しやすいところへ用意しておけと言われるが、カードを幾枚も使う人は、限度額の低い「捨てカード」を決めておくのが良いのだろうか。

でも、強盗が多人数で組織されていて、犯行にかける時間に余裕があったなら、身ぐるみ剥がれたらおしまいだ。
結論としては、カードを複数持ち歩くなということになる。

ワールドカップではスタジアムでビールが飲める

2007年のFIFAとブラジル政府の合意を基にして、安全、商品の販売、入場券の販売を定めるワールドカップ総合法(Lei Geral da Copa)は、2012年5月9日になってようやく上院で承認された。

重要点は次のとおりだ。

最も安い入場券は50レアルで、老人、学生、社会プログラムの受益者(つまり貧困者)が優先的に購入することができる。
60歳以上のブラジル人は、全てのゲームで半額で入場券を入手できる。
連邦区、州、市は試合のある日を休日に定めることができる。
保安については、自然災害やテロ攻撃の場合に、FIFAはブラジルから賠償を受けることができる。

一番議論を呼んだアルコール飲料の販売は、FIFAと合意した連邦政府の望む形で認められた。
しかし法解釈のされ方が問題になっている。

連邦政府だけでなく、州政府もアルコール飲料の販売を別個に承認しなければならない、というのが法律の提案者の原案だ。
各州で定めている、スタジアムでのアルコール飲料の販売を禁止した州法を、例外的にワールドカップ時は一時的に停止する立法をしなければならない。
そのような禁止法を持つ州で、ワールドカップの会場に当たるのは、全12会場のうちサンパウロ、リオデジャネイロを含む5州が数えられる。

その一方で、連邦政府のスポーツ省は、連邦法が州法を超越するとの解釈をしている。
つまり、コンフェデ杯とワールドカップのアルコール飲料の販売は、先立って下院で承認され、今月上院を通過したこの法律がGilma大統領に承認されたらすぐに有効になるとスポーツ省は考えている。

スタジアムでビールが飲めるのは大変結構だが、アルコールなしでも荒っぽいブラジルのファンが、悪名高いフーリガンなど外来乱暴者と相乗効果で、大乱闘騒ぎとならなければと願う。

(Lei Geral da Copa 2014 vai permitir venda de bebida alcoólica nos jogos
http://g1.globo.com/jornal-nacional/videos/t/edicoes/v/lei-geral-da-copa-2014-vai-permitir-venda-de-bebida-alcoolica-nos-jogos/1942262/を参考)

2012年5月4日

ブラジルの大衆貯金の金利計算方法が変わる

ポウパンサ利息計算特例発動(2017年9月)

ブラジルで一番手軽な、銀行での貯金オプションは、ポウパンサ(poupança)と呼ばれる1ヶ月定期預金である。
最低預入額が極めて低く、非課税で、毎月の満期日以前に引き出してしまうと、その月の利息は受け取れないが、いつでも引き出し可能の流動性がある。

これまでポウパンサの利息は参照金利(TR - Taxa Referencial)プラス月利0.5%だった。
そのため年利は複利なので6.17%程度についた。
新しい基準では、月利0.5%の代わりに、45日ごとに中央銀行により見直される基準金利(SELIC)の70%と決められた。

SELICは現在年利9%である。
これが年利8.5%以下に落ちると、新ポウパンサの利息はSELICの70%プラスTRとなる。
SELIC年利8.5%のときに、その70%は5.95%となるので、これまでの年利6%(月利単利0.5%)から少し減らされるわけだ。

ブラジル中央銀行がSELICを引き下げてきてから、ほかの金融運用に比べてポウパンサの有利性が高まってきていた。
そのしくみ上から、TRがマイナスにでもならない限り年利6%、実際は1ヶ月複利だから6.17%より下がりようがなかったので、ポウパンサの利息計算は改めなければならないとずっと指摘されてきた。

相変わらず内需が堅いと言われているブラジル経済だが、このところの中国の経済減速や、欧州の金融不安を受けて、全く影響を受けないわけはなく、利下げは必然的に行われてきた。
利下げを進めるにあたって障害となるのが、ポウパンサの利息を下げられないと利下げがこれ以上できなくなる、というものだ。

これまでポウパンサと比較して、利息が高かった銀行定期(CDB - Certificado de Depósito Bancário)や確定利付ファンド(Fundo de Renda Fixa)は主に大口の資金運用に使われてきたので、これらの運用先となるブラジル国債が買われて、国庫が回ってきたのだが、もしこれらの運用の利息がポウパンサと同水準になってしまうと、資金移動が避けられず、そうすると国債がはけなくなる。
ポウパンサで集まった資金は主に(65%)住宅融資に使われている。
放置すると、資金の存在の不均衡が予想されるわけだ。

ここで注意しておきたいのは、5月3日まですでに運用中のポウパンサ資金は、将来もこれまでの利息計算方法(TR+月利0.5%)が適用されるということだ。
だから余裕資金をポウパンサに入れていた人は、現在の利下げ局面が続いている場合、必要がないのなら崩さないで持ち続けるのが良い。

既に開いているポウパンサ口座に5月4日以降資金を追加した場合は、5月3日以前の部分と、5月4日以降の部分に分けて、別々の計算が行われる。
それを一部取り崩した場合は、利息の少ない新しい部分から出されて、消費者は損をしないようになっている。

Mantega蔵相は、「ポウパンサはこれまでと同じくわかりやすく便利な運用であり続ける」と述べた。
労働界は、ポウパンサに大きな影響なく、これまで以上の利下げができるならと歓迎、産業界はファンドなどから資金逃避が起きないのを良しとして歓迎、中央銀行は利下げの幅ができたので歓迎と、現在のところ各界より好感されている。
金融界は大きな資金移動は起きないと予想している。

ブラジルには現在1億500万のポウパンサ口座があり、その資金量は4,310億レアルという。
計算すると一口座あたり4,105レアルの金額だ。
一方、確定利付ファンドの資金量は5,100億レアルとされている。
Mantega蔵相は、「ポウパンサは多くのブラジル人にとって理想的な選択肢であり続けよう」と述べた。

(Poupança muda e vai pagar 70% da Selic
iG São Paulo | 03/05/2012 18:50:21 - Atualizada às 04/05/2012 10:31:21
http://economia.ig.com.br/2012-05-03/poupanca-muda-e-vai-pagar-070-da-selic.html及び各TVニュースを参考)

2012年4月30日

ブラジルのアファーマティブ・アクション

最近のこのブログの記事には、かなり裁判の判例ものが多いのだが、今回もそうだ。

画期的な判例が出た。
日本では絶対出ない判例だ。

2012年4月26日に、ブラジルの連邦最高裁判所(Supremo Tribunal Federal)は、公立大学の人種割当(cotas raciais)は合憲であると、10人の判事全会一致で決定した。

訴状の報告者(relator)、Ricardo Lewandowski判事は、現在野党である政党Democratas(DEM)から提出された、首都ブラジリアの連邦大学であるブラジリア大学(Universidade de Brasília - UnB)が、学生定員の20%を黒人の学生に割り当てる人種割当を違憲だとする請求をしりぞけ、人種割当は合憲と結論した。

歴史的な不平等性を超越するために、国家・州はアファーマティブ·アクション-積極的(差別)是正(en. affirmative action, po. ações afirmativas)をもって、ある特定の社会グループに手を差し伸べるのは許されるとする。
ブラジルのような著しく不平等な社会においては、入試に「表面的な一律」基準を杓子定規に当てはめても、現在存在する不平等性を堅固にするか、さらに顕在化してしまうだろう。
Lewandowski判事は、アファーマティブ・アクションは一時的なものであるとの見解を示した。

次いで各判事は意見を述べた。
大半は報告者と同意見であるが、異なった見方もある。

Luiz Fux判事は、割当制を10年継続しているリオデジャネイロ州立大学(UERJ)に寄せられた学生の手紙を披露した。
「(大学の環境は)より民主的、より平等、そして何よりも、よりブラジル風(mais brasileiro)になった」

Rosa Weber判事、この人は女性だが、黒人を取り巻く社会状況と歴史条件により、彼らは白人と同じ機会から遠ざけられている、と述べた。
この不平等を正すために国が介入するのは有効である。

Cármen Lúcia判事(この人も女性)は、アファーマティブ・アクションは最善の策ではない、理想は全員が等しく自由な社会を築くことだ、と述べた。

連邦最高裁判所で現在ただ一人の黒人Joaquim Barbosa判事は、本でこのテーマで意見を発表してから11年たつが、差別によって利益を得る人々がアファーマティブ・アクションに抵抗を示してきた、と述べた。
アファーマティブ・アクションの目的は、差別と戦い、社会に調和と平和をもたらすものだと考える。

Gilmar Mendes判事は、人種割当違憲請求については棄却したが、ブラジリア大学の是正法に注文をつけた。
いわゆる「人種裁判所」(tribunais raciais)、学生が黒人かどうか判定する委員会がときどき誤判定をくだすことがあり、兄弟が異なる人種に判定された例をあげた。
社会経済的ひずみを許すことから、人種のみによる基準に疑問を呈した。
なぜなら、単純に人種から判断して割当すると、経済的に豊かで教育機会に恵まれる黒人が相対的に優遇されるからだ。

歴史的な人種にまつわる不平等とは、言うまでもなく奴隷制度(escravidão)である。

黄金法と訳せようか、Lei Áurea つまり(ブラジル)帝国法3,353号(Lei Imperial n.º 3.353)が承認されたのは、1888年5月13日のことだった。
たった2条の法律だ。

第1条 この法発行の日をもって、ブラジルの奴隷制は消滅する。
第2条 この法に反する諸条例は無効となる。

極めてすっきりと直接的な法律で実現した奴隷制廃止(abolição)であったが、現実はすっきりとはいかず、124年経った現在でも、まだいろいろな傷跡は残っている。

黒人は高給な職をみつけにくい。
職をみつけても、黒人の給料は白人の給料より少ない。
黒人は出世できない。
だから黒人は貧しい。
子供の教育に金をかけられない。
だから私立高校は無理で、公立高校に行くしかない。
公立高校は、州や市に金がないので設備が不十分で、二部制や三部制で授業時間がただでさえ短い上に、教師が薄給のため頻繁にストをするので、設備が良く全日制の私立には教育の質が追いつかない。
そのため、授業料は無料だが入試が難しい公立大学には入れず、私立大学は授業料が高い、下手すると家庭の都合で中等過程(ensino médio)も基礎課程(ensino fundamental)も卒業できない、さらに転んでしまうと、犯罪の世界に引きこまれてしまう。
(最初に戻る)

黒人で金持ちになるにはサッカー選手かミュージシャンになるしかない、などと昔はよく言われた。
現在は公立大学へ行く道がひらけてきたのだ。

人種による割当とは、一般の受験生枠と独立して黒人だけの受験生枠があって、たとえばブラジリア大学だとこれが全定員の20%なのだが、黒人受験生は黒人受験生だけの割当枠の中で合格を競うわけだ。

今回の最高裁の判例はアファーマティブ・アクションの中でも、人種による割当という方法だが、実はほかにもアファーマティブ・アクションの方法はある。

公立高校学生割当というのがある。
これは人種は問わず、公立高校の学生に大学の定員割当を設けて、公立高校学生同士で合格を競う。

黒人とか公立学校学生とかに定員の割当を設ける方法のほかに、黒人や公立学校学生は一般入試と同じ枠を争うのだが、点数に下駄を履かせる、という方法もある。
ゴルフのハンディキャップ制のようなものだ。

なお通常、大学入試の黒人割当には先住民(índioあるいはindígena)も含まれる。

最後に明らかにしておく。

至極当然のことだが、入試に関しては優遇措置があっても、大学に入ってからは他の入試方法で入った学生と一緒に勉強し、同一の試験を受けて同一の点数で単位取得をしていく。

入学が難しくても卒業が比較的簡単な日本の大学だったら、割当を利用して簡単に大学に入ったらもう目標達成で安泰、ということになろうが、ブラジルの大学は単位をとって進級して卒業に到達するのはなかなか大変なのだ。
そういう意味では、卒業にたどりつくまで同じふるいを通るので、黒人と白人の間に、公平さは保たれることになっているのだ。

(STF julga constitucionais as cotas raciais em universidades
iG São Paulo | 26/04/2012 10:23:23 - Atualizada às 26/04/2012 20:23:23
http://ultimosegundo.ig.com.br/educacao/2012-04-26/supremo-retoma-julgamento-das-cotas-raciais-nesta-quinta.htmlを参考)

2012年4月24日

トキソプラズマにあやつられるブラジル人

日経ビジネスオンライン
ネコが人を元気にする科学的な根拠
寄生虫のなせる技?
石 弘之 2012年4月16日(月)
を読んだ。

猫に寄生する原虫トキソプラズマがネズミに感染すると、ネズミの行動が変わってネコに食べられやすくなるというのだ。
寄生されたネズミは、脳内物質のドーパミンが多量に分泌されて「威勢がよくなり」ネコを恐れなくなるという説だ。

トキソプラズマに寄生されて威勢がよくなるのは、ネズミだけではない、人間も同様なのだという。

ドーパミンは最近よく聞く言葉だが、快感や感動したときに脳内で放出される物質だ。
興奮するだけでなく、行動を起こす動機づけ効果があることもわかってきた。
「やる気が出る」ドーパミンである。

トキソプラズマに感染した人は、世界人口の3分の1と推測されている。
結構多いものだ。
感染率は地域により差があり、韓国は6%にすぎないが、ガーナは92%と高い。
日本は20-30%とされており、世界平均より少し少ない。

スタンフォード大学のパトリック・ハウス博士は、ワールドカップ2010南アフリカ大会の成績と、国民のトキソプラズマ感染率との関連を調べた。
サッカーの強さとトキソプラズマ感染率とには相関関係があるという。

FIFAのランキングトップ25ヶ国を感染率で並べ替えると、上位からブラジル(感染率67%)、アルゼンチン(52%)、フランス(45%)、スペイン(44%)、ドイツ(43%)となり、このなかには過去10回のワールドカップの優勝国がすべて含まれている。
イギリスやイタリアは、例外的にトキソプラズマ感染率が低いサッカー強国という。

ハウス博士は、トキソプラズマに感染すると男性ホルモンのテストステロンの分泌が増えるので、積極的、攻撃的になってこれがサッカーを強くするというのだ。

そうか、ブラジルは3人中2人はトキソプラズマに感染して、男性ホルモン満々なのか。
ネコが広く飼われているという感じはしないのだが、シュラスコ(po. churrasco バーベキュー)でがつがつと生焼けの肉を食べることが多いから、トキソプラズマが広がりやすいのだろう。

ラテンアメリカはmachismo「マッチョな気風」があるというのも、トキソプラズマのせいなのか。
トキソプラズマのせいで、女性もなかば男性化して、社会進出も進んでくるのだろうか。
ジルマ・ルセフ(Dilma Vana Rousseff)大統領(ブラジル初女性大統領)も、トキソプラズマを持っているのだろうか。

ブラジルがサッカーが強くなるのは良いが、ネコを恐れなくなるネズミならぬ、交通事故を恐れぬ運転者とか、警察を恐れぬ犯罪者とか、汚職買収を恐れぬ政治家とか、税務署を恐れぬ企業家とか、危ない人間が多いのはトキソプラズマのせいにして良いのだろうか。

2010年のブラジル交通事故死は40,610という恐るべき数であった。
また、ブラジルの殺人数は実数で世界一、2009年に43,909人だった。
総人口(分母)が多いから死亡数(分子)も大きくて当然だが、ブラジルはいいところだと吹聴したい私は、あまり良い気はしない。

元記事に戻る。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校のケビン・ラファティ博士のように、ネコからのトキソプラズマ感染は、人の探求心や知的好奇心を形成した重要な要素であり、人をより人らしくした、と主張する研究者もいる。

ブラジルにとっては救いだ。
しかし、この説にならうと、ガーナは人間らしさ満点の国で、韓国は人でなしの国ということになってしまうが、これでいいのか?

カトリック社会における妊娠中絶

2012年4月12日連邦最高裁判所(Supremo Tribunal Federal)は、無脳症(po. anencefalia, en. anencephaly)の胎児の妊娠中絶(interrupção da gravidez)を認める決定をした。

無脳症の胎児は、頭蓋骨上部が発達せず、脳の大半が欠けているので、誕生しても通常数時間で死亡する。

この裁決の出るまでは、胎児に脳がないことが判明して、中絶を希望する妊婦は、複数の医師の診断書をもって裁判所に訴え出て、その裁決を待たなければならなかった。
判事によってこの裁決にかかる時間は大きく異なって、72時間で判決が出ることもあれば、数ヶ月もかかることもあった。
今回の最高裁の判決により、妊婦は診断があれば司法に訴える必要なく、合法に妊娠中絶できるようになった。

カトリック教会は、妊娠中絶には反対の意見を表明していた。
大多数の国民がカトリックで、教会が世論結成に大きな力を占めるブラジルで、中絶が合法に認められる第3の例となった。
他の2例とは、強姦によって妊娠した場合と、妊娠の継続が母体に危険を及ぼす場合である。

最高裁の無脳症胎児妊娠中絶合法裁定を受け、連邦医学審議会(Conselho Federal de Medicina)は、胎児の無脳症診断の新しい基準を審議する委員会の開設をこの13日に発表した。

(Globo Jornal Hoje Edição do dia 13/04/2012 13/04/2012 13h56 - Atualizado em 13/04/2012 13h59
http://g1.globo.com/jornal-hoje/noticia/2012/04/conselho-de-medicina-cria-comissao-para-redefinir-criterios-d-anencefalia.htmlを参考)

ところで最近隣国アルゼンチンで、レイプによって妊娠した女性の中絶請求が当国の最高裁に認められた例があった。

(レイプ被害者の中絶容認 アルゼンチン
2012.3.14 10:09 [南北アメリカ]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120314/amr12031410110001-n1.htm)
記事によると、アルゼンチン最高裁は13日、レイプ被害者の人工妊娠中絶を認める初の判断を示した。

ということは、同じカトリック社会でも、ブラジルはアルゼンチンと比較して、妊娠中絶が認められるケースが多少広いということになるのか。
強姦被害者の望まない妊娠中絶は、ブラジルでは既に認められていたからだ。

他のニュースで触れていたが、妊娠期にビタミンBの一種、葉酸(ácido fólico)の摂取によって無脳症を減らすことができるという。
保健所などが医学知見に基づいて、妊婦に食事栄養指導することによって障害を減少することができるなら、この方面に力を入れてほしいものだ。

2012年4月17日

さようなら、すなのみよ

久しぶりにすなのみ(砂蚤)が足に入った。
ポルトガル語ではビショ・ジ・ペー(bicho-de-pé)、意味は「足の虫」と、そのまんまの名前だ。

数日前から右足の中指の先が、かさかさした感じだったので見ると、血豆ができたように見えた。
どこかで指先を踏んづけたかしら、でもいつどこで?
と放っておいたが、金曜日の夜になってむずむずしてきた。

よく見たらすなのみだった。
見たかったらクリック
この写真の中心先端の黒点が尻に相当して、これを通じて呼吸している異生物が皮下組織に食い込んでいて、血流から栄養を奪って繁殖の機会をうかがっているという、あの映画エイリアンのごく小型版という感じである。
まああの不幸な宇宙船の乗組員や、寄生蜂に卵を産み付けられて体内で無数の幼虫を養わされるアオムシのような悲惨な目には合わないけれど、寄生された生物の惨めさの片鱗を感じることができる。
知性はないし体も小さいけれど、この皮膚を透けて見えるところに邪悪な異生物がいるのだと大げさに考えると、身震いしないか。

エイリアンやコマユバチのことは忘れて、すなのみにもっと早く気づいていたら、こんなに大きくなる前に取り除くことができただろう。
翌日まであと一晩「飼ってやって」から、昼の明るいところで皮膚を切開、すなのみ取り出しをしようと思ったのだが、妻が今取るのだといってきかない。
だから金曜日の夜に、妻が除去手術(というほど大げさなものだろうか?)を実施した。
器具は消毒した縫い針一本で、時間は5分か10分くらいかかっただろうか。

組み写真で実況も考えたが、気持ち悪いし、照明状態も良くないのでやめにした。すなのみを除去した痕の穴ぼこはこうなった
気持ち悪いの嫌いな向きはクリックしないで。

いつどこですなのみを拾ったのだろうか。
鶏小屋に草履で入ったときだろうか、草ぼうぼうの中を歩きまわったときか、鶏ふんの山のそばを通ったときだろうか。

何回かすなのみに取りつかれた経験では、どちらかと言うと乾燥した気候のときに、鶏ふんや豚ふんなどの有機物のあるところを、裸足や草履で歩くとすなのみが足につきやすいと思う。
長いパンツと長靴で装備していれば、とりつかれる可能性は非常に低いだろう。
しかし、すなのみはノミ(po. pulga)の仲間、20cmくらいはジャンプするという。
ジャンプして長靴の中に飛び込むこともありそうだ。

最近調べたら3.5cmくらいしかジャンプできないらしい。
ということは普通の靴を履いていれば大丈夫だろう。

普通すなのみはそのポルトガル語名から察するように、足の指や裏に入ることが多いのだが、ネット検索したら、ペニスに入られた気の毒な人の話があった(日本語で読める-google「すなのみ デンゲ」でトップに出るはず)。
これを病院でとってもらうくだりは、本当かいなと思われるほど面白い。
取り出すためになんと、勃起しなければならなかったという。
人ごとだと笑っていられるのだが、本人は大変だったろうと同情する。

田舎で聞いてみたら、旦那の尻に7匹ばかり、おちんちんに一匹入ったので全部とってやった、という女性がいた。
勃起させたとは言っていなかった。
いきなりひんむいたというので、さぞかし痛かったことだろう。

かなり多くの人が、すなのみが足に入ると、「このむず痒いのが気持ち良い」といってすぐに取らないで、かゆみを楽しむ?ようである。
この熱帯医学データベースを読んでみると、ブラジル人のようにのんきに「飼って」いて良いのか気になる。
詳しく知りたい人はWikipedia(英語)を見てほしい。
Wikipedia「スナノミ」日本語ページができていた。

ブラジルに、とくに田園地帯に住みたいという人のために言っておくと、破傷風(tétano)の予防注射はしておきたい。
車によく乗る人は、交通事故でけがをしたときに、破傷風の接種が済んでいたら安心だから、都会の人にも予防になる。
ブラジルの保健所に行けば、無料で注射してくれる。
確か0-30-180日の3回接種だったと思う。

2012年4月8日

受難劇で起きたユダ役俳優の災難

明日4月8日は2012年の復活祭日曜日、昨日金曜日に十字架にかけられたイエス・キリストがよみがえった日である。

現代の聖土曜日(sábado santoあるいはsábado de Aleluia)、つまり、過ぎた今日は、前日まで肉食を断ってきた人々が久しぶりに肉にありつけるとあって、静けさにあふれた祭日であった受難金曜日から一夜明けると、街中がそわそわした賑やかさに包まれていた。
近所の家から焼肉(churrasco)の、炭と肉の匂いが漂ってくる。
そんな日に目にしたニュースだ。

カトリック主流のブラジルでは、聖週間に各地でキリスト受難劇が催される。
規模の大きさで有名なのが、ペルナンブコ州ブレジョ・ダ・マドレ・デ・デウス(Brejo da Madre de Deus - PE)は、地区全体がエルサレムを模した屋外舞台装置になっていて、俳優・スタッフ千五百人の大仕掛けな受難劇が行われ、一夜一万人もの観客を集める。

サンパウロ州イタラレ(Itararé)で、昨日受難金曜日のできごとだった。
受難劇の俳優が、誤って首が絞まって重体になるという事故があった。

俳優Thiago Klimeck氏は、小道具の縄の結び目を誤って自分の首にかけ絞めて飛び降りてしまった。
彼はイスカリオテのユダを演じていた。

俳優チアゴは、石のように静止する場面だったが、4分間目を覚まさなかった。
他の俳優たちは全く気づかなかった。
というのも、死んだふりをする場面だったからだ。

救急隊に救われたチアゴはすぐに入院したが、容態は重体のままで、土曜日の朝より大きな病院に移送された。
主を売り渡した自分の行いを恥じた、イスカリオテのユダは、確か土曜日に命を断つことになっていた。
俳優チアゴには、ユダの後を追わずに、無事助かってほしいものだ。

(http://estadao.br.msn.com/ultimas-noticias/ator-se-enforca-acidentalmente-em-encena%C3%A7%C3%A3o-da-paix%C3%A3oから)

2012年4月23日追加

http://ultimosegundo.ig.com.br/brasil/sp/2012-04-23/corpo-de-ator-que-interpretou-judas-sera-enterrado-nesta-tarde-e.html
によると、俳優チアゴは17日間の意識不明の後、4月22日に死亡した。
R.I.P.

2012年4月5日

本当の美容整形大国はどこか

日経ビジネスONLINE
北村豊の「中国・キタムラリポート」
美容整形による容貌の破壊・変形が10年間で20万件
世界第3位の整形美容大国となった中国の悲しむべき実態
2012年3月30日(金)
というのを読んだ。

中国が世界第3位の整形美容大国なんて嘘だろ、そんなわけがない、ブラジルはどうした?というので調べてみた。

人口データは、
United Nations - Department of Economic and Social Affairs - Population Divisionによる、
http://esa.un.org/unpd/wpp/Documentation/publications.htm
にある、
http://esa.un.org/unpd/wpp/Documentation/pdf/WPP2010_Volume-I_Comprehensive-Tables.pdf (6.41MB)
を使った。
2011年の推計値である。

整形手術や手術以外の処置(procedure)のデータは、
International Society of Aesthetic Plastic Surgeryの
http://www.isaps.org/files/html-contents/ISAPS-Procedures-Study-Results-2011.pdf (162KB)
から取り出した。
2010年に実施された手術・処置数である。

手術・処置数の実数順位と、単位人口あたり手術・処置数順位の、それぞれトップテンを並べてみよう。

整形件数(千件)千人当たり整形件数
米国3,314韓国16.06
ブラジル2,518ギリシャ14.45
中国1,265イタリア13.38
日本1,183ブラジル12.78
インド1,147米国10.59
メキシコ917コロンビア10.49
イタリア816日本9.39
韓国771フランス8.11
フランス511メキシコ7.97
コロンビア493カナダ7.53

注意
国際美容外科学会(ISAPS)の整形手術・処置件数は、上位25ヶ国しか発表されていないので、人口の極めて小さな国で、人口に対して手術・処置数が多いのだが、実数で25ヶ国に入らない国がランクインしていない可能性がある。
たとえば、日本人が韓国で美容整形手術を受けた場合には、韓国でカウントされると思われるので、そのようなケースが多いとデータに歪がでる可能性がある。

思った通りだ。
千人当たり美容整形件数では、中国はトップテン圏外のずっと底の方、0.94件で、インドの一つ上の第23位にすぎない。

千人当たり美容整形件数順位を見ると、なかなか面白いことが想像できる。

韓国が美容整形大国であるというのは疑いのない事実である。

ギリシャとイタリアがそれに続いているのにあえて意味を見出そうとすると、ギリシャ神話やローマ神話の神々の肉体美へのあこがれがあるのだろうか。
彫刻の神像は理想的肉体美を追求しているから、実際の肉体にも、ノミならずメスを入れたくなるのだろうか。
国庫は傾いていても、整形にかける情熱は熱いようだ。

ブラジルは4位でUSAをしのぐ美容整形好きな国民であることが証明された。
ラテン系では3位イタリア、4位ブラジル、6位コロンビア、8位フランス、9位メキシコ、11位ベネズエラ、13位スペインと、存在感は大きく、ラテン系の美にかける執念というか、ただモテたいだけかわからないが、健闘している。

日本の7位ランクインというのは、慎ましく淡白な国民性という先入観を覆し、なかなか頑張っているといえよう。

2012年4月26日追加

ISAPS International Survey on Aesthetic/Cosmetic Procedures Performed in 2010の調査方法の訳抜粋(一部省略あり)をのせる。

調査の参加者は、主に2010年に実施した手術・非手術処置数を問う、英語2ページの質問票を受け取った。
ISAPSは、データベースにある約2万人の整形外科医に調査参加を依頼した。
さらに、すべての国単位の協会に対し、その会員に調査に参加してくれるよう協力を求めた。

集計時までに698票の質問票が届いた。

最終の数字は、各国の整形外科医数と回答サンプルをベースに、国際統計を反映するよう投射(project)した。

世界中の整形外科医数を推定するため、各国の協会が提供してくれた数字は、33,000とみられる整形外科医数の90%以上をカバーしている。
ある国の、協会によるその国の医師総数が得られなかった場合には、その国の人口とGDPを基に回帰方程式を使って求めた。

ある国の回答数が不十分であった場合には、投射にはその国の属する大陸の回答を参考にした。
その国の回答を強調するために、重み付けの方法を採用した。

サンプル数及びそれぞれの回答の分散に依存して、処置により、また国により信頼区間は変化するものの、95%信頼水準で、標準誤差は3.67%に収まった。

当(The International Survey on Aesthetic/Cosmetic Procedures Performed in 2010)調査は、オハイオ州Columbus所在の独立調査機関Industry Insights, Inc. (www.industryinsights.com)によって集計分析された。
調査リーダーは、15年にわたって整形外科手術のトレンド調査に従事しているScott Hackworth公認会計士であった。