2012年5月4日

ブラジルの大衆貯金の金利計算方法が変わる

ポウパンサ利息計算特例発動(2017年9月)

ブラジルで一番手軽な、銀行での貯金オプションは、ポウパンサ(poupança)と呼ばれる1ヶ月定期預金である。
最低預入額が極めて低く、非課税で、毎月の満期日以前に引き出してしまうと、その月の利息は受け取れないが、いつでも引き出し可能の流動性がある。

これまでポウパンサの利息は参照金利(TR - Taxa Referencial)プラス月利0.5%だった。
そのため年利は複利なので6.17%程度についた。
新しい基準では、月利0.5%の代わりに、45日ごとに中央銀行により見直される基準金利(SELIC)の70%と決められた。

SELICは現在年利9%である。
これが年利8.5%以下に落ちると、新ポウパンサの利息はSELICの70%プラスTRとなる。
SELIC年利8.5%のときに、その70%は5.95%となるので、これまでの年利6%(月利単利0.5%)から少し減らされるわけだ。

ブラジル中央銀行がSELICを引き下げてきてから、ほかの金融運用に比べてポウパンサの有利性が高まってきていた。
そのしくみ上から、TRがマイナスにでもならない限り年利6%、実際は1ヶ月複利だから6.17%より下がりようがなかったので、ポウパンサの利息計算は改めなければならないとずっと指摘されてきた。

相変わらず内需が堅いと言われているブラジル経済だが、このところの中国の経済減速や、欧州の金融不安を受けて、全く影響を受けないわけはなく、利下げは必然的に行われてきた。
利下げを進めるにあたって障害となるのが、ポウパンサの利息を下げられないと利下げがこれ以上できなくなる、というものだ。

これまでポウパンサと比較して、利息が高かった銀行定期(CDB - Certificado de Depósito Bancário)や確定利付ファンド(Fundo de Renda Fixa)は主に大口の資金運用に使われてきたので、これらの運用先となるブラジル国債が買われて、国庫が回ってきたのだが、もしこれらの運用の利息がポウパンサと同水準になってしまうと、資金移動が避けられず、そうすると国債がはけなくなる。
ポウパンサで集まった資金は主に(65%)住宅融資に使われている。
放置すると、資金の存在の不均衡が予想されるわけだ。

ここで注意しておきたいのは、5月3日まですでに運用中のポウパンサ資金は、将来もこれまでの利息計算方法(TR+月利0.5%)が適用されるということだ。
だから余裕資金をポウパンサに入れていた人は、現在の利下げ局面が続いている場合、必要がないのなら崩さないで持ち続けるのが良い。

既に開いているポウパンサ口座に5月4日以降資金を追加した場合は、5月3日以前の部分と、5月4日以降の部分に分けて、別々の計算が行われる。
それを一部取り崩した場合は、利息の少ない新しい部分から出されて、消費者は損をしないようになっている。

Mantega蔵相は、「ポウパンサはこれまでと同じくわかりやすく便利な運用であり続ける」と述べた。
労働界は、ポウパンサに大きな影響なく、これまで以上の利下げができるならと歓迎、産業界はファンドなどから資金逃避が起きないのを良しとして歓迎、中央銀行は利下げの幅ができたので歓迎と、現在のところ各界より好感されている。
金融界は大きな資金移動は起きないと予想している。

ブラジルには現在1億500万のポウパンサ口座があり、その資金量は4,310億レアルという。
計算すると一口座あたり4,105レアルの金額だ。
一方、確定利付ファンドの資金量は5,100億レアルとされている。
Mantega蔵相は、「ポウパンサは多くのブラジル人にとって理想的な選択肢であり続けよう」と述べた。

(Poupança muda e vai pagar 70% da Selic
iG São Paulo | 03/05/2012 18:50:21 - Atualizada às 04/05/2012 10:31:21
http://economia.ig.com.br/2012-05-03/poupanca-muda-e-vai-pagar-070-da-selic.html及び各TVニュースを参考)

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