2011年12月20日

Vale社の巨大貨物船団戦略のつまずき

韓国製新鋭巨大鉱石船は鉄くずになるか

Vale só saberá o que causou rachadura em supercargueiro em 2012
Dubes Sônego e Yan Boechat, iG São Paulo | 15/12/2011 05:44
ということで、Vale(ヴァーレ)社にとって巨大貨物船の亀裂の原因を解明・発表する期限は2012年に入ってからとなった。

この日の記事ではVale Beijing丸には鉱石35万トン、燃料7千トンが積載されている
現在原因究明作業に関連しているのはSTX、リスク調査会社Det Norske Veritas (DNV)、Valeである。
「色々憶測はできるが、原因は技術的調査によって解明されるべきであり、それには多分1ヶ月かかり、多くのパラメーターが関連している。」
DNV社のソースはこう言う。

ベレンから船が着くのを待ち、12月19日から燃料の半量を抜き取る作業が始まることになっている。

正確な情報の発表は先に延びた一方で、国際海運界で憶測は飛び交っている。
一番信じられている憶測は、Vale Beijing丸の造船の欠陥である。
ブラジルのリスク調査会社RBNAのLuiz Alberto de Mattos氏はこう語る。
「情報が少なくて判断は難しいが、これだけの問題が起きるためには、プロジェクトのミスか、材料が強度などの要求を満たしていないことが考えられる。」

ノルウェーのDNV社はVale Beijing丸のリスク調査を引き受けたため、すべての資料にアクセスして、船が安全か判断するために技術再計算を行なっているはずだ。
そのため、Vale Beijing丸の問題はDNV社に損害をもたらす可能性がある。

船体亀裂箇所のサンプルを入手できれば、どこから亀裂が始まり、どのように広がったのかを解明できる。
それから事故をシミュレートできる。
そのあとでようやく船が大洋を航海しても安全かどうかを判断できる。
それまではVale Beijing丸は35万トンの鉄鉱石を積んだまま足止め状態が続く。

(http://economia.ig.com.br/vale-so-sabera-o-que-causou-rachadura-em-supercargueiro-em-2012/n1597411094790.htmlから)

Supercargueiros têm sido fonte de problemas para a Vale
Yan Boechat e Dubes Sônego, iG São Paulo | 15/12/2011 05:00

今回のVale Beijing丸の問題は、Valeにとってこれまでの巨大貨物船のトラブルにまた一つ頭痛の種が加わった格好だ。
もともと、35隻(うち19隻は自社所有)の鉄鉱石巨大貨物船を自前で持ち、四海のすみずみまで運ぶプランであった。
この壮大なプランは戦略ミスであったと言われている。
この記事の一週間前、Vale社長Murilo Ferreira氏はO Globo紙のインタビューで、韓国・中国に発注して2013年までに納品されることになっている貨物船全てを売却する意向を示した。

まだ納品が済んでいない資産を売却するという方針は、前社長Roger Agnelli氏の描いた戦略とかけ離れたものだ。
鉄鉱石の運賃が1トン100ドルを超した2008年、Agnelli氏は7年前に全て売却してしまっていた船団を再び自社で所有する決定をした。
そのために、Vale社は新たに巨大専用貨物船を建造することにした。
船団はこれまでのものと全く異なるカテゴリーで、Valemaxと呼ばれた。

Valemaxとは巨大貨物船カテゴリーで、全て38万から40万トンの積載量を持つ。
パナマ運河を通行可能な最大の船は8万トンである。
浮かぶものとしては最大級の大きさだ。
例えばVale Beijing丸は365メートル、積載量はトラック11,000台に相当する。
その鉄鉱石からはサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを3つ建設して余りある。

印象的なその数字であるが、現在まで6隻が就航しているValemaxはその本来の目的、中国へ鉄鉱石を運ぶ使命を果たせないでいる。
中国側ロビーはValeが輸送を独占して運賃を壊滅的に下げるとみなしており、そのため北京政府はValemaxの接岸を許可していない。
一応中国の港湾は40万トン級の積荷を処理する大きさがないということを理由にしている。

6月、Valeがこのクラスの船の最初の航海を祝っているとき、アフリカの喜望峰から逆戻りを余儀なくされた。
突然中国が船の接岸を拒否したのは全く寝耳に水であった。
そのためValemaxはイタリアへ回り道をして鉄鉱石を降ろしている。
現在Valeは、巨大貨物船団をマレーシアで一種の配送センターとして、そこで積替をして中国へ鉄鉱石を運ぶことを考えている。

Valeのような規模の会社が、60億ドルに及ぶ巨大貨物船団の投資を、事前に顧客との合意なしに踏み切るとは想像外であるが、事実それが起こったのだ。
「前もってこの問題は交渉しておくべきだった。
それを怠ったから今になって荷降ろしができないでいる。
その船の一部は当の中国製であるのにだ。
Valeには逆風が吹いている。」
Banco Fator戦略担当Lika Takahasi氏は言う。

Valeにとって法律上の問題だけにとどまらなく、経済的問題でもある。
2008年に1トン100ドルであった運賃が現在30ドルであることから、巨大投資の回収は遠い先のことになる。
「船団は経済的負担になっているのは間違いない。
会社の投資は、うまくいっているニッケル、鉄鉱、銅、石炭、肥料に集中しなければならない。」
Murilo社長は認める。
しかしながら、ValeはまだValemaxに固執しているようだ。
Valeは長期契約を結んで輸送を担ってくれるところに売却しようとしている。

船団売却の戦略は、実現すれば確かに会社の財務コストを減少させてくれるだろう。
しかしまた確実に、このオペレーションでValeはいくらかの金を失うことになろう。
「それが起こらないということは考えられない。
でもValeには選択肢はない、最良の解決は19隻の売却だ。」
Banco do BrasilアナリストのVictor Penna氏は言う。

こうした問題の中のVale Beijing丸だ。
この船はValeの所有でない。
韓国のSTX Panocean社の所属で、Valeとは25年契約を結んでいる。
Vale所有船でなくても、この事故は就航したばかりのValemaxの有効性に多くの疑問をつきつけている。

(http://economia.ig.com.br/supercargueiros-tem-sido-fonte-de-problemas-para-a-vale/n1597411096196.htmlから)

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