つい3ヶ月前の2011年9月に韓国で製造されて、世界最大の鉄鉱企業Vale社に納品されたばかりの巨大鉱石専用貨物船が、早くも船体破壊の危険にみまわれている。
マラニョン(Maranhão)州都サン・ルイス(São Luis)ポンタ・ダ・マデイラ(Ponta da Madeira)港で、ロッテルダム港向けに荷積み中、船体に亀裂が入っているのが発見された。
亀裂から海水が船内に浸水して、船体が艫の方へ傾いている。
船は空荷ではなく、26万トンの鉄鉱石と334トンの軽油を積載している。
船体が破壊されると深刻な環境問題を引き起こすだろう。
港湾局は、船を即座に水深の深いところへ曳航しないと、沈んだ艫が海底に接触して船体が折れ、積荷が流出する危険があるとしている。
船体と海底はわずか1メートルしか離れていない。
船は、修理作業を容易にするため、より深く海水の透明度も高い、水深30メートルの9キロ先沖合に向け曳航された。
ブラジル海軍は、最初の航海も終えてない世界最大級の最新鋭巨大貨物船に、どうして亀裂が入ることになったか調査を始めている。
積荷積載のミス、材料の疲労(まだ新しいのに…)、造船のミスなどがその原因になりうるとしている。
韓国STX Pan Oceanで製造・運行されているVale Beijing丸は、Vale社が発注して2013年までに納品されることになっている8隻の鉱石船の最初の1隻である。
鉄鉱石運搬価格を下げて競争力を高める、Vale社の切り札だ。
価格1億1千万ドル、積載量40万トン、全長391メートルの浮かぶ(その後沈むわけだが)鉄くずとならないことを願う。
でも最初の1隻がこうだと、残り7隻は大丈夫だろうか。
12月9日現在、韓国から来たエンジニアが調査を行なっているが、まだ事故の実態も原因も明らかになっていない。
STX Pan Ocean社は、水がより澄んでいるセアラ(Ceará)州沖に船を移したいそうで、ブラジル環境資源院(IBAMA)は、船を浮きで囲むよう命じた。
沖合に曳航できたのだから船体破断の危険は少なくなったと思う。
(6/12/2011深夜 Jornal Globo記事及び9/12/2011 http://g1.globo.com/brasil/noticia/2011/12/ibama-exige-colocacao-de-boias-ao-redor-de-navio-da-vale-no-maranhao.htmlを参考)
Vale社の巨大貨物船団戦略のつまづき
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