2017年3月19日

今年は酉年のオリーブ油

今年は酉年である。
普通の人は年末年始には前後年の干支を思い出しても、もう3月にもなると自分が年女や年男でないと覚えていないという人も多いのではないか。

どういうわけか、と言っても理由はないと思うが、家にあるオリーブ油の銘柄が鳥なのである。



左:Andorinha - ツバメ
ポルトガル産(Algés, Portugal)、500ml、14.99レアル(17年2月)

右:Gallo - 雄鶏
ポルトガル産(Arantes, Portugal)、500ml、18.99レアル(17年1月)

ただし、雄鶏の通常の綴りは、'l'が一つだけでgaloである。

この二つの銘柄はどこでも見られ、ブラジルで最も流通しているものに入る。
そして少なくともこの二つの銘柄に共通していることは、赤ラベルが普通のオリーブ油で、緑ラベルがエクストラヴァージン油であることだ。
見てわかるように、ツバメはエクストラヴァージン、雄鶏は普通である。
値段も書いておこう。
1レアルは36円くらいだ。
ツバメは「二個買ったら二個目は半額」つまり25%割引のときに買った。

別の銘柄も含めれば、これより安いものも高いものもある。
安いものには限界がある。
あまり安くて大豆油の値段と一緒だったら、どんなに迂闊な人も騙されないだろう。

もっとグレードが高いのは青ラベルだったり黒ラベルだったり、スコッチウイスキーのようでもある。
高いものの限界は不明である。

食用油というものは原料や製法を現物から分析するのが難しいのだろうか、偽物というか混じり物が入ってレーベルに偽りありというのが多いという記事を読んだことがある。
関係ないが、中国には地溝油なんてものもあるらしい。

ブラジル産の肉製品の品質を疑わせる、検査官の収賄と見逃しのニュースが世界中を駆け始めた。
安全であると思われていたものが一度疑われると、失われた信頼を回復するのはとても困難だろう。
しばらくはこの文字通り「腐りかけた部分の広がり」を検証する作業が続くだろう。

肉にしろ検査官にしろ、腐りかけた部分がごく一部のものであって欲しいし、そうでなければならない。
食べるものがなくなってしまうからである。

ただひとつ言えるのは、「加工品は避ける」である。
ソーセージや整形済みハンバーグよりは塊の牛・豚肉を、チキンナゲットよりは鶏肉切り身である。
ついでに言えば、挽き済みのコーヒー粉よりはコーヒー豆である。
理由は言うまでもなく、期限切れの肉や段ボールを入れられてもわからないからである。

2017年3月28日追加

最近こちらで行われたテストの結果が出たから、買い物の参考にしたい。
ブラジルでよく売られている銘柄の、ラベルに偽りがあるかを調べた。

新たな品質テストでオリーブ油の7つのマークが不合格

オリーブ油と謳っているが別の動植物の油が混じっていたもの
腹が立つことはときどきあるものだが、7つの内2つの製造者は「予審判決」を得て裁判所が名前の公表を禁止している。
  • Tradição
  • Figueira da Foz
  • Pramesa
  • Torre de Quintela
  • Lisboa
  • 予審判決の効力で名前公表差し止め
  • 予審判決の効力で名前公表差し止め

エクストラヴァージンと謳っているがそうではないオリーブ油
  • Beirão

合格と判定されたオリーブ油
上位三つは「品質/コスト」が優れたもので、残りに順位はついていない。
食べてうまいかは人それぞれ。
  • 1- O-Live & Co.
  • 2- Andorinha(ツバメ)
  • 3- Carbonell
  • Borges
  • Cardeal(枢機卿という意味だが、の名前でもある)
  • Cocinero
  • Gallo(雄鶏)
  • La Española
  • La Violetera
  • Taeq
  • Serrata
  • Renata
  • Broto Legal Báltico
  • Qualitá
  • Filippo Berio

2017年3月10日

犬は犬舎、猫は病舎

「犬小屋のことを英語で何と言うか知ってるか?」
「犬寝る」
というのを最後に聞いたのはずいぶん昔のことである。

しかし昨日、隣家で「ガチウ」を作ったと聞いた。
この単語はgatilと書く。
初めて聞く単語である。

CANIL

現代ポルトガル語辞典 1996年 白水社によると
canil 男性名詞 複数形 canis 犬小屋

Google翻訳にかけると
po -> en dog kennel
po -> ja 犬小屋

Dicionário Brasileiro da Língua Portuguesa, Michaelisでは
canil sm
1 Abrigo ou alojamento para uma matilha de caça ou de cães domésticos.
2 por ext Casinha de cachorro.

全部載っている。

GATIL

現代ポルトガル語辞典 1996年 白水社によると
見出し語gatil存在しない

Google翻訳にかけると
見出し語gatil存在しない

Dicionário Brasileiro da Língua Portuguesa, Michaelisでは見つかった
gatil sm
1 Lugar onde se abrigam, se hospedam ou se criam gatos.
2 Espaço de criação de gatos destinados à comercialização.

日本語にしても、犬小屋とか犬舎という単語はよく聞くが、猫小屋はともかく猫舎と言うのは聞いたことがない。
漢字変換を試みると病舎というのが出てきて、病院みたいである。

日本語・ポルトガル語両言語での、この犬猫の不公平は、猫は独立小屋を与えられることがまずなくて、人様のベッドとかソファとか家具の上で適当に寝たり、そこら辺の空き箱に収まるというその習性からくるものだろう。

真面目な話をすると、canilとgatilには語源的にすっきりしないところがある。

犬はラテン語でcanis、犬の学名(属名)もCanis、わかりやすい。
だからおおいぬ座は星図にCanis Majorと書かれている。

ポルトガル語でオス犬はcão、メス犬はcadelaが正式なようだが、通常にはcachorro(オス), cachorra(メス)の方がよく使われる。
カショホ(ハ)と読む。
「犬の」形容詞はcanino、そうして犬舎はcanil、語源は全部同じなようで、とてもわかりやすい。

一方猫である。
Google翻訳が働かず、猫はラテン語で何と言うのかわからない。
猫の学名(属名)はFelis、「猫の」形容詞はfelino、ここまでは良い。
フェリス女学院はここから来たのか?メス猫学院なのか?と思ったがそうではなく、Ferrisという名字であった。
猫関係の星座はやまねこ座Lynxというのがあるが、この語とは関係なさそう。
ポルトガル語ではオス猫はgato、メス猫はgata、そして猫小屋はgatil、英語のcatに近い気がするが、felisとの関係はよくわからない。

猫箱や猫ちぐらの翻訳は間違っても、「ニャンネル」でも「フェリウ」でもなく、「ガチウ」ということである。

2017年3月9日

ちんこ笑って集中治療室行き

集中治療室
= en. intensive care unit (ICU)、あるいはintensive therapy unit or intensive treatment unit (ITU)
= po. Unidade de Tratamento Intensivo (UTI)、あるいはunidade de cuidados intensivos (UCI)と書いてあるのだが、よく聞くのはUTIと書いて、長音表記すると「ウーテーイー」という用語である。

刑事や探偵ではないが、動機のない犯罪はないはずだ。
そこで事件の報道では必ず動機が語られるわけであるが、あまりに些細すぎて読むほうが恥ずかしくなるようなものが時々出てくる。
以下ローカル記事である。

「性器の大きさをからかわれた男、兄弟を刺す」
Homem esfaqueia irmão após crítica sobre tamanho de órgão sexual

文字通りである。
一体そんな理由でそこまでやるか?

一つ譲って、まあ若さの至りか?と思って記事を見たらもっと仰天だった。

「××市××地区でこの火曜日(7日)に56歳の男性が48歳の弟に刺された。民事警察によると、犯罪の容疑者は、彼の性器の大きさについて冗談を言われたので、兄弟の首、肩と腹を刺した、と語った。」

この兄弟の年齢から30を引いたら、26歳と18歳になるから、まあそんな理由で激高することもあるかもしれない、と思うのだが、何か二重に恥ずかしくなる記事である。
だいたいその年だと、もう尿道としてか機能しないという人もいるのではないか。
そうならば、端的に言えば、外形は持ちやすくて機能的には通りが良ければ十分でないか。
この年まで生きて分別のかけらもないのか。
危ない性格である。

とにかく、口が災いした兄は、集中治療室で重体と報道されている。
容疑者の弟は過去、傷害で何回か警察のお世話になった経歴があるので、起きるべくして起きたのかもしれない。

なお、性器の大きさと言っても、大概の人は見当をつけるだろうが、記事には小さすぎたのか大きすぎたのか、それ以上のことは全く書いてない。