2021年11月29日

ギリシャ文字三か国語対照

新型コロナウィルスで急に話題になって恐れられている変異株の名称は「オミクロン」となった。
ギリシャ文字の15番目という。
これを機会にギリシャ文字の三か国語対照をつくった。

ギリシャ文字は数学、物理学、化学、天文学などに登場する。
今度のコロナウィルスに関しては、ウィルスの変異型の区別にギリシャ文字が付けられることとなった。

0(ゼロとしておく)型 中国
α型 英国
β型 南アフリカ
γ型 ブラジル
δ型 インド
λ型 ペルー
μ型 コロンビア
ο型 ボツワナ

ギリシア文字Englishportuguêsラテン文字日本語慣用
1Ααalphaalfaaアルファ
2Ββbetabetabベータ
3Γγgammagamagガンマ
4Δδdeltadeltadデルタ
5Εεepsilonépsiloneエプシロン
6Ζζzetazetazゼータ
7Ηηetaetaēイータ
8Θθthetatetathシータ
9Ιιiotaiotai イオタ
10Κκkappakappakカッパ
11Λλlambdalambdalラムダ
12Μμmumimミュー
13Ννnuninニュー
14Ξξxicsiks, xクシー
15Οοomicronômicronoオミクロン
16Ππpipipパイ
17Ρρrhor, rhロー
18Σσςsigmasigmasシグマ
19Ττtautautタウ
20Υυupsilonúpsilonu, yウプシロン
21Φφphifiphファイ
22Χχchichikh, chカイ
23Ψψpsipsipsプシー
24Ωωomegaômegaōオメガ

上の表のポルトガル語は、ブラジル・ポルトガル語の表記である。
同じギリシャ文字を他の言語から呼ぶときは、読み方や書き方が一通りだけでない。
テレビニュースではμのことをミーとは呼ばず、ムーと呼んでいた。

ギリシャ文字には不思議な点がいくつかある。
ローマ字アルファベットで一番最後に来るzは、ギリシャ文字ではかなり最初の方に出てくる。
Σシグマは小文字を2つσς持つ。
オミクロンは小さいオー、オメガは大きなオーだと言うのだが、それが別文字となっている。

さて話題になっているのは、伝染力がデルタ株より強力と呼ばれる今回の変異株が、ギリシャ文字の13番めと14番目を飛ばして15番目のオミクロンとなったことである。
13番めのニューを飛ばしたのは英語のnewと混同する恐れがあるから、14番目のクシーを飛ばしたのはよくある人名を避けるためという。

何のことはない、よくある人名といっても、引っかかるのはどこにでもいる人でなく、共産党主席のあの人、シージンピンただ一人なのである。
こんな要らぬ忖度などしているから、WHOはこれだけ切羽詰まった状況になっても、多くの国はWHOを疑いの目で見ていて、そのために強いリーダーシップを発揮することが全くできない役立たず組織になっているのである。

オミクロン変異株についてはその有害性についてはまだよくわかっていないことが多いのだが、伝染力が強くなった代償に、病害性が弱くなっていることを期待したいものである。

2021年11月21日

伝統的なポルトガル語文法の性別不平等

中性ポルトガル語についての話を続けよう。
文法の中にある男女不平等である。

英語の場合には代名詞の三人称単数には男性・女性の区別があっても、複数形は we, you, they の中身がどういった性別構成かは全く気にしなくてよいはずだ。
スペイン語やポルトガル語のような、複数形においても男性形・女性形が異なる言語で、実際の性別構成によって語形がどう変化するかという問題である。

二人称複数形は教会の中でしか聞くことがないものとして除外すると、ポルトガル語では三人称複数(eles, elas)の場合に、スペイン語では一人称複数(nosotros, nosotras)と三人称複数の場合(ellos, ellas)にこの問題が出てくる。

100人の男性がいるときは男性形のeles、100人の女性がいるときは女性形のelasを使う。
ここまではすんなり納得できる。
これが男女混成のグループになると、否応なく男性形のelesを使うものだと習った。
たとえそのグループが99人の女性に1人の男性が入っただけの99%女性のグループであっても、使う代名詞はelesと男性形になる。

一般名詞でも同様である。
父はpai、母はmãeであるのに、両親はpais、教室に10人の女子生徒と2人の男子生徒がいる場合も、区別しないで全体を一語で呼ぶ場合には複数男性形のalunosになるといった具合である。

さてここで、今のところは誰も言い出していないようだが、中性ポルトガル語運動を推進する人たちがはたと気づいて、男女同権であるべきだから従って言語も、バイナリーでない人が含まれた場合はもちろん、含まれていなくても、男女混合したグループの複数形は複数中性形にすべきであると主張し始めることを密かに恐れている。

アメリカの中性英語

前回に続いて、最近のポルトガル語に起きつつある運動について。
バイナリーではないことを自認する人が自分を呼んでもらう代名詞、普通名詞、形容詞を、新たに作ろうという話である。
ここではポルトガル語からの類推で単に「中性英語」と呼ぶだけであって、英語でニュートラル・イングリッシュとかいう呼び方はしないと思う。
中性英語なんて勝手に変な名前をつけるなと、たくさんいそうなうるさ方から文句が来そうである。

次のような事例を見ると、英語を使うアメリカ合衆国、厳密に言えばその一部の地域や階層であると思われるが、それはそれは大変である。
これまで普通に使っていた慣用句が禁句となったり、代名詞の使い方がうまくできなければクビになったり罰金を取られたりするということで、ブラジルはゆるゆるで助かった。

言ってはいけない!現代アメリカのタブーな英語
第5回 Ladies and gentlemen! (紳士淑女のみなさま)

言ってはいけない!現代アメリカのタブーな英語
第6回 he/she (彼/彼女)

以上は極端な例であって、どこでも当てはまることではないだろうとだと思っても、アメリカでそれらしい場面にであったら、まあ次の内容くらいは心得ておかなければならないかもしれない。

Bringing Your Authentic Self to Work: Pronouns
22 NOV 2019

2021年11月19日

根付くか?中性ポルトガル語

世界に無数ある言語の中には、ドイツ語やロシア語のように、もともと中性の名詞を持つものがある。
でも正統なポルトガル語は、不定なものを指す、数少ないisto, essoのような中性代名詞を除けば、名詞や形容詞の文法上の性別は男性と女性、及びそれぞれの複数形のみである。

それが最近、「中性ポルトガル語」というものが出現している。

ブラジル空軍の士官選抜試験で、中性ポルトガル語についての設問があったという記事が数ヶ月前にあった。
現在のブラジル連邦政府ボルソナロ政権は右派であるから、言うまでもなく中性ポルトガル語が広まることを好ましく思っていない。

「万人を受け入れる言語は、それ自体が社会運動であるとみなすことができて、それは言語の発達を形作る」と主張する、サンパウロ大学の教授によって書かれた例文があるので、そのまま転写する。

下にあげる例文はすべて、
(新造で未公認の)中性ポルトガル語 = (正式文法)男性の場合 / 女性の場合
の順番で示している。

曰く、
Elu é muito atenciose. = Ele é muito atencioso. / Ela é muito atenciosa.
〇〇は〔彼は/彼女は〕とても思いやりがある。

Elu é minhe namorade. =  Ele é meu namorado. / Ela é minha namorada.
〇〇は〔彼は/彼女は〕私の恋人だ。

Ajude sue amigue. = Ajude seu amigo. / Ajude sua amiga.
あなたの友人〔中性/男性/女性〕を助けなさい。

Elu é bonite. = Ele é bonito. / Ela é bonita.
〇〇は〔彼は/彼女は〕美形だ。

Elu é sue colega. = Ele é seu colega. / Ela é sua colega.
〇〇は〔彼は/彼女は〕あなたの同僚〔中性/男性/女性〕だ。
colega はもともと男女同形である。

O trabalho delu ficou muito bom. = O trabalho dele ficou muito bom. / O trabalho dela ficou muito bom.
〇〇の〔彼の/彼女の〕仕事は良い出来だった。

日本語には中性の人間の代名詞はないので、しかたがないから〇〇と表記しておく。

一体この中性活用形はどのように使われるのか。

一つの考え方では、話の対象になる人間が男性であろうと女性であろうとそれ以外であろうとすべて、代名詞、それを修飾する形容詞、補語・目的語となる名詞などに中性の活用形を作って、なんでもそれで済まそうというのだ。
これからポルトガル語を新たに学ぼうとする人にとっては、男性形も女性形も覚える必要がなく、中性形だけで行けることになるから、覚えるのが楽になると感じられるかもしれない。
しかし、すでに生まれたときから、そうでなくてもポルトガル語に十分慣れた人からすれば、これまでの活用が全て変わってしまうことになるから、とてもだが受け入れられないだろう。
これまでに書かれたり、現在使われているポルトガル語の詩、小説、各種文書が一気に古文になってしまうことになる。
ポルトガル語という言語の伝統に対する冒涜と言われそうである。

もう一つの、より受け入れられやすいと思われる考えでは、中性代名詞、形容詞、名詞を使う対象は、その人が男性/女性のどちらにも当てはまらない(バイナリーではない)と感じている場合に、その人に限って使われるという使い方だ。
伝統的文法の男性形、女性形に新たに中性形が加わることになる。
これからポルトガル語を学ぼうとする人は、名詞や形容詞の性変化がより複雑になる。

だいぶ前から下書きをしていたこのテーマであるが、ここで出すことになったのは、ポルトガル語と同じロマンス語であるフランス語の辞典に、中性代名詞が登場することが物議を醸しているというニュースを見たからだ。

性差のない代名詞、仏語辞典「プチ・ロベール」に追加で物議
2021年11月18日 20:17 発信地:パリ/フランス>

中性語に対して、フランスもブラジルも同様な反応が起きている。
簡潔に言うと、言語の中にジェンダーの多様性を認めていこうという派と、言語の伝統を守る派が対立しているということである。

それから、こういった最近の事情もある。

男性でも女性でもない「性別X」のパスポート、米国務省が初発行
2021.10.28 Thu posted at 10:15 JST

2021年11月7日

2021年原油埋蔵量国別比較

 何年か前にブラジルの原油埋蔵量予想について、とても楽観的な予想があることを書いた。

最近見た世界の国々の埋蔵量についての記事をここに写しておこう。

ねとらぼ 2021年11月6日に公開されたものを写した。
調査発表したのはブリティッシュペトロリアム(British Petroleum)である。
一応公平な評価量が出ているのではないかと思う。

ほら見たことか、ブラジルは16位である。
「ブラジルは2020年に第4の産油国になる」なんてやはりハッタリに過ぎなかった。

しかし、化石燃料を敵視する今日このごろ、埋蔵量の多さが直接国の財産の豊かさに結びつくのかどうかは、これから注意して見ていかなければならない。

順位埋蔵量
1ベネズエラ3038億バレル
2サウジアラビア2975億バレル
3カナダ1681億バレル
4イラン1578億バレル
5イラク1450億バレル
6ロシア1078億バレル
7クウェート1015億バレル
8アラブ首長国連邦978億バレル
9アメリカ合衆国688億バレル
10リビア484億バレル
11ナイジェリア369億バレル
12カザフスタン300億バレル
13中国260億バレル
14カタール252億バレル
15アルジェリア122億バレル
16ブラジル119億バレル
17ノルウェー79億バレル
18アンゴラ78億バレル
19アゼルバイジャン70億バレル
20メキシコ61億バレル

3位カナダの埋蔵量の94%はオイルサンド(原油を含んだ砂岩)
1位ベネズエラの埋蔵原油はオリノコタール、その名からわかるように超重質油

2021年11月6日

ブラジル5Gのスケジュール

2021年10月4,5日に、携帯電話/インターネットの5G帯域の入札が行われた。
連邦政府の通信省、国家通信庁(アナテル-ANATEL)が実施したものである。
15の企業が、4つの周波数帯にわたる、全国区あるいは地域区の45帯域の、10年ないし20年使用権の入札に参加した。
入札総金額は467億レアルであった。 政府が当初予想していた496億レアルには届かなかったが、連邦政府は、原油鉱区プレサルの入札に次ぐ巨額の落札額を強調した。

入札した企業の施設供用義務スケジュールは次のようになっている。

  • 2022年7月 州都
  • 2025年7月 人口50万人以上の都市
  • 2026年7月 人口20万人以上の都市
  • 2027年7月 人口10万人以上の都市
  • 2029年7月 人口3万人以上の都市
  • 2029年12月 ブラジル全土

周波数帯区域種認可期間落札社
700MHz20年Winity II Telecom Ltda
2.3GHz地域20年Algar Telecom, Claro, Brisanet, Tim, Vivo
3.5GHz全国20年Claro, Tim, Vivo
3.5GHz地域20年Algar Telecom, Brisanet, Cloud2U, Consórcio 5G Sul, Sercomtel
26GHz全国20年Claro, Vivo
26GHz地域20年Tim, Algar Telecom, Fly Link
26GHz全国10年Tim
26GHz地域10年Tim, Neko

落札企業にはブラジルの携帯電話会社としてすでにおなじみの、Claro, Tim, Vivo(以上全国に展開)、Algar Telecom, Sercomtel(以上特定の地域に展開)が登場するが、これまでに聞いたことのない新しい会社も名を連ねている。
その新会社6社は、Winity II, Brisanet, Consórcio 5G Sul, Cloud2U, Fly Link, Neko 

連邦政府は各周波数帯落札の諸企業に、次の社会的義務を課す。

  • 700MHz帯 連邦道路3万1千キロ沿いにインターネットを施設する
  • 2.3GHz帯 現在サービスがない市域に4Gを施設する
  • 3.5GHz帯 連邦行政のため専用通信網、アマゾン地域にファイバー網の施設
  • 26GHz帯 基礎教育学校へインターネット接続を施設する

2021年11月9日発表報道によると、早速落札した物件を辞退する企業が現れた。
上に訂正線を付けたFly Link社である。
辞退理由は、より戦略的に欲しかったロットを落札できず、落札した唯一のロットではビジネスモデルが成り立たないと、出資予定者の一人が出資に難色を示したということである。
落札後の辞退に対する罰金として落札額の10%が課されるとされている。

Winity は700MHz帯の運用を断念したと、2023年12月に発表された。